新作のスターウォーズが公開されたね!
……その割には盛り上がってないの
カエルくん(以下カエル)
「正直、初日の客入りも悪かったしねぇ……いや、平日だからというのはわかるけれど……」
亀爺(以下亀)
「ハンソロの物語でこの客入りであれば、ボバフェットなども難しいかもしれんの」
カエル「いろいろ情報が錯綜しているもんね……
じゃあ、新作がどうだったのか、レビュー記事を始めていきましょう!」
感想
では、Twitterでの短評からスタートですが……
ハンソロなぁ
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年6月29日
何を観させられたんだろうなぁ
あんなスターウォーズが観たいわけじゃないんだけどなぁ
迷走がハンパない
一番言葉に困るタイプの作品じゃったの
カエル「う〜ん……スターウォーズの新作って毎回そうだけれど、賛否が割れるんだよね。誰もが絶賛するような作品は生まれないけれど、誰もが非難する作品も少ないかなぁ。
そして今作もまた評価が割れているけれど……EP8に比べると穏やかな賛否両論になっているのかな?」
亀「その中でも、この記事はどちらかといえば否定的な意見になるかもしれんの」
カエル「たださ……本当に語りづらい作品なんだよねぇ」
亀「この手の作品が1番辛い。
大批判するほどつまらない作品ではない。
ただし、大絶賛するような作品とも思えんかった。
そしてSWとしてどうですか? と聞かれると……う〜む、これまた評価が難しい。一番困るタイプの作品じゃな」
興行の苦しさ
カエル「アメリカをはじめとして興行の苦しさが伝えられているよね……これって、やっぱりハン・ソロの物語の評価なの?」
亀「いやいや、そんなことはないじゃろう。
本作自体は確かに微妙……という意見じゃが、そこまで徹底的に貶めるほどつまらない駄作というわけではない。
ただし、誰もが口にするように『スターウォーズブランド』の失墜があったんじゃろうな」
カエル「やっぱりさ、半年で新作公開って早すぎるよねぇ」
亀「ディズニーが制作しているシリーズ物というとアベンジャーズが大ヒットしておるから勘違いしやすいが、基本的に興行収入はシリーズを重ねるごとに右肩下がりになることが多い。
当たり前じゃが、1を見ないで3を見るという人は相当少ないからの。
その間に人気が爆発することもあるが……逆にふるい掛けされていき、制作費の回収もままならないような状況になってしまうこともある。それでも、シリーズでもなんでもない作品を作るよりも固定ファンはいるじゃろうから、売れるは売れるんじゃが……その分多額の制作費がつぎ込まれておるからの」
カエル「あの『ハリーポッター』シリーズだって日本の興行収入は右肩下がりなんだよねぇ……それを考えるとアベンジャーズが異常なだけな気もするなぁ」
亀「やはりこのようなお祭り……ハレの日の映画はたまにしか観られないからこその特別感があるということじゃの。
また、アベンジャーズはキャラクター数も多く……例えばアイアンマンやキャプテンアメリカは毎回出てくるわけではない。固定のキャラクターに対するファンは、登場する作品を心待ちにしているじゃろう。そして全員集合のお祭り映画で人気は爆発する。
一方で、こちらはあくまでもスターウォーズという物語に対するファンを対象にした作品であり、基本はEP○という本編じゃからの。
毎回アベンジャーズを公開しているようなもので、飽きが来るのも早いのかもしれんの」
誰もが抱く違和感……ハン・ソロについて
本作を語る上ではどうしても欠かせない違和感がハンソロの存在だよね……
どうしてもハリソン・フォードの印象が強いからの
カエル「別に今回ハンソロ役を演じたオールデン・エアエンライクが悪いというわけではないけれどさ……ここの違和感はどうしようもなくて……」
亀「意外とハマってはおったが、だからと言って『ハンソロとして認められるか?』というのはまた別の問題である。
それだけ過去のキャラクターに対するイメージは強いし、特に最近ではEP7などでも登場しているだけに、色々と思うところがあるからの」
カエル「もちろん若い頃というのはわかるんだけれど……なんだかなぁ」
亀「ジェームズ・ボンドのようになってほしいという思惑もあったのかもしれんが、いかんせんすでにハンソロ=ハリソンフォードという意識が何十年もこびりついてしまった以上、これを払拭することは不可能じゃろう。
頑張ってはおる。
別にオールデン・エアエンライクが悪いという話ではないのじゃが……隣にチューバッカがいて、ファルコン号が出てきて……という既視感のある光景が広がるたびに色々な思いが交差してしまうものじゃからの」
以下ネタバレあり
今作にノレない理由
アクションについて
では、ここからはネタバレありで語っていくけれど……
どうにも同じようなシーンが続いてしまった印象が強いの
カエル「この作品は確かにアクションとして超大作らしいカーチェイスやら銃撃シーンとかもあるんだけれど……う〜ん、これが少し多すぎたのかなぁ?」
亀「ここは受け取り方にも差があるかもしれんが、わしはこの手のアクション描写が多すぎるがゆえに、間延びしてしまった印象がある。
おそらく20分に1回ほどの頻度でそのようなアクションシーンがあるのじゃが……そのどれもが同じように見えてしまったということも少しはあるかもしれんの。
そして大きな問題となるのが……これはいつも語ることであるが『スターウォーズとは何か?』という問題じゃ」
カエル「これは荒れる問題だよね」
亀「少なくともアクションシーンにおけるスターウォーズの最大の特徴は『ライトセーバーでの戦い』があるじゃろう。
銃撃や艦隊戦がメインになりがちな中でも、とりわけ大きく印象に残るのがこのライトセーバーでの戦いじゃ。
多くの映画でスターウォーズのパロディがあるが、その場合でもほぼ確実に使われるのは、ライトセーバーでの戦いのシーンじゃな」
カエル「光る棒を持って斬り合う! なんてシーンは今年だけでも何回も見たかもしれないけれど、それだけ印象深いということだよね」
亀「本作はライトセーバーがほとんどでてこないのじゃが……その分カーチェイスや銃撃戦でアクションを見せておる。しかし、それは『スターウォーズらしいアクション』と言えるのじゃろうか?
わしはそうは思えん……だからこそ、本作は『SWではなく、別の新作洋画』として観たほうが評価がしやすいかもしれんの」
カエル「たぶん、本作の評価が緩やかに割れているのがここで……アクションは悪くないけれど、ちょっと同じようなものが続いて間延びしているようにも受け止められる。
でも、アクション自体は悪くないから、楽しめる人はとことん楽しめるってところなのかなぁ?」
潜在的な差別的な作品?
カエル「……おお、これは思い切った小タイトルだね……確かに人種差別みたいなことは今のアメリカでは非常に過敏だけれど……」
亀「いや、わしが提唱したいのは人種差別ではない。
星人差別じゃ」
カエル「……星人差別?」
亀「これはEP8でも顕著な問題なのじゃが……今作もそれは同じでの。SWの売りの1つが『多種多様な人種、ドロイドなどが登場する』ということじゃろ?
例えばEP4では人間の他にも、チューバッカのような毛むくじゃらの怪物や2体のドロイドが仲間である。EP5ではジェダイマスターでしわくちゃの小さなエイリアン……ヨーダが登場したり、EP6では共に戦う仲間が熊のような愛らしい見た目をしておる。
これが色々な星で行なわれているスペースオペラ感を増していると思うのじゃな。
しかし、本作は優遇されるのはほとんどヒューマンタイプの人間じゃ」
カエル「う〜ん……まあ、確かにハンソロの恋人が青い肌の宇宙人でも構わないはずだもんねぇ」
亀「本作では多くの新キャラクターが登場するが、主要と呼べるのはほぼヒューマンタイプ。
白人だどうだ、ということではないが、これで『人種が豊かな映画』と言えるのじゃろうか?
例えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などを見ればわかるが、ヒロインのガモーラは青い肌をした女性である。マンティスなどもは触手が生えておるが、非常に可愛らしい。
このような多種多様な種族を出すことだって技術的には十分可能なのにもかかわらず、ほとんどがモブのような扱いを受けておる……それが非常に気になったの」
ポリコレ配慮の弊害問題
ディズニーが絡んだ作品はポリコレ配慮がすごいよね
毎回もやもやしてしまうのがここじゃな……
(ポリコレ……ポリティカル・コネクトレス
政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていないように配慮された言語や表現)
カエル「例えば抵抗している組織のリーダー格を、見るだけでも気持ち悪いようなエイリアンにするだけでも全然違うのにね。
勇ましい女性が抵抗する……って描写も今年だけでも何回も見ていて、正直飽きちゃったというか……」
亀「それ自体はとても素晴らしいことである。女性の社会進出は大事な問題じゃ。
しかし、この作品はハン・ソロが主人公じゃろ?
むしろ女性の敵と称されそうな、チンピラが主人公の物語じゃろ?
そこで強い女性を! と言われても……それはそれで違和感があるがの」
カエル「作中でもドロイドが『権力に抵抗するんだ! 自由だ!』と語っているけれどさ……ディズニーって映画業界の中でも権力者側じゃない?
今回も監督がロン・ハワードに交代する前にもゴタゴタあったし、過去にも監督のやりたいことを否定して撮り直させたりしているし……
そんな人たちが作中で『権力者を倒せ! 革命だ! 女性が頑張るんだ!』と言っても、正直冷めちゃうというかさ……」
亀「スターウォーズで新しいことをするのが正しいのか? と言われると難しいところがある。またプロデューサー側が色々口出すのも当然じゃが……
作中では口当たりのいいことを言っておっても、それに素直にノルことはわしはできん。
そして今作はハン・ソロなどがいい子ちゃんすぎる。
もっとチンピラとしてどクズなことをしても良かったかもしれん。ソロは別に英雄らしい英雄というわけではないしの。
その辺りのポリコレに配慮した描写が、作品全体の足を引っ張った印象もあるの」
キャラクターの薄さ
カエル「……これもなぁ。正直、色々考えちゃったよねぇ」
亀「特に酷いのが敵キャラクターの薄さじゃな。
スターウォーズがなぜここまで人気なのか? といえば、その理由の1つが魅力的な敵キャラクターの存在じゃ。
EP456のダースベイダーは言わずものがなシリーズでもトップの人気じゃろう。他にもダースモール、ドゥークー伯爵、グリーヴァス将軍、もちろん皇帝パルパティーンも忘れてはいかん。
EP7以降だってカイロ・レンは賛否はあるものの高い人気を誇っておる」
カエル「じゃあ、この作品は? と言われると……そもそも誰が敵なのかもよくわからないというね……」
亀「今作最大の欠点はこのキャラクター性の薄さ、特に敵キャラクターの存在感のなさにあると思っておる。
今のディズニー・スターウォーズの欠点を象徴しているじゃろう。
ダースベイダーが普通の人間だったら?
ダースモールが普通の人間だったら?
果たしてここまで人気が出たと言えるのじゃろうか?」
カエル「う〜ん……難しいところではあるけれどねぇ」
亀「ビジュアルを大いにいじることができるのがスペースオペラの醍醐味なのに、それもしないで人間の……ヒューマンの物語にしてしまう。
確かにハンソロ・チューバッカ・ランドのキャラクターはいじれんじゃろう。だったら、それ以外のキャラクターをいじればいい。
それから……これは今のハリウッド映画全体に言えることかもしれんが、CG描写に頼りすぎて絵としての美しさが欠けているような印象もあったかの。
旧3部作などは何もないタトゥーインの沈みゆく夕日などがとても美しく切なかったが、そのような情緒的なシーンがあまりない印象がある。
大作映画になればなるほど、作り物感が増していく……これは贅沢な悩みかもしれんがの」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 作品としては可もなく不可もなく?
- スターウォーズらしさもあるものの、アクションなどは他作品との差別が……
- ポリコレ配慮が見えてしまう部分も……
歯切れが悪いことを言うと、悪い作品ではないがの……
カエル「あとは、やっぱりあのOPだよねぇ。
あの大音量でいつものテーマソングがないと、スターウォーズを見に来たぞ! という感覚にならないというか……」
亀「あれだけの名曲があり、しかも代名詞となった物語のはじめ方を捨てるのが正解だとはわしはどうしても思えん。
しかし、作中でも音楽の使い方は非常にうまく、ここから2人の冒険が始まった! というシーンは確かにあがるものがあったかの」
カエル「……まあ、無難なスターウォーズだったのかなぁ」