いよいよ大人気映画の『デッドプール』の新作が公開したね!
……うん
カエルくん(以下カエル)
「自他共に認めるヒーロー映画音痴だけれど、デッドプールは大好き! って言っていたもんね!」
主
「……うん」
カエル「世間評もとても高いし、映画ファンを中心にとても絶賛の声がたくさん出ているよ!
これは今年の注目作であることは間違い無いんじゃないかな?」
主「……うん」
カエル「えっと……何か言わないと始まらないよ?」
主「先に語っておきますが、今回はいつも以上に的外れな映画評になります。
世間評と大きく乖離しているし……ファンの心理からしても『わかってない!』とお叱りを受けることも覚悟の上の記事になります。
では……感想記事を始めます」
Marvel 映画「デッドプール2」日本版予告 “俺ちゃん、ケーブルに会う” Ver.
感想
えっと……では、Twitterでの短評からスタートです!
#デッドプール2
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年6月1日
お、おう……
なんだろ、確かに面白いけれど……ヒーロー映画音痴には辛い内容でもあって…
正直、部外者お断りな楽屋ネタ感もあったかなぁ
デップーらしいといえばそうなんだけど……正直、話について行けない部分もあったなぁ pic.twitter.com/W2s4Mm8ZdQ
……映画の面白さってなんだろうね?
カエル「え? えっと……どうしたの? 今回テンションおかしくない?」
主「なんかさ……悲しくなってきて。
これだけ大絶賛されていて、多くの人に賞賛されている作品だし、前作は自分も好きだったんだよ。
もちろん、ヒーロー映画のにわかどころか、ファンからしたら語ることも許されないような、無知の豚であることも重々承知だ。そもそも、X-MANなんてウルヴァリンと、昔にあったマーベルヒーローが出てくる格闘ゲームくらいしか知らないような存在ですよ。
だけれど、前作はそれでも面白かったんだよ……うん、楽しめた……はず」
カエル「そこも疑問系なの? あれだけ『ヒーロー映画の中でもデッドプールが大好き!』って言っていたのに……」
主「……なんていうかさ、本当に前作が好きだったのかも、もうわからないんだよね。
『ヒーロー映画が苦手でもデッドプールがある!』という自分の根拠のよくわからない自信が……粉々に粉砕されてしまったような印象かなぁ」
カエル(あ、これ、重症だ)
デッドプールらしい数々の引用
カエル「でもさ、アクションだってバッチリ見せ場があるじゃない!
今作のジョークやバイオレンス、アクション、デットプールに望んだことはほとんど入っていたんじゃないの?」
主「……ジョークがさ、ほとんど笑えなかったんだよ」
カエル「……えぇ?」
主「今回、非常に多くの映画作品のオマージュや引用が散りばめられているだけれど……自分もさ、元々はヒーロー映画を全く知らなかったけれど、このブログを運営し始めてからはちょっとは見始めている。
MCU作品は全部見たし、ローガンも感想記事を書いている。もちろん、監督の作品である『ジョン・ウィック』なども見ているし、そこいらへんの人よりはちょっと映画を知っているかもしれない」
カエル「もちろん、上には上がいるし、映画ブロガーの中では無知な方だと思っているけれどね。専門はアニメ、みたいなところもあるし……」
主「スタートからはある映画を茶化したシーンがあって、それでクスリと笑ったのよ。
結構スタートもぶっ飛んだ展開もあって、それも面白かった。
だけれど……この映画を見ている最中、寂しくなってきたんだよね」
カエル「……寂しい?」
主「『お前はこの面白さがわからないだろ?』って言われているような気分でさ……
もちろん引用された元ネタとかも知っているよ? 知っているけれど、でも面白いとは思えなかったんだよ。
学校でもあるじゃない?
同じ映画好きやアニメ、ゲーム好きでも、自分だけその作品を見ていないから話に入れない時の、あのなんとも言えない寂しさと惨めな気持ち……それを映画館で味わってしまったんだよね。
しかも、知っているのに話に入っていけないから……余計にタチが悪い」
カエル「……わざわざお金を払って何を体験しているんだろう、この人」
オマージュの功罪
主「だからさ、結局、この映画は『ファン映画』以外の何物でもないんだよ。
デッドプールを、X-MANを、ヒーロー映画を愛する人以外は立ち入り禁止。
門前払いになる作品でもある。
その事実に気がついた瞬間に……あ、もうこの映画は合わないんだ、と全てを諦めてしまった。少なくとも、自分は場違いな作品だった」
カエル「……なんか、悲しいお話だね」
主「でもさ、この映画を絶賛する人たちの気持ちもよくわかるんだよ。
自分だってオタクだからさ、アニメとか怪獣映画で『この流れはあれっぽい!』とかでものすごく興奮する。
だけれど……それって本来、映画や物語の面白さと無関係なはずなんだよね。
いつから映画って引用探しゲームになってしまったのだろう? という感覚に陥ってしまった。
もちろんさ、自分だってそういう見方をするよ。それが映画の内容を深めたりもする。だけれど、このデッドプール2は『そういう映画のノリ』が理解できないと、面白いと思えない作品なのではないか? という思いがある」
カエル「Tweetでも『楽屋ネタ』と書いているけれど、結局はそういうことで……その楽屋の話を知らないと、何1つ面白くない、だけれどそれを共有している人はとてつもなく面白い作品に仕上がっているのかなという危惧もあるのかな」
主「オマージュや引用の功罪だよね。
じゃあ、人生で初めて映画を観る人が……そこまでは言わなくても、ヒーロー映画を初めて観る人がこの作品を理解できるのか? と言うと、多分難しいと思う。
別に『スターウォーズ』を知らなくてもいいんだよ。
全然常識でも、知らないと映画を楽しめない、ということはない。スターウォーズを見たことがない映画好きだってたくさんいる。
それでも面白いと思えるのが、本当の映画や物語の面白さであって……結局、この路線の先ではオタク以外楽しめない時代が到来する、マニアにしか受けない未来が待っているような気がしてならない」
カエル「この映画も全世界的に大ヒットするんだろうけれどね」
主「それだけ世界中にオタクが増えているってだけなんじゃないかなぁ。
もう自分が好きだった『デッドプール』さんはこの世からいなくなったのかもしれない。
もしかしたら……最初からそんな作品は存在していなくて、自分の頭の中にだけあるのかもね」
カエル「……そのネタも押井作品を知らない人には届かないよ」
役者について
カエル「あんまり洋画では役者について語ることがないけれど、今回は何が語りたいの?」
主「今作では忽那汐里がめっちゃ可愛かったね」
カエル「……え? そこから?」
主「もともとどうしてもヒーロー映画ってコスプレ感が出てしまう部分もある。
特に今作のデッドプールは特殊メイクの上に、強烈すぎるキャラクターが多いから役者の演技がどうこう言うことってあまりないんだよね。
元々外国人の顔を見分けるのが苦手なのに、あれだけの特殊メイクをしたらライアン・レイノルズってわかりづらいところもあるし……」
カエル「他の作品と単純に比べられないっていうのはわかるよ。あくまでも異色作でし」
主「その中でも『なんか可愛い子がいるなぁ』と思ったけれど、多分中国人か韓国人なんだろうな、って思っていたら、忽那汐里でさ。ほぼコスプレだから『え〜!』って驚いたのもあったかな。
元々英語が堪能な女優だけれど、これだけがっつりと絡んでいるとは思わなかったわ。もっと少ししか出ていないものかと……その意味でも意外だった」
カエル「あとは、普通に役者として印象に残るのがケーブル役のジョシュ・ブローリンなどで、もちろんこちらも演技がとてもいいです!」
以下ネタバレあり
アクションパートについて
ここからはネタバレありで語っていきます!
まずはアクションパートについてだね
カエル「えっと……アクションパートも全体的に多めだったし、見所は多いんじゃないの?」
主「これだけたくさんのアクションをつぎ込んだこと自体は確かに賞賛するべきだと思う。
ただ……う〜ん、ちょっと思うところもあるんだよね。なんていうか……『ジョンウィック』と『アトミックブロンド』のデヴィット・リーチと考えると、少し見劣りするというか」
カエル「アクション映画に詳しい『 しーまんの映画から学ぶ人生』を運営されているしーまんさんに色々教わったけれど、それでさらにハードルが上がっていたところもあるからね」
主「ギャグを交えながらのアクションという意味では、確かに見所も多かったけれど、結構気になったのが……スローモーション演出の多用なんだよ。
いや、別に悪いことは何もないけれどさ……『バーフバリ』もそうだけれど、同じような演出が続くと『またか!』って思いがあって……
もちろん、本作は最初からリーチ監督が関わっていたわけではないからさ、色々あるとは思うけれど……でも、期待値は超えてこなかったかな」
カエル「もちろんダメだったってわけじゃないです!
邦画だったら大絶賛するクオリティだし、とても面白いアクションシーンに仕上がっています!」
主「まあねぇ……監督の前作の2作ほどのとてつもないアクションシーン! が見たかったかなってぐらいで……これは観客のわがままかもねぇ」
動かないシーンについて
カエル「一方で、アクションシーン以外が問題だという話だけれど……」
主「う〜ん……単純に、退屈なんだよね。
アクションシーンは当然面白いよ?
冒頭から様々な組織に乗り込むところや、おかしな中国、日本文化の描き方などはアメリカ的でもあり、非常に面白かった。そこからOPまでの流れは本当に神がかっていて、スタートでこの映画の魔法にかけられてしまうのもわかる。
たださ……それ以外のシーンが、お話が停滞する会話シーンがつまらない印象を受けたかな」
カエル「ハリウッド映画に限らず、アクション映画ってどうしてもアクションが見どころになるから、そういう動かないシーンが相対的につまらなく感じることはあるかもね」
主「そこをカバーするように様々なギャグを入れているけれど、自分は途中からギャグも辟易としていたからね……
これはどうしてもヒーロー映画につきまとう部分でもあって、動かないシーンをどのように選出するのか、物語を魅せていくのか? というのは今後の課題にもなっていくのではないかな?
いや……誰もそこは望んでないかもな。そういう映画じゃないし」
カエル「……今回は相当意気消沈モードだね」
今作の重要人物のケーブル
本作のMVPでは?
脚本について
カエル「今回、脚本もとても練られているんじゃない?
それこそ、合わなかったもののギャグもとても多かったし……」
主「……うん、良かったんだと思うよ」
カエル「おお、投げやりな意見だ」
主「結局、チューニングがどこまでも合わなかったからなぁ……
デットプールという作品は基本的に『死』とどのように向きあうのか? という物語だと思っている。それは自分が死ぬことがない、その意味では無敵な主人公だからこそ、自分の死に対してどのように向き合うのか? そして大切な人の死に対してどのように向き合うのか、という物語だ。
本作で重要な役割を果たすデッドプールと、ケーブルの同一性であったり、新たなる脅威に対してどのように向き合うのか? などの見所は確かに多かった。
多かったけれど……う〜ん……」
カエル「……えっとさ、何がそんなに合わないわけ?」
主「なんかさ、クサイんだよ。
どことなくいい子ちゃんな印象もあって……予定調和にも見えてしまった。
チューニングが合わないって、どんな傑作でも『う〜ん……』となるということでもあって……根本的にはヒーロー映画らしい、いい子ちゃんの物語だったからさ、それが色々と感じてしまったのかもしれない。
ここまではっちゃけているなら、もっと悪党な物語でも良かったのかなぁ。
自分が求めているものがおかしかったのかもしれない。
ヒーロー映画では描けないことを描いて欲しかったけれど……結局は徹頭徹尾ヒーロー映画でもあって、それはそれで絶対に正しいけれど、それが合わなかった形かなぁ」
カエル「……複雑なんだね」
今作のバイオレンス描写について
カエル「売りの1つであるバイオレンスな描写についてはどうだったの?」
主「趣味が悪いなぁ……という印象があった。
もちろん、デッドプールではそれは褒め言葉になるはずなんだけれど、中盤のチームでの陸上へ降下するシーンは、正直見ていられなかった。
いや、まあ、デッドプールらしいことではあるけれど……一応味方であり、ましてや死んだら生き返らない人たちに対して、あそこまでやるかぁ……というね。
思えば、そこから決定的にドン引きだったかも」
カエル「でも、それが大爆笑ポイントなわけだしね」
主「でもさ、結局のところこの作品ってそういう目にあうのが男ばかりであり、女子供はそういう目に遭わせない! という確固たる信念があるわけじゃない?
それは確かにバランスとして大切だし、重要な一線だと思う。ただ……自分の価値観からはもう1つの一線、例えば一般人にはそういうことをしないとかの一線を超えてしまったかな。まあ、それも救済はあるとはいえ、あの時点でドン引きして、もうそれ以降はほぼノれないね」
カエル「……それでなんで1作目のデッドプールが大好き! って言えたの?」
主「なんでだろうね? 自分でも不思議です」
最後に
では、これで最後になります……
……正直、ちょっと見ていて辛い映画だったかな
カエル「でもさ、それは映画が悪いわけじゃないからね?
観客個人の問題だからね?」
主「まあ、そうだね。
だから、きっと自分が愛したデッドプールって映画はこの世に存在しないんだよ、きっと。
たぶん世界中で一人だけ違う映画を観ていて、それを支持していた。
その続編の今作を見て、それを突きつけられて、愕然とした……それでいいと思う。
正直、もう二度と『デッドプールが好き!』という言葉は言わないようにしよう……そういう気持ちになった作品でもある。
でも、それは作品が悪いからじゃない。むしろ逆で、作品がとても良くできているからこそだ。
多分、作品との相性がトコトン悪いんだと思うよ」
カエル「……それでいいのかなぁ?
できればもう1度前作を観てから映画館に行くと印象が変わるんじゃないの?」
主「……まあ、切り替えていきましょう」