今回は『スタンドバイミー ドラえもん2』の感想記事になります!
……今作も賛否が割れそうな印象じゃな
カエルくん(以下カエル)
「前作が正直、結構賛否が割れているからねぇ。
この辺りは山崎貴監督ということも大きいのかもしれないけれど。
ちなみに、今作は山崎貴は共同監督・脚本であり、監督は八木竜一です!」
亀爺(以下亀)
「『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』と同じような座組みじゃな」
カエル「……うん、それはなんか色々と言われそうだからね?」
亀「わしは嫌いではないがの。
こればっかりは評価が割れても仕方ないかの」
カエル「ちなみに今年はドラえもん50周年の記念年!
映画館も気合入れてます!
ぜひたくさん稼いで欲しいところですね!」
亀「興行的にも期待したいの。
では、感想記事を始めるとするかの」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#STANDBYMEドラえもん2#ドラえもん
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年11月20日
CGアニメ表現は今回もよく、非常に楽しめた
物語はSFなどにご都合感もあるし、ツッコミどころもありながらも…まぁまぁってとこかな
ただ今回も山崎貴らしいなって思う展開もあり、映画ファンの中では荒れそうな予感 pic.twitter.com/IvcyGdXc8l
概ね、満足できる作品ではないかの?
カエル「色々と予告やキャッチコピーの”ドラ泣き”の段階から、色々な意見が飛び交っている作品ではありますが……今作もそこまで悪くはないのでしょうか?
ただ、先に言っておいきますが、うちは前作の『スタンドバイミードラえもん』がそこまで嫌いではないので、そちらが合わない方には、この作品も合わない可能性はありますが……」
全体的には、ファミリー映画として十分合格点をつけていいと思うがの。
亀「まあ、脚本が山崎貴ということもあり、その癖は今作でもある。
山崎貴が苦手な人は、今作もダメかもしれん。逆にいうと、そこまで違和感がないという人には今作も受けら入れられるじゃろうな」
カエル「それでいうと、うちは……近年のアニメ作品でも『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』も『ルパン三世 THE FIRST』もそれなりに気に入っているので……まあ、あくまでもそれなりに、ですけれど、多分山崎貴アレルギーは少ない方というのもあるのかもしれないね」
物語としては、これらの作品とどっこいかもしれんな
カエル「『ユア・ストーリー』ほど挑戦的な展開はしていないし、原作をうまく組み込んでいるよね。
ただオリジナル描写とか、全体の物語のテイストなどは少し気になる部分もあるのかなぁ」
亀「前作もわしはそこまで悪くないと思っておる理由としては、これから挙げていくが何と言っても映像表現がいいからじゃな。
その意味では、本作は”CGアニメの映像表現を楽しむ作品”として、かなりレベルが高いと思う。さすがは白組が主導した、とびっくりするほどじゃ。
逆に言えば、そこに興味がなければあまり面白くないかもしれんが……
いや、もちろん、今作も多くの世代に受けいられると、わしは思っているがの」
映像表現について
何と言っても今作の見所は映像表現でしょう!
ここは日本最高峰のCG制作会社、白組の本気が見れるの
カエル「前作についてもうちはこのような評価をしています」
明日に備えて再鑑賞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年11月19日
正直、物語の流れは分かりきっているし描き方にも問題はある
それでも涙腺を刺激するのは圧倒的な映像表現
「CGのドラえもんを観ろ!」と告げるような冒頭の日常感から未来のSF感に至るまで映像表現を楽しむという意味でのアニメ作品として見事というほかない作品に仕上がっている pic.twitter.com/Y0B2oezcfw
2ののび太の結婚記念日とおばあちゃんの思い出をやる必要性があるのか? といわれると、自分は明確にあると回答したい
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年11月19日
つまりCGでドラえもんをいかに描くのか、そして未来、過去をどれだけ描けるのかの技術面の勝負なのだ
ストーリーよりも映像表現を追求する山崎貴監督らしさを求めたい
前作に引き続き、映像表現の見事さに、感動するの
亀「今作も物語自体は穴があったり、強引な部分がある。
色々と言いたい部分があるのも事実じゃが……それでも”ドラ泣き”とまでは行かなくても、グッとくるポイントがある。
その感動に貢献しておったのが、やはり映像表現、特にCG技術であろう」
カエル「前作でも最初の5分くらいは、本当にびっくりしたよね。
日常的な描写に加えて、おそらく1970年代くらいを舞台にしていると思うけれど、その時代の空気を感じるような美術とか、キャラクター表現にも驚いた印象だね」
亀「今作でもそれは同じじゃ。
例えばタケコプターで空を飛ぶシーンの爽快感、あるいはアクションシーンの動き回る景色などは映画館で見るからこそのものじゃろう。
また、キャラクター表現もデフォルメされていながらも、きちんと年齢を感じるデザインにしておる。おばあちゃんもリアルなおばあちゃん像ではないかもしれんが、細かいシワの1つ1つにも拘っておったの。
山崎監督は『手にこだわった』と新聞で発言しておったが、世代を超えて受け継がれるもの=手の描写、ということでも、デフォルメの中でも世代の個性が出ており、見応えがあったの」
ちょっとだけ突っ込むと、過去と現在は7年くらいの月日があるのは納得としもて、未来はさすがに発展しすぎだけれどね
リアルな1990年代くらいを見せられても、観客としては苦笑いじゃし、そこはドラえもんらしさということでご愛嬌じゃな
カエル「ただ、Twitterでも語ったけれど、この街の変化、時代ごとの美術の造り込みなんかは、本当に感動したね。
例えば伸比家の壁の……白いちょっとトゲトゲしたあの材質とか、びっくりするほど実写のようで!
そういった細かいところが色々と光るね」
亀「おそらく、お婆ちゃんのいる時代は1960年代くらいなのかの。それこそ山崎貴監督で言えば『ALWEYS 三丁目の夕日』を連想した。
少しセピアがかった映像であったの。
今作はおそらく、色彩も含めて過去、現在、未来では変えているようにも感じられた。
つまりCGを用いて、どこまで各時代の違いを描くことができるのか? ということも、テーマとしてあるのではないだろうか?
白組のCGはディズニー・ピクサー流に近いように見えながらも、それらとは違う地点を目指しているようにも見える。具体的にはなかなか言えんが、今作でその流れがさらに見えたのではないじゃろうか?」
カエル「それから、忘れてはいけないのは『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 』のように、人気タイトルをCGアニメにして世界に売り出そうという試みだよね」
ドラえもんは中国をはじめ、世界でも高く評価されているコンテンツじゃからの
亀「特に中国では最終興行収入は約105億円とも言われており、とても大きなコンテンツとなっておる。2020年はドラえもんが連載開始から50周年ということもあり、大きなお祭りの年でもある。
コロナという問題もあるが、それがなければ毎年恒例のアニメと合わせて日本国内だだけで100億円、世界を含めて200億円だって、決して夢ではなかったじゃろう。
この攻めの姿勢も含めて、注目したいところじゃな」
カエル「細かいところだと、喧嘩シーンなどの暴力的な部分は見えないように配慮されています。
この辺りも世界展開も含めて強かさを感じて、ドラえもんというタイトルをさらに大きくしようという意図を感じるね」
物語について
一方で、物語に関しては……やっぱり、難はあったかな
それでも1つの作品としてはうまくまとめたのではないかの
カエル「今回は『のび太の結婚記念日』『おばあちゃんの思い出』などの名作を繋ぎあせわせながらも、オリジナルで補完するという作品になっています」
亀「まあ、いいバランスだったと思うぞ。
中盤のポイントでは少し『おやおやおや』と思う部分もあったが、そこもご愛嬌というところじゃな。また、SFとしてはどうなっているのか? という疑問もあったが、それも解決するように描いておる。
ラストにある道具をうまく使うのじゃが、山崎監督はそこはSF的に整合性を持たせるためにとても重要視したようじゃな」
カエル「見ている最中は『あー、ここがなぁ』と思ったんだけれど、見終わってみるとそこまで違和感がないというね。
結構強引な部分もあるけれど、ただ、満足度は一定以上で高いんじゃないかな」
亀「ただ、気になったポイントがないわけではない。
そこに関してはこれからネタバレ有りで語っていこうかの」
以下ネタバレあり
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作品考察
個人的にグッときたポイント、ダメダメポイント
特にお気に入りの場面はどこ?
わしは、中盤のポイントじゃな
カエル「大人のび太と子供のび太が入れ替わったところだよね。
とても爽快感がある描写でだったね」
亀「そこの映像表現もさることながら、なぜだかわしも不思議と、子供時代にタイムスリップしたかのような感覚を抱いた。
かつて子供時代の頃を思い出すときは、誰にでもあるじゃろう。少しでもあの頃に戻りたいという気持ちが湧いてきたならば、大人のび太に感情移入するのではないじゃろうか?
わしは……遠い昔のことゆえに忘れてしまったが、あんな日々もあったのではないかという思いが少ししたの。
まあ、戻ったところで良いことなど、そんなにないと思うが」
カエル「それこそ、子供には子供の大変さがあるからね。大人のび太は自分が子供になったことを、ほとんど考えてなかったけれど」
逆に悪いポイントは?
やはり、不良たちの描写じゃろうな
亀「単純に中学生が小学生をいじめているというだけでも、わしとしては不快度数がなかなか高い。
それが仮に悪役であるとしてもの。
また、そこはあまり長く描く必要性を感じなかったが……まあ、ドラマとしてはそれで成立すると考えたのであろうが、わしとしてはやはり長さを感じてしまった部分もあるかの」
カエル「この作品で賛否が出るとしたら、やっぱりここなのかな? って印象かな」
亀「ただ、先にも述べたようにここで暴力を見せなかったり、オートバイで疾走するシーンはコメディ調でもあり、ちゃんとEDでカバーしている部分も良かったの。
今作は原作に忠実であろうとしており、また時代背景的にも……序盤の方で過去に行ったのび太がママに見つかったとき、ママは『かわいそうに、頭がおかしいのね』と言っておる。もしかしたら、当時のことだから4文字言葉を使っていたのかもしれんの。
そこは無理矢理明るい音楽にして、しかも音を大きく、セリフを小さくするような配慮なども感じられる。
それだけ色々とな制限がある中でドラマを作ろうとした時に、こういう展開になるのは、少し致し方ないのかもしれんの」
カエル「結局は小学生が中学生に勝つ=強者に立ち向かう、って意味では、王道の少年漫画の面白さでもあるんだけれど……あんまりスッキリとはしなかったかな。
だけれど、ジャイアンとスネ夫に見せ場があったのは良かったね!
それが目的なんだろうなぁ」
本作の大きな問題点〜ドラえもんは時代に合わせられるコンテンツなのか?〜
ここで、1番気になったというところだけれど……やっぱり、現代からすると少し疑問に思う描写もちらほらと出てしまうよね
そもそも、ドラえもんが現代に合っているコンテンツなのか? というところから始めなければいけないかもしれんの
カエル「現代では『女性の幸せは結婚ではない』という考え方が、とても強くなっています。もちろん、これに異論はありませんが……ドラえもんの場合、しずかちゃんはともかくとして、"のび太の幸せ=しずかちゃんとの結婚"という風になっているんだよね。
その意味では男性の幸せ……というよりも、のび太という個人のキャラクターの幸せの問題だから、それでいいのかもしれないけれど……」
亀「ここは少しだけ考えなければいけないポイントかもしれん。
これはキャラクターの成長もあるので難しいところであるが、しずかちゃんはとても可愛らしく、優しく、ある種の理想のヒロイン像じゃ。
初期のドラえもんはジャイ子と結婚するのが嫌だから未来を変える、というのが課題となる。ジャイ子はブサイクで暴力的……などが初期の設定である。まあ、後期はキャラの成長もあって、ブサイクだけれど根はいい子になっていったがの」
カエル「しずかちゃんが、ある種のトロフィーヒロインになってしまうという問題と、あとはジャイ子と結ばれても未来を変える展開があってもいいのではないかとか……そういった色々な問題が出てくるよね?」
亀「今作に関してはのび太が勝手に絶望して、勝手に立ち上がるようなものである。
のび太の幸せ=しずかちゃんとの結婚&しずかちゃんを幸せにすること、というのは、少し古い考え方ではあるが、理解できるものである。
ただし、今後はこの設定そのものが、だいぶキツくなってきてしまうのではないか、という予感は感じさせられるものであったの」
保守的な、3代にわたる血の物語
あとは、これは近年の山﨑監督の傾向なのかもしれないけれど……やっぱり”血”の物語になるんだなぁ……と
原作もあるから仕方ない面はあるとはいえ、家族像がなかなか保守的じゃな
カエル「それでいうと『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』『ルパン三世 THE FIRST』も、血によって紡がれる縁や運命の物語という意味では、今作に似ている部分もあるんだよね……」
亀「……わしは、山崎貴監督の批判されやすいポイントは、あまりにも保守的すぎる物語展開が映画ファンなどに受け入れられ難いのかもしれんと、考える。
現代は特に映画は洋画の影響もあり、リベラルな傾向にある。血の関係性を否定したり、新しい家族像を提示するようなものじゃな。
その中では……おばあちゃんの手から、大人のび太と大人しずかのエンゲージリングまでと考えると、その代々続く物語の果てに結婚があるという考え方自体は、理解できる。むしろ、原作を踏襲するのであれば、その流れがもっとも妥当じゃろう。
しかし……これがもしかしたら、ドラえもんの限界なのかもしれんな」
カエル「難しいよねぇ。
現代の家族像を更新しようとしても、ドラえもんの世界を踏襲する以上、既存のキャラクターに関しては片親家庭とか、あるいは養子とかってできないわけだし。
そもそも、この描き方で問題が本当にあるのか? と言われると……そこも言葉に困るというか」
亀「脈々と受け継がれたものの結果、自分がこの世界に存在するのは確かな事実じゃからの。
どうじゃろうな……山崎貴という監督・脚本家は、ノンポリっぽいと感じる。
確かに『永遠のゼロ』などの保守的な物語も多くあり、保守派のイメージがつきやすいが、そこに明確な政治的な主張をあまり感じないタイプの監督でもある。
むしろ、本作の家族像は、それが売れるだろうということで取り入れているだけに過ぎないのかもしれん」
政治的な主張ではなく、単なるビジネス面の結果としての保守性かぁ
なんだかんだいって、絆とか家族愛ってのはわかりやすいテーマじゃからの
カエル「その意味では、ポピュリズムというか、その〇〇っぽいを生み出すのが上手い監督だ、という指摘もあるよね」
それがドラえもんだからなのか、山崎貴脚本だからなのかは、正直わからん
亀「実際問題として、今作の場合はあくまでも主となる監督は八木竜一であり、山崎貴は共同監督・脚本という立場でしかない。おそらく、メインは八木監督が管理・指示をしているじゃろう。
しかし、これがドラえもんという原作の問題なのか、監督・脚本の方向性なのかは、かなり気になってしまった。
今回は何十年も前の人気原作を扱っているために仕方ない面もあるのじゃろうが……ドラえもんという作品は今後、どうなっていくのかの。
もしかしたら、時代の変化に対応できない時代が……くるのかもしれんの」
カエル「……まあ、しばらくはこのスタンドバイミー路線はなさそうだから、考えても仕方ないかもしれないけれどね!」
最後に
というわけで、今回の記事はここで終了です!
色々と考えることが多かったが、一通り楽しめる作品じゃったの