今回は『蒼穹のファフナー THE BEYOND 第七話・第八話・第九話』の感想記事……ではありません
そちらも扱うが、本題は少し離れるかの
カエルくん(以下カエル)
「えっと……まだファフナーが完結していないので、そこで一度作品論を語る前に、今作をみて感じたことを語ろうか、というお話です!」
亀爺(以下亀)
「ファフナーの感想だけ知りたい! という方は、前半部分だけ読んでいただければ結構じゃ」
カエル「少し特殊な記事となりますが、ご了承ください。
それでは、記事のスタートです!」
「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第七話、第八話、第九話 PV
感想
それでは、Twitter上の短評のスタートです!
#蒼穹のファフナー
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年11月13日
超面白いけど…うぶたんは人の心がないと思う
(もちろん超褒めてる)
一瞬たりとも油断できないからこその涙と緊張感…何回目かわからんあの展開も、マジで心臓に悪い
日本はアニメでも戦争ものが作りづらい世の中になりつつある中、戦争と命を扱った貴重な作品ではないでしょうか pic.twitter.com/QhC8i3KK9C
いやはや、今回もなかなか引き込まれる展開じゃな
カエル「まだ終わった作品ではないので、結構薄味な感想にはなってしまいますが……
変な話だけれど、このシリーズも、ずっとファフナーをやっているなぁという印象だね」
亀「良くも悪くもファフナーの魅力満載じゃからな。
前回の6話はネタバレはできないが、色々と衝撃的な出来事が起きてしまいお通夜のような気持ちで劇場を後にすることになった。まさかまさか、そこがそうなるとは……という、予想外の部分ではあったの」
カエル「あんまりネタバレはしないけれども、もう何度目かわからないあれが発動して……いや、もう、他の作品ならばバカの1つ覚えかよってなってもおかしくないけれど、ファフナーだけは本当に毎回ヒヤヒヤするというか……
祈るような気持ちで見ていたよね……」
亀「ファフナーはもう誰がどうなっても不思議でない作品じゃからな。
なんとなく真矢と溝口さんは大丈夫だと思っているが……それもこの先、どうなるかわからない部分があるしの。
いや、むしろ真矢は下手すれば生きている方が地獄みたいな状況になり始めているが……」
カエル「子供しか戦えないシステムの中で、延々と戦い続けている数少ない普通の人間であり、だからこそ色々な仲間や家族の危機を経験するポジションだからね……」
あとは……これはもう、ファフナーの感想とは少し離れるだろうけれど、喜安浩平が脚本家として普通に活躍していたり、松本まりかが人気女優になったりと、時代の流れを感じるよね
だからこそ、グッとくるシーンも多いのかな
カエル「やっぱり……松来未祐さんもそうだけれど、たったと言えばたった十数年の作品ではあるけれど、それでも亡くなる方などもいて……
これは二次的なものではあるだろうけれど、命の重要さや、日々の生活の平穏の大切さを語るシーンとかは、やっぱり他の作品とは違う、時間を経て作られた重みというものが感じられるね……」
亀「わしは人の死をドラマの盛り上げポイントとして演出する作品は、あまり好かない傾向にあるかもしれん。
しかし、ファフナーなどの優れた作品は”死に方”を見せるのではなく、”生き様”を描く。
人の死に泣くのではなく、生きた証、守りたかったもの、その志に人は涙するのではないじゃろうか。
そしてそれが……この後の話に繋がっていくわけじゃな」
なぜ現代ではロボットアニメがそこまで流行らないのか?
数少ない”戦争”を描いている作品の1つとしてのファフナー
今回はちょっとファフナーから外れるかもしれませんが、『ロボットアニメと戦争』について考えようと思います
今や、ロボットアニメは風前の灯……は言い過ぎとしても、数は相当少なくなったの
カエル「今はロボットアニメってなかなかヒットしづらい時代だよね……
おそらく、『ガンダム』『マクロス』とかの昔から続く、もはやロボットアニメの域を超えて、1つのジャンルとなっている作品は別として……新規のオリジナルロボットアニメのヒット作って、ほとんどないよね」
亀「2000年代であれば、それこ『蒼穹のファフナー』以外でも『交響詩篇エウレカセブン』『天元突破グレンラガン』『コードギアス 叛逆のルルーシュ』などのオリジナルロボットアニメの、大ヒット作が生まれてきておった。
しかし2010年代は……どうじゃろうな」
カエル「一応、思い起こすのは『新幹線変形ロボ シンカリオン』くらいかなぁ。
それも子供むけアニメ作品であって、上記のような作品との盛り上がりとはまたちょっと違うものだよね……」
これに関しては、わしは”日本で戦争が語りづらくなった”ということが考えられると思う
亀「ロボットアニメは、人が亡くなる作品も多い。それこそ富野由悠季作品は『海のトリトン』からずっと、戦争と人間に対する絶望を描いてきた監督と言ってもいいかもしれん。
エヴァなどに関しては少し微妙なところもあるが……戦争というものを知る世代、あるいは親などから聞き、それを生々しく感じることができた世代だからこそ描けるジャンルであったのかもしれん」
戦争を描きにくくなった現代
今の作品も戦争を描いたものってあるんじゃないの?
もちろん0ではないが……その描き方の問題というかの
亀「今の時代、戦争ものというのは、少なくとも日本では描きにくくなってしまった。
例えば近年では『この世界の片隅に』などが挙がるが、戦争そのものというよりも、その悲惨さなどを描く……といえばいいのかの。戦う人々を描くというよりも、それに巻き込まれる人を描く。
言ってしまえば、最初に”戦争反対”という、ある種の結論がある上で制作されているようなものがほとんどとなってしまっている」
カエル「う〜ん……言葉が難しいよね。
もちろん、戦争反対というのはとても重要だし、なんならば『ガンダム』とかも確かにその要素はあるんだけれど……なんていうんだろう、もっと根源的な、”戦争とは何か?”というものを描こうとしているというか……」
亀「今回もそうじゃが、ファフナーを見ていて毎度のごとく思うのは『保守派層に人気の出そうなアニメだな』ということじゃな。
無論、戦争に対して一定の嫌悪感などもある。しかし、戦わなければ守れない、という価値観が根底にある。対話の可能性というものを残しつつも、基本は守るために戦うことを強いられている。
こういった作品は、今はなかなか作ることができないのではないか」
うちも物語としては”融和”をうたった作品だって大好きだし、高く評価するけれど……
戦争や争いというものに対して、リベラル気質が強い時代と言えるかもしれん
亀「例えば……そうじゃな、押井守監督の『機動警察パトレイバー2 the Movie』は、日本の安保体制をどのようにすべきか、などという骨太な内容であった。つまり、国防のあり方などを考えさせる内容であり、それこそ”戦争にどのように立ち向かうのか”ということを論じた内容であった。
むしろ、2000年から2005年頃の方が、この映画の語ったことを、社会が活発に議論していた印象があるの」
カエル「そういえば、押井さんって『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー 』もめっちゃ高く評価していて、アイアンマンもそこまで好きじゃないぽいよね。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 』の時も、キャップを支持していたようだし……
確かに大きな権力に左右されない正義の活用って意味では、パト2と同じような部分もあるし……」
押井さんは結構保守的な部分があるよね…選挙には行かないらしいけれど
それはそれとして、ロボットアニメは”戦争”を描くにはうってつけのジャンルじゃった
亀「じゃが……残念ながら、すでに戦争というテーマはそこまで受けなくなっていったのではないかの」
戦争モノが流行りづらい時代に?
えっと……それはなんで?
やはり、戦争というものへの実感が、相当遠くなったということはあるのかもしれん
カエル「これもまた、時代の変化ということかな……」
亀「例えば梶原一騎の作品が顕著であるが、かつて『あしたのジョー』のように貧困層からなんとか這い上がり、己の身1つで成り上がっていく作品が多かった。その物語にかつての若者が熱狂したが……これは上記の書籍で押井守が"『仁義なき戦い』は高度経済成長に取り残された人々の叫びを内包している"と語っておるが、それと同じように、ジョーの姿に若者たちが自らを重ね、そして体制側へと向かっていくわけじゃな。
ヤンキーブーム、オカルトブームというのも、その時代の空気感を過敏に感じ取り、そしてそれに関連する作品が流行っていった。
しかし、今はそういった……安保闘争の時代や、高度経済成長下の格差について語った作品は存在しないじゃろう。
それは、時代がそれを必要としなくなったからに他ならない」
カエル「それこそ、うちが出した書籍で語っている内容に近いね」
流行する作品は時代を反映しているとしたら……ロボット作品=戦争というのは、現代では流行らないのもそこに理由があるのかもしれん
カエル「あ〜……東日本大震災かなぁ」
亀「それも1つの答えじゃろう。
少なくとも、日本は戦後75年にわたり国家として戦争状態に突入したことはない。
つまり、戦争が遠くなってしまったということはあるのではないか?
もっと切実な問題として……東日本大震災による危機、あるいは……そうじゃな、異世界転生系の流行などのに、現実に対する打破しようのない閉塞感を味わっているという解釈も成り立つじゃろう。
兎にも角にも、戦争というテーマがあまり流行らなくなってしまった。
そして……戦争というテーマがかろうじて残っているのが、かつて人気を誇った作品たち……『ガンダム』であり『ファフナー』ではないか、ということじゃな」
……それって、いいことなの?
さての。少なくとも、戦争が一大事な時代に比べれば、まだマシかもしれん
カエル「そういえば、うちでは『アベンジャーズ』などのアメコミ作品も”911以降のアメリカの正義を模索する作品”として認識しているよね」
亀「いつも語るが、主が『エンドゲーム』に不満を抱いているのも、結局911以降の正義の形に何も答えていない、ということじゃしの。
少なくとも、アメリカではいまだに”正義・戦争”というのが、とても大事なテーマとなっておる。
それはエンタメを見ていても伝わるの。
一方で日本は骨のあるテーマがあまりない、と嘆く声もあるし、それもわかるが……どうしようもない閉塞感が渦巻いているものの、そういう国家的な重要なテーマがないというは、ある意味では幸せなのかもしれんな」
最後に
えー、少し取り止めのない記事になりましたが、これで終わりです!
このテーマはまた、改めて考えていきたいところではあるの