物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『ガールズ&パンツァー最終章 第2話』ネタバレ感想&評価! 新作ガルパンはエンタメの嵐が観客を襲う、1年半待った甲斐がある作品!

 

前作から1年半も待ったんだね……

 

 

 

この手の……劇場で見る連続アニメシリーズ作品とでもいえばいいのか? ではなかなかない待たされ方だな

 

 

カエルくん(以下カエル)

「正直、ここまで待つとは思ってなかったよね。

 なんだかんだ言っても年2話、少なくとも年1話は絶対にやってくれるだろうと思っていたら、まさか年をまたぐなんて……」

 

「冗談で『エヴァとどっちが早いか』なんて話をしていたけれど、もはや2020年公開と発表されたからそのままであればエヴァの方が断然早いだろうなぁ。

 あとは……宮崎駿の新作と勝負になるのか?」

 

カエル「……そう考えると壮大なプロジェクトだよね。

 全6話が終わることには一体僕は何歳になっているだろう?

 ……そもそも本当に終わるのかな?」

 

主「ただし、どれだけ待ってもいいと思えるほどの素晴らしいスタートを切った第1話に引き続いて今回も注目度は非常に高い!

 東京の立川のシネマシティでは最速上映のチケットが1分ちょっとで売り切れたと聞いたし、神奈川の川崎にあるチネチッタに見に行ったけれど最速上映とはいえ深夜なのに満員だったよ……

 1番大きなスクリーン8が満員になるってあまりないのに……一応最速上映というイベントとはいえ、舞台挨拶があるわけでもないのにね」

 

カエル「やっぱりそれだけ注目度の高い作品なんだね。

 それでは、今作の感想について触れていきましょう!」

 

 

 

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作品紹介・あらすじ

 

 2013年にテレビシリーズが放送されて大ヒットを記録し、OVA、劇場版も記録的なロングラン上映されるなど高い人気を集めるガールズ&パンツァーシリーズのOVA作品である最終章の第2話。2017年に公開された第1話の続きの物語となっている。

 テレビシリーズと同じく監督に水島努、脚本・シリーズ構成には吉田玲子、総作画監督に杉本功などおなじみのスタッフが制作を担当する。

 声優陣も渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香など若手人気キャストが勢揃いしており、まさに最終章にふさわしい作品となっている。

 

以下1話のネタバレ含む

 1話にて新生徒会として始動した西住みほたち大洗学園の戦車道チームだったが、学力不足により旧生徒会メンバーの河嶋桃の進学先がなく留年の危機にあることを知る。AO入試などで桃を進学させてあげたい面々は無限軌道杯に出場し、優勝チームの隊長として実績を作ってあげることにした。

 1回戦の相手はエスカレーター組と外部入学組が仲間割れを起こしていると評判のBC自由学園。すでに仲間割れ戦う状況にないと油断していたところが、思わぬ苦戦を強いられ、全滅の危機に陥いりながらもなんとか部隊を立て直したのだが……

 


【再掲】『ガールズ&パンツァー 最終章』第2話 劇場本予告(60秒)

 

 

 

 

感想

 

それでは、Twitterの感想からスタートです1

 

 

間違いなく今年屈指の名作アニメがここに登場! 1年半待ってでも見たい高クオリティ作品が登場!

 

 

カエル「正直、前作から1年以上も待ったし、1話を……合計3回くらいかな? 見たんだけれど、そのあとは鑑賞せずに行ったわけじゃない?

 もちろん1話の頃もすごく高く評価していたけれど、正直その思い出も結構薄れてきていて……多分、深夜の最速上映組の中でも熱は相当薄い方だったと思うんだよね。

 だけれど、鑑賞中にあの熱狂が蘇ってきて、そこまで熱心なファンでもないのに謎の感動で目頭が熱くなるシーンもあったりして……

 何なんだろう、この映画!

 本当に素晴らしい傑作ですよ!

 

主「ここまで全方向に、しかもある程度過度な描写にならないように配慮されているのに面白い作品って本当にないかも。

 2019年はアニメ映画に話題作が連続して公開していて、令和になってからのわずか2ヶ月も経たない間に『プロメア』『海獣の子供』と、これはまだ公開はしていないけれど試写会で鑑賞させていただいた『きみと、波にのれたら』などのような話題作や高クオリティ作品が相次いで公開されている。

 それらに比べるとガルパンはちょっとオタク向けだし……正直2話から見る人はそんなにいないと思うけれど、これは今の日本のアニメの素晴らしさ、魅力を知るためには絶対に見ておいたほうがいいコンテンツではないかな?

 

カエル「ちゃんと1話を超える面白さを見せてくれます!

 本当にワクワクが止まらなくて……どれだけすごいんだろう、この映画! って印象になります!」

主「自分の中では2019年のアニメ映画では1番誰にでも勧めたい作品かもしれない。

 もちろん、ガルパンという物語を知っていたり、あるいは1話を見ていないと話がついて来れないというのもわかるんだけれど……でもそれでもこの映画単体で見ても、とてつもない魅力があることは伝わると思う。

 日本のアニメの娯楽性やエンタメ性がたくさん詰まった、まさしく大傑作でありますよ!

 

 

 

多くの鑑賞スタイルに合わせた作品に

 

4DXでも盛り上がりそうだね

 

そうだね。おそらく、今作は日本でもかつてないほどに4DXで上映することを意識しているのではないだろうか?

 

カエル「ガルパンならではの一人称視点は今作でも健在!

 座席が動いたらアトラクションとして面白いよなぁ……って思うシーンも多いよね。また、水を使ったシーンや雨のシーンもあるから、それも水の演出で映えそうだし」

 

主「もともと劇場版ガルパンの4DXも高く評価されていたけれど、2015年公開作品の製作時はまだ4DXを意識していないのではないかな?

 でも、今作は意識していると感じられる。

 もちろん4DXだけじゃない。普通の映画として鑑賞する時のことも考えられていて、岩浪音響監督が様々な劇場に赴いて特殊な音響調整をしていることは有名な話だ。

 作品にもよるけれどOVA作品の上映というのは単なるソフト販売する短編を劇場でかけるということで、実は作画や音響のレベルとしてはあまり高くない作品だってある。

 だけれど、本作は劇場で鑑賞することに非常に意義があるように、考え抜かれた作品となっているわけだ

 

カエル「それが4DXを意識したと思われる作風だったり、音響のこだわりだったりするんだね」

 

主「この1つ前の記事で『劇場版 うたの☆プリンスさま』の感想でも語ったことだけれど、現代では劇場は”観る場所”から”体験する場所”に変わりつつある。

 自分はうたプリと今作って”映画館で鑑賞する意味を問う作品”としても高く評価している。

 映画館で”体験”するためにどのようにすればいいのか、ということをしっかりと考えた作品だと思うし、この2作はこれからのアニメ映画界を考える上で大事な作品になるのではないだろうか?」

 

カエル「うたプリは『ライブを全編にわたって描いて体験させる』ことを選び、ガルパンは『演出、音響も含めて戦車道を体感させる』ことを選んだということなのかなぁ」

主「単純に迫力があるというだけでは今作のような映画にはならない。

 どのように観客に届けるのかということも考え抜かれていたね」

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

作品感想

 

吉田玲子の脚本の面白さ

 

いつもはもう少し概要についてネタバレなしで話してからこのパートに入りますが、今回は少し早めに入ります!

 

 

何を言ってもネタバレになりそうだし、ネタバレに配慮すると言えるのは”ガルパンはいいぞぉ”くらいになりそうだからね

 

カエル「とは言っても、内容についてどこが勝ったとかまでは話すつもりはありませんが、記事の流れで少しわかってしまうところもあるとは思います。

 そこはご了承ください」

主「まずはさ、やっぱり吉田玲子の脚本ってとんでもなく考えられているなぁって改めて考えさせられた。

 この作品の根底を支えているけれど、その魅力がすごく発揮されている」

 

カエル「ふむふむ、どんなところが?」

主「まず1話から2話への構成と変化がうまいよね。

 1話はあくまでも物語の序章であり、いわば扉が開いた状態だった。

 2話はきちんとその物語を深く掘り下げながらも、今後の物語に生きるような伏線などをたくさん入れていたんだよ」

 

カエル「まあ、1話はなぜ彼女たちが無限軌道杯に挑むのか? という説明と新キャラの説明に終始した印象だったかな。

 それでも面白いんだけれど!」

主「正直、1話は面白いけれど今後のシリーズを占うスタートして、そこまで脚本自体はピンときていなかった部分もある。

 もちろんフランスを題材としたBC自由学園のエスカレーター組と外部生との対立を描くという社会性を交えながらも物語として面白く、キャラクターとして可愛らしく機能させていた。

 これは現代のヨーロッパを中心とした世界中で起こっている移民の問題などを密かに入れているように見受けられる。もちろん、マリーはマリーアントワネットだろうけれど、王政の元で人民がまとめるという風に受けとれるのもそれはそれで面白いわけだ」

 

カエル「移民云々はともかく、マリーはただのフランスを連想する象徴的な名前ってだけだろうけれどね」

主「でさ、今作では女子高生の会話劇があるんだけれど、それが異様にリアルなんだよ。

 もちろん萌えアニメ的なセリフではあるんだけれど、なんていうか……数人集まった女子高生の脈力のない会話劇が成立している。

 こういうちょっとした会話などで、これだけ膨大にいるキャラクターの個性をはっきりと出すというのは……驚愕だよ。

 もちろん奇抜な部分もあるキャラクターデザインの力もあるだろうけれどさ……」

 

カエル「まあ、そんな云々カンヌン言わなくても1作のキャラクターとしてこの数は正直異常なレベルだもんね……しかもそれがとっ散らかっていると思わせないというのは、すごい話だよねぇ」

 

 

 

見せ場を信じることができる演出

 

さて、次は何を語るの?

 

何がすごいって、映像の力を信じて物語を作り上げていることだよ

 

カエル「……どういうこと?」

主「自分がよく語る邦画のダメな部分として語りすぎってあるんだけれど、最大の見せ場でセリフで状況を説明したり、観客に『なんてすごいんだ!』と語らせたりすることもあるわけじゃない。

 だけれど、今作はそれを一切しないわけ。

 BC自由学園との激闘の最大の見せ場は完全に映像で演出している。

 そしてそれが100パーセント観客に通じると確信しているし、実際それが伝わってきた。

 これってとてつもないことじゃない?」

 

カエル「この2話の最大の魅力溢れるシーンの1つだから力が入っていたというのもあるんだろうけれどね」

主「これは音楽もBCらしいものが使われていて……この会話で説明しない、映像と迫力のある戦車戦だけで全てを魅了するという演出自体は劇場版でもあったわけだけれど、それをさらに更新したのではないか? と思わせるほどの迫力のあるシーンとなっており、観客として手に汗を握る展開となっていた。

 やっぱりさ、このシリーズの魅力って”観客の観る力も信じる”というところにあるんじゃないかな?」

 

 

敵を無能にせずに熱いドラマに

 

この作品ってちゃんと敵が強敵だとわかるように作られているからすごいよねぇ

 

下手に敵を弱体化して、間抜けな奴にするとこの魅力は出てこないだろうな

 

カエル「今作の場合は敵にも落ち度はあるものの、でもそれだけではなく強敵であることを前作で前面に出したことが生きてきたよね。

 しかもそのゴタゴタの後できっちりとマリーが締めることで、BCにおけるマリーの重要性というものをしっかりと確認することができたし……」

 

主「仲裁に入るシーンなども非常に面白かったけれど、アニメとしてのリアリティで言えば今作はそこまでリアルではない。

 だけれど、それをあえてリアルに描かないことでアニメとしての面白さを発揮していたのではないだろうか?

 少なくとも本作ではマリーのキャラクター性は前作以上に出ていたし、他の学校に負けないようなキャラクター性となっていた。

 また、次の相手に対してもそれまで若干のネタ感があったけれど、それもうまく回収して見せ場を作って……と考えると、この物語そのものが何重にも考えられているように感じたかな。

 そして、それがまた”最終章”ということを感じさせるね」

 

 

 

最終章らしくファンサービスがいっぱい!

 

ガルパンの魅力の1つが各国の軍歌をモチーフにした音楽です!

 

ここのメドレーがしびれた!

 

カエル「それまでの強豪校との対決の記憶であったり、あの好きな高校やキャラクターが躍動しているだけでワクワクしてくるものがあるよね!」

主「この敵たち全員と戦うわけではないだろうけれど、誰と再びぶつかるのか? ということを想像するだけでも楽しめるし、また今作は音楽がまたいい!

 耳に染み付いたあの独特の楽曲たちと、画面の中で躍動する面々を見るとやはりこみ上げてくるものがあるね

 

カエル「なんか、前作は『本当に最終章なの?』という思いもあったけれど、今作では全員の活躍などを見ると『本当に物語をたたむつもりなんだなぁ……』と言うのが伝わってきたというか……」

主「それでいうとかなり難しいことを色々とやっているんだよ。

 ファン向けの要素を見せて、2話では劇場版を連想させるシーンも多く作り、小ネタも入れつつ、今後の物語に向けた伏線も貼って、ちゃんとドラマとして面白くして戦闘も見せて……と考えるとわずか60分弱によくぞ収めた! と驚愕するくらい。

 こりゃ、確かに1年半かかるわ……

 あの後半の戦闘シーンとか、今までのガルパンでやってこなかったことに挑戦しているだろうから相当手間がかかっているだろうしなぁ」

 

 

 

 

今作のテーマとして見えてきそうなもの

 

これは一体どういうこと?

 

……今作で1番驚愕したのは、川嶋の家に行ったところの動きなんだよね

 

カエル「あのきょうだい達がたくさん出てきてワチャワチャしているところだよね?」

主「……あの大家族を表現するために子供達をたくさん出すのは理解できるけれど、その全員がリアルにぬるぬると動き回る。

 やっぱりガルパンというと動の動き……戦車の動きだったり砲弾の爆発などが注目を集めるけれど、このような日常的な動きに関しても一切の手を抜いていないということが伝わってきた。

 そして今作のテーマになるかもしれないのが……”変化”との向き合い方なのかな」

 

カエル「変化?」

主「卒業だったり、進路だったりという変化が学生時代では大きい。おそらく、劇場版で最大のライバルであった愛里寿もどこかしらで何らかの変化を迎えるであろうということは予想できる。

 今作で敵となるチームが大きな変化をしてきたけれど、考え方を変えることで強敵となることが示されており、これは今後の鍵になる可能性があるのではないだろうか?

 その他にも……学生時代には様々な変化があるとは思うけれど……そういったことをテーマにしようとしているのではないか? という思いがよぎったかな」

 

カエル「そういえばみほの家の問題もまだ完全に片付いたわけではないってことなのかな?」

主「おそらく、今作では2つの対比があったと思う。

 

  • 愛里寿との対比(同じ天才同士であるから?)
  • 桃との家庭の対比

 

 桃の大家族の描写があれだけ力が入っていたのは、これからの家族問題をきっちりと解決するための伏線の1つだったのではないか?

 家庭や家族への向き合い方の変化……それがまほが抱える今後の課題なのかもしれないね」

 

 

 

まとめ

 

では、この記事のまとめです!

 

  • ガルパンの魅力をさらに更新する、60分弱にギュギュッと詰まったエンタメ作品!
  • 初心者には辛いかも……でもこのエンタメの力を是非とも体感してほしい!
  • 今後の物語の鍵となりそうなシーンもちらほら…
  • 全てにおいてリッチに完成度の高い作品です!

 

超おもしろいかった! また何回か見に行こう!

 

 

カエル「これは通いたくなってしまうよね。1度見たら満足! ってタイプの映画でもなくて、映画を浴びるというか、それこそ体験したくなる作品でさ」

主「確かに『プロメア』『海獣の子供』などと比べると日本のオタク向けらしい物語ではあるんだけれど、でもこう言った作品がしっかりと人気を集めているというのも日本のアニメの強みなんじゃないかな?

 自分は令和になってからの劇場アニメ作品たちは、日本のアニメの今後を示すような作品が多く生まれているから、多様性があって非常に喜ばしい状況にあると思うね」

 

カエル「次回作の公開は……2020年にはお願いします!

 というわけで、ガルパンの感想記事でした!」

 

 

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