物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『インクレディブル・ファミリー』ネタバレ感想&評価! 14年の時を経て、現代の物語へ!(インクレディブル2)

 

 

夏の大作シーズンの到来です!

 

まずはピクサー作品か始めようか

 

カエルくん(以下カエル)

「特に今月は様々なアニメ映画が公開されるために、楽しみである以上に大変な一月です!」

 

「今年の夏は大作多いからねぇ。特に続編ものが多く並ぶし」

 

カエル「実写映画も含めて映画が賑わってほしいし、ブロガーとしてはここが1年で1番アクセス数が増える時期だから気合い入れないとね!」

主「では、まずはスタートに『インクレディブル ・ファミリー』の感想から始めていきましょう」

 

 

作品紹介・あらすじ

 

 2004年に公開された『Mr,インクレディブル』を14年ぶりの続編作品。前作のラストの直後から物語はスタートする。

 ブラッド・バード監督が前作に続いて監督・脚本を手がけており、主要キャストも引き続き続投。日本語吹き替え版も三浦友和、黒木瞳、綾瀬はるかなどの多くのキャストが続投している。

 

 スーパーパワーを使ってヒーロー活動をすることが違法となった社会で、再びヒーローとして活躍することを決めたボブ。そんな彼らの元に再びヒーロー活動を合法化しよう! という話が舞い込む。

 その足がかりとして指名されたのは母ヘレンであり、彼女がヒーロー活動をしている間は、父親のボブが家事や育児を担当することに。

 そんな中、新たな敵も現れて…

 

 

 

 

感想 

 

では、Twitterの短評からスタートです!

 

 

 

悪くはない作品です

 

 

カエル「最近はそれで誤魔化してない?

 うちはディズニー/ピクサー作品に対して辛口なところがあるので、世間的には評価は高くなるのではないでしょうか?

主「もともとディズニー/ピクサーに対して恨みがあるわけでもなく、その物語を作り出すセンスと描いていることの先進性はもちろん認めているけれどね。

 世界一の、天才たちが集まった企業だし、満足度が非常に高い作品を量産し続けているのも納得する。前作は2004年に制作されているけれど、その続編にあたる本作は現代の物語として完成されているのも事実」

 

カエル「これは仕方ない話でもあって、前作は当時も素晴らしい映像だったけれど、今見返すとちょっと物足りない部分があるのも事実だからね。

 まあ、10年以上も前の作品だからさ、それは当然の話なんだけれど」

主「その点もそうだし、現代でこの物語を作る意義もある。

 とても道徳的な物語であり、家族で観てもなんの違和感もないだろうし、ファミリー映画としての誰もがオススメする作品だよ。

 でもなぁ……それが気に食わない所もあるんだな

 

 

 

前作の簡単な紹介

 

カエル「では、前作を見たことがない! という人もいるでしょうから、簡単に紹介と感想を蚊行きましょう!」

主「ピクサー作品ということもあって、子供向けの作品と思われているだろうし、それはそれで間違いではないけれど……でも自分はむしろ、大人向けの要素を多く備えた作品だと考えている。

 今作最大の特徴は『ヒーロー=犯罪者』という視点だ。

 世界を救うために活躍するヒーローのせいで、被害は拡大する一方になる。

 むしろ賠償責任問題などもあり、いっその事ヒーローは禁止してしまおう! という世の中だ」

 

カエル「しかもそれが、開始10分くらいでさらりと出てくるんだよねぇ。あれはちょっと急すぎて衝撃だったなぁ」

主「自分が大好きなシーンは、ヒーローが禁止になって一般の保険の営業として働くインクレディブル(ボブ)が、親友の黒人であるフロゾンとボーリングに行くシーン。

 実はボーリングとは名ばかりで、過去の栄光にすがるように車の中で会話をして、警察の無線を傍受して、勝手に違法行為のヒーローを行うというシーンがあるけれど……そこは世間の疲れ果てた大人のようで、とても哀愁が漂っていて好きなんだ

 

カエル「前作っておくさんとの会話なども、まるで実写を見ているような気分になって……吹き替え版で見たけれど、三浦友和がまた落ちぶれたおっさんの声を見事に演じていて、なんか悲しくなるんだよねぇ」

主「そんな社会から邪険にされているおじさんが、再び家族と活躍するお話であり、今作の直前までを描いているので、ぜひ鑑賞してください」

 

 

 

 

前作からの変化

 

前作を見ていない人に簡単に説明しようか

 

う~ん……かなり多くのことが変わっているからなぁ

 

 

カエル「あんまりネタバレしない程度に語ると、よりファミリー向けに誰でもオススメできる作品になっているということだけれど……

主「これは勝手なイメージ語るけれど、ほぼ同じ会社になってしまったディズニーとピクサーの違いはどこにあるの? と聞かれたら、自分はディズニーは少女向けを意識していて、ピクサーは少年向けを意識しているようにも感じる。

 特に本作はそうでさ、序盤なんて特にワクワクした。

 もともと変身ヒーローものということもあるけれど、男の子が大好きなガジェットなどもたくさん出てくるし、誰でもワクワクする物語に仕上がっているよ

 

カエル「ふむふむ……でも、それでも変化したこともあるんだよね」

主「詳しくはネタバレありのパートで語るけれど、まあなんというか『ディズニーが関わるとこうなるよなぁ』という予想通りの作品に仕上がっていた。

 これもいつもいうけれど、ディズニー/ピクサー作品の技術はとても高いし、世界中で大ヒットするのもわかる。だけれど、その内容は……80点を超えてこない」

 

カエル「……それは誤解されそうなので補足すると、物語には100点か0点の賛否が吹き荒れる作品(例で言うとシンゴジラやエヴァなど)と、万人が60点~80点をつける作品がある、と言うことだね」

主「平均すると70点の作品でも、10人が70点をつけた作品と、7人が100点、3人が0点をつけた作品では全く違うわけ。

 そしてディズニー/ピクサーの作品は圧倒的に前者なわけ。

 自分にはそれがいい子ちゃんすぎるように感じたかなぁ」

 

 

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世界を守るために戦え! ヒーロー家族!

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

吹き替えキャストについて

 

今回は吹き替え版で鑑賞しました

 

14年の歴史をを感じる役者もいます

 

カエル「基本的には前作とあまり変わらないキャスト陣だったけれど、上手くなったなぁ……と思う人もいるよね。

 特にボブ役の三浦友和、ヴァイオレット役の綾瀬はるかは前作よりもとてもよかった!

主「流石に14年もすぎると全然違うねぇ。

 ただし、逆におや? と思ってしまったのは黒木瞳で、やはり声の加齢が隠せなくなってしまった。昔以上におばさん声で、ヘレンの年齢にはあっているのかもしれないけれど、どうしても見た目が若々しいから、それが違和感に繋がってしまったかな」

 

カエル「14年だからねぇ。今回は小林清志さんも降板されてしまっているし、やはり加齢によるものもあるのかなぁ……

 でも、今回はピクサー作品ということもあって、本職の声優と比べると……というシーンもないわけではないけれど、違和感はなかったよね

主「今回は山川穂高、中田翔、柳田悠岐などのパリーグの人気選手も声を当てているけれど、全く気がつかなかったほど。まあ、ほとんど唸り声だけとかなんだろうけれどさ。

 特にこだわりがなければ、上映回数が多い吹き替え版で鑑賞するのも面白いと思います

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

作品考察

 

大きな違和感

 

ここからはネタバレありになります

 

……結局、この話ってなんだったのかねぇ

 

カエル「大きな違和感ってなんだったの?」

主「……インクレディブル・ファミリーはいつからアベンジャーズの仲間入りをしたの?」

カエル「……あ~、まあ、特殊能力を使うスーパーヒーロー映画だとどうしてもそれを意識してしまうよねぇ」

 

主「本作には色々なヒーローがたくさん出てくるけれど、その多く既視感が半端ないんだよ。自分はそこまで詳しくないけれど、これはハルク、これはストレンジ、これはスカーレット・ウィッチ、これはフラッシュ……と既視感があった。

 もちろん前作から登場しているキャラクターもいるし、ありきたりな能力ばかりだからさ、あんまり責めるのもなんだけれど……どうしてもねぇ

 

カエル「ぶっちゃけ、作品のテーマ自体も『シビル・ウォー』に似ているしねぇ」

主「ヒーロー映画の人気作だけれど、正直見ていて退屈な部分もあるんだよねぇ。

 シビルウォーにあった『どちらの正義を選択するのか?』という問答も一切なく、世間では普通にヒーローが受けれ入れられてしまっている。それじゃこの設定の意味がないじゃない?

 ヒーローによって街を破壊されたことによる被害者、ヒーローを憎む者などが出てきて、初めて意味をもつ設定なんじゃないかな?

 

カエル「……それってガメラ3ってこと?」

主「世論の形成がとてつもなくうまいというのはわかるけれど、結局最初から予定調和で、今作最大の面白いポイントである『ヒーロー=犯罪者』という視点があまり活かされていないから、面白みに欠けるんよねぇ

 

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強力すぎるヒーローの力をいかに制御するのか?

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

前作の魅力が……

 

カエル「ネタバレなしのパートでも挙げたけれど、具体的に前作の魅力がなくなったってどういうところ?」

主「ヴァイオレットは前作の方が可愛くない?

カエル「……それは個人の好みでしょ」

 

主「もちろん、前作から成長した姿なのはわかるけれど、よくいる普通のアメリカの女の子になってしまったのが非常に残念なんだよねぇ。

 それは半分冗談としても……いや、冗談でもないんだけれど、象徴的なことの1つでさ。

 例えば、前作であったボブの落ちぶれた姿と、フロズンと過去の栄光に浸るような情緒的なシーンが一切なくなっていたし、子供を育てる上で対立する夫婦の喧嘩の様子なども、かなりマイルドな、アニメ的なものに変化していたんだよねぇ

 

カエル「それが魅力だった、という人にはちょっと残念な話なのかな」

主「確かにファミリー向けで誰でも楽しめる話になっているんだと思う。ただし、前作の尖った魅力はあまりなくなってしまったのがとても残念だねぇ」

 

 

 

 

現代の物語だけれど……

 

ここはネタバレなしから語っていることだけれど

 

まあ、ありきたりなお話になってしまったよ

 

カエル「これはほぼ全てのディズニーが関わる映画がそうだけれど、女性の活躍する社会をテーマにしている部分だね

主「いや、わかりますよ? ヒーロー(仕事)と育児の両立というのはとても重要だし、現代の女性たちに対する重要なテーマだ。そのために男性や他の家族が、どれだけ協力して挙げられるのか? ということも大切なお話だろう。

 それに、数々の能力=個性と考えると、多様性のある社会を築こうというのも大事なテーマです

 ……まあ、見飽きた感もあるんですが

 

カエル「いや、でも正論ですから……」

主「いや、まあそうなんだけれど、どれもこれも同じお話ばかりになってしまうのがなぁ。

 『カーズ3』も女性の社会進出の要素を含んでいたし『リメンバーミー』も家族は大事だよ、ってテーマを含んでいる。それはそうだよ、確かに正論だよ。

 でも、その描き方がぬるい上に予定調和だからこそ、自分は否定的になってしまうところがあるわけで……

 

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かっこよく颯爽とバイクに乗る母親像も印象的

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

ヒーローたちの描き方

 

カエル「描き方がぬるい?」

主「例えばさ、本作の大事な要素である『ヒーローを認めるか否か?』という問題ってとても重要なものだ。

 本作も明らかに前作を意識していて、例えば最新型の車両を止めるシーンが出てくるけれど、それは前作においてヒーロー規制が決定的になった冒頭の事件を意識している。

 その事件がきっかけでヒーローに批判が集まったけれど、今作ではむしろその事件を契機にヒーロー必要論が加速している。

 そして、その後でヒーロー不要論はまるでないかのようになっているけれど……それで本当にいいの?」

 

カエル「正義の味方だし、みんなを救っているからね」

主「本当に? 

 道路を逆走して暴走して、歩道をバイクで乗り回して、事故一歩手前な運転をして、偶然突っ込んだビルが無人だったから誰も被害者は出ないけれど、あんなやり方をする人たちがヒーローでいいの?

カエル「……う~ん、作品冒頭の議論みたいだねぇ」

 

主「強盗が入ったらお金を渡すのが現代の常識じゃない。下手に逆らって人的被害を被るよりも、おとなしくしたがってあとは警察の捜査を待つというのも大事なことだよね。その方が被害が少ないことも大いにある。

 ましてや、あのヒーローたちですよ?

 あのボブに地域を本当に守ってもらいたい?

 もちろんキャラクターとしてのコメディ描写ということもあるけれど、人間的に完成されているとはとても言い切れない、不安定であり自己顕示欲の強い人に守ってもらうのが本当に正しいの?

 そういう厳しい視点がなく、ただヒーローは素晴らしい! 守ってくれてありがとう! だと、前作が語りかけてきた問いを、何1つとして解決する表現できていないように思うのは、果たして自分だけなのかねぇ?

 

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育児が大変なお父さん像は日本もアメリカも同じ?

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

 

この問題を別のことに置き換えると

 

う〜ん、なんでそう難しく考えちゃうかなぁ?

 

例えばさ、この問題を銃規制問題に置き換えてみようか

 

カエル「うちでは『アイアンマン』をはじめとして、MCUのヒーロー映画は『一般人が核兵器や軍隊並みか、それ以上に強力な兵器を所有するようなものだ』と語っているよね」

主「明らかに『アイアンマン』シリーズはそういう問答もあるからね。

 ヒーロー映画ってどれもそうだけれど、彼らの持つ力はとても強力な兵器なんだ。それこそ、下手な使い方をすれば国を揺るがすこちにもなりかねないほどに。

 それを果たして個人の正義で自由にしていいのだろうか?

 そして、それを正義だと賞賛していいのだろうか?

 銃規制問題に絡めるならば、彼らの能力はマシンガンなどのような強力な兵器である。街や人を守るためとはいえ、それを装備する一般人がいたら……流石にどうかとも思わない?」

 

カエル「う~ん、彼らって別になんらかの特別な訓練を受けたわけでもなく、ただの生まれつきそのような能力に恵まれた人たちだから、そこが問題をややこしくしているのかも……」

主「そのようなとても重要で難しい問いを含んでいるはずなのに、結局は『正義だから、ヒーローだから』で認めてしまう。

 それで本当にいいの?

 それは、ただの予定調和ではないですか?

 自分にはそれがものすごく物足りないよ。悪役の主張にも何一つとして反論できているとも思えない。

 あれはあれでやり方は問題だけれど、立派な主張ですよ。

 全部無視でハッピーエンドは、流石にねぇ」

 

 

 

 

まとめ

 

では、この記事のまとめです!

 

  • ディズニー/ピクサーらしいファミリー映画に!
  • ただ前作の魅力は半減?
  • 物語はまとまってはいるが、予定調和な感も……

 

色々言いましたが、悪くはないです!

 

 

カエル「それと、本作は敵役が本当に素晴らしくて、一番好きなキャラクターは? と聞かれたら迷わず即答するほどです!」

主「今回は果たして誰が敵役なのか? それも含めて楽しみにしていてください」

カエル「さて、実はこの週はもう1つヒーローアニメ映画があって、そちらとどのような差が出ているのかも楽しみだね」

主「ちょっとだけ比較しながら語っていければ面白いかなぁ」

 

 

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