今回はスタジオライカの新作『ミッシング・リンク』の感想記事になります!
こちらも2020年の海外アニメーション映画の注目作じゃな
カエルくん(以下カエル)
「いやー、いよいよ公開だね!
2020年の下半期は海外アニメーション映画がすごい作品ばかりと言われているけれど、この作品もすごく楽しみです!」
亀爺(以下亀)
「特にスタジオライカは挑戦的なことをしておるし、作品も目に見えてレベルアップしておる。
今度はどのようなものに仕上がっているのか、大変楽しみじゃな」
カエル「というわけで、記事のスタートです!」
ライカの新作アニメ『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』予告編
スタジオライカについても語っています!
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感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#ミッシング・リンク
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年11月14日
王道のデコボココンビのバディムービー&冒険譚からは90年くらいの洋画(特にインディージョーンズ)に繋がる面白さがあった
コメディとしてもよく、GG賞をとったし題材も今後も続けられるであろう作品なので続編を期待したい
おそらく、多くの人に受けるであろう作品 pic.twitter.com/2he7N4KYRg
GG賞も納得の出来栄えじゃったな!
カエル「今作はアメリカでも高く評価されており、ゴールデングローブ賞のアニメーション部門を制しており、これはストップモーションアニメーションでは初の快挙となっています!
その栄誉に恥じないような、見事な映像美が楽しめる作品だったね!
多くの世代に愛されるタイプの作品なんじゃないかな?」
亀「アカデミー賞の方は文句たらたらじゃが、こちらを評価したのはさすがはGG賞と言えるじゃろう。作品そのものも明るく、楽しく、90年代ごろのハリウッド映画をモチーフにしたような面白さがあったからの。
その意味では教育的な一面だったり、深い物語性などは少ないようにも感じられたが、全体としては冒険譚としても文句のつけようがない作品であったかの」
カエル「スタジオLIKAの作品という点でも注目度が高いよね。
こちらもアメリカで大きな話題となった『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』から、日本でも高く評価され始めたって印象かな。
特にストップモーションアニメーションは、世界でもアードマンアニメーションズとライカくらいしか、大手のスタジオはない印象だからこそ、是非とも頑張って欲しいし、新たな一面を切り開いている姿を応援したくなるね!」
ドールとCGの融合がとても面白いの
亀「今作を見ていて感じたのが、やはりアニメーターのセンスの良さかの。
動きの1つ1つが洗練されており、実際の役者を参考にしておるのじゃろうが、タイミングなども完璧と言っていいじゃろう。
間の取り方、動きの細やかさなどもよく……ストップモーションアニメーションでこの言い方をするのかはわからんが、おそらく2コマでずっと続いていると思われる細やかさが、作品を盛り上げておる。
物語もちょっとした笑いを入れたりするなど、全体を通して軽く作られておるのが、特に印象に残ったかの」
キャラクターの圧倒的な存在感!
今作で最大の褒めどころは、やっぱりキャラクターなんじゃないかな?
このバディムービーとしても楽しめるし、案外アニメファン以外の方が楽しめるのではないかの?
カエル「今作では主人公のライオネルをヒュー・ジャックマンが演じていますが……これがもう、ヒュー様にしか見えない! って感じだったよね。
またヒロインのアデリーナ役をゾーイ・サルダナが演じており、こちらも表情などが連想しやすい映像になっています」
亀「なんと言っても、ライオネルとMr.リンクの掛け合いが面白いの。
2人とも決して単独で完璧というわけではないし、なんならば2人が揃っても凸凹が解消されるわけでもない。よりおバカなパワーが増幅される部分もある」
カエル「片方が知性派、片方が肉体派かと思ったら、どちらも肉体派だった、みたいなところはあるよね」
亀「じゃが、それが物語に大きなパワーを与えてくれるわけじゃな。
わしが観た限りにおいては、今作は過去のライカ作品と比べても、特にキャラクターに力を入れているようにも感じた。ここで1つ、ライカを象徴するようなキャラクターを作り上げようという意図が、もしかしたらあるのかもしれん。
その意味ではMr.リンクは最適だと思うし、この凸凹コンビであれば、お話ももっともっと作り上げることができるであろう。
その意味でも、他作品に比べて続編も作りやすいのではないかの」
気になったポイント
リアルすぎる? アニメーション表現
……ただし、このアニメーション表現のリアルさが、かえってノイズになったのかもしれないのかなぁ
明確に、役者の顔を思い浮かべてしまったからの
カエル「いや、これって禁句なのはわかるんだけれどさ……
ここまでリアルに作るなら、じゃあ実写でよくない? って思いもあったりして……」
亀「例えば、今回はライオネルをヒュー・ジャックマンに寄せすぎてしまっていたのではないか? という思いがある。
もちろん、日本でも人気声優や芸能人が声を当てることもある。その時に別のキャラクターや、その役者のイメージが思い浮かぶこともあるじゃろう。それと似たような現象ではないか? と言われたら、その通りかもしれんが……今作に関してはその比ではなかった。
ライオネル=ヒュー・ジャックマンになってしまっておったんじゃな。
はっきりと顔がチラついてしまったんじゃな」
カエル「さっきの話と合わせると、演技の間とか癖もヒュー・ジャックマンに寄せていた気がするんだよね。他のキャラクターはストップモーションらしいと言えばいいのかな? そんな動きも感じたんだけれど、ライオネルに関してはリアルすぎてそう感じなかったかというか……」
亀「これはわしらがアニメオタク寄りだからかもしれんが、リアル志向というのは、リアルとは違うものではないじゃろうか?
もっとアニメーションらしい動き……それこそ、ケレン味などの言葉になるのかの。それらがあっても良かったとは思う。その意味では、動きに強く惹かれたのじゃが、その動きがヒュー・ジャックマンすぎてノイズになってしまった。これはワガママな話じゃろうがな。
これは難しい問題であるが、ここまで寄せてしまうのであれば、今作のような物語はアニメーションでなくても……それこそ CGを用いた実写作品でもいいのでは? という気がしてきてしまう」
別の言い方をすれば、CGアニメーションでない理由は何か? ということかもしれん
カエル「あー……元々コンピュターで作った人形……というのかは難しいけれど、特定の立体のものを動かすという意味では、ストップモーションアニメーションとアメリカ流のCGアニメーションって、結構親和性が高いように思えるってことかなぁ」
亀「その意味では、どこからしらでチープさ……と言ったら失礼かもしれんが、”これは人形だ”と思わせるほどの隙がもっともっと必要な印象もあるんじゃよ。
もちろん、本作も見れば”ストップモーションだな”とわかるシーンもたくさんある。しかし……例えば布の質感とか、そういうものを生かすようなものが、わしには感じられなかった。まあ、これは感性の問題かもしれんが……むしろ、CGアニメっぽさの方が強く感じてしまったかの」
カエル「世界を見ると手書きの絵で作られたアニメーション表現も、あえて絵であることを強調するような、水彩画や水墨画、油絵を用いた作品もあるよね」
亀「ストップモーションであるからには、やはりストップモーションらしさが欲しい。
例えば粘土だったらパーツが伸びるとか、あるいは糸や毛の質感だとか……そういうものを活かしてほしい。なんだか、ここまで来るとCGアニメーションの差がわかりづらくなってしまっている印象があるかの」
ストーリーについて
あとは……ストーリーも悪くはないけれど、もうちょっと大きくして欲しかったかなぁ
小さく、そしてどうにも発展することなく終わってしまった印象じゃな
カエル「別に何かが悪いというわけでもないんだけれど……こじんまりと、あとは予定調和に終わっちゃったかなぁという印象かな」
亀「悪い意味で子供向けかもしれん。
減点法でも高得点じゃが、加点方ではあまり得点を稼げんタイプというかの。
おそらく、本作にはトレジャーハンター要素は『インディー・ジョーンズ』などから影響を受けているのは、間違いないじゃろう。また『インセプション』などを思わせるような描写もあり、多くの映画作品からインスパイアされ、そこに挑もうという気概は感じる。
おそらく、今作で監督・脚本を勤めたクリス・バトラーらしさでもあるのかもしれん。
ただ、それも90分以内に収めるためかもしれんが、所々突拍子のなさなども感じたかの」
カエル「ただ、今作はそこまで多様性重視とか、そういうのをいい意味で感じなかったんだよね。それらがあまりノイズにならなかったというか。
もちろん、ヒロインにゾーイ・サルダナを入れたりするなど、多様性の描写はあるんだけれど、結構自然だったというか」
亀「そのあたりはうまくやったのではないかの?
少し教育的に難のある描写もあるのもの、それは『ミニオンズ』などのイルミネーションに比べたらまだまだ可愛いものであるし、教育的な配慮が必ずしも必要なものでもない。むしろ、わしとしたら良い子ちゃんな作品が多すぎるので、これくらいが子供に見せるにはちょうどいいとすら思うの。
今作においてはキャラクターに関しては、ほぼ満点と言っていいじゃろう。
現にこの続編があれば、わしは今すぐにでもみたい! と思わせるほどじゃ。
だからこそ、もう少し物語の深堀りをしてほしいという部分はあるかの」
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