カエルくん(以下カエル)
「今回もまたアニメ映画のお話だけど……ちょっといつもとは違う作品だよね」
亀爺(以下亀)
「わしらでやっていくのじゃな。
アニメ映画は主も語りたいことがたくさんあるじゃろうに……」
カエル「ちなみに最初に明かしますが、今作についてはTwitterの短評でこのように評しています」
#レゴバットマン 短評
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2017年4月1日
うわー! ちょっと勘違いした!
大傑作LEGOムービーの続編だと思ったけれど、予想以上にバットマンだった!(当たり前)
ほとんどバットマンを知らないためにサービスシーンとかはよくわからないけれど全体的にキチンとまとまった良作
亀「今回主が逃げたのも、ここが原因なんじゃろうな。
主は『バットマン』だけでなく、スーパーマンやウルヴァリンなどの海外ヒーローに関して一切知識もなければ、そこまで興味もないというレベルじゃからの」
カエル「『ダークナイト』を見て『うまいなぁ、この脚本とスタートはなかなかできないでしょ?』なんて言っていたけれど、それ以上の興味が湧かなかったというね。
本作もレゴムービーの続編でアニメ映画だから見に行ったので、多くのこの映画を評する人たちのようにバットマンとして……という意見は全く理解できないです。
ファンムービーの要素も抱えているのはバットマンシリーズの名を冠しているのだから当たり前だけど……その意味では、感想の語り部としてはふさわしくないかもしれません」
亀「みんながみんなバットマンを知っているというわけではないからの。そういう人の意見も重要じゃな」
カエル「それじゃ、そんな人の感想記事を始めよう!」
1 簡単な感想
カエル「じゃあ、まずは簡単な感想だけど……」
亀「バットマンを知らんでも普通に面白いぞ? アニメーションとしてレゴを使うという独特の表現もなかなかいいし、CGで作られたようじゃが、アニメーションの力を最大限に発揮していると思う。
じゃがな……少しばかり、バットマン好き向けのシーンが多いような気がしての。ちょっとわからんシーンも多かった印象じゃの」
カエル「この映画を『レゴムービーの続編』として見に行くか『バットマンのスピンオフ』として見にいくかによって評価は変わる気がするんだよね。もちろん、その両方が好き! という人が1番楽しめるのは間違いないけれど」
亀「ここが難しいところでの。
この映画を見終わった後にバットマンが好きな人に会ったら、泣いておったわい。これだけ長いシリーズじゃから多くの作品があり、それぞれの個性があり、そしてそれだけの思いが詰まっておるのじゃろうが……一見さんにどれだけ理解できるか? というとの」
カエル「例えばこのブログでは『シンゴジラ』を大絶賛しているけれど、じゃあゴジラシリーズにまっっっったく興味がなかったら? と言われるとあそこまでの熱量はなかったかもしれないしね」
亀「こればかりは仕方ないところがあるがの。
わしは『普通に面白かったなぁ……』と思っておったが、その後のTwitterなどの盛り上がりを見ると、これはなかなか慎重にかたらざるをえない案件じゃと思ったの。
その意味では『マッドマックス』と同じような扱いじゃな」
レゴバットマンは苦戦する?
カエル「あんまり興行収入とかのお話はしたくないけれど、この作品は200館クラスの映画の割には興行が振るわないよね。
色々と言われたけれど小島よしおの起用だったり、吹き替え声優やジャニーズの起用をしてもあんまり話題になっていない印象があって……」
亀「わしも本作が『アニメ』であり、前作のレゴムービーが素晴らしかったから鑑賞しに行ったがの。ではこのブログをやっていなかったり、アニメに興味がなくても見に行ったかというと……難しいところがあるの」
カエル「時期からしても春休みシーズンに合わせて子供を入れたいのはわかるけれど、じゃあ『SING 』や『モアナと伝説の海』や『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』があって、来週以降に『コナン』や『クレヨンしんちゃん』がある中で、じゃあレゴを選択するかと言われると……ちょっと厳しいものがあるんじゃない?」
亀「レゴランドもオープンしておるが、レゴの人気は確かに日本でも一定以上あるが、それはあくまでも玩具としての人気であって……特定のキャラクターなどが人気があるわけではないからの。
ハイパーヨーヨーやベイブレードなどと同じような人気と言えるかの」
カエル「それはおもちゃとしてはいいんだけど、日本人に受けるメディアミックスにする場合には『ポケモン』とか『妖怪ウォッチ』のようにキャラクター人気って必須な気がするんだよね。あれだけゆるキャラブームが起きていることでもわかるように、日本人って明確に『キャラクター』を愛するところがあって……
じゃあレゴのキャラクターって? と問われるといないし、しかもバットマンも映画好きやアメコミ好きには有名かもしれないけれど、一般受けしているかと言われると……ちょっと難しいかな?」
亀「わしが思うに、バットマンを好きになる年頃の子では日本では『仮面ライダー』を愛好する子供が多いじゃろう。
ヒーロー系であればアンパンマン、戦隊、仮面ライダーという流れがあるからの」
カエル「同じ特撮好きでもヒーローファンと怪獣映画好きってまた違うしね。しかもバットマンってテレビであんまりやっていないし」
亀「そこに妖怪ウォッチやポケモンなども入ってくるわけじゃからの……わざわざバットマンを選択する子供というのは、よっぽど親が好きでもなければ中々考えづらいと思うがの」
本作の主人公、バットマンも当然レゴ!
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
声優について
カエル「今回は吹き替えでみたけれど、レゴムービーと同じようなキャストが多くて文句のつけようがないというか……」
亀「山寺宏一や沢城みゆきじゃからの。この辺りの声優が下手じゃと言うなら、日本の声優のほとんどが下手なことになってしまうの。
ただ、いろいろとヒッチャカメッチャカというか……遊び心の多い作品ではあったからの。その意味では字幕版と吹き替え版では、見たときの印象が変わるかもしれん」
カエル「スタートからして面白い演出があったよね。あれもアメリカ公開時から一緒らしいけれど……」
亀「小島よしおも頑張っておるし、上手いと思う。思うがの、この作品に出てくる声優たちがアニメ調の演技をしているわけじゃから、そこをお笑い芸人が出てくると、若干の違和感はあったかの。
ただそれが作品世界を壊すレベルではないし、ギャグ描写も多いが、それ自体はそう大したことではないがの」
カエル「芸能人も含めて声優陣は良かったんじゃないかな? ちょっとだけ色々と言われてはいたけれど、作品世界を壊すほどではないかな?」
亀「むしろ問題は……これは良い、悪いの問題でもないのじゃが、キスマイの曲かもしれんの。そこまでの流れなどに少し反しておる場面がある。
『僕の歌を歌って良い?』という言葉があったが、そこで始まるのがキスマイの曲じゃと、あまりバットマン感がないの……」
カエル「これはキスマイの問題というよりは、この演出を考えた人の問題だけどね。聞いた話によると字幕版で流れた、本国のEDは重要らしいから……その流れがなくなってしまったということも考えても、字幕版の方が良いのかな?」
2 ヒーローと悪役の関係
カエル「今先は悪役も大集合! だよね」
亀「バットマンの中でも最も有名な悪役であるジョーカーは当然ワシでも知っておるが、それ以外にもたくさんの悪役が登場してオールスターのような雰囲気じゃったの。これもレゴムービーという番外編だからこそのものかもしれん。
しかもそれだけでなくて……まさかまさかの『あんな敵役まで!?』ということにも溢れておったわ」
カエル「ここ……そうだなぁ、10年くらいの大作洋画が好きな人にはたまらない展開だったかもね。あんまり語ると面白味をなくしてしまうけれど『え!? あいつが出てくるの!?』というシーンも多々あったし……」
亀「あの悪役たち大集合はまさしく『スーサイド・スクワッド』じゃったの。あの作品はあんまり評価が高くない上に、どうしてもハーレクインの可愛さばかりが目立ってしまった作品でもあったが、今作はまさしく観客が望んだスーサイド・スクワッドの姿でもあった」
カエル「レゴだから『あれ? これって誰?』ともなるかもしれないけれど、名乗りをあげると『ええ〜!? それってありなの!?』となるからね。
その意味でもアメコミやハリウッドの大型アクション映画やファンタジー映画が好きな人は、絶対に楽しめることこの上ないの」
この2人の関係も重要!
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
バットマンとジョーカー
カエル「今作の主題といえば、やはり『バットマンとジョーカーの関係性』に尽きると思うんだよ」
亀「やなせたかしのアンパンマン理論と同じじゃな」
カエル「……アンパンマン理論?」
亀「アンパンマンとバイキンマンの関係は光と影のものであり、どちらかが欠けると存在できなくなってしまう。これはヒーロー作品などが抱える矛盾点にも似たようなものでの、事件が起きなくてはヒーローは必要とされない。
何も起きない日常の中ではヒーローはただの普通の人じゃ。何かトラブルがあるからこそ、その存在は必要とされる」
カエル「物語のジレンマだよね。登場人物が幸せに……あるいはある程度平凡に暮らしているのに、何らかの事件が起きて転落してしまう。そのこと自体は不幸なんだけれど、だからこそドラマが始まるというね」
亀「本作は特にバットマンとジョーカーの関係にスポットを当ててつつも、バットマンという存在の意義についても言及しておる。警察官が真に有能であれば、バットマンなど必要ないわけじゃからな。
この作品はバットマンという作品が抱える多くの矛盾やテーマを内包しながらも、レゴムービーというスピンオフのアニメ映画トイう利点を最大限に活かし、シリアスにしすぎず、ギャグも交えながらもしっかりと様々なものを描ききっておる。
このバランスは驚異的じゃな」
カエル「ファンじゃなくても楽しめる映画なのは間違いないし、『SING』や『モアナ』に比べても決して劣っていない。
もちろんファン映画の面もあって全てがわかったらもっと楽しめるしね。昔のバットマンの演出が……とかいう話も多くあって、その考察を巡るだけでも楽しいよ」
最後に
カエル「さて、じゃあ最後になるけれど……」
亀「個人的な思いをいえば、レゴでのフルアニメーションはいいのじゃが、若干動きすぎてわかりづらいところもあったかの。もう少し抜いて作ってもいいのではないか? という思いもあったかもしれん。
それとバットマンファンでない人間には『レゴムービー』の方がどちらかといえば好きかの。どちらも素晴らしい傑作であることは間違いないがの」
カエル「こういう良作がちゃんと評価されてヒットして欲しいけれど、いまいち人気が出ていないのが残念だね」
亀「アメコミ好きにはたまらない作品で『バットマンシリーズ最高傑作!!』という話も聞く。
大外れはしないじゃろうし、是非とも足を運んで欲しい1作じゃの」
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