公開から少し過ぎましたがMCU作品最新作のレビューになります
……実は前作の『アントマン』は見ていないんだよね
カエルくん(以下カエル)
「あれ? ちょっと前にMCU全作品観たって言ってなかったっけ?」
主
「いや、見たと思っていたら、アントマンだけレンタルされていて飛ばしていてさ。とりあえず続編も9月公開と先だし、まあいいかと先延ばしにしているうちに忘れてしまい……」
カエル「ちょっと前にテレビ放送していたのに……」
主「……普段テレビを観ないから録画忘れちゃった♪」
カエル「いや、まあいいですけれど……
動画配信サイトも色々とありすぎて、Netflix以外は迷っているしね」
主「早くどこかと契約しないとなぁ……
そんな話は置いといて、ではアントマン&ワスプの感想、いってみましょう!」
感想
公開から少し時期が過ぎた後の感想がこちらです!
アントマン&ワスプ
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年9月16日
控えめに言ってMCU作品史上最高傑作認定!
変なゴタゴタや正義とはなんぞや? という問答一切なしでトコトン笑えるエンタメアクション!
これでいいのだ!
今作は昔の特撮やSF作品へのオマージュと受け取れるシーンも山盛りで見応えあり
娘さんと社長のヒロイン力高すぎ… pic.twitter.com/raEzsYfqtD
MCU作品で1番”好きな”映画だったね!
カエル「お、これは意外な高評価かも!」
主「もちろん、これだけ数が多いシリーズだからもともと最高傑作に関しては評価が割れる上に、色々な意見もあるでしょう。
特に自分はマーベル映画の多くを劇場で鑑賞していないので……『Drストレンジ』以降は全て映画館で鑑賞しているけれど、それ以前はDVDで鑑賞しています。これだけの迫力のある映像を家でしか見ていないというのは、アクション映画ではかなりのハンデであるということも考慮してもらいたいかな」
カエル「世間的にも評判がいいキャプテンアメリカが主役の映画も、その殆どが家で見ているしね。
それに『シビルウォー』なども一応過去作を一通り観てから鑑賞してはいるけれど、一気見したからずっと追いかけてきたファンとは熱量が違うだろうし……」
主「元々マーベル映画ファンというわけでもないしね。
いろいろな理由が重なりあってのベストという評価です、というのは先にちゃんと言っておきます」
本作最大のツボ
でもさ、なんでそんなに好きだったの?
単純に面白いからだよ
カエル「……え? それだけ?」
主「これって何度も言及してきたけれど、近年のマーベル映画やディズニー映画にちょっと飽き飽きしていたこともあってさ……そりゃ差別とか正義と何かとかを模索するのは大事なことだよ?
でも、それがほとんど同じに見えてしまったり、またこの話かぁ……となることが多かった。
本作はそういった小難しい話なんて一切ない。
本当に、お気楽なコメディーアクションとして見事に楽しめるようになっている」
カエル「確かに主人公サイドも白人ばっかりだし、そんなに政治的な匂いはしなかったかも……」
主「徹底して気楽に楽しめるような配慮をしているんだよね。
アクションもカッコよさよりも、コミカルさ、絵面としての面白さを重視しているのも好印象。
そして何よりもお話が……近年のマーベル映画は宇宙に行ったりと広大になっていたけれど、そういったこととは違うミニマムなお話になっていたのも、個人的に◎だね」
カエル「前作は観ていないけれど、それは問題なかったの?」
主「自分は一切問題なかった。大体のお話は物語からして想像ができるし、一応シビルウォーなども見ているから、アントマンがどんなヒーローなのかはちょっとはわかるかな。
あと、物語の設定がすごくわかりやすい。
前科持ちだけどいい人のヒーローが、別れた女房の連れて行った娘を溺愛している。あと3日間軟禁状態なら外に出れらるけれど、ここで問題発生……いかにFBIの監視の目をごまかしながら、事態を解決していくのか? というものって理解しやすいよね。
今作はシンプルな設定と、ちょっと複雑な展開もより娯楽として気楽に楽しめる工夫に満ちている作品だと感じたね」
最高の親子映画でもある本作
(C)Marvel Studios 2018
ヒロインがいっぱい!?
これは……えっと、どういうこと?
本作がとても面白いのは、物語におけるヒロインがたくさんいることもある
カエル「……そんなハーレムな物語だっけ?」
主「もちろん、本作の公式のヒロインはワスプであり、ホープであることは否定しないよ。
だけれど、主人公と恋仲になる存在がヒロインというわけではないじゃない」
カエル「『ファンタスティック・ビースト』の太っちょのジェイコブみたいなことね」
主「本作ではもちろん娘のキャシーだって最高のヒロインだよ!
あんないいお父さんがいて、いい娘さんがいて、例え離れて暮らしていても最高の家族だってことがはっきりと出ている!
それに、何と言っても社長ですよ!
こちらはジェイコブみたいなタイプの3枚目の脇役だけれど、ものすごく魅力に溢れていて……あ〜、かわいい! ってなるでしょ!?」
カエル「……キャシーは当然としても、社長で可愛いってなるのかな?」
主「真面目な話をすると、本作はディズニーでありがちな『女性だって頑張るんだ!』オーラをほとんど感じなかった。
ゴーストを女性にしたという点ではそうかもしれないけれど、あれはワスプ(ホープ)との対比をするための変更でもあり、作品全体にいい味が出ていた。
今作は家族、とりわけ”親と娘の物語”として一貫していたんだよね。
それがすごく嬉しくて……バディとしての魅力もあるしさ。
本当はディズニーのゴタゴタを揶揄して『まー、前科持ちが活躍する、人生はやり直しができるなんて言っても、実際のディズニーさんは前科持ちを許さずに排除しますからね』って嫌味の一つも言おうかと思っていたけれど、そんな気持ちが吹き飛ぶほどの快作だったんだよ!」
以下ネタバレあり
作品考察
ミニマムな作品
前回ブロガーの集まりで今作が話題に上がった際に『ミニマムな話だった』という意見も挙がっていたよね
ここが特に好きなんだ
カエル「たぶん、引っかかる人はここで引っかかるのかな?」
主「基本的に物語は続編が出れば出るほど、より壮大なスケールとなっていく。でも、その先にあるのは? 結局はインフレじゃない。
ドロゴンボールを例にすると、レッドリボン軍→ピッコロ大魔王→ピッコロ→フリーザ→セル→ブウみたいなものでさ、どんどん一般性がなくなっていく。今はさらになんとか宇宙まで出てきて、もう収集がつかないじゃない」
カエル「それがいいのかもしれないけれどね」
主「本作ってそのインフレに付き合おうとすると『インフィニティーウォー』の後になるわけだから、サノスより強大な敵なんて作り出せるわけもない。
それなりに強大な敵を作っても、結局は見劣りしてしまうわけで……
そういったインフレに付き合う必要もないと思うんだよ。
だからこそ強力なヴィランを用意しなかったというのは、自分にはかなり響いた」
カエル「あ〜、それは好みのポイントかもね」
主「本作の明確な敵はマフィアの親分であって、エイヴァは敵なんだけれど立ち位置があやふやな所にいる。そしてラングたちはFBIからお尋ね者になっていたり、あるいは危険視されている存在だ。
ということは、本作は”社会と個人の正義の折り合いのつけ方”なんてテーマは獲得できない。もはや社会正義から外れたキャラクターたちの物語だし、その目的も……母親の人命救助などもあるけれど、基本的には個人の事情による三つ巴だ。
だからこそ、めんどくさいテーマを描くことなくしっかりと面白い物語になったと思うんだよね」
基本的には個人の事情のために動く物語
(C)Marvel Studios 2018
アクションの工夫
カエル「今作はアクションも工夫されていた、という話だけれど……」
主「一見して派手でかっこいいアクションではない、というのは前にも語ったとおりだけれど、その代わりに用意されたのがカーチェイスのアクション描写だよね。
もちろん、派手に動き回る格闘のアクションだって見応えはあるけれど、他のMCU作品と比べても白眉! というほどのものではない。
自分が見た限りだと、アントマンってべらぼうに強いヒーローではないように見える。むしろ、身長を変えたりギミックを駆使して活躍する、どちらかというと知恵や工夫で勝ち抜くタイプのヒーロー像だ。
その彼の役割を明確にしたアクションだったのではないだろうか?」
カエル「今回、もっとも見せ場であるカーチェイスも真面目にやっていないというか……いや、すごく真面目なんだけれど、コメディ要素も結構多くて、アントマンがトラックを意外な使い方をした際には、劇場内で笑いが起きていたんだけれど、この肩の力が抜けた戦い方も魅力だったのかな」
主「暴力的にドタンバタンと戦う以外の方法、ある種の搦め手も使えるというのは、大きな魅力だろうね。
その意味ではMCU作品の中では異端な存在だろう。多くがシリアスなヒーローであり、社会の問題を絡めながら正義の意味や強力なヴィランとの格闘を描いている中で、これだけ肩の力が外れた作品って……あったとしたら『マイティソー・バトルロイヤル』くらいの印象。
あれも終盤は結構シリアスだったけれど。
その意味ではかなりの異色なアクション映画だったし、それが自分にはハマったけれど、物足りない、というのもわかるかな」
多くの作品のオマージュ
あとは今作は色々な作品のオマージュも感じたよね
今作はCG映画というよりも特撮映画に近い印象かな
主「例えば巨大化したアントマンが海から出てくるのがゴジラだよね。
初代ゴジラも海から出てきたゴジラに襲われるシーンがあるけれど、そこを意識しているのは伝わってきた。
それからウルトラマンや仮面ライダーを思わせるシーンもあったし、CGを使った映画を見ているというよりは、昔ながらの特撮への愛を……もちろん、日本の作品以外も含めた、広い意味での特撮作品への愛を強く感じたんだよ」
カエル「この辺りはペイトン・リード監督のインタビューでも語られていて『スーツはウルトラマンを、海のシーンはゴジラを意識している』というのも納得だね」
主「他にも大きいのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の影響だよね。その他にも人間の生活を虫がおくる(虫に変身する)という作品は古典文学の『変身』のザムザをはじめとして、映画では多くの作品で使われてきたモチーフだったりする。
自分はMCU自体のファンではないから、原作好きからするともっと気がつくこともあるんだろうけれど、そうじゃない人にも向けられた過去の作品への愛というのものがダイレクトに伝わってきて、興奮が一気に増したこともある」
カエル「それからおなじみのエンディングのスタッフロールでも、しっかりとおもちゃを使って楽しませてくれるなど、見所が満載の作品です!」
明らかにゴジラを強く意識した構図
(C)Marvel Studios 2018
苦言を少し
では、最後にここまで褒めていたけれど苦言を少しだけ
やっぱり、もう少し練って欲しかったかなって思うポイントはある
カエル「終盤のマジック描写などは伏線もあったけれど、あれで全てが片付くとは到底思えないよね……あれだけ大々的に報じられているのに……」
主「若干の詰めの甘さはどうしても感じてしまう。
自分は賞賛ポイントがとても多いけれど、本作がダメだったという人もわかるし、1つ1つのギミック……例えば故障していて大きさの調整ができないとか、そういうことがうまくカバーできているとは思わなかったのも事実。
その辺りは苦言の対象かな」
カエル「それを考えてもやっぱりMCUで1番好きなの?」
主「今のところは。
監督やスタッフもアントマンは『楽しい作品にしよう!』と張り切っていたのがよくわかるし、多分この方向性の物語がとても好きなのかもしれない。
前作未見でもこれだけハマれるとは全く思わなくて……イヤイヤ、本当に素晴らしいですよ。
ここを振り切るために若干の粗はあっても、楽しい方向性に物語を寄せて行ったこと、これは逆に褒める部分であり、中途半端なことをしなかったのが良かった。
だから、苦言ではあるけれど、納得しています!」
まとめ
ではこの記事のまとめです
- 前作未見でも楽しめるくらい、分かりやすいコメディアクション映画に!
- キャラクターがみんな可愛らしく、個性豊かだったのでは?
- アクション描写をはじめとして多くの特撮作品への愛が詰まった1作に!
早速前作も早くチェックしないと!
カエル「MCUでは1番好きなヒーロー&作品となりました」
主「監督の作家性に惚れたのかも。
やっぱり、アメリカの映画ってこうあって欲しいんだよ。笑えるシーンも満載で、情けない部分もある男が、トラブルを巻き起こしながらもなんとかするという、本当に王道の昔ながらのアクション映画だったんじゃないかな」
カエル「最近、いろいろと問題意識が強いからこそ、このような作品が強く響いたのかもね」
主「頭空っぽでだれでも楽しめる最強のポップコーンヒーロー映画だったと思います!
ぜひ劇場でご鑑賞を!」