ディズニーの人気アニメーション映画、シュガーラッシュ続編が公開です!
あんなゲームセンター欲しいよなぁ
カエルくん(以下カエル)
「あのゲームセンターってレトロゲームを愛する人たちにとっては夢のような場所だよね。
それにしても経営状況は謎だけれど、店主がおじいちゃんだから道楽もかねて経営できているのかぁ?」
主
「レトロゲームはなくなる一方だし、どこかで1カ所に集める記念館みたいな施設が公的に必要かも」
カエル「歴史的価値がどんどん増していくと思うし、ゲームは今や世界的で人気の高い娯楽であり、日本が誇る大人気コンテンツもたくさんあるから、今から保存しようという動きを公的機関がしてもいいかもね。
もしかしたらそういう動きもあるのかな?」
主「ゲームを取り巻く状況は刻一刻と変化していて、昔は通信ケーブルで対戦などをしていたのに、今やオンライン対戦は当たり前の時代に。
いまだにPS3が家にある最新ハードの自分はすっかり取り残された気分ですよ」
カエル「……いや、PS3ってまだまだ現役だしオンライン対応だから取り残されている感が伝わりにくいような……
とにかく、シュガーラッシュオンラインの感想記事を始めましょう!」
感想
では、Twitterの短評からスタートです!
#シュガーラッシュオンライン
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年12月21日
言いたいことはないでもないがディズニーらしくうまくまとまった作品!
迷いなく良作以上の評価ができる、万人向けの作品だった
特に近年のディズニー映画を追いかけてきた人にとってはたまらない描写も多い
ヴァネロペかわいい!https://t.co/YeaWdj5CRl via @eigacom
ディズニーらしい、万人に向けられたお正月に家族で観るのにふさわしい映画!
カエル「うちはディズニーに対してはちょっと当たりが厳しいところがあるけれど、その視点で見ても絶賛なの?」
主「そもそも、ディズニーやその傘下にあるピクサーは今や世界一の物語創作集団である。
ディズニー作品としては普通という評価だとしても、他の映画と比べると良作と考えていい。
そして本作は……物語の展開などで甘いところがないわけではないけれど、でも多くの人が見ても良作以上の評価や満足度を得られる作品に仕上がっているんじゃないかな」
カエル「特に近年のディズニーが製作した作品……それもアニメーション映画だけではなくて、マーベルやスターウォーズも含めて追いかけてきた人にはたまらないシーンもあるよね。
予告にもあるけれど、今回はディズニーファンに向けた楽しめる要素もたくさんあります!」
主「かといってファン以外は楽しめないかというと、そんなことはない……と思う。
その要素はあくまでもおまけだし……あとは、これはちょっと偏見な部分もあるけれど、今の日本でディズニーに全く触れてこなかった人っていないと思うんだよね。
最近の作品は知らなくても『白雪姫』『シンデレラ』『アラジン』も観たことがない人はそこまで多くないと思うし、そもそもそういう人は本作を観に行かないだろうし。
ディズニーというブランドはそれだけ多くの影響力があるという証明にもなったんじゃないかなぁ?」
カエル「対抗できるとしたら……それこそ任天堂くらいなのかな?
任天堂には映画やテーマパークを作って欲しいなぁ……という話をするとずれてしまうので、ここで次の話題に行きましょう!
あ、あと今作は最後の最後まで席を立たないでください!」
前作から見えてくるディズニーの可能性
少し前作のシュガーラッシュについて語ろうか
大好きな作品だけれど、同時にディズニーの長所と短所が見えてくる作品だな
カエル「まずはその長所というと?」
主「主に以下の2点がある」
- ディズニーの映像表現の着目点とレベルの高さ
- ヴァネロペが広げた可能性
主「シュガーラッシュはご存知の方も多いように、既存のゲーム作品が多く登場する作品でもある。日本でも馴染みがあるところだと『パックマン』『ストリートファイターシリーズ』『ソニック』などをはじめ、新旧の人気キャラクターが多く登場する。
そしてその動きも現代的な作品は滑らかで頭身が高く、レトロな作品は頭身が低く、少しカクカクした動きになるように描かれている」
カエル「それで時代性や懐かしさを感じるもんね」
主「CGキャラクターのもつポリゴン感というか、硬質感をゲームのキャラクターを登場人物にすることでカバーしているわけで、これは面白い。
そしてヴァネロペの可愛らしさ!
自分は近年のディズニーヒロインの中では1番好きだなぁ」
カエル「ディズニーのヒロイン(プリンセス)というと、ちょっとおてんばなところがあったとしてもいい子だったりする印象があるけれど、ヴァネロペは生粋のいたずらっっ子だけれど、憎めない可愛らしさがあったりして!」
主「今作を観ても思ったけれど、やっぱり悪女ってわけではないけれど、性格がちょっと悪いよね。
でもそれがいたずらっ子好きの自分の好みに合致した。
どうしても万人向けにするために”いい子の物語”になりがちなところがあるディズニーだけれど、プリンセスとしての新しい可能性を切り開いたんじゃないかな?」
前作が示すディズニーの限界
ちょっと前作のネタバレにもなるかなぁ
前作は物語に大きな問題がある
カエル「前にフィルマークスの方でも書いたけれど、ラルフという悪役を主人公にしたことによって生まれるはずのテーマを、自分で全否定してしまったところだよね?」
主「そう。
シュガーラッシュという作品は”悪役にも居場所がある”というテーマを内包している作品であり、だからこそラルフが主人公になっている。
だけれど、前作ではバグに相当するモンスターのようなキャラクターだったり、あるいは物語の悪役が出てくるけれど、彼らに対する慈悲や優しい視線は一切なく、ただ単に否定して悪役にして倒されるべき存在にしてしまっているんだ。
その結果”悪役にも居場所を(ただし状況による)”という注釈がついてしまい、それが大きな引っかかりとなった」
カエル「う〜ん……物語しては盛り上がるし、伏線の引き方や回収もうまかったんだけれどね」
主「それと色々と政治的な発言が気になった。
例えばシュガーラッシュの王様を決めるのを「民主主義にしよう」というのはアメリカ的ではあるけれど、あのゲームの世界ならば「レースの勝者にして毎日交代!」などでもいいはずじゃない。
あとは暴力的なゲームに対する批判もあって、それは意義としてはわかるけれど、ゲームをテーマにして一部の作品を除外するというのはどうなんだろうね?
ただのテイストの違いとも言えるのでは?」
カエル「色々と考えてしまうのね……」
主「自分がディズニーに対して相容れない部分はこの手の部分。
例えばさ、マーベル映画って”過去に過ちを犯してもやり直せる”というテーマがあると言われているけれど、ディズニーやマーベル映画に大きな貢献をした監督を過去の問題のあるTweetのせいで追放するようなことをしているわけじゃない?
日本の本音と建前の文化ではないけれど、結局物語のテーマやメッセージを本気で信じているとは思えない。ただ”売れるから”そのテーマを入れています、という風にしか見えない時もある」
カエル「世界的大企業だからこそ、色々なしがらみなどもあるのは理解するけれどねぇ」
吹き替え版の声優について
今回は吹き替え版で鑑賞したので、声優についても語りましょう!
前作に引き続き、一流声優陣が揃っています!
カエル「まずはラルフ役の山寺宏一だけれど、この手の役でも抜群にうまくて安定感もあるし、もう何も語ることがない!
ラルフのもつ悲しさや楽しさ、それにコメディの部分もしっかりと演じており、まさにディズニーに欠かせない声優としての存在感を発揮しています!」
主「ちょっと話が逸れるようだけれど、ディズニーランドやシーに行くと声オタとしては、各アトラクションでの山寺宏一が担当している確率があまりにも高すぎて笑ってしまうほど。
途中から隠れミッキーならぬ、隠れ山寺を探せ! 状態だったよ」
カエル「別に隠れているわけではないと思うけれど……
そしてヴァネロペを演じるのは、若干19歳の天才女優、諸星すみれです!」
主「自分は子役の演技は苦手なんだけれど、前作から全く違和感がなかったんだよねぇ。しかもまだ若いのに芸歴も長く、現場の数も踏んでいるし、今の10代の声優ではNo1の評価になるでしょう。
今作では歌もあり、見所も多いけれど、ヴァネロペの魅力の半分は彼女の演技にあると言っても過言ではないのでは?」
カエル「10代で第一線で活躍する声優なんて本当に限られているけれどね。
そして今作の芸能人声優の菜々緒は?」
主「う〜ん……ディズニーが選ぶ芸能人声優は基本的に外れない印象があるけれど、今作もそれは健在。
ただし、主演の2人がとてつもなくうまいし、アニメでも多くの演技を披露している声優がアニメーション用の演技を披露しているから、どうしても芸能人声優は浮いてしまうところがある。
歌もうまいし、演技も悪くないけれど、相手が悪かった……どうしても今作では山ちゃんと諸星すみれと比較されてしまう立ち位置だからねぇ」
カエル「あとは森三中やHIKAKINも声優を勤めることが話題だけれど……」
主「前作もそうだけれど、森三中などの芸人勢は言われないと気がつかないんじゃないかな?
HIKAKINはベストな人選だったし、彼らしい役所だったし、全く違和感ないです。
吹き替え版、良かったですよ。
オススメです」
以下ネタバレあり
作品考察
展開としては若干……
ではここからはネタバレありだけれど、最初に言いたいことがあるというのは?
物語の展開をしては、ちょっと思うところもあったかなぁ
カエル「荒い印象があったの?」
主「なんというか、物語が1つの軸に沿って動いていないのが気になった。
本作では目的としてはシュガーラッシュゲームの筐体の壊れたハンドルを取り戻す! という物語になっている。その合間に、もう1つの重要なテーマを入れているんだよ。
だけれど、途中から壊れたハンドルを取り戻すというのが最終目標ではなくなってしまったのが気になった。
そこが原因で、若干散漫な脚本になってしまった印象があるかな」
カエル「う〜ん……あんまり気にならないって意見も多そうだけれどね」
主「例えば、終盤においては”ハンドルを取り戻してシュガーラッシュのゲームを救う”という目的は達成しているわけ。ということは、もうそこで物語は終わってしまう。
だけれどもう1つの問題が発生し、そちらがラストに繋がっていくんだけれど、それはテーマとしてはものすごく大事なんだけれど、当初の目的からするとオマケ感が出てしまう。
あの展開だと”ヴァネロペはシュガーラッシュのゲームはどうでもいいのか?”という風にも見えてしまうリスクは抱えているんじゃないかな?」
シュガーラッシュ2が表現したテーマ
そのリスクを抱えても表現した、シュガーラッシュのテーマってなんなの?
”自分の居場所”と”子離れ”だよね
カエル「前作ではラルフが”俺の居場所はこのゲームだ!”と見つけて、悪役としての役割を徹することを見つけて終わるけれど、今作ではヴァネロペがそのテーマを抱えるわけだね」
主「この辺りは上手いよなぁ。
オンラインを単なる技術の変化にすることなく”新しい居場所”ということにすることで、新たなテーマ性を獲得している。
今いる環境で自分の大事な役割を見つける、ということを描いた前作といい対比になっているわけだ」
カエル「そしてもう1つのテーマが子離れということだけれど、ラルフとヴァネロペは親友だよね?」
主「とは言っても、今作では”親子”を連想させるシーンが多い。
自分はTapperの酒場でフェリックスと2人で交わす会話がすごく好きなんだけれど、あれは子供をもつ親の悩みを吐露するシーンだよね。
フィリックスは新たな子供に対する子育てに悩み、ラルフは思春期の年頃の娘の扱いに迷うシーンでもある。
もうラルフとヴァネロペは親友ではなくて、単なる親子関係だよ」
カエル「途中からは保守的なお父さんと、それに反発する娘だもんね……」
主「ヴァネロペは一応シュガーラッシュのゲームのヒロインだから、その立場を考えるとあの選択は自分勝手なようにも思えるけれど、自分を縛り付ける場所から新しい場所へ移動するということを描いたと考えると、納得がいく。そもそも、まだ子供だしさ。
ラルフは自分の中にある”いつまでもヴァネロペ(娘)と一緒にいたい”という感情が暴走して、あのような終盤を迎えてしまった。
そこを考えると、自分と向き合いヴァネロペ(娘)からの離れるという子離れの話でもあり、大人向けのテーマも内包しているわけだ」
カエル「今作は
- ヴァネロペ……新たなる場所の発見(子供向けのテーマ)
- ラルフ……娘との別れ、子離れ(大人向けのテーマ)
になっているわけだね」
ディズニープリンセスが総出演した理由の考察
今作は多くのディズニープリンセスが登場して、そこも大きな見所だったよね!
その理由についてちょっと考えてみようか
カエル「ディズニープリンセスが多く登場した理由?」
主「しかし、ギャグも含んでいるとはいえ、ああやってみると中々過激な運命を克服してきたプリンセスばかりだよなぁ。
予告の段階から思っていたけれど、自分のガラスの靴を割って武器にするシンデレラなんて、ただのヤンキー娘じゃない?
あんな不良みたいな子だっけ?
まあ、それはそれとしてさ、今作はディズニープリンセスが総登場した意味があるよね」
カエル「ヴァネロペが他のディズニープリンセスとは、毛色が違うというのも関係しているの?」
主「それも理由としてはあるかなぁ。
本作は”自分自身と向き合う”というのがテーマとしてあるわけ。
ヴァネロペは泉に顔を写して自分のやりたいことと向き合い、ラルフは自分の感情と向き合う。
そして、ディズニーは大きなテーマとして”ディズニープリンセスとは何か?”という問題と向き合うわけだ」
カエル「ディズニープリンセスとは何か……」
主「自分は大好きなシーンで、ヴァネロペが自分のやりたいことを見つけるミュージカルシーンがあるけれど、その背景は荒廃している社会だ。
危険性も大きいけれど、そこでしか味わえない幸福もある。
アラジンなどの過去のミュージカルシーンをモチーフにしているところもあったけれど、あれは”こういう形のディズニープリンセスもありでしょ?”ということを描いている」
カエル「ちょっと悪い、ディズニープリンセスぽくないヴァネロペだからこそのディズニープリンセス像だね」
主「そして本作の最大の特徴は終盤にある。
大きなピンチを迎えるラルフを歴代のプリンセスが助けるシーンがあるけれど、そこれはまるでラルフがディズニープリンセスのような扱いを受ける。これは今放送中のHUGっとプリキュアと同じように『男の子だってプリンセスになれる!』ということを描いている。
本来は汗臭くて決してイケメンではない悪役で壊すのが得意なラルフでもディズニープリンセスに(一時的にではあるけれど)なれるということを描く、ポリコレ配慮描写だ」
カエル「……なんかポリコレ配慮描写というと、ちょっと嫌味が混じっているようにも聞こえるけれど……」
主「いやいやいや、褒めてますよ?
今作は”悪役”であるラルフと、”プリンセスっぽくない”ヴァネロペだからこそできる、ディズニープリンセスの可能性を広げる作品になっている。
そしてそれは本作のテーマである”自分自身と見つめ直そう”ということ一致し、ディズニーが向き合った描写とも言えるわけだ。
ディズニーの思いがこもったお話だったね」
まとめ
ではこの記事のまとめです
- シュガーラッシュの続編らしい、ゲームを中心とした楽しい作品!
- 一部の展開には不満があるものの、テーマがいい!
- 自分自身を見つめ直そうというテーマにディズニー自身が向き合った!
続編、多分あるんだろうなぁ
カエル「あれだとちょっとビターな終わり方だけれど、ぜひ続編を作って欲しいね」
主「次があるとしたらあのゲームセンターが倒産するのか、もしくはヴァネロペが恋人をラルフの元へ連れてくるのか……いや、最近はディズニープリンセスが恋愛する描写は避けつつあるから、ないのかな?
でもいくらでも物語の可能性が広がりそうだったし、また楽しみにしていきたいね」
画「シュガー・ラッシュ:オンライン」の感想 #シュガラお題