今回は『ロボットドリームズ』の感想記事になります!
話題のヨーロッパアニメーションじゃな!
カエルくん(以下カエル)
TVとかでも特集されているのも見たよね
亀爺(以下亀)
ヨーロッパアニメーションがこれだけ話題になるのも稀有なことじゃし、とても良いことじゃな
カエル「それでは、記事を始めていきましょう!
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ChatGPTによるこの記事のまとめ
- 映画はスペイン・フランス合作のヨーロッパアニメーションで、小規模公開ながら話題で上映館数が拡大し、アニメーションの質や背景描写が高く評価されている。キャラクターの個性やNYの生活感が映像を通じて鮮明に伝わり、人混みの中での孤独感も丁寧に表現された感動作。
- 映画のテーマである孤独感への共感は個人差が大きく、犬の孤独や連帯感への渇望は欧米のパーティ文化やアウトドア志向が背景にあり、日本の「おひとり様文化」とは対照的。共感する人には深く刺さるが、感情的に合わない場合はテーマが伝わりにくい面がある。
- 映画のロボットは友人、恋人、または特別な存在として解釈されるが、量産品でもある点が感情移入を難しくしている部分がある。無機物への執着や愛情をどう捉えるかは人それぞれで、犬の孤独感やロボットへの感情が共感できるかが今作を楽しむ鍵。共感できれば心に残る作品となる。
Xの短評
#ロボットドリームズ
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年12月13日
話題のNYが舞台のヨーロッパアニメーションを鑑賞しました
まず第一にこのようなセリフなしの挑戦的な作品がヒットして公開館数が増えていること、そのこと自体が素晴らしく、アニメーション界全体にとってプラスで重要なことなのでとても嬉しいです… pic.twitter.com/1stHRwXZIl
Xに投稿した感想
話題のNYが舞台のヨーロッパアニメーションを鑑賞しました
まず第一にこのようなセリフなしの挑戦的な作品がヒットして公開館数が増えていること、そのこと自体が素晴らしく、アニメーション界全体にとってプラスで重要なことなのでとても嬉しいです
内容は1回目の鑑賞では意識が飛んだのですが、2回目でしっかりと維持しました
グラフィックノベルの街の書き込みであったり、映像の質感がとても良くて生きている街並みを堪能することができます
ボク自身は孤独が好きなタチなので犬の彼のような感情を抱きにくく、その点では感情移入する作品ではありませんでしたが、刺さる人にはとことん刺さる、特に大人に刺さる作品としてヒットも納得の出来でした
感想の前に〜今作のヒットについて〜
それでは、感想の前に今作のヒットについて語りましょう!
今作がヒットしたのは、大変嬉しい事態じゃな
カエル「今作はアメリカのニューヨークを舞台にした作品ですが、制作はスペイン・フランスの合作であるヨーロッパアニメーションです。
公開当初は20館ほどと小規模公開の作品でしたが、話題になったこともあり公開館数も増えており、12月中旬の現在は上映予定も含めて65館にまで拡大しています」
興行収入だけでは計れないヒットじゃな
亀「どうしても興行収入では300館ほどの大規模上映が基準になるため、1億、10億という数字が基準のように感じてしまう。じゃが、当然のように公開館数によって稼げる金額も変化してしまうわけじゃな。
300館と30館と3館では、全く稼げる金額が違うが、それでも同じ土俵として扱ってしまうこともある。
しかしこのように拡大上映をしていっているという事実も含めて、とても嬉しいことじゃな」
どうしても日本だと日本のアニメ映画だったり、アメリカの大規模アニメーション映画が強い印象があるよね
ヨーロッパの、しかもセリフなしの今作がここまでヒットしたことは、まさに驚愕であり大変重要なことじゃ
亀「ヨーロッパアニメーションも良作が日本で公開されているが、興行的なヒットとはあまり結びつかないことが多かった。
しかし今作のように盛り上がってくれれば、日本のアニメ文化にもプラスの効果を生み出すのではないかの。
2024年はヨーロッパアニメーションとしては『リンダはチキンが食べたい』と、今作の2作がとても印象深いのではないかの」
感想
じゃあ、次は作品に対しての感想をいきましょう
アニメーションのクオリティも高く、ヒットも納得じゃな
カエル「今作はアメリカの作家サラ・バロンによる同名グラフィックノベルを原作としていて、擬人化された動物たちが暮らす1980年代ニューヨークで犬とロボットが織りなす友情をテーマとした作品となっています。
グラフィックノベルということで、映像面の描き方が特に素晴らしかったよね」
亀「街並みがとても活き活きとしているの。
アニメーションにおける背景とは、舞台を示す上でかなり重要なものじゃ。時には画面の8割を占めるものであるしの。
その中でも今作は、その場所(NY)ではたくさんの人々が生きており、生活の場として活動している。その様子がはっきりとわかるアニメーションであった」
キャラクターを動物化したというのも、良かったポイントだよね
それだけで個性が伝わってくるからの
カエル「その意味では、今作ではモブが1人もいないというか……もちろん、セリフがなくて単なる通行人もたくさん出てくるのですが、それぞれがきちんとキャラクターとしてデザインされていて、個性がある。
それは現実でも街ですれ違う人と自分自身の人生が交わることはほとんどないけれど、その1人1人に人生があるのと同じ、というかね」
亀「だからこそ、人混みの中での孤独を強く感じる犬の気持ちがわかりやすい作品ともなっているとも言えるじゃろう。
NYの名所観光のような映画にもなっておるようじゃし、アニメーションが良くて今作をずっと観ていられる、というのも納得の出来じゃな」
個人的な感想として
ここまで語っておいてなんだけれど……でも、合うか会わないかでいうと、うちとしてはそこまで合わなかったんだよね?
まあ、これは感情の問題だからなぁ
カエル「あれ、主に変わった」
主「まず、今作を理解するためには犬の気持ちが理解できるかどうか、っていうのもあるような気がしている。
それでいうと、自分なんかは……割と孤独に強いというか、むしろ1人で行動するのが好きなタチなんだよね。だから誰かと一緒にいたい、寂しいという気持ちがわからない。
そうなると犬が抱える孤独への恐怖感というか、誰かと繋がりたいという今作の根本にある感情が伝わってこないから、感情としてはピンとこないものになる」
ここで重要なのは、あくまでも個人の感覚によるものですってことだね
もちろん、今作の犬の感情が伝わる人も多いだろう
カエル「単なる孤独の話ではなくて、もっと大きく……例えば旧友との別れであったり、あるいは死別も含めて、昔はあんなに仲が良かったのに……という昔を思い出すような感覚もあるよね」
主「その意味では若者よりもある程度社会経験を積んだ人の方が、今作に感情移入するだろう。
どちらかといえばファミリー層向けというよりも、オトナなアニメーションといったほうがピンとくるかもな」
以下ネタバレあり
欧米の感覚と日本の感覚
それでいうと、今作は欧米の感覚が強い作品なのでは? とのことだけれど……
やはり、孤独感を恐れる感覚というのは欧米の方が強いのかもしれない
カエル「これは色々な解釈があると思いますが、例えば『孤独のグルメ』がエンタメとして成立するのが日本の特徴とも言われています。
日本ではおひとり様文化が発展しており、1人で食事や旅行に行くことが珍しいものではありません。特にコロナ禍の際におひとり様が奨励されていたこともあり、少人数での行動はより一般化したのではないか、と言われています」
主「それを考えるとさ、日本って本当におひとり様に優しい国だよなって思うし、自分もおひとり様が好きなんだよ。
旅行も食事も1人で行きたいってなるし、予定も自由自在だしね。
それだと、あまり寂しいという感覚にはなりづらい」
だけれど、欧米ではそうではないのではないか、ということだね
特に犬の行動がそれを物語っているように感じるんだよ
主「犬はロボットを手に入れたら家で愛玩するのではなく、外に連れ回す。
またダックと友人になったらアウトドアな趣味を行うわけだ。別に釣りは1人で行ってもいいんだけれど、やっぱり人と外に出ることに快感や連帯感を見出すんだよね。
逆に1人でいる時はインドアな趣味を行なっていて、ロボットとゲームをするけれどそれは外に出られない夜間だから、という解釈だって可能だ」
- 1人で寂しい → インドアな趣味
- 2人で賑やか → アウトドアな趣味
これが欧米の感覚であるのではないか、と
パーティ文化というか、1人で行動しない文化というかね
主「そういう感覚の違いっていうのは、如実に現れているように感じた。
もちろん、ここも個人差があるけれど、1人でもとっても楽しいということを知る方が、犬にとってはいいのではないかな、とは自分なんかは思ってしまうかなぁ」
ロボットをどのように解釈するか
今作の鍵となるが、ロボットをどのように解釈するかということです
ここが個人的には結構難しかった
カエル「一般的には、友達として解釈するものだと思うけれど……」
主「もちろん、それがメインの解釈になるだろうけれど、自分には”禁断とされがちな恋愛感情”とも受け取れるんだよ。
それはロボットと手を繋ぐシーンが顕著だけれど、とてもドギマギしながら手を繋ぐ。あそこは恋愛的な感情の芽生えという風に解釈した。
そうなるとロボットという存在からは、世間の普通からは外れがちな恋愛……つまり同性愛、特に男性同士の同性愛だったり、あるいはロボットが無機物ということで物に対する恋愛感情という、ある種のオタク心理を扱った映画という解釈も可能だ」
近いところでは実写映画ですが、この辺りになるでしょうか
この2作はどちらも無機物との恋愛を描いた作品だよね
カエル「人工知能であったり、あるいはラブドールであっても人間は愛することができる、ということも同時に描いている作品だよね。
日本のアニメだと……友情というテーマだったら『ドラえもん』を筆頭にたくさんあるし、恋愛が絡んだ作品でも『イブの時間』など、本当に山のようにあるよね」
ここもオタク的な感覚と異なる部分かもしれない
主「ロボットとアンドロイドとドールはまた違う存在だけれど、全部無機物としてまとめると、日本はやっぱり”推し活”のように、架空の存在であるキャラクターを愛好するという文化もオタクの中では一般的だ。
その愛好は、自分で閉じているという点はあれども、恋愛感情ということもできる。
そう考えると、本作はオタク作品という観点もある」
ロボットは量産品か? ワンオフか?
ふむふむ……すると、ロボットの解釈が難しくなるということだけれど……
あのロボットは、単なる量産品なのか、それともワンオフのものなのかって話だよね
カエル「描写を見るに一定量以上の生産はなされているようだよね。TVでCMを打っているくらいだし。
そこそこ値段はするようだけれど、犬は財政的には余裕がありそうだから、そこはカバーできるんだろうけれど」
主「そうなると『ロボットは量産品だから買い直せばいいや』なのか、それとも『ロボットは特別な存在だから諦めきれない』なのか、どちらで見るべきかわからないというのが、ちょっと気になったかな。
もちろん、犬がロボットのためにビーチが開くまでずっと待っていたし、特別な存在というのもわかるんだけれど……その後、割とすぐに新しいロボットを買おうというメンタリティになっていたわけだよね。
そこが、観客にどう思って欲しいのかが、ちょっと難しかった」
これが動物とか、あるいは人間ならばわかりやすかったのかもしれないけれど……
結局は無機物であり、商品であるロボットというのが、引っかかるのかも
主「『新しいの買おう』と思えるくらいの気持ちだったのか、それとも『あいつじゃなくちゃダメなんだ』という気持ちだったのかが、ちょっと自分にはわからなかった。
自分はヌイとかにも興味がない、物に執着がないからちょっとわからないのだけれど……お気に入りのぬいがなくなったら、次を買おうというマインドに切り替わる物なのかな?」
そこはもう、本当に人によるだろうし、あれだけ深く悲しんでいたら……という意見もありそうだね
ここも含めて、共感性の問題かもね
主「そう考えるとさ、今作ってやっぱり共感するのが1番楽しめる方法なんだと思うんだよね。
特にセリフがないから、犬に対して感情移入する余地が大きい。
人によってロボットはかつての友人だったり、恋人だったり、家族だったりするわけ。もちろん、かつて好きだったバンドとか、アニメ作品とか、キャラクターとかでも代替可能だろう。
感情移入して、共感できると人生で大切な1本になる。
逆に孤独が好きとか、日本と文化が違うって、共感することができないと自分みたいになるのかもね」
最後に
色々いったけれど、いい作品という評価は変わらないんだよね?
それはもちろん!
カエル「共感できなかったというだけで、今作のヒットがおかしいというつもりは一切ありません」
主「最初に語ったことが大事で、やっぱりこういう作品がヒットするのは本当に良いことだからね。
それだけの度量がある作品だし、日本のアニメーションが弱いところをきっちりと表現してきて、ヨーロッパアニメーションの良さをアピールする作品になっていたよ」