カエルくん(以下カエル)
「いよいよガルパンの新作が公開したよ!
今回もすごい賑わいで、劇場ではチケットがバカ売れしているらしいね!」
亀爺(以下亀)
「特に聖地である立川シネマシティでは初日のチケットが全て完売するという快挙も成し遂げたらしいの」
カエル「公開初日とはいえ、予約の段階で完売って聞いたことがないなぁ。
ないことはないんだろうけれど、どれほどの人気を誇る作品なのか、よく分かる話だよね!」
亀「今回は50分と非常に短い尺ということもあって、回転も非常に早いしの。鑑賞料金は1200円均一と安めに設定されておるが、映画館側としたら稼ぎどきのドル箱コンテンツではないかの?」
カエル「それから、これは運もあるけれど今月ってアニメオタクが好むような大きなアニメ映画もないし、ボーナスシーズンでお金もいっぱいあるだろうし……
その意味では男性オタク狙い撃ちのキラーコンテンツがこの週で登場したのは、とても大きな事なのかもしれないね」
亀「……という事は2章の公開は来年の6月くらいかもしれんの」
カエル「いや、ボーナスシーズンってだけでは決めないでしょ。
でも、ちょうど2章を公開するには半年くらいの間だとファンも待ちぼうけをくらう事なく、制作側も力をいれられる期間なのかもしれないね。
そう考えると……もしかしたら3年間続く祭りになるのか……」
亀「『Fate』といい、しばらくこの熱狂は続きそうじゃな。
では、感想記事の始まりじゃ」
カエル「今回は1章ということもあって、簡素な記事になります」
作品紹介・あらすじ
テレビアニメとして放送されたシリーズが大ヒットを記録し、劇場版も1年以上にわたるロングランを果たすなど、根強い人気を誇る『ガールズ&パンツァー』の最後の物語となる全6章にわたるシリーズの第1章にあたる作品。
監督の水島努をはじめとした、主要スタッフ・キャストはテレビシリーズ、劇場版と同じように継続している。
今作は新キャラも登場し、新たなる『戦車道』の物語が始まる。
戦車を用いた武芸『戦車道』が盛んな大洗女子学園の面々は2度の廃校の危機を乗り越えて平穏な日々を過ごしていた。3年生も卒業を控えて、それぞれの将来に向けて進み始めていた。
そんなある日、あるトラブルが舞い込んでくる。それを解決するためには無限軌道杯という大会が久々に行われ、その大会に勝ち上がるしかない。
大洗女子学園の面々は優勝を目指して『パンツァーフォー』の号令が響き渡る……
感想
カエル「というわけで、いつも通りTwitterの短評からスタートです!」
ガルパン鑑賞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2017年12月9日
いやさぁ、50分しかないってのはどうなのよ?
しかもさ、全6章でしょ? だったら2時間にして3章仕立てにするべき
罰として映画館は全6章一気に公開をいつかやること! 多分行くから!
内容? 最高以外の言葉がないでしょ!エンタメとして文句のつけようがないわ!
カエル「本来はこの手の短尺アニメってちょっと批判がちになったり、あとは映画として評価するならばやはり完結していることが条件になってくると思います。
その手の意見はやっぱりちらほらと散見されて、劇場で公開するけれど、今作は単なるOVAじゃないか! ということに不満を持つ声もありました。
まあ、それはもちろん、納得のいくものであって『映画』として高評価はつけられません」
亀「もちろんファン映画であるしの。
まあ、何も知らなくてもなぜ本作が人気なのかはわかるかもしれんが、本当に楽しむためであればそれまでの物語は絶対に見ておいた方がいい
で、そんなごたくは置いておくとして、内容だけで語ると……」
カエル「最ッッッ高だよね!
ある種のお約束展開も多いけれど、きっちりと面白い作品になっていて!
やっぱり脚本を務める吉田玲子の腕って相当なものがあるよ。特に本作はキャラクターの魅力がとても大事だけれど、ここに来て新キャラたちも個性豊かで見ごたえがあったし!」
劇場で公開する意味
亀「今作も音響監督を担当している岩波美和が映画館を回り、特別に音響を調整した劇場もあるということで、圧倒的な音が売りであるの。
わしも今回はそのような調整をしている劇場で鑑賞したが、できればそのような映画館で鑑賞してほしい1作じゃ。
近年、いい音響の映画館が増えておるが、そこで公開するのも洋画とアニメばかり……なぜそうなってしまうのか、というのがよく分かる作品でもある」
カエル「邦画の予算不足でどんどん音響が寂しくなっていく中で、アニメの音響にかける情熱ってとても高いからね。技術では洋画の方が上かもしれないけれど、それでも劇場に直接赴いて調整するなどの情熱で勝負しているところもあるし。
映画館における音響って、その作品の評価すらも左右しかねないとても大事なものだし」
亀「本作ではその味を最初に味わってもらおうと、スタートから音響の凄さを痛感するシーンから始まる。
その影響で少しだけ特殊な構成になっておるが、それによって『ガルパンワールド』の魅力がすぐに伝わってくる作品に仕上がっておるの」
カエル「やっぱりさ、女の子の可愛らしさもそうかもしれないけれど、本作の最大の魅力は効果音と音響だから!
それを最大限味わえるのは、本当に嬉しいよね」
亀「もちろんおなじみの軍歌を思わせる各国のマーチも健在。
今回もノリノリになってしまうことは間違いないじゃろう。
そして映像のクオリティも当然のように高く……これは確かに劇場だからこそのクオリティや味わいに満ちておる。
例えば爆音を鳴らして走り出す戦車によって舞い上がる石や粉じんたちの動き1つとっても、かなり工夫されておる。
他にもロングスカートに隠れたキャラクターの足の動き、一人称時の迫力のある映像と酔わないように短く収める技術、アンチョビのコールの中での動きなどなど、細かいところにも可愛らしさや工夫、こだわりを見せておる。」
カエル「なんで本作が約50分×6話という、明らかにテレビシリーズと同じような癪なのに劇場で公開するのか? という問いに対して完璧な回答をしているよね。
一度テレビで放送してしまうと、劇場でかけるのはかなり難しくなってしまう。
だからちょっと文句はあるかもしれないけれど、劇場で公開して圧倒的な音などを体験してほしい! という制作側のメッセージもダイレクトに伝わってきたよ」
亀「先にも述べたように今作は『映画』としての評価はできん。
じゃがの『アニメ』としてはとてもレベルが高いし、そして劇場で見る意義に溢れている作品と言えるの」
本作のキャラクター構成について
亀「ガルパンがなぜここまで大ヒットしたのか? ということは、兵器と美少女という組み合わせが受けたことがまず第一に大きいじゃろう。
簡単に言えばギャップ萌えじゃな。
それを活かすために設定自体も工夫を凝らしているが、正直に言えばガバガバな設定である。
なぜ戦車が壊れないのか?
あれだけ街を破壊しても問題ないのか?
戦車道のお金はどこから発生するのか?
一応の設定はあるものの、現実味があるわけではない。だが、それで良し! としてしまう力強さがある」
カエル「その設定の整合性をある程度放棄しても表現したかったもの……それが『戦車』と『キャラクター表現』だね。
申し訳ないけれど、兵器に関しては全くの無知であり、軽自動車は全て同じに見えてしまうため、語るのは他の方にお任せして……キャラクター表現について考えていきます」
亀「本作においてわしが驚愕したのが、これだけ多くの人数がおりながらも、ワチャワチャさせるだけでなく、ちゃんと交通整理をして物語を作っていることじゃな。
つまり、安易にキャラクターを多く出すのではなく、基本的にはアンコウさんチームとサメさんチーム、そして旧生徒会メンバーがこの作品の物語を構成している。それに敵役のBC自由学園も含めての。
もちろん、ここでキャラクターを制限することによって話がワチャワチャになるのを防ぎながらも、お約束の流れを描いて見せたこと、これ自体も構成がうまいのじゃが……主人公であるアンコウさんチームや今作で重要な意味を持つ前生徒会メンバーはともかく、なぜBC自由学園やサメさんチームを出したのか? ということが重要なのじゃ」
本作が描こうとしているものは?
カエル「もちろん、まだ第1章だから後々多いく外れるかもしれないけれど、おそらくこのような形だろう、という予想になります」
亀「今作の新キャラクター、サメさんチームは学校でも下の階層にいる、いわゆる落ちこぼれじゃろう。もちろん、桃も……まあ、あんな感じなわけじゃ。
そしてBC自由学園も2つの派閥に分かれておる。
ではBC自由学園について考えていくと……この学校はフランスがモチーフになっておる。BCのリーダーのマリーはそのままマリーアントワネットをモデルにしており、ケーキを食べるのは『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』という有名な言葉からじゃろう。
ここで重要なのは……『フランス』ということじゃ」
カエル「フランスであることが重要なの?」
亀「というよりは、ヨーロッパであることじゃな。
今作の2つの派閥のうちの一つ、浅黒い肌の安藤が率いるのは受験戦争を勝ち抜いた編入組であり、押田が率いるのがエスカレーター組である。
これはそのまま、今のヨーロッパの移民政策による、古くからフランスに暮らす白人系と移民してきた中東系の対立であり、それがBC自由学園として表現されておるわけじゃな」
カエル「ふむふむ……」
亀「そしてここでもう1度本作のポスターを見て欲しい」
亀「ここで重要なのは前面にいるのがアンコウさんチームではなく、旧生徒会だということじゃ。
つまり、本作で語るべきは西住殿たちではないということでもある。
この意味を考えていくと……おそらく、本作は『落ちこぼれた者たちの物語』をやるつもりなのではないかの?」
カエル「前作で西住みほの物語は終わってしまっているわけだしねぇ」
亀「だからこそ学園の中でヤンキー的な役割であり、下層にいるサメさんチームの面々であったり、桃の問題や連携のとれていないBC自由学園があれほどまでにピックアップされていたのではないか?
そしてその物語がどこに着地するのか……それを楽しみにしていきたいの」
最後に
カエル「それから、今回は尺も限られている中でもファンを喜ばせる構成をしていたよね。
これだけの短い尺の中で、重要なキャラクターなどをほとんど出演させてオールスターだったし、お約束もきちんと踏襲していて、満足感も高い!」
亀「初見だと『なんでこんなに多くのキャラクターが?』と思うこともあるかもしれんがの」
カエル「今回、ファンばかりの劇場内でも終わった直後に『最高かよ』って声がたくさん響いていたんだよね。
それだけ多くの人が待ち望んだ新作だし、次回予告がなかったことが残念ではあるけれど、早く公開してほしいね」
亀「今回は1章のみということで若干短い記事になってしまったが、今後公開していくにつれて追記などをして増やしていく方針じゃ。数年間にわたるお祭りを、ぜひみんなで楽しんでいきたいの」
カエル「ではみなさんご一緒に。
『パンツァー・フォー!!!』」