今回はイケメン王子たちがたくさん登場する『プリンス オブ レジェンド』の劇場版の感想になります!
これはテレビドラマで放送されておったんじゃな……知らんかったわい
カエル「テレビドラマを一切見ないと知らないかもねぇ。
本作は映画が何作も作られた『HIGH & LOW』プロジェクトのように発展していく可能性も大いにあるプロジェクトのようです!」
亀「……もはや近年の芸能界事情にほとんどついていけんの。
この役者たちも何人かは別の映画で観たこともあるが……ここまでイケメンが多いと、もはや見分けもつかん」
カエル「もう、そんなお爺ちゃんみたいなことを言って……」
亀「美男美女は中性的な人とはよく言うが、今作も予告の段階から1番見分けがつくのが加藤諒じゃからの。
全員を見分けられる人は素直にすごいと思ってしまうの」
カエル「はいはい、そんな誰が誰かわからないお爺ちゃん視点の王子様大渋滞作品の感想記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
「EXILE TRIBE」のメンバーが総出演して話題を集めた「HiGH&LOW」プロジェクトの製作陣が、ドラマ、映画、ゲーム、ライブなどを連動して新たに展開する「プリンスバトルプロジェクト」の長編映画。
エグゼティブ・プロデューサーにはEXILEで活躍したHIRO、監督は『仮面ティチャー』などの守屋健太郎、脚本は『HIGH&LOW THE RED RAIN』や恋愛作品を多く手掛ける松田裕子が務める。
14人の王子様には片寄涼太、鈴木伸之、佐野玲於、清原翔、町田啓太、飯島寛騎など。伝説の王子と付き合うと宣言するヒロインの果音を白石聖が演じる。
イケメンである王子たちが通う名門高校・聖ブリリアント学園では3年に1度開催される『伝説の王子選手権』で優勝したものが伝説の王子として決められる風習があった。在校生のみならず、卒業生、教師にも参加資格が与えられることから、様々な王子たちがこのイベントに参加する。
多くの王子たちを魅了した少女・成瀬果音が『伝説の王子とお付き合いします』と宣言したことから、本気を出したメンバーにより伝説の王子選手権が大きな盛り上がりを見せることになる。
王子が大渋滞!映画『PRINCE OF LEGEND』予告編
感想
それでは、Twitterの短評からです!
#プリンスオブレジェンド
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月21日
秘められたポテンシャルは感じられたものの、全体を通すと残念な映画になってしまった
確かにカッコいいけれどキャラクターが多すぎて交通整理ができていないし…最後は何故この設定でそっちにいってしまうのか…
ファン向けなのはわかるが… pic.twitter.com/zGeNYIB1zj
これは……映画としては評価はできない作品じゃな
カエル「う〜ん……実はドラマの続編ということも知らないで観に行ったんだよね……最近劇場予告がたくさん流れているから、じゃあギャグとしてもイケメンたちの乱舞する作品としても面白そうだから行ってみよう! という程度で劇場へ向かったんだけれど……
正直、こんな作品だとは思っていなかったというか……」
亀「映画としては成立しているとは言い難いの。
おそらく、HIROをはじめとした製作陣としてはハイローのようなシリーズにしたいのが伝わってくる。この先も何本も映画館で公開して……究極的にはMCUのような、ある種のキャラクター映画として多くファンを獲得する作品じゃな。
実際、これだけ多くの人気のイケメンたちを抱えておるし、題材さえうまく用意することができればそれも可能かもしれんが……残念ながら、今作に関しては大失敗しておる」
カエル「別に物語が悪いってわけじゃなくて……そもそも論として、これは映画として成立していないというか」
亀「序盤15分ほどかけてドラマシリーズのダイジェストを流されてしまうと、さすがに”映画”と呼べるのか? という疑問は出てくるの。
イケメンたちがどうのこう、脚本や演出がどうのこうのという以前に、そもそも映画として誠実な作品になっておるのだろうか? という思いがどうしても拭えないものになってしまっておる」
本作の持つポテンシャル
でもさ、Twitterでは”ポテンシャルは感じる”と書いているわけじゃない?
うまく調理すれば、いい作品になったのではないかの?
カエル「それはどういう意味で?」
亀「この映画の予告時点での最大の欠点は”トロフィーヒロインの争奪戦”だったことじゃな。つまり、王子様選手権を勝ち抜いた1人の王子様が、ヒロインという名のトロフィーをゲットするというものじゃ。
これは現代の物語上求められる良識からは、外れておるものとされておる。
恥ずかしげもなく大々的に宣伝してしまうところに、大きな疑問があったのじゃが……」
カエル「この作品ってそれこそ『少女革命ウテナ』が否定した、王子様によるお姫様の奪い合いとある種の人権無視をそのままやっているような設定に見えたものね……」
亀「しかし、本作は実はそんなことはない。
成瀬果音はそれなりに”いい性格”をしており、そもそもこの王子様選手権自体にそこまで興味がなく、単なる打算によって例の発言をしているということになっておる。
つまり、単なる”いい子なヒロイン”ではない以上、彼女が男たちを振り回す構図となっており”男に従順でなんでも話を聞くトロフィーヒロイン”という批判は通用しないようになっておる」
カエル「ここは現代でこの手の映画を作るならば絶対に必要なポイントだよね」
亀「実はある程度の配慮もされており、単純に旧来の価値観の上で成り立つ映画でもない、というのがミソであり、この成瀬に振り回される男たちの様子がまた1つのギャグポイントとしてゲラゲラ笑えるものになっておる。
このあたりは先にもあげたように既に知名度や人気を獲得しているイケメンたちを多く起用していることもあり、人気映画シリーズになる可能性を感じさせたの」
本作の欠点について
本作の欠点① キャラクターの設定説明に終始する
じゃあさ、それだけの可能性を感じさせながら、どうしてそこまで否定するの?
1番重要なキャラクターについて、単なる設定説明に終始してしまっておる
カエル「確かに、キャラクターのいろいろな面を見せるという映画にはなっていないのかなぁ?」
亀「この手の作品は言ってしまえばキャラ萌えの映画じゃ。もちろん、役者陣の魅力がその根底にあり、その上に演じるキャラクターたちがおる。
今作ではそのキャラクターが悪いとは決して思わない。
というのも、わしのようなみんな同じように見える中でも、色々なタイプの王子を出しており、正統派のイケメンから不良グループ、モテるけれど女癖の悪いクズまで様々な系統の王子を用意しておる。その1人1人の服装などにも気を使い、個性がはっきりとわかるようになっておる」
カエル「これだけの人数とグループが出てきながらも、誰がどのグループにいるのかわかるというのは、確かにすごいことかも……」
亀「しかし、残念ながら本作はそのキャラクターの説明だけに終始してしまった印象を与えてしまう。
つまり1面的な部分ばかりがピックアップされてしまい、人間の持つ奥深さ、あるいは裏の顔を描くことができなくなってしまった。あくまでも”属性”を描くことに精一杯になってしまった印象じゃな。
その結果、物語としての奥深さ、面白さのない作品となってしまったの」
カエル「実は色々と配慮されていて、予告だと単なるコメディキャラだった関口メンディーも見所のあるキャラクターだったりするんだけれど、もう一歩踏み込んで欲しかったかなぁ」
亀「恋愛以外でも様々な見せ方もあったし、実はBL要素や女性が食いつきそうな設定てんこ盛りであるが、この映画は”設定を見せる”ことに全力を尽くしてしまった。
キャラクターを描くこと、さらにその先の人間を描くことに関しては放棄しているような現状であり……これを評価することは難しいの」
本作の欠点② 無駄の多い展開
今作は主に以下のような3段展開になっています
- 序盤にある、これまでの物語の説明
- 王子様コンテストの模様
- その先の最終幕
わずか90分にこれだけよく詰め込んだの
カエル「短い物語なんだけれど、まさかの冒頭15分くらいをダイジェストで流すというのは、もう映画としての評価をしないでくれ! という意図すら感じるというか……」
亀「単純にこの時間で映画として魅せるのであれば、せいぜい3人の男たちが限界ではないかの?
それをピックアップされているだけでも約7人を見せて、さらにヒロインとドラマを見せて、関係性の変化を描き……というのではスカスカになるのも当然じゃろうな」
カエル「しかもさ、何人かは明らかにいらなかったよね……この人物の存在意義ってなんだろう? と思ってしまったり……」
亀「このあたりは本当に無駄が多い。
もちろん、今作がキャラクター、ひいては役者を魅せるために特化した作品であり、物語も変に作りこまずにそこを見せることを重視した面に関してはわしも高く評価する。その思い切りは大事だし、下手な凡作となり忘れられるよりは、派手な駄作となり覚えてもらう方が有意義じゃろう。
しかし……それを差し引いたとしても、”映画として”完成させようという意思はあまり感じられなかったのが残念じゃな」
本作の欠点③ このお話の流れでいいの?
そして今作の最大の欠点についてお話しします
……わしは新しい恋愛作品を期待したんじゃがな
カエル「あんまり直接的には語ることはできませんが……あの予告で、しかもこれだけ面白い試みをしていながらも、結局着地はそこなんだ……って悪い意味でびっくりしたというか」
亀「もっと変わったところを目指しても良かったと思うの。
今作はあくまでも女性達を喜ばせるための恋愛映画でもある。しかし、これだけ面白い着想であり、しかも特異な作品になっておるのに、この結末というのは大きな欠点と言わざるをえないの」
カエル「う〜ん……後半の展開はあまりにも普通すぎて、退屈感すら覚えてしまったかなぁ」
亀「特に、現代においてはこの手のティーンエイジャー向けの恋愛作品というのはごまんと溢れておる。
それだけたくさんある中で、この映画は……例えば美しい画面作りなどのような個性を発揮することができたのか? と問われると、わしは全くそうは思えなかった。
先ほども語ったように忘れられる凡作を目指した結果の駄作になってしまっており、これだったらもっと挑戦した方が多くの人の印象には残ったのではないかの?」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 多くの女性を虜にする意図はわかるものの、”映画”として疑問がある内容に
- 成瀬果音の性格など挑戦する意図は伝わって来る
- 設定の羅列や後半の展開など、惜しいポイントがたくさん
これは続編が作られるのかの?
カエル「力を入れているのは伝わってきたんだけれどね……」
亀「続編があれば見に行くかと言われると……なかなか微妙なところじゃな。
ただし、ギャグ描写などは笑えるところもあり、いろいろな可能性を感じられたものではあるが、映画館でお金を払う価値があるかは疑問じゃな」