今回は『魔女見習いをさがして』の感想記事になります!
ここ最近多くなっている、平成の名作の続編の1つだね
カエルくん(以下カエル)
「うちはリアルタイムで鑑賞はしていたけれど、そこまで熱心なファンではないのかなぁ……」
主
「一応、見ていたけれどね。
あの頃は戦隊シリーズ→仮面ライダー(ロボコン?)→おジャ魔女どれみ→デジモンって日曜朝の流れができていたんだよ。
そのあと何か30分挟んで、いいとも増刊号みて、アッコにおまかせからの、発掘!お宝鑑定団かなぁ……そんでお昼にお出かけだった気がする」
カエル「……なんか、えらいテレビばっかり見ていたんだね」
主「あの時代はそんなもんだよ。朝から友達を遊ぶってばかりでもないし。
土日は遊ぶこともあったけれど、友達も家族がいるから一緒に買い物〜とかだった印象があるかなぁ。
なんか懐かしいわ」
カエル「はい、話はおジャ魔女どれみに戻しますが……リアルタイムで一応見ていたんだよね?」
主「熱心なファンではないけれどね。
当時は男の子として女児向けアニメの『おジャ魔女どれみが好き!』ってなかなか言いづらいものがあったし。それでもおんぷちゃんが好きでよく見ていたけれど」
カエル「でた、おんぷちゃん!
だいたい好きなキャラであがるよねぇ」
主「今だったらあいこちゃんになるのかなぁ。
まあでも、そんなもん。全話は見てないけれど、結構な話数をだらっと見た程度の人間の感想です」
カエル「なるほど、それでは記事を始めましょう!
ちなみに、今回は意外と長文になりました!」
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感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#魔女見習いをさがして
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年11月13日
全体的には良作
現代にどれみを描くのであればベストの選択だっかと
あの頃のおジャ魔女の作画や雰囲気だからこそヘビーな物語が中和された感も
(というか、どれみって結構ヘビーだった印象も)
ただ気になる点も多数
特に共感性羞恥を感じてしまい、違う意味でキツかった… pic.twitter.com/0hRNdiDBMD
良い作品であることは、間違いなのではないだろうか
カエル「お! あまり熱心なファンではないとはいえ、世代なのにも関わらず、少し微妙な部分も含むとはいえ、全体的には満足したんだね」
主「これって、すごく変な映画なんだよ。
誰もが語るだろうけれど……同じ時代の東映アニメーションの代表的作品である『デジモンアドベンチャー』も、2020年に終わりを迎えた。
当然……といって良いのかは微妙だけれど、自分はこっちがバリバリ好きだし、『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は、年間でもベスト上位に入るくらいに大好きで、思い入れも深い作品だ」
こちらも、あの頃のビックコンテンツであるデジモンにケリをつけるような映画でした!
で、その作りそのものが異なるわけだ
カエル「デジモンは”八神太一やアグモンなどの物語の終焉”を描いていたわけだよね。
一方でこちらは”おジャ魔女どれみを愛した人たちの物語”になっているわけで……」
主「その意味では、本作は『おジャ魔女どれみの新作、あるいは完結編』ではないんだよ。
なぜならばどれみたちの物語ではないから。
そこがとても不思議で……でも、とても理解できるものだった」
カエル「ちなみに……作画とかに関してはどうだった?」
主「基本は文句なし!
あの頃のおジャ魔女の漫画的表現を駆使しながらも、時にハッとさせる描写もあって、とても楽しめた。この画風はなかなか劇場版向けにしづらい……というか、わかりづらいものがあると思うけれど、一切問題なし。
東京国際映画祭のマスタークラスの講演の中で、佐藤順一監督が『映画らしさってものは幻想ではないか?』と発言されていたけれど、この映画を見るとそれも納得ってところかな」
『おジャ魔女どれみ』とはなんだったのか?
魔法を否定する魔法少女
では、ここで一度おジャ魔女どれみについて考えていきましょう
とはいっても、リアルタイム世代ではあっても20年近く前の記憶なんだけれどね……
カエル「改めて見直すっていうのも、話数が多いこともあって、ちょっと難しい部分はあるのかな」
主「ただ、いつか佐藤順一監督作品は研究しなければいけないと考えているから……まとめて見る機会は出てくるかも?
作品数も話数も膨大だから、なかなか難しいけれどさ」
カエル「そんな人間が考えるおジャ魔女どれみ論というと、どんなことがあるの?」
主「今回は、まず『タイムスリップ! 東映アニメーション80s~90s Glrls』を参照したいと思う」
この中で、佐藤順一監督と関弘美Pの対談があるけれど、その中で以下のような言葉があります
関「どれみは、東映アニメーションの伝統である『魔法使いサリー』と『ひみつのアッコちゃん』の路線を現代風の作品として発信する狙いがありました。
つまり、伝統的な魔法少女路線でありつつも、制約を設けた作品なんだよ
カエル「ふむふむ……なんでもありだと物語が辛いから、あえて"見習い"とすることで制約を設けたということだね。
これはよく言われるけれど、サリーは何でもありすぎて物語が作りづらいから、あっこちゃんでは変身だけに限定した、という話もあるよね」
主「それと同時に”魔法からの決別”を描いた作品でもあるんだよ。
女児向けアニメにおいて”魔法・変身”というのは、よくあるモチーフではある。だけれどそれは、魔法から決別することで大人になる、と描いたのがどれみなわけだ。この魔法からの決別→成長というのは、このジャンルではよくあるものになる。
だから……どれみもああいうラストになった」
カエル「魔法というのは子供たちに与えられた特権であり、基本的には大人たちに知られてはいけないもの、ということなのかな」
主「魔法少女ものの基本設定として、よくあるパターンだよね。
逆に魔法を使えるまま大人になった作品って……あまり女児向け作品を知らないというのもあるけれど、あまり知らないかな。いや、0ではないと思うけれど……
それを踏襲したのが『まどマギ』でさ、あれは願いを魔法少女はいづれ魔女になることを宿命づけられているけれど、魔法を捨てる=大人になるということで、魔法を捨てられなければ魔女になるしかない、ということを描いているとも言える。
まあ、詐欺みたいなシステムだけれど」
当時の子供達の悩みをそのまま投影する
そして、どれみシリーズって意外とヘビーで日常的な悩みが描かれているよね
そこについても上記の本でこのような記述がある
関「それと話の幅広さに関しては、たとえばあいこの両親が離婚という設定なんかも、現実のマーケティングの結果を鑑みてなんですよね。
中略
親御さんが離婚していたり、片方が亡くなっていたりという例が対象域の児童の15%になったこともあったんです。そうなるとこれは大事にしなければいけない数字で、主人公の女子が3〜5人いるなら、その中の1人はそういう境遇にあるのだろう、と思いました
この部分が、単なる子供騙しにならない深いメッセージ性を宿したんだろう
カエル「そもそも、児童向け作品ってその時々の家族像を反映している面があるよね。
東映アニメーションもそれは当然意識しているだろうし、作り手としてはそこをしっかりやったこそ、長期シリーズとして人気も博したわけだろうし……」
主「う〜ん……当時の記憶だけれど、確かにちょいちょい重かった印象があるんだよね。
その辺りは佐藤順一監督らしさってものも実は感じていて……これもよく語るけれど、佐藤監督って日本の女児アニメを通じて、女性像を更新してきた偉大な人物だよ。
おそらく、日本の女性の歴史を語る上で、近代ならば間違いなく触れなければいけない1人。
だって『きんぎょ注意報』『セーラームーン』『おジャ魔女どれみ』……ビックタイトルだけでも、これらの作品を通った女児って、今のアラフォー以下にどれだけいるのか? って話だ」
カエル「そういう目線があるからこそ、大ヒットを記録したということもあるだろうしね」
主「その心意気というか、思惑は今作でも発揮されている。
もちろん、年齢は女児ではないけれど、現代を生きる女性たちのリアルを捉えようという意図はよく感じたよね」
魔女見習いたちの未来
でもさ……さっきも言ったけれど、なんでこの作品は『新作劇場版 おジャ魔女どれみ!』ではなくて、『魔女見習いをさがして』なのかなぁ?
おジャ魔女どれみという作品が、既に終わっているからだよ
カエル「‥‥いや、それはそうだけれど、ここからまた再開することも可能なわけじゃない?」
主「そういう意味ではなくて‥…先にも述べたように、どれみたちが最後に大きな決断をしてテレビシリーズは終了しているわけじゃない?
そこから大人になって、また魔法が必要になって、魔女見習いになって……という物語は……どうだろう、ラノベで続編があるととはいえ、アニメで描くのは適さない気がする。
それは自分も納得するんだよね。
先ほど語ったように、”魔法からの決別=大人になる、成長する”というものだとするならば‥…ここで再び魔法を得る物語って、基本形がブレる印象がある」
カエル「……はあ、なるほど」
主「もちろん、それ以外にもいろいろな理由があるだろうけれど、基本形は”あの頃のおジャ魔女を愛した人たちのための物語”であるわけだから、それで良いのではないだろうか。
ここで劇場版として大々的に”あのおジャ魔女たちはこうなりました!”とするよりも、物語としても深みが出てくると思うし、この判断は納得いくかな」
『魔女見習いを探して』論評〜良かった点〜
キャラクター表現などの絵の自由度
ではでは、ようやく魔女見習いの評価に話を進めましょうか
まずはなんと言っても、この自由度の高い絵がとてもいいね!
カエル「今作は当時のおジャ魔女をそのまま映像表現としても踏襲しているため、目がまん丸になったり、あるいは人間の体がゴムのように関節がなく丸く曲がったりと、独特の映像表現が為されています」
主「これがすごく良かった。
佐藤監督は東京国際映画祭の中で
『テレビシリーズは雲に影を入れるなど、少し重くするなど、大人っぽいものにしている。今回はドラマがシビアだったりするので、テレビシリーズよりも(背景や色)明るく、重くならないように、抜けるように鎌谷悠監督が指示している』
と語っている。
全体として色合いが鮮やかということもあって、ドレミを見ていた頃の感覚が鮮やかに、おそらく当時以上に明るいものとして思い浮かべることができるのではないだろうか?
また、物語そのものもシリアスであるけれど、それを中和することに成功している。
全体として、子供向けのようでありながらも、見応えがある作品となっているのではないだろうか」
カエル「それでいて、しっかりと動きは見応えもあるんだよね」
主「病院が出てくるんだけれど、走り出すシーンなどの自然な動きなどは、本当に素晴らしかった。
息を飲む部分も多かったし、デフォルメの中にリアルがきちんと入っているし、この画風だからこそのリアル・あるいは表現というものも感じられたかと思う。
映像表現に関しては特に文句なしってところかな」
シリアスな問題の扱い方〜それぞれの悩みに寄り添う物語〜
今作はそれでいながらも、かなりシリアスな問題が描かれているよね
なんか、おジャ魔女らしいなって印象だったよ
主「自分はもう、にわかですらないリアタイ視聴者だし、熱心に見ていたわけでもないけれど……でも、あの頃の感覚を思い返した。
当時は割と普通に見ていたかもしれないけれど、やっぱり話が重いんだよね」
カエル「これって、リアルに描いたらそれこそ1つ1つの悩みで映画が1本できるようなものじゃない?
特にレイカのダメンズ彼氏の話って、相当重くて……この画風であっけらかんと描いているからこそ笑ってみれる部分もあるけれど、あれは普通にホラーでしかないというか……」
主「そういう等身大の悩みってやつに、しっかりと向き合っているんだよな。
また年頃をきちんと設定することで
- ミレ=27歳の仕事のあり方、今後の自分の人生への悩み
- ソラ=22歳の社会に卒業して出ていくからこその視野の悩み
- レイカ=20歳のまだ何者でもないからこその悩み
これらは普遍的な悩みとして機能するだろうし、男女問わずドレミ世代(20代〜30代)ならば、誰かに共感しやすいのではないだろうか」
大人であればミレの仕事がうまくいかない悩みを、学生であればレイカの何者でない悩みをってところかな
未来があるっていうのも、1つの悩みだからね
主「その意味では、やっぱりデジモンにつながるんだよ。
デジモンも太一たちとパートナーの関係性を通して、大人になって失われるものと失わないもの。そして将来への不安などを描いてきたのが、デジモンだった。
今作もそれと同じで、やっぱり描こうとする悩み、あるいはそれらに寄り添おうという意図は変わらない。
むしろ、こちらの方がその間口は広いのかもしれないね」
OPに鳥肌!
あとは、OPが最高だったということは語っておきたいです!
あれで一気に引き込まれたからなぁ
カエル「やっぱり『おジャ魔女カーニバル!』は今でもある年代には、その時代を象徴する楽曲として認知されているものね」
主「今回はアレンジもすごく良かった。
OPではあるんだけれど、スローペースのバラード調ということもあったし、作品世界に引き込まれた。
だけれど、過度に昔に入りこまないんだよね。
そのバランス感覚も良かったよ。もしかしたら……個人的にはここがベストシーンかもしれない。それくらい、一気に引き込まれたかな」
問題点〜気になったポイント〜
① 物語の着地点
次に、問題点というか、ちょっとノレないな……って思ったところをあげていこうか……
物語としては、少し難しい作りを選択しちゃったよね
カエル「今作は女3人の聖地巡礼がメインであり、さらにどのように人生を生きていくのか? を再確認するドラマになっています」
主「いや、結局さ……ゴールがないんだよね。
3人それぞれがバックボーンも違うし、ただおジャ魔女が好きってだけの関係性でしかない。だから、共通のゴールもなく、物語が進行していく。
これがかなり物語としての弱さを感じてしまったんだよね。
日常の物語だとしても、少し微妙というか……」
カエル「う〜ん……これは相性もあるかもねぇ」
主「例えば、途中でお決まりのイベントだけれど仲違いする場面がある。
だけれど、バックボーンが弱いんだよ。
彼女たちの繋がりは偶然であったおジャ魔女どれみが好きだった女性たちでしかない。会ってそこまで深い仲になったわけではないんだけれど、それで喧嘩して……で、そこまで気に病むかな? って。
これが小学生ならばわかる。だけれど、いい歳した大人だから、正直それだけの関係の人もいてもおかしくないよね。
その意味では、バックボーンも着地点も曖昧なまま物語が進行してしまった印象がある。
あとは、サトジュン監督だし、ちょっと『ARIA』的だったというか……30分のテレビアニメならばそれでもいいけれど、90分の映画となると、少し飽きる部分も感じてしまった。
あとは、単純に物語が走った印象もあったかな。
この辺りは全体の時間を90分前後にしたいとかもあったのかなぁ……」
それと気になったのが、描写の曖昧さってことだけれど……
なんかさ、リアルに見せたいのか否なのかが微妙なんだよ
カエル「例えば、ミレが上司と仕事のことでぶつかっている描写がありますが、そこでは専門用語もありながらも、商社で取引をしていることはわかりますが、どんな仕事をしているのかがわかりづらいです。
また『SNSで炎上した』ということをバットイメージだとしている描写もありますが、その内容次第なので、そこもなんとも言えないというか……」
主「SNSの炎上なんて、一定以上のフォロワーがいればありうることだし。
『安倍政権万歳!(もしくは安倍政権を追及せよ!)』とかの政治的なものなのか、それともおふざけ系が炎上したのか、芸能人を皮肉ったらパズってしまったのか……色々な性質のものがあると思う。
まあ、炎上なんてどうでもいいと言えばどうでもいいんだけれど……そこら辺をリアルにしたいのか、それともファンタジーとして誤魔化しながら見せたいのか、微妙なんだよ。
この絵だからさ、へんにリアルにやりすぎるとそれもそれで浮くけれど、そこを誤魔化すと単なる絵空事に見えてしまう部分もあるんだよねぇ」
② 共感生羞恥
これはもしかしたら、うちだけの現象かもしれません
ぶっちゃけ、すごい共感生羞恥を感じたんだよね
カエル「彼女たちの行動をみていて、共感してしまって恥ずかしくなったんだ……」
主「いや、ただ、やっていることってオタクの聖地巡礼じゃない?
昔好きだったキャラクターを今でも思い続けて、そこで意気投合して、で一緒に聖地に行って……これが20代の女子だから可愛らしいけれど……
自分からしたら、もう結構普段の自分の姿を見せつけられているようで恥ずかしくて……」
カエル「……まあ、うちはそこまで誰かと聖地巡礼行ったりはしないけれどね」
主「あれが一定以上のおじさん達だとしたら……しかもドレミファンだとしたら、ちょっと恥ずかしく……ない?」
カエル「う〜ん……
まあ、そこはそういう感じ方をした人もいるってことで!」
③ キャラクターの恋愛関係
えっと……今度はちゃんとしたものになるのかな?
キャラクターの問題に、全て恋愛関係を含ませるのはやりすぎじゃないかなぁ
カエル「それはあれ?
”女性の幸せは結婚(恋愛)だけじゃない!”ってポリコレ的な理由?」
主「いや、そっちではないかな……それも0とは言わないけれど。
単純にさ、3人もキャラクターを出して、その全員が恋愛に対して悩みを持っている、あるいはそこの進展を期待しているというのは、、物語としてやりすぎじゃないかな?
1人1人にそれぞれ別の悩みを与えられている。先ほども語ったことの繰り返しになるけれど
- ミレ=27歳の仕事のあり方、今後の自分の人生への悩み
- ソラ=22歳の社会に卒業して出ていくからこその視野の悩み
- レイカ=20歳のまだ何者でもないからこその悩み
という課題が設定されている。
3人いれば1人頭30分くらいの時間がかけられるし、特にレイカは親との関係という問題もあった。
だとしたら、恋愛関係は1つ、あっても2つに絞って、別の課題を深く掘り下げていくのも良かったのではないかな」
カエル「単純に、3人とも内容は違うとはいえ恋愛問題を扱う必要があったのか? と」
主「この年頃だから恋愛関係が重要な意味合いを持つという考え方も理解できるし、その描き方も悪いとは言わない。
ただ、同じような問題を3回やる必要はないでしょって話かな」
声優について
絵と声のバランス
じゃあ、最後に声優についてはどうだったの?
う〜ん……芸能人の3人に関しては少し厳しい評価になるかもしれない
カエル「あらららら……そこまで世間評は悪くないのかな?」
主「これは趣味の問題もあるけれど……声優って難しいよね。
もちろん、声優陣の演技力ってものも必要とされるんだけれど、同時に”絵と声を合わせる技術”も要求される。そこを調整するのが音響監督や監督の仕事なんだろうけれど、今作は特に芸能人声優が難しいとされるタイプの作品かもしれない」
カエル「先程から語るように、デフォルメされた絵や動きが目立つ作品だからね……」
主「そうそう。
だからさ、すんごくアニメ的な声にしないとダメなわけじゃない?
そもそも、どれみ役の千葉千恵巳の演技なんて、過剰なくらいに強調された演技なわけだ。だけれど、この絵に合わせるにはそれくらいの力が必要だし、そうでないと合わない。
今作では石田彰がいい例かな……もっとナチュラルな演技もできるけれど、はっきりと女児向けアニメのように、少し過剰に感情を発露していた。メリハリもはっきりとつけていたしね」
カエル「そのレベルの演技を森川葵などに期待するのは、少し酷だと……」
主「これがもっとリアル寄りの作品だったら、あの演技でも問題なかったかもしれない。だけれど、今作はそっちではないから、絵と声のバランスが合っていないと思うシーンがそこそこあったと思う。
ただし……それも中盤以降は合ってきたんだよ」
百田夏菜子の器用さ
それだけ言っておいても、百田夏菜子の演技は絶賛なんだ
声優としても器用で、役者としての勘がいいタイプなんだろうな
カエル「それこそ、百田夏菜子は隠れた傑作アニメ映画である『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』でもゲストヒロインを好演していたよね」
千葉千恵巳の演技を、相当参考にしていたと思うんだよね
カエル「なんか、途中から千葉千恵巳かな? と思うくらい、演技が似ていたよね。
特にステーキとか、食事のシーンとかは本家にすごく寄せているのが伝わってきた。
そこから作品も落ち着いたというか、よりはっちゃけたというか……」
主「今作においては3人とも主人公なんだろうけれど、あえて1人あげるならば、1番主人公らしいのはれいかだと思う。
彼女は、この3人の中でもアクセル担当なんじゃないかな。全員がアクセルみたいなところはあるけれど、1番色々な人の背中を押してあげるタイプ。そして天真爛漫で、自由度の高い演技が求められる。
それに対して、100%答えたと思うよ。
さっきも言ったけれど、アニメ的なキャラクターであり、アニメ的な演技が求められている中で、1番アニメ的演技で答えた。
その意味でも褒めるし、彼女がいたからこそ、他の2人もはっちゃけたってところがあったんじゃないかな。
後半はだいぶ硬さが取れてきたね」
おジャ魔女である意味
では、最後になるけれど……今作ってどういう評価になるの?
う〜ん……現代でおジャ魔女シリーズの終わりとしては、これがベストだったのかなぁ
主「ぶっちゃけさ……今作っておジャ魔女である意味ってあるのか、微妙なラインだと思うんだよ」
カエル「え、そこを語るの?」
主「物語そのものは、はっきりと言えばおジャ魔女である必要性は薄い。
例えば……これが『ひみつのアッコちゃん』とかに変更になっても、大まかなプロットは変わらずにいけるんじゃないかな? って思いがある。おジャ魔女でないと絶対にできない物語の流れかと言われると、それは違う。
だけれど……でも、やっぱりおジャ魔女でないといけない作品なんだよね」
カエル「……どういうこと?」
主「1つはやっぱり絵柄とか、演出だよね。あの自由度の高い絵は他の作品とはまた違うものだし。
それから、やっぱりある一定の世代にはどれみという作品はとても神聖視されているし……それこそ、自分にとってのデジモン的な、ね。
その意味では、とても不思議な物語だよね。
キャラクターにケリをつけるのではなく、そのファンにケリをつける……この言葉が正しいのかは難しけれど」
どれみ達のための映画というよりは、ファンのための映画になっているわけだ
カエル「物語の根底にあるものや、その雰囲気もやっぱりどれみっぽいよね」
主「だから、今作は明確に”おジャ魔女どれみシリーズ”なんだと思う。
どれみ達は魔法と決別したよね。
魔法というものは失われたかもしれない、そんなものは現実にはないかもしれない。
だけれど、ピリカピリララ、ポポリナペペルト って唱えれば、何かが起こるかもしれない。そ
の気持ちこそが大事なわけだ。
その意味では……やっぱり、おジャ魔女どれみの映画なんだと思う。
この作品を愛して、幼少期に共に成長した、少女と少年たちのための映画。
デジモンもそうだけれどさ、平成の頃にケリをつける作品が増えているけれど、この作品もその一端を担う作品であるのは間違いなし、この時代に制作され、公開された意味があったのではないか? ということではないだろうか」
まとめ
というわけで、長い記事になりましたが、ここで終了になります!
色々と世代ということもあって、予想以上に語り倒してしまったな……
物語る亀、全編書き下ろし書籍がKADOKAWAより発売です!
電子書籍版もあるので、是非ともご購入をお願いします!
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