それでは、今回は”イルミネーション・エンターテイメント”の新作であるペット2の記事になります!
日本でもそこそこヒットした作品の続編じゃな
カエルくん(以下カエル)
「ディズニー/ピクサーの次に勢いを感じさせるアメリカのアニメーション制作スタジオだね。なんだかんだで毎年1作、2作くらいコンスタントに公開しているし、日本でもそこそこのヒットを記録しています」
亀爺(以下亀)
「ミニオンは2010年ぐらいに誕生したマスコットキャラクターの中では世界的にTOPの知名度と人気を誇るじゃろうしの。
全体の完成度ではディズニーなどに劣るかもしれんが、ちょい悪な主人公やキャラクター、物語が魅力のスタジオじゃな」
カエル「実は印象としては個人的にはディズニー/ピクサー作品よりも好きな作品が多いんだよね。影響力や映像表現の力では比較にならないのはわかっているけれど……これはイルミネーション・エンターテイメントがダメだという話ではなくて、それだけディズニー/ピクサーが技術的に抜けているということなんだけれど、アニメーションとしての楽しさがあるというか……」
亀「今作のペットの前作はそこまででもないが、その続編が大好きな作品になるといいの
ちなみに言っておくと、わしらはペットではないぞ。むしろわしらが人間を使役している側であり……」
カエル「はいはい、めんどくさい設定のお話はここまでにして、記事をスタートさせましょう!」
作品紹介・あらすじ
世界的に人気を集める『ミニオンズ』などを製作しているイルミネーション・エンターテイメントの新作作品。飼い主がいない間のペットたちの自由気ままな生活を描いた『ペット』の続編。
監督は前作の『ペット』と同じクリス・ルノーがそのまま続投。ジョナサン・デル・バルと共同で監督を務める。脚本も前作と変わらずにブライアン・リンチが担当する。
日本語吹き替え版声優にはバナナマンの設楽統、日村勇紀が主人公マックスとその親友のデュークを担当するほか、佐藤栞里、内藤剛志、永作博美、沢城みゆき、中尾隆聖、宮野真守、梶裕貴などが吹き替えを担当する。
犬のマックスは親友のデュークと共に飼い主のケイティと幸せに暮らしていたある日、ケイティがある男性と知り合い結婚、子供が誕生する。最初は子供の存在を疎ましく思っていたマックスだったが交流を深めていくうちに『大好き』と言われて、何よりも大切な存在になる。そしてマックスは時には親代わりとして成長を見守る役割を果たしてきた。
そんなある日、キャンプに出かけて行ったマックス。しかしその裏では同じマンションに暮らしているウサギのスノーボールなどが大騒動を繰り広げているのだった……
感想
では、Twitterの短評からスタートです!
#ペット2
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年7月26日
やっぱりイルミネーション、物語が粗い! もっと改善できるはず…
でもやっぱり面白いのよ〜!
特に今作は1作目で観たかった「飼い主不在時のペットの様子」がたくさんあるしキャラクターが最高に面白い!
映像面もパワーアップで自由に遊びまわっておりますますスタジオへの期待値上昇中! pic.twitter.com/8WS7JxauYC
これはやっぱりイルミネーションらしさを十分に感じさせる作品じゃの
カエル「粗がものすごく大きくて、その辺りの詰めの弱さやユルユル具合は”ああ、イルミネーションだなぁ”と思うんだけれど、なぜか微笑ましく見れるんだよね。
じゃあ全体的な満足度は低いのか? と言うと、決してそうでもなくて!」
亀「アニメーションというのは本来もっと自由であるべき、というのはいつも語っておることではあるが、本作もまたその自由なアニメーションを体現する作品の1つになったかもしれん。
言ってしまえばそこまで特別なことはしていないのかもしれんが、物語としての快楽性の高さ、動きや表現の見事な力などが伝わってきた作品じゃの」
カエル「今作の場合は、魅力として多くの人にオススメしたい部分と、欠点としてどうだろうなぁ? と思う部分がはっきりとしているよね」
亀「そうじゃの。その意味では全体の完成度としてはそこまで評価は高くない……むしろ、低いと言ってもいいかもしれん。
ただし飛び抜けた魅力があり、その欠点をカバーしている部分もあるからの。
それを考えると……加点法では80点、減点法では40点、平均して大体60点くらいの作品と言えるかもしれん。
”映画を観るぞ!”と力を入れて観にいくような作品でもないが、それこそ大人から子供まで楽しむことができるポップコーンムービーとして、この手の作品は愛されるであろうし、大事な存在といえるのではないじゃろうか?」
本作品の長所① キャラクター描写
では、本作の長所について語っていきましょう!
何と言ってもキャラクター描写が見事じゃな
カエル「イルミネーションはまず、キャラクターを魅力的に魅せる、あるいは動かすことを大事にしているんだよね。
以前に『グリンチ』の際に先に声優陣のレコーディングを行った後で、アニメーターが動きを作り上げる、いわゆるプレスコ方式であることを明かしていたけれど、今作も同じような作り方をしているんじゃないかな?」
亀「今のアメリカではプレスコ方式が一般的であるが、今作の場合もそのような作り方をしておるのじゃろうな。
まあ、ワシは吹き替え版を鑑賞しておるので、その言語版の味というのはよくわからないのであるが……ここに関しては日本の吹き替え文化の強みというのも感じられるの」
カエル「もちろん主人公のマックスの吹き替えを担当したバナナマンの設楽なども悪くはないんだけれど、何と言ってもスノーボールだよねぇ。中尾隆聖の計算とベテランならではの破天荒とも言える演技が、また彼の魅力を引き立てていて!」
亀「イルミネーションの魅力の1つが”悪い子たちの物語”というところじゃ。
ミニオンが登場する作品群の主人公である怪盗グルーであったり、『SHIG』もまた欲が深い主人公であり、どの作品も悪戯好きなど笑える範囲で悪い子が主役だったりするの。
本作もまたその面白さが発揮されており……特にスノーボールが本作の魅力の核になるのではないじゃろうか?」
カエル「他にもギジェットの少し計算高い女の子っぷりなんかも、他のアニメーション作品ではなかなか見ることができないから面白いよね」
亀「一方で……ちょっとだけ苦言を呈するならば、イルミネーション作品全体に言えることかもしれんが、主人公の魅力が弱いかの。
今作でもマックスがもう少し魅力を出せるといいのじゃが、単なる”ご主人様大好き犬”におわってしまった印象じゃな」
本作品の長所② 映像美が素晴らしい!
あれ、イルミネーションってこんなに映像が素晴らしかったっけ? と思うほどの映像美が楽しめます!
競合達が美麗な映像を作る中、決して劣っているとは言えないの
カエル「今作では特に注目して欲しいのはペット達のフワフワの毛並み!
いやー、本当に美しくてびっくりしたよねぇ。もちろんディズニー/ピクサーの作品に見慣れているし、最近では日本の手書き表現でも美麗な作品は増えているからハードルは上がっているのに、今作も全く劣っていない!」
亀「他にもエフェクトなども素晴らしく、見ごたえがあったの。
このあたりも『怪盗グルーの月泥棒』などの時代と比べると雲泥の差になっておる。きちんと3DCGアニメーションで映画館にお客さんを呼ぶということについて、いろいろと考えておるの」
カエル「そして何よりも注目して欲しいのは、自由なアニメーション表現です!
ちょっとCGっぽくないような表現もあったりするんだけれど、それがまたキャラクターの魅力を引き出していたよね」
亀「このあたりは”ちょい悪”なイルミネーションだからこそできる表現かもしれん。これが真面目でシリアスな作品であれば、あのような表現は浮くかもしれんが、徹底的に”面白い映像を作る”ことに終始しておったの。
遊び心が豊富なスタジオだけに、あのような表現をより多く見て見たいの」
本作品の長所③ ペットと飼い主の絆!
あとはやっぱりペットと飼い主の関係性や絆というものに涙が出てくる人も多いのではないでしょうか?
メインテーマとしては弱い部分もあるが、やはりグラっと心が揺れるものがあるの
カエル「マックスも最初は子供が嫌いだったんだけれど、飼い主のケイティに赤ちゃんが生まれて”この子を守るのが僕の使命だ!”と変化していく姿とか、スノーボールの飼い主との絆なんていうのも、1を見ているとグッとくるものがあるのではないでしょうか?」
亀「予告でもあったが『僕のワンダフルライフ』などのような、人間とペットの絆を描いた感動作というのは多くの人に届くやすい。
今作もそこはきっちりと抑えておる……ものの、まあ、それがメインテーマなのかはかなり疑問ではあるが、それでも感慨深い方も多いのではないかの?」
カエル「なんていうか……ペット1の予告の時に見たかったのがこの作品だったんだよね。
1は飼い主がいない時にドタバタコメディーだと思ったら、ちゃんとした冒険物になっていたから……そこが違和感があったけれど、今作のような作品が本当にこの作品に望んでいた姿だね」
本作品の欠点 物語の粗が多すぎる!
じゃあ逆に欠点は? というと……これも誰がも第1に挙げるであろう点がここだね
あまりにも物語の粗が多すぎるの
カエル「粗というかなんというか……かなりの強引さにちょっと笑うしかないというかね。
主人公はマックスのはずなんだけれど、途中はかなり空気になってしまって全く活躍しないシーンも出てきてしまう有様だったし……」
亀「この作品は主に主人公マックス、スノーボール、ギジェット、デイジーの4匹のお話が交互に発生するのではあるが、それがうまく有機的最後に絡みついたとは一切思えない。
むしろバラバラになってしまったことによって、それぞれの物語の面白さや魅力、伏線などを消してしまっている印象じゃったの」
カエル「マックスの中盤の話とか、生まれた赤ちゃんとの絆とか、そういうのを全て置いてけぼりにされた部分もあったもんね……」
亀「伏線を引きながらもそれを回収しないというのはなかなか斬新なようでもあるが、単純に物語の作り方があまりうまくはない印象じゃった。スタートから目標が明かされず、中盤以降の展開で急に設定されてはいるものの、そこに対して観客としてあまり乗れなかった部分があるの。
まあ、この物語の粗さはイルミネーション作品に共通するものであり、すごくわかりやすい欠点でもあるんじゃが……その不器用さが売りでもあるから、なんとも言えない問題じゃな」
あの名作を意識している?
では、最後に比較したい映画と一緒に語ります
やはり”トイストーリー”との関連性かの
カエル「”普段とは違う姿を見せる、人間(飼い主、持ち主)のいない時の姿を描く”という基本コンセプトは似ているのかな。
あとはトイストーリー2も結構ウッディ以外のキャラクターにもピックアップした物語だしね」
亀「あの車を運転するシーンなどはトイストーリー2を意識しているようにも感じられた。
まあ、それも含めて偶然の可能性も大いにあるし、完成度では雲泥の差ではあるが……しかし、このような作品があってもいいのではないかの?」
カエル「それこそ『トイストーリー4』とはラストの結末も含めて、真逆と言ってもいいのかもしれないね」
亀「物語そのものには、そこまで取り立てて珍しい、あるいは現代的なテーマというものはないのかもしれん。
その点ディズニー/ピクサーは極めて進歩的なスタジオだということもできる。
しかし、今作のような……王道というか、ある種のおきまりのパターンであり”人間と飼い主の絆”などを強調する映画というのも必要だと思う。
何でもかんでも進歩的すぎると、人間はそこまで進歩的な生き物だったのか? という疑念も生まれてくるし、進歩的であること、その意識の高さに疲れてくるものじゃしの」
カエル「う〜ん……その疑念はともかくとして、この物語は悪く言えば工夫があまりないのかもしれないけれど、あのラストは多くの人に届くんじゃないかな」
亀「物語に粗があるとはいえ、キャラクターは生き生きとしており見ごたえは抜群じゃ。
近年頭角を現してきたスタジオのアニメーションらしさを発揮した、面白い作品に仕上がっているの」
まとめ
では、この記事のまとめです
- キャラクターたちの躍動感のある魅力に惚れ惚れする!
- 映像も美しく、ペットたちの愛らしさなども強調されている!
- ただし、物語に粗が多すぎて指摘することが難しいくらい!
- でもこういう映画も必要だよね
イルミネーションの魅力がたくさん詰まった映画になっておる
カエル「全体的な満足度は実は結構高くて……なんていうか、うまさがあまりないからこそ可愛いみたいなところもあるのかなぁ」
亀「わしなどは『トイストーリー』は面白さ以前に巧さが先行してしまい、そこに注目ばかりしてしまい、あまりハマることができなかったからの。巧すぎるというのも、実はあまり可愛げがないものなのかもしれん。
やはりわしは完成度では雲泥の差があるとはいえ、ディズニー/ピクサーよりもイルミネーションの方が好きじゃな」
カエル「魅力的な悪い子たちの世界をぜひ楽しんでください!」