大根仁監督の最新作の記事へと参りましょう!
大好きな監督だから楽しみにしているよ!
カエルくん(以下カエル)
「今回は韓国版の『SUNNY』も鑑賞しているので、そちらとの比較も兼ねながら語っていきます!」
主
「個人的には韓国版を見ても見なくてもどっちでもいいと感じたかなぁ。
なので、初見さんでも安心して劇場へ向かってください!」
カエル「では、早速ですが記事のスタートです!」
感想
では、まずはTwitterの短評からです!
#SUNNY
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年8月31日
いやいやいや、大根仁でサニーやぞ?
面白いに決まっとるやん!
韓国版と基本的には同じものの大根監督らしさが全開!
時代設定や文化の違い、韓国版で日本と合わなそうな部分は大胆にアレンジされている
すぐにサニーのバカ達に会いたくなる!
癖になる映画だわぁ pic.twitter.com/9Ab00MOgsT
さすがですわ、大根仁!
カエル「まあね、もともとSUNNYという韓国映画の傑作を大根仁がリメイクして、さらに音楽も90年代の楽曲をたくさん使うと聞いたら、そりゃ期待値もうなぎのぼりだよね!」
主「その期待値を裏切らない作品ができたと思うし、原作のある程度は尊重しつつ、当時の日本の感覚に寄せて作られているという印象もある。
そして、大根仁が得意とする演出のオンパレードであり、これは何度も見たくなるクセになる映画だった。
ある種のミュージカル映画みたいなものだよね。むしろ、ここまできたらいっその事ミュージカル映画を作ればいいのに」
カエル「予算やら色々な問題があるだろうから、そんな簡単にはいかないんじゃないの……?」
主「もちろん、傑作である韓国版が元になっているから、比べると違和感があるシーンも当然あるし、あっちの方がいい、こっちの方がいいという意見も出てくるでしょう。それは当然ある。
でも結果としてみればプラマイゼロな気もするし、どっちも違ってどっちもいいという作品に仕上がっているんじゃないかな?」
カエル「ちなみに、2つを比較すると大雑把にどういう評価なの?
主「上手いのは韓国版、好きなのは大根仁版かな。
まあ、これは人によると思う。自分は韓国版はNetflixで鑑賞しているし、劇場で観るのとまた違うから。
でもさっきも言ったけれど、自分の評価はこの2作はほぼ同じ。
どっちも見て欲しい映画だし、すごく楽しい作品に仕上がっています」
韓国版SUNNYについて
先に韓国版の説明から始めます
この映画が売れた背景をちょっと考えてみたけれど、韓国の映像文化を揶揄した作品なんだよ
カエル「……韓国の?」
主「もちろん楽曲の良さやキャストの良さ、演出の上手さもある。
でもそれ以上に大きいのが『韓国の難病もののテンプレを破壊した』という点にあるとみている。
韓国版の冒頭で病院の入院患者が韓国ドラマを見て『また同じ展開かよ!』と呆れるシーンがある。
一時期日本でも韓流ブームが訪れた際に批判されていたけれど、どのドラマも難病や実は兄弟でした、というのを乱発している。
この展開は以前にも語ったけれど、現代では恋愛の自由化が進み過ぎており、恋愛作品が作りづらくなっていることが原因だ」
カエル「ものすごくざっくりと語ると、恋愛自由化によって昔は障害として機能していた身分の違いや親の意向などが時代遅れとなってしまい、恋愛の障害にならない、ということだよね」
主「では現代では恋愛できない理由として、以下のようなものが代表的かな」
- 難病、障害などの身体的な問題(唐突な死も含む)
- 教師と生徒、不倫などの倫理の問題
- 同性愛、近親相姦などの性の根本に関わる問題
カエル「2、3はどちらも倫理的な問題で片づくのかな」
主「恋愛自由化が進み過ぎて、恋愛作品は本当に作りづらい世の中になった。
そもそも、女性主人公の恋愛作品が果たして先進的な文化と言えるのか……つまり女性の社会進出に伴って恋愛を描くことは男性依存のようでもあり、果たしてそれでいいのだろうか? という意見まである」
カエル「……しかも不倫は嫌いという意見はあるし、身体障害は表現に気をつけなければいけないし……」
主「 ちなみに、自分も不倫ものは『どーでもいいわ、勝手にやっていれば?』という気分になるので、基本的に評価が低くなります。
他の恋のハードルをつくるために、最近ではSFの設定を加えたのが『君の名は。』や、『時をかける少女』かな。海外だと『ブレードランナー2049』『her 世界でひとつの彼女』などもそうだね。
あとは日本では震災が恋愛の障害になるパターンが最近は増えてきたかな。
まあ、言いたいのは現代では相当工夫しないと、恋愛ものは同じような作品になりがちなわけ。
これは韓国だけじゃなくて、日本でも00年代の後半に流行した病気ものやケータイ小説も難病など設定が似たような作品が多くあるため、少なくとも東アジア全体の流れだったわけです」
日本でも純愛ブームが巻き起こり、似たような設定の作品がたくさん発表されていた時代
その違和感に立ち向かったのがSUNNY
難病ものの否定
カエル「そして話は韓国版のSUNNYの特徴に戻ります」
主「本作も基本的には同じなんだよ。かつての旧友が病気で亡くなりそう、という設定自体は病気ものの王道だ。どうせ最後は親友が亡くなって、みんなでオイオイ泣いて感動させる……それがお決まりの流れだった。
でも、本作はそうじゃない。
そのような作品を最初に、コメディタッチに批判した。
同じような流れにはしません、という宣言でもあるんだ」
設定自体は普通の難病ものの映画のようでもある
(C)2018「SUNNY」製作委員会
カエル「……考えてみれば韓国版のSUNNYってある種のケータイ小説みたいな部分もあって、ドラック、セックス(を連想させる描写)、バイオレンスなども結構あるんだよね。でも、そこまで過激じゃないというか、実は過激なんだけれどそう感じさせないというか……」
主「民主化運動の時代を描いたことによって、彼女たちを相対的に子供っぽく描けたのはあるのかな。あとは女の子だから、そこまで過激にならなかったか。少なくとも、日本版と韓国版を比べると、韓国版の方がショッキングな内容と感じるかな。
日本版はだいぶ柔らかい表現に変えられている。
それが良いか悪いかは別にしてね。
……ここから先はネタバレになるなぁ」
カエル「なんとなくニュアンスで受け取ってください」
主「終盤、ある展開を迎えるんだけれど、そこに悲壮感はあまりない。もちろん、感動するって意見も大いにあると思うけれど、ラストの、動きのあるシーンによって、楽しい映画に仕上がっている。
SUNNYって基本的に楽しい映画なんです。
難病ものの典型や、恋した相手が兄弟だった、なんてお決まりのパターンは否定し、とても笑える映画になっている。
”楽しい”と”懐かしい”が組み合わさって、悲壮感があまりない新しい難病映画が、韓国版SUNNYなんです」
役者について〜学生時代の役者について〜
今作の役者陣についてはどう?
基本的には良かったよ!
カエル「まずは主演の広瀬すずだけれど、彼女が悪いわけがないんもんね」
主「……実は、数少ない不満の1つが広瀬すずなんだよねぇ」
カエル「嘘!? いつも大絶賛しているのに!?」
主「もちろん、広瀬すず自体の演技はいい。
だけれど、設定では主人公の阿部奈美は淡路島の田舎から都会へと越してきた女子なんだけれど、広瀬すずは垢抜けて可愛すぎるんだよ。
まあ、確かにメイクとかで野暮ったい印象はあるけれどさ。
韓国版が優れているのは、ナミが本当に田舎っぽくてダサいこと。他の子も現代の価値観からするとダサいけれど、ナミは当時でもダサいのがよく分かる。
そこを広瀬すずにしてしまったことにより、実は誰よりもかわいい女の子になってしまった感もあり、それは正直、ノイズに感じられた部分もあるかな」
カエル「90年代の、おそらく95年の学生たちについては?」
主「よかったんじゃない? ちょっと画面が汚かったり、同じようなキャラクターに見えてしまう部分もあったけれど、みんな若々しくて、本当に90年代の学生たちを見ているような気分だった。何というか、女子高校生って……男子がいない環境ってあんなノリじゃない?
とある事情があって若干知っているけれど、自分と年代は違うけれど、変わらない女子高生あるあるに満ちていたんじゃないかな?」
カエル「特に池田エライザと山本舞香は本当に綺麗だったもんね……
コギャルでもわかる特別感に溢れていたよ」
主「池田エライザは韓国版でもあの役(スジ)はミン・ヒョリンが別格の美しさを誇っていて、まるで若い頃の仲間由紀恵のようなんだよね。あの別格の美しさを出せるのかな? と思っていたら、池田エライザは見事に世界一の美女になっていた。
いや〜……素晴らしいです!」
カエル「他の若手俳優はどうだったの?」
主「いつもいうけれど、富田望美と矢本悠馬は本当、脇役に置くと最高の働きをしてくれるよね。
矢本悠馬はちょい役だけれどさ、自分が若者主演の映画を撮るならば、主演よりもこの2人をすぐにキャスティングしたい。
みんな細かったり、綺麗な子だと画面が同じになっちゃうけれど、この2人のように特徴的な子がいることで幅が一気に広がる。本人たちも目立つけれど、でしゃばらないい。強く印象に残るけれど、主演を殺さないでより引き立たせる。
見事な俳優ですよ。
絶賛です」
……こうやって見ると、広瀬すず本当に可愛いな
(C)2018「SUNNY」製作委員会
現代編の女優について
続いて、現代編の女優たちについてです
もちろんいいんだけれど、惜しいなぁと思う部分もある
カエル「基本的にはみんなよかったんじゃない?
特に主演の篠原涼子は、この題材だと映える女優さんだし」
主「ちょっとずるいなぁ、と笑ってしまった部分もある。中盤リリーフランキーが『女子高生が中心にいた時代……当事者としてどう思いますか?』という問いかけをするんだけれど、明らかに篠原涼子個人に対する問いかけじゃん。
篠原涼子自体が90年代のムーブメントの中にいたことは間違いないわけだしさ。予告でもあるけれど、安室奈美恵の曲を歌うわけだよ? そりゃ、特別な意味があるわ」
カエル「他にもともさかりえ、小池栄子もそうだよね。イエローキャブブームの中心にいた人物だし」
主「本作は明らかに”さらば平成”の映画だよね。
あの90年代は良かったなぁ、で溢れている。自分は特別思い入れがあるわけでもないけれど、楽曲を聞いてもほとんどの曲を知っているわけ。
もしかしたテレビなどの大メディアがブームを作った最後の時代かもしれないね。20年後に2010年代の似たような映画を作ろうとしても、みんなが共通する曲って結構少ないかも」
カエル「話が逸れたので役者の方に戻しますよ!
で、不満って何?」
主「……やっぱり、本作に安室奈美恵が出て欲しかったなぁって。
無茶振りなのは重々承知だけれど、彼女が出てきたら完璧な映画になったと思うよ。もちろん、最後で登場するあの人役でさ。
なんなら安室奈美恵本人役でもいいからさ」
カエル「……それは無茶振りかなぁ」
主「作品も良かったし、特にともさかりえの演技はかなり迫るものがあって、びっくりした。
渡辺直美と小池栄子ももちろんいいけれど、ちょっと韓国版に引っ張られている印象もあったかな? 自分が韓国版を見た後だったからかもしれないけれど。
もちろん賛です。リリーフランキーもよかったし」
以下ネタバレあり
作品考察
圧倒的な大根仁ワールド
ここからはネタバレありで語ります!
やっぱりあのスタートが抜群にいいんだよね
カエル「……どんなスタートだっけ?」
主「正確にはスタートから10分まではいかないだろうけれど、ちょっと過ぎた時の描写だね。
韓国版と全くおなじ演出から始まる、日本版の大根仁ワールドですよ。
これは韓国版が抜群にうまいんだけれど、この映画は時間の流れをシームレスに演出している。
つまり、2010年くらいの韓国と、1980年くらいの韓国をワンカットで切り替えている」
カエル「具体的にいうと、過去を懐かしんだナミが学校へ戻ってきて、学生たちに囲まれている中で、クルリとカメラが一周すると一気に時代が変わっている演出だね」
主「これだけ高く評価されるのも納得の演出だよね。
これは痺れるし、本当の意味で物語がスタートする場面だから、自分はここがOPだと思うだけですよ。
そして、韓国版にはないある演出をしてきます!」
カエル「コギャルたちのミュージカルの勢いが本当に素晴らしくて、圧巻だよね!」
主「大根仁といえば『モテキ』などもそうだけれど、あの演出は特に有効。
曲目も賛否あるようだけれど久保田利伸の『LA・LA・LA LOVE SONG』は多分『ラ・ラ・ランド』オマージュも兼ねているんだろうな。自分はあのようなミュージカル描写が好きだから待っていたところもあるし、思わず笑ってしまった。
あそこまで行けば文句なしですよ」
カエル「あとは曲の出だしの回れ回れ〜 がループもののようだし、時代が回っても止まらないように、という意味でOPらしかったんじゃない?」
主「ここで一気に引き込まれたねぇ」
ここまでの流れも圧倒的ながら、この後の演出もどはまりしました
(C)2018「SUNNY」製作委員会
汚い画面
え? これは褒めているの?
ある意味では褒めているよ
主「もうさ、画面中が小汚いコギャルばかりだから、とんでもなく汚いのね!
こんな学校、カオスだなぁ……絶対行きたくないなぁ……とも思ったほど。でも女子校らしかったと思うし、男が幻想を抱く女子校にしなかったことも含めて、いい演出なんじゃない?」
カエル「……なんか女子校に恨みでもあるの?」
主「そこは触れないで行きましょう!
今あの時代を思い返しても、コギャルって決して”あってほしい若者像”ではなかったはずなんだよ。
むしろ、嘆かわしい最近の若者像の一環として語られていた記憶の方が強い。
あのあとガングロやらが一時期取り上げられたけれど、廃れていったことも考えると、一過性な現象だったわけだ」
カエル「ちなみに、以前若者論では若者の社会への反逆の歴史について語っていたけれど、その文脈では?」
主「ヤンキーブームの次にくるのがギャルブームで、そこからはどんどん落ち着いていく。2000年代では高校生の特徴的なファッションのブームメントってなかったように思うんだよ。せいぜいミニスカートくらいか?
若者が社会に反抗するスタイルの最後にあったのが、制服を極限まで着崩して、あるべき学生象を破壊したコギャルブームだったのかな。
映画でも、現代の若者像とこの時代の若者像の話があったけれど、2000年を境に若者文化は一新した。多分、インターネットの発達なども影響しているんだろうけれど、その辺りもしっかりと描けていたんじゃないかな?」
惜しいと思う部分〜オタクとコギャル〜
カエル「では、少し惜しいな、と思う部分のお話です。
本作ではコギャル以外にもオタクが特徴的に描かれているよね」
主「韓国版では学生運動を描いていたけれど、当然日本では時代が違すぎて描くことができない。
あの時代を象徴するものととして、選ばれたのがオタクだけれど、ここはもう少し踏み込んで欲しかった」
カエル「オタクよりもいい題材があるはずと?」
主「……オウムとかさ」
カエル「はい、絶対アウトです!」
主「作中で兄ちゃんがオカルト好きという描写もあったけれど、オタク描写をかき集めた、典型的なオタクだった。あの時代のオタクは犯罪者予備軍とされており、コギャルの方がまだみんないいイメージを抱いていた時代でしょう。
その意味ではコギャルとオタクという選択は、どちらも当時白い目で見られていた若者文化という意味では合っているけれど、いかんせんオタク描写が浅い。
なんであの連中と三浦春馬が付き合っているのか、全くわからんし。
韓国版の学生運動のような社会性を加えるのであれば、若者が多く傾倒した宗教関連もありだったんじゃないかな。
それは無理としても、もっとアングラなサブカル文化とかに傾倒させた方がよかったと思うんだよね」
カエル「今はオタクとサブカルってあんまり区別しづらいものになってきている……というとまた燃えるんのかな?」
主「大根仁は明らかにオタクよりもサブカル寄りの人間だと思うからさ、そっちの方がうまく描けたんじゃないかな? 話もすんなり行くし。
エヴァを出したかっただけのようにも見えてしまって、そこは残念かなぁ」
2人のこのシーンはエモすぎて鳥肌もの!
(C)2018「SUNNY」製作委員会
韓国版と変更した点
今回は変更点が多かったけれど、これについては?
まあ、良し悪しはあるよ
カエル「まずはよかった点について語っていこうか」
主「良かったのは韓国版の過激な暴力シーンがマイルドになっていること。
特に大人の時の暴力シーンは、日本ではノイズになってしまう。自分もそこが気になったし、そこまで絶賛だけれど、あのシーンはかなり思うところがある」
カエル「大人の暴力シーンは今の日本ではちょっと難しいね」
主「それと抗争のシーンは韓国版は学生運動が深く関わっているので、日本で描くには変更が必要だ。だけれど、そこを日本版はとてもうまく、可愛らしく、観客が見たい姿に改変していた。
いや、みんな日本版の方がいいでしょ!?
カッコつけてんじゃねぇって!」
カエル「いいものが見れました。健全なエロスが感じられたね」
主「それは冗談として……一番いい改変だな、と思ったのは7人から6人に変更されたこと。
正直、7人もいたら誰が誰だかわかりづらいところもあって、描き方も若干雑に思える人物もいた。
基本は奈美、奈々、芹香の3人が中心だから、どうしてもここは描写を避けられない。さらに3人プラス男子などをしっかりと描いてしまうと、尺がパンパン。ただでさえミュージカルシーンとか入れているのに。
だから6人に減らしているけれど、これで正解でしょう。
だいぶわかりやすくなった」
大人組もいい演技だったと思います
(C)2018「SUNNY」製作委員会
気になった変更点
カエル「では、一方の問題点は?」
主「若干湿っぽくなった印象があったかなぁ。
あと多くの人が語るけれど、決意表明のシーンがなかったのは痛い。
全体的に社会派の風潮がなくなって、あの時代と女子高生を中心とした文化について語るだけの作品に見えてしまった部分もあるかな」
カエル「バブルなどもあったとはいえ、それを絡ませるのも難しいけれどね」
主「あとは奈美がショックを受ける海の描写も、少しネットリしすぎていたかな。もっとあっさり目で良かったかも。
細かいところを挙げていけばたくさんあるだろうし、あのシーンがカットなどの不満点があるのもわかるけれど、自分はそれも含めて良し悪しを考慮してもプラマイゼロの改変だったと思うよ。
特に最後の締め方は圧倒的に日本版の方がいい!
自分はあれが韓国のSUNNYで見たかったから……時代を超える映画だからこそ、時代を超えたある種のファンタジーを最後に提示して欲しかったという思いが叶った気分でした」
大根仁と平成の集大成
では、最後に語ることは?
この映画に賭けてきたのは伝わってきたよ
カエル「う〜ん……かなりいい作品を多く発表しているにもかかわらず、興行は苦しい思いをしていて……『モテキ』『バクマン』の時の成功もチャラになってしまうのでは? という声もあるけれど……」
主「興行は監督だけの原因じゃないし、そこはプロデューサーの川村元気に売って欲しいけれど!
でも大根監督が今作に強い思いを賭けてきたのはとてもわかる。
それこそ、大根仁の名前を一気に有名なものにした、名曲とのコラボレーションやミュージカル描写も組み込んできたし」
カエル「それこそ、後半のバイオレンスな描写は『SCOOP!』につながるものがあるよね」
主「あのシーン、実は自分は不満で……というのも、この作品や役者どうこうではなくて、比較対象が『SCOOP』のリリーフランキーだったから、あの名演技に比べるとそりゃ落ちるわ、という思いもあった。
すごく大根仁らしいな、と思わせる描写がとても多かったし、自分は結構好きな監督だから満足度が跳ねあがった部分はあるよ」
カエル「大根監督作品を見ると80年代〜90年代に影響を受けているのはよくわかるけれど、自分が大好きな90年代という平成初期に対する集大成という印象もあるね」
主「小室サウンドを使って、平成初期を代表した人物を役者として起用し、現代の代表的な女優広瀬すずへのバトンタッチも描いているように見える。
『SUNNY』という作品の核は郷愁や時代を描くことで、”あの時代も良かったけれど、今もいいよね”というメッセージ性を獲得した映画だろう。
それを考えると、平成最後の夏に公開した意義はとても大きかったんじゃないかな?」
まとめ
この記事のまとめです!
- 韓国版を日本に置き換えて、変更点もうまくいった良作!
- 平成を代表する人物たちを多く登場させ、時代性にも言及
- 大根仁の味がこれ以上なく出た作品だったのでは?
満足度は高いです
カエル「でもなぁ……残念なことに売れてはいないんだよねぇ」
主「そもそも『SUNNY』という作品のリメイクという話からして映画好き以外には伝わらないところがあるんじゃない?
一般にも広く売れた作品という印象はないかな。韓国での興行がどうなるかだけれど、それも過度な期待はできないし」
カエル「いい映画監督だけれど、これだけはねぇ」
主「なんで売れないのか、不思議には思うよ。
本当にいい作品ばかり撮っていると思うし、テレビドラマに縁の深い監督だけれど、テレビの悪いところはあまり感じず、いいところを映画に持ち込んでいる印象がある。
正直、テレビドラマのノリを映画に持ち込むのは反対だけれど、大根監督のような人が出てくるからこそ、否定もできないんだよ」
カエル「もっともっと話題になってほしい、そう願わずにはいられない作品でした!」