物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』感想など この邦題、いいじゃない!

カエルくん(以下カエル)

「えー、今回はこのブログが比較的苦手にしているタイプの映画である、マーベル系映画ですが……」

 

ブログ主(以下主)

「いやー、今回悩んだね。今月1番大きな映画であることは間違いないけれど、記事にするべきかどうか……」

 

カエル「前作は観たの?」

主「見たよ。マーベル系映画が苦手な理由って、予習しなければいけないことが沢山あることなんだよね。もちろん前作などは見ておかなければいけないし、語るんだったらマーベルコミックの方にも手を出した方がいいでしょ? 

 そうなるとどれだけ時間を取られるんだ? って話で、結構ハードルが高いわけよ」

カエル「う〜ん……それを言うとアニメ映画とかゴジラシリーズ、スターウォーズも似たようなものだけどねぇ。新規参入にはハードルが高いというのはシリーズものの欠点かも」

主「だけど本作のような数がない作品はまだついていけるじゃない? シビルウォーを理解するために見なければいけない映画はたくさんあるけれど、今作を理解するために見るべき映画は前作だけであって。

 それなら自分みたいなのでも今からついていけるから嬉しいんだよね」

 

カエル「……ちなみに前作の感想は?」

主「スターウォーズって現代風にするとこのようになるんだなぁ、くらい。いや、面白かったし、映画館で見るともっと印象が変わるんだろうけれどね。

 もしかしたら『ダークナイト』の幻影を求めすぎているかも」

カエル「う〜ん……今回も苦言が多くなるのかなぁ?

 じゃあ感想を始めようか」

 

 

 

 

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1 ネタバレなしの感想

 

カエル「じゃあ、お手柔らかに感想を語るとどうだった?」

主「悪くないよ。

 前作と比べてどっちが? と問われると、自分は今作の方が若干好き。自分はピーター・クイルのような正義側の人間よりもヨンドゥとかロケットのようなちょいワルな奴らが好きだからってのはあるかも。

 あとは……今回のCGが若干荒いような気がしたのは気になったかな? もっとハリウッドの大規模公開映画ってCGをしっかりと作りこんでくる印象があったけれど、今作は違和感があるシーンが多かった。

 特に後半かなぁ……これはネタバレじゃないと思うけれど、当然のように後半の方がアクション多めで派手なシーンが多いんだけど、どうにもそのシーンが浮いているというか、荒かった」

 

カエル「明らかな合成感があるの?」

主「ある。もちろん、映像自体はすごく豪華だからチャッチイなと思うほどではないし、あれだけ全編作りこんでいたらそんなシーンもあるはずだよって話かもしれないけれど……ハリウッド映画の、しかもここまで大きな映画にしては珍しいなぁという印象。

 もちろん、邦画と比べてはいけないくらいに作り込まれた映像だったけれどね!

カエル「宇宙の描写だけでも相当大変だったんだろうということにしておこうか。

 脚本に関してはどうなの? そんなに悪い話は聞かないけれど……」

主「う〜ん……結構Twitterの反応とかを見るとファン向けの脚本のようだな、という印象はある。そこまですっごく練られた、完成度の高い映画! ということではないし、深いメッセージ性や社会批判、批評性があるとまでは思わなかった。ただキャラクターの魅力を引き出す、という意味では確かに成功しているし、整合性もあったよ。

 ちょっと後半ゴチャゴチャしすぎだなぁとか、ご都合主義はあったけれど、まあ、でもそこを気にするようなお話でもないし、満足感はあるし、面白かった。

 ファンやこの手の映画が好きな人なら見に行った方がいいよ

 

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おなじみの連中が帰ってきた!

(C)Marvel Studios 2017

 

 

キャラクターについて

 

カエル「じゃあ、次にキャラクターについて語るとするけれど……」

 主「自分はどちらかというと正義の味方よりもちょい悪な奴らに惹かれるから、この作品のキャラクターはそれなりに好きだな。

 ただ、やっぱりご都合の部分が多く目について、グルートが今回ベビー化しているけれど、それだって1人だけチートすぎるんだよ。

 あいつは強すぎる。

 だからグルートを小さくして能力を弱めにしたのかな?」

カエル「結果的にはそれが大成功だったんじゃないの!?

 すっごく可愛いマスコットとして機能していたし、おそらく今作で1番人気なキャラクターになっていると思うけれど!」

 

主「そこはうまいことやったなぁ、という印象。

 特にスタートの抜群のうまさですよ!

 あんなものを見せられたらそりゃこちらはワクワクするしかないし、キャラクター人気もうなぎ上りでしょ。マーベル作品のスタートって『デットプール』とか凝っているなぁ、という作品が多いけれど、あのスタートはさすが! としか言いようがなかった。

 そのほかのキャラクターも……見せ場もあるし、そんなに悪くはないかな?

 たださ……やっぱり大作だからしょうがないのかもしれないけれど、お尋ね者感が減ったよね」

カエル「一応『宇宙のお尋ね者が宇宙を救う』という話であったはずだけど、今回は正義の味方感が増したような気がするかな?」

 

主「前作と比べるとちょい悪な味方サイドがロケットと……あとはヨンドゥくらいしかいないのは気になったかな。

 もっと宇宙のお尋ね者が世界を救う、という物語になっていてくれた方が個人的には嬉しかったなぁ。まあ、多分今作のテーマからしてそれができなかったんだろうけれど」

カエル「じゃあ、ここからは今作のテーマについて作中に言及しながら語っていこうか」 

 

 

以下作中言及あり

 

 

 

 

2 今作のテーマ

 

カエル「では、この作品のテーマについてだけど、これは明らかに『家族』をテーマにしているよね」

主「そうね。本当の父親とヨンドゥという2人の父親とクイルの『父と子』の問題であり、擬似的にも父親になっているクイルがどのような父親像を選択するのか? という物語である。

 そのためにベビーグルートが子供として配置されていて、母としてのガモーラがいて家族だという話だけど……さて、これがうまくいっているかな?」

 

カエル「う〜ん……ちょっとごちゃごちゃしていたよね」

主「確かに義理の父、ヨンドゥと本当の父エゴの対比とその息子であるクイルの関係性を示すのは、うまくいっていると思う。ここでガモーラという宇宙人を出すとこによって、様々な家族像……つまり多人種間の家族の形というものもしっかりと出来ている。この辺りは現代的な物語に仕上がっているね。

 だけどさ……ここで家族の物語を作るとなると、じゃあ他のキャラクターの立ち位置は何やねん? という話になってさ」

カエル「急な関西弁が戸惑いを隠しきれてないね」

主「ここでドラックスとロケットが兄の役割を果たすならば、まだわかる。それで家族ならば……まあ、確かに色々とあるけれど、擬似家族のようでもある。

 だけど、別にそうでもないじゃない? 父親としてのクイルがいて、母親としてのガモーラがいて、子供としてのベビーグルードがいる、ここまではいい。

 じゃあ、ドラックスとロケットって何? おじさん的立ち位置なわけ?」

 

カエル「そういうことに囚われない新しい家族像を示したということでもあるんじゃないかな?」

主「う〜ん……どうにもここいら辺が納得できないんだよね。

 急に『俺たちは家族だ!』と言われても『いやいや、チームでしょ?』って違和感があったかな。言うほど家族家族していないし……多分日常の描写が一切ないからというのもあるのかもしれない」

 

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今作のMVPは間違いなくこいつでしょう!

(C)Marvel Studios 2017

 

脚本上の違和感

 

カエル「その違和感って他にもあるの?」

主「もちろんこれは原作があるからってこともあるし、この先も続いていくからその伏線というのもわかるんだけど……最初から電池がどうこう言われても、キーアイテムとしての扱いが結構ふわふわしているのが気になったかな。

 

 あとはこの作品はいくつものキャラクターの関係性が示されている。

 

 クイルとエゴ、ヨンドゥの(義理も含めた)親子関係。

 ガモーラと妹の姉妹関係。

 クイルとガモーラ(とベビーグルート)の擬似家族関係。

 

 ここまでは擬似も含めた家族関係だよね。それ以外にもドラックスとマンティスとかの恋愛? 関係やヨンドゥとロケットの関係などもある。

 で、この家族関係の対になる存在として家族を持たない、クローンで増えるアイーシャ達という描写がある。そうなるとこの作品はそれぞのキャラクターの関係性にプラスして、3つの陣営の物語になる。

 

 擬似家族としてのクイル達

 本当の父親、血のつながりがあるエゴ

 家族という概念を持たないアイーシャ

 

 という3つの存在が描かれているんだけど……ここがうまく絡んでいないで、あやふやだったかなぁ、という印象。それぞれのキャラクターのつながりと、戦闘シーンと、見せ場と、テーマとこれからの伏線と……とやりたいことが山積みでうまく繋がってこなかった印象がある。

 その意味では前作の方がすっきりとまとまっているかもね

 

カエル「ただ前作の伏線の回収……例えばヨンドゥの集めていた人形とか、そういう部分はうまくいっていて評価高いけれど……」

主「キャラクターで魅せるということに関して文句ないかな。それぞれの特徴もしっかり出ていたし、個性も豊かで面白い。

 脚本のうまさって色々あるけれど、本作はキャラクター描写を優先させた一方で大枠の物語に関しては少しまとまってなくてもそちらを優先したのかな?」

カエル「この手のキャラクター映画に関してはそれが正解な気もするけれどね」

 

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マンティスは結構可愛らしいものの、彼女の能力もチート気味?

(C)Marvel Studios 2017

 

邦題について

 

カエル「さて、ここで様々な意見のある邦題についてだけど……」

主「自分は邦題を支持します!

 というか、この邦題を考えた人は素晴らしいよ! 仕事している! VOL2よりもいいと思う!

カエル「……またファンから反感買いそうだね」

 

主「なんでそんなことを思うのか? というと……リミックスってまさしくこの映画のことだからだよ。

 リミックスには『複数の楽曲を再構成して新しい楽曲を生み出すこと』という意味がある。まあ、この複数って部分にはちょっと疑問もあるけれど、既存のものを改変するという意味だよね。

 これってこの映画そのものじゃない? それまでに問題を抱えながらも出来上がった色々な家族があった。父がいなかったクイル、妹と確執のあったガモーラ、妻と娘を失ったドラックス、劣悪な環境にいたロケット、そもそも家族がいなかったグルートが集まって1つの家族を形成する。

 父とは決別し、新たな家族を『リミックス』している物語でしょ?

 それは今までの家族とは違うものかもしれない。だけど、作り上げる『楽曲』はやっぱり家族なんだよ。

 それを言い表したタイトルだから自分はこのタイトルを支持する。すごくいいタイトルだよ。血の繋がりだけが家族じゃない! というテーマ性と、この映画に欠かせない音楽と、そして2部作目ということを見事に表してトリプルミーニングなんじゃないかな?」

 

ちょっとだけ追記

 

カエル「あとは……やっぱり興行的に意味合いもあるよね」

主「前作は中々評判良かったんだけど、日本では10,7億円くらいのヒットだから……マーベルシリーズの最新作! と言われても、無条件にマーベルが好き! って人はそんなにいないということかもね。

 スパイダーマンやおなじみのヒーロー映画ならともかく、今作は少しヒーローとしても他の映画とは違うし」

カエル「だからVOL2という明らかな続編を匂わせるタイトルにしなかったのかな?」 

主「多分ね。『前作がそこそこしか売れていないことから、日本では知名度がなさそうなんで続編であることを隠しました』なんてことを言うわけはないけれど……一般のお客さんからすると『え? この映画続き物なの? じゃあ前作を見ていないから違うのにしよう』ってなったら目も当てられないじゃない?

 タイトルなんて何でもファンは見るから、問題はファンじゃない人にどうアピールするかということで……その策でもある」

 

カエル「さて、では、ここからはSFとしての本作を考察するけど、感想とは無関係なお話もあるので、興味がない人はここで読み終えた方がいいかも

主「ある意味ではこの記事の本番でもあるけれど……かなりこの映画から話はずれるので」 

 

 

 

 

3 懐古的SF映画?

 

カエル「なんとなくディズニーらしさ、スターウォーズらしさを増したような印象もあるんだけど……」

主「元々前作を鑑賞した時に受けた印象が『現代版スターウォーズ』というもので、ちょっとだけ前作について言及すると父と子の物語とか、主人公が選ばれし者、味方が荒くれ者たちばかり、という意味でも結構モチーフにしているところはあったように思うのね?

 そしてこの映画の象徴が音楽だけど、本作は1970年代前後の楽曲を多く使っているわけだ。その影響もあってちょっとばかし懐かしい印象を与えるんだけど……ここで自分はある仮説を唱えてみる」

 

カエル「仮説?」

主「この映画は『1970年代のSF映画をモチーフにしている』ということだよ。

 自分はSFにべらぼうに詳しいわけではないけれど……SF映画って『ブレードランナー以前と以後』に分類できるんだよ。

 ブレードランナー以前のSFは『スターウォーズ』『スタートレック』のようなスペースオペラだったり『猿の惑星』などのような超科学的な装置や舞台を使って繰り広げるものだった。

 だけど、ブレードランナー以後というのはもっと『日常とSFの融合』を重視したわけだ

 

カエル「それ以降のSFの多くはブレードランナーの模倣作品ばかり、とはよく言われていたけれど……」

主「自分に言わせて貰えばそれは当たり前なんだよ。それまでのSFって『未来を無条件に信じることができた時代』だからこそ存在することができた。ドラえもんやアトムはいつか出来ると思っていたし、未来的な……ワープ走行などといったガジェットはいつか誕生すると無条件で信じていた。ロケットで月まで行ったんだから、2000年位には宇宙旅行もできるかも、とかさ。

 そういう『未来の技術』がリアリティを持っていた時代でもあるんじゃないかな?

 だけどおそらく1980年代ってもう『無条件に未来を信じることができなくなった時代』なんだよ。だからそれまでのスペースオペラなどが力を失い始めた。

 ここでSFの歴史は大きな転換点を迎える」

 

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個人的に1番すきなキャラクター、ヨンドゥ

演じるマイケル・ルーカーの声と吹き替えの立木文彦の声が若干似ている

(C)Marvel Studios 2017

 

SF映画の発展

 

カエル「1980年代というとオイルショックやらの余波もあって、デジタル関係だとインベーダーの流行の後で、インターネットが始まったりゲームウォッチ、ドラクエなどが発売されていく頃だけど……」

主「世界的にそれまで夢物語でしかなかったSFのガジェットが、物語ほどのクオリティはないにしろ少しずつ日常に入り込んできた時代なんだよ。それまでは単なる空想だったものが、もはや空想ではなくなった。昔の映画を見るとピコピコと光る謎のスイッチが並ぶ描写があるけれど、あれが現実のものになってきた時代が1980年代。

 そこでSFの物語史は大きな2つの作品を迎える

 

カエル「1つは当然ブレードランナーだろうけれど……もう1つは?」

主「『機動戦士ガンダム』だ。1979年から1980年に放映されたガンダムというのは、それまでのロボットアニメが持つ『巨悪を倒す正義の味方』からの脱却を図っていて、政治的で現代社会を揶揄するような描写や深い人間性を持ったキャラクターを組み込んでいる。連邦、ジオンのどちらも正義でも悪でもないという見方だ。

 ガンダムの誕生って実はすごく社会的な状況と合致している象徴的なことだけど、今回は割愛。

 つまり、ガンダムとブレードランナーの共通点は『SFに現実を取り込んだ』ということにある。この2作はもちろん空想の要素も多いけれど、当時の人たちにリアリティを持って受け入れらた。

 そしてこの後のSFというのは『日常の中にあるSF』が主要なものになっていく」

  

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父親のエゴ

父と子の物語でもある

(C)Marvel Studios 2017

 

時代とともに変化するSF

 

カエル「そして生まれたのが日本だと『AKIRA』『パトレイバー』などであり、海外だと……『ターミネーター』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか『ロボコップ』になるのかな?

主「まあ、その辺りだね。そういった『日常と共にあるSF』を描いた作品が続々と増えていく。

 それがある程度続いていくんだけど……ここからが今回の本題。

 おそらく、そういった作品はもはやSFとして成り立ちにくくなってきた

カエル「……え? どういうこと?」

主「つい最近『攻殻機動隊』のハリウッド版が公開されたけれど、それが結構コケたわけだ。もちろん作品自体のクオリティやらもあるけれど……

 この作品の前に『攻殻機動隊ARISE』ってアニメがあったんだけど、ここで押井守が興味深いことを話している」

 

『誰もがポケットに携帯の端末を入れていてネットにアクセスできる時代になった段階で、比喩としての世界観がどんな意味を持つのか?』

 

主「この言葉ってすごく重要で……自分が押井信者の気があるのは否定しないけれど、でもおそらくその通りで、今の時代ってブレードランナーが表現した時代に追いついたんだよ

カエル「元々2019年だか2020年のお話だしね」

主「そりゃそうだよね。日常の中でいつでもネットにアクセスできる、タッチパネルが普通に存在する、ドローンが飛んでいる、3Dで映画やテレビが見ることができる、VRやパワードスーツが開発されておりそろそろ一般化し始める……これって90年代でもまだ夢の世界の物事だった。

 だけどここまで進化してしまった世界ではブレードランナーが提示した世界というのはもはや古いものになってしまった。『マトリックス』辺りからこのタイプのSFが衰退しているような気がする。

 もう日常がSFの時代になったんだよ

 

 

 

4 本作が示した『SFの新たな姿』

 

カエル「で、それがこの映画とどのように繋がるの?」

主「非日常としてのSFが難しくなってきて、今のSFってどうなっているの? と尋ねた時に……面白いのが、おそらくSFそのものが先祖返りしているんじゃないかな? ということ。

 それはスターウォーズもそうだし、ゴジラやキングコングもそうだし、マーベル映画もそうだけど……自分にはどうにもブレードランナー以前のSFに戻り始めているようにしか思えないんだよね

 

カエル「まあ、明確なデータがあるわけではないんだけどね」

主「この映画が基にしているのはスターウォーズとか、スタートレックなどの一昔前のスペースオペラだと思うけれど、スターウォーズって結局は家族が和解した時に宇宙を救うという物語でしょ?

 だから本作も『父と子、家族の物語』なんじゃないか?

 そしてここから考えるに、これからのSF、もしかしたら未来のお話ではなくてアバターやらが流行った時期くらいから、SFで人気を集めるのは何十年も前のようなスペースオペラ的な物語かファンタジーの入り混じったマーベルがやるようなヒーロー映画ぐらいになるんじゃないかな?」

カエル「う〜ん……その意見には賛否があると思うけれど、ここ最近人気の映画はアニメ、実写や邦画洋画問わずファンタジーのような作品が多いね。ブレードランナー系のSFって何かあったっけ?」

 

主「何を持ってブレードランナー系というかは難しいけれど、それこそインセプションとかまで遡るのかなぁ?

 そして面白いのが、ここまで派手なスペースオペラなのにそのテーマが『家族』というミニマムなものであるということ。つまり、どれだけ舞台が大きくなってもそのテーマは変わらない」

 

 

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圧倒的正義の不在

 

カエル「今作は一応ならず者の物語でもあるわけだけど……」

主「実はこの辺りって世相を表している部分もあって、昔のスペースオペラって対立する2つの組織があったわけじゃない? スターウォーズなら反乱軍が正義で帝国軍が悪とか。

 だけど現代のスペースオペラとなったこの作品では『絶対的な正義』というものが存在しない。悪党は変わらずにいるんだけど、主人公たちの立場があやふやなんだよ」

カエル「ふむふむ……」

 

主「これって何かというと『冷戦以後のスペースオペラ像』なんだろうね。

 スペースオペラ全盛時代は冷戦の真っ最中でアメリカは共産主義、共産国家と対立していた。この時代は『資本主義が正義、共産主義は悪』という価値観がある時代だから、明確な戦うべき相手が居たんだよ。宇宙開発が冷戦を優位に進めるためのものであったというのは有名な話だし」

カエル「敵の姿が想像しやすい時代だったんだね」

主「だけど冷戦が終わると、今度は『正義ってなんだ?』という意識が生まれ始める。アメリカが無条件に正義だと思っていたけれど、その意識が揺らぎ始めるわけだ。そしてテロとの戦いになるけれど……テロの大元を探ればアメリカや西洋諸国が悪いみたいなことがある。

 だから今度は『戦う大義名分、戦う理由、正義の存在』について考える時代になった」

 

カエル「マーベル系ヒーロー映画とかってまさしくそんな感じだよね」

主「正義って一体なんだ? と模索するのがヒーロー映画に多く共通するモチーフとなった。

 で、本作はやっぱりそこを踏襲している。だけど、彼らは『ならず者』だから正義の味方ではない。

 そして何よりも象徴的なのは、これほど大きな物語であってもテーマは『家族』であるということ。すごくミニマムな話になる。

 SFでこれだけ大きな物語が与えられているけれど、正義だ何だを抜きにするとやっぱり家族の物語になる……これってすごく面白いことだと思うけれどね」

 

 

 

 

最後に

 

カエル「何だかとっ散らかった記事になったね」

主「う〜ん……多くの人が求めている感想とは違うかもしれないけれど、自分にはこれしか言えません。

 ファンからは『泣いた』みたいな声も多いけれど、まあ継承の物語だしそういう展開だよねぇって納得する部分もあるし。

 あと記事の内容についてはコアな SFファンほどツッコミどころが多々あると思いますが、あまり突っ込まないでください! 作品も色々あるのはわかるけれど、1つ1つを取り上げたらキリがないので!」

 

カエル「じゃあ、話を変えてここから先もシリーズ映画が続くけれど、見に行くの?」

主「『ローガン』は絶対見たい! これは好きなタイプだし、そのためには予習も惜しまないよ!

 あとは……大物だと『パイレーツ・オブ・カリビアン』だけど1作も見たことないからパスかな? 多分自分と相性悪いだろうし、夏場は大物映画がたくさんあるし」

カエル「ファンの人ももっとコアな人の意見が聞きたいだろうしね」

 

 

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