今回は新たなアメコミヒーロー? であるヴェノムのお話です
日本でもすっかり有名になったよね
カエルくん(以下カエル)
「あれ、そんなにアメコミに詳しかったっけ?」
主
「ほら、るろうに剣心の縁編に出てきたやつとかさ」
カエル「あれは違う! むしろ和月先生が参考にしたの!」
主「じゃあ、ほらあれだ。『血界戦線』でも出てきたじゃない。まったく同じようなのが……」
カエル「それもこのヴェノムを真似したの!
あそこまでいくと隠す気もさらさらなくて、むしろこっちが戸惑うほどだけれど!」
主「ほえ~、あれはオリジナルじゃないんだ」
カエル「むしろ、元ネタがヴェノムだと知らないことがびっくりだよ……
まあ、でもそれだけ多くの日本の作品でも参考にされているということで、知名度もそれなりに高いんじゃないかな?
今回は、そんなヴェノムの記事をスタートです!」
感想
では、ツイッターの短評からスタートです
#ヴェノム
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年11月2日
悪い意味でファン向け映画
アクションは見所があるもののそれ以外が中身がなさすぎる
あとヴェノムを知らない人に向けられている作品ではないよなぁ
この手のダークヒーロー路線は違和感しかないんよ
これなら真っ当な悪人? に描いた方がスッキリするのになぁ pic.twitter.com/6cf7v2pt4T
個人的には評価は辛口にならざるを得ないな
カエル「まず先に説明しておきますと、うちはそこまでアクションやアメコミヒーローに対して思い入れが強いわけではありません。
最初の会話はジョークだけれど、じゃあヴェノムがなんの作品に登場した敵キャラなのか? と問われたら、公開日の朝まで答えられないくらいの知識量と思い入れしかないです……」
主「いまや映画ファン=マーベルなどのアメコミファンといっても、あながち間違いとも言い切れないのでは? というくらいに盛り上がりを見せているアメコミヒーロー作品ですが、そもそもマーベルとDCの違いもわからない人ってたくさんいるでしょう。
特に本作はマーベル作品だけれど、ディズニーが主導して製作しているいわゆるMCU作品とも少し違うわけだろうし、そのあたりはゴチャゴチャするなぁ」
カエル「映画好きが集まる会にいっても、特に女性などはヒーローの名前を知っていても、そこまで区別はついていないって人もいたもんね。もちろん、マーベルを熱く語る女性もいましたが」
今作の扱いについて
ここで、少しだけ情報を整理しようか
アメコミファンには有名な話だけれど、スパイダーマンの映像化の権利を持つのはソニーなんだ
主「今回の作品はソニーが主導で製作している。元々スパイダーマンの実写化の権利を持つのはソニーであり、だからこそ最近までMCUにスパイダーマンは参戦することができなかった。
だけれど、近年ではMCUにもスパイダーマンが登場している通り、ソニー側の態度も柔軟になっている。といっても、ここもソニーの映画事業がなくなるという記事もあったりと複雑な事情が絡むけれど、今回はカットします」
カエル「それで。気になるのはこのヴェノムはMCUのスパイダーマンや、他のヒーローたちとどのように関係してくるか、だよね」
主「結論から言うと、よくわからない」
カエル「……ここまで引っ張っておいてそれなの?」
主「というか、なんだか微妙な話になっていてさ。
ソニー側はトム・ホランドの出演も示唆している部分もあるんだけれど、MCU側はそんなに乗り気じゃなさそうなんだよね。そして一部の記事では、スパイダーマンではなく、ピーター・パーカーとして出演するという話もあって、まあまだ正式に決まってはいない、あるいは発表する段階ではない、とみるのがいいだろう」
カエル「だからよくわからないんだね」
主「本作も全く新しいアメコミ路線を模索しつつ、新たなキャラクターが入る可能性を残しているバランスなんじゃないかな?」
ここからヴェノム批判
じゃあ、そういう前置きを語った上で作品について触れていこうか
自分はあまり評価できないかなぁ
カエル「アクションパートなんかはとても良かったんじゃない?」
主「アクション映画においてアクションがいいって当たり前のことじゃない? という思いは置いておくとしても、確かにアクションは見せ場が多くて迫力もある。
だけれど、本作は根本的に自分と合わない部分もある。
というのは、この作品ってヴェノムが最初から最強じゃない?」
カエル「少なくとも、警察官や一般人が銃でどうにかできるような存在ではないのかなぁ」
主「ということは、ある種の最強主人公が無双する作品でもあって、実際結構何でも
ありなんだよね。もちろん、後半ではバトルもあるんだけれど、そこも見ごたえがあったかといわれると、ちょっと微妙かな、という思いもある。
そして、本作は物語が致命的につまらない」
カエル「そう? ヴェノムのキャラクター性を評価する声も多くあるけれど」
主「それは結局、本作がヴェノムを知っているファン向けに作られたキャラクタームービーであるということなんじゃないかな?
先ほども語ったように、自分はそこまでヴェノムに関心があるわけではないし、アメコミ音痴であり、アクションを語るのに向いていないというのはわかっている人間の意見だけれど、本作はテーマ性などが欠片もみえないでスカスカにみえてしまったんだよね」
カエル「近年は逆にそういうテーマにこだわりすぎているのでは? という声もあるけれど」
主「それはそれ、これはこれ!」
カエル「……なにそれ?」
本当にダークヒーロー?
結構煽るような広告をしていたもんね
”最悪”なんて語るから、どんなものかと思ったら……
カエル「そりゃマーベル作品に詳しくなくてもヴェノムへのイメージはある程度固まっていて、残虐非道で人を人と思っておらず、場合によっては食べてしまうほどの凶悪性があるじゃない?
そんな凶悪な存在を、どのようにヒーローとして描くのか楽しみにしていたところはあるよね」
主「だけれど、そこも拍子抜けしてしまった。
ダークヒーローという割には聞き分けのいいヴェノムの姿に幻滅したし、あれならばハルクの方がよっぽど制御不能なキャラクターとして機能している。
『悪いやつだけ攻撃する』なんていうけれど、そんなヴェノムがみんな観たいの? って話。これ、バットマンで例えたらジョーカーを主人公にして、子供や女性、いい人には優しくしようというくらいのキャラ改変なんじゃないの?
ファンの人たちがそれでいいなら、まあ納得だけれど、これじゃヴェノムである必要性ある?
自分はもっと犬や猫をバリバリ食べて、動物愛護団体に怒られるような作品を目指してほしかった」
カエル「実際には危害を加えてませんってやつね。
グロテスク度も多くの人に見てもらうことを意識してか、まったくグロくないんだよね。それはそれでいいかもしれないけれど、果たしてこの作品にあっているのか? という問題かなぁ。
悪党をヒーローとして描くことの難しさは『スーサイド・スクワッド』などでも感じていたけれど、その描き方がぬるくなってしまった印象なのかなぁ」
主「『デットプール2』もそうだし、あとはヒーローではないけれど『キングスマン2』もそうなんだけれど、あれだけ不謹慎な描写で売れたシリーズなわけじゃない?
それが続編となるとヒーロー描写が増えて、かなりポリコレに配慮した結果になってしまう。
じゃあ、それで作品の魅力は損なわれないんですか? って話。
本作は1作目から最大の売りを放棄してしまっている。
『アンタッチャブル』などのマフィアものでいえば、マフィアを追う刑事がいつものヒーローものだとすると、本作はカポネとか『ゴッとファーザー』などのようなマフィア側の話であり、日本風に言えばヤクザ映画のような描き方をしたらよかったと思うんだよね。
悪党の矜持や魅力もたくさんあるのだから、わざわざ正義の味方のように描かなければいいのに……なんて何度思ったことか!」
新しいシリーズ? の1作目として
これはどうしても思うけれど、なんだかゴチャゴチャしているよねぇ
結局世界観はつながっているの? つながっていないの?
カエル「先にも述べたように複雑な権利関係の事情もあり、けっこうゴチャゴチャしている印象もあります」
主「本作をこの先シリーズ化するならば、ライバルは当然スパイダーマンになる。
そのキャストどころか、出演者や世界観があやふやというのは非常に痛い。
そして、これはある種当然かもしれないけれど、スタートでいつものマーベルのゴロを使っているじゃない。これ、子供とかにMCUとの違いをどう説明するの? って話でさ。
本当にソニーが腹くくって、新しいマーベルユニバース作品を作ろうという強い決意があるならば、もっと色々はっきりしたほうがいい」
カエル「監督や脚本家もあやふやな状態だと困るよね」
主「本作もラストで今後を示唆する特別映像が他のマーベル作品と同じように流れるけれど、それも長い。クレジットロールも何も面白くないのに長いし、本編って実際100分割っているんじゃ? と思わせるほど。
その特別映像が……ちょっとだけ変わった作品なんだけれど、なぜあのように描いたか、といえば、そこで登場するキャラクターに対して、役者や設定、世界観の詳細が一切決まっていないからじゃないかな?
この先いくらでも発展できるように工夫する余地を残したといえばそうだけれど……自分にしてみれば単なる逃げのように思えてしまったよ」
まとめ
では、この記事のまとめです……
- 悪役を主役に描く意義がなかなか見えてこない作品
- ヴェノムを中途半端にいいやつに描きすぎて、彼の魅力が伝わってこない
- この先どうなるのか、発展していく姿があやふやすぎるのも……
色々と大人の事情がみえすぎて、ノレない作品ですよ
カエル「ソニーとしては大ヒットシリーズであるMCUとコラボはしたいけれど、MCU側としては色々とめんどくさいから慎重にならざるを得ない。だけれど、権利を持つのはソニー側だから、関係悪化をさせたくないから玉虫色の回答を続けているようにもみえてくるね」
主「それにそこまで過激にしなかったのも、興行を意識してでしょ?
でもさ、本作って『エイリアン』などのような、一見悪役の存在が主人公な作品だからねぇ。自分はスタートの少しホラー風味なのは良かったと思うけれど、あとはお決まりのガバガバ設定になってしまったし。
このコンセプトはとことん大人向けにしてほしかったし、半端なことが目出ってしまったね」
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