今回はオリジナルテレビアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』の感想記事になります!
どちらかというと文句が多い記事になるので、そこは注意してほしい
カエルくん(以下カエル)
「制作がWITスタジオということもあるし、特にオリジナルテレビアニメだからこそ、楽しみにして見ていました!」
亀爺(以下亀)
「一応スマホで見るようなこともせず、綺麗が画質で最終話まで楽しませてもらったの」
カエル「それでは、早速記事のスタートです!」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#vivy
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2021年6月20日
バリバリの作画・撮影などで美しく紡がれた物語はまさに圧巻…なんだけど全体的には惜しいかな
最近多いが直情的で刺激的なだけの展開で引っ張りすぎて限界が来ているしAIと人間の哲学的な面なども見えてこなかった
100年と言えば1920年と現在位の差があるのにそれも表現できず勿体ないかなぁ pic.twitter.com/kI7BjOmMFm
アニメは難しいの……
カエル「まず、第一に語るのはさすがはWITスタジオということもあって、映像表現はピカイチだったんじゃないかな?
テレビアニメでもここまでのクオリティでできるんだ! という驚きもあったし、まるで映画を見ているような映像がずっと続いているような、そんな作品だったね。多くの人が魅了されたと語るのも納得の作品だったんじゃなかな?」
亀「この辺りの評価も難しいが……確かに映像表現も良かった。
近年はデジタル化以降、特に撮影技術の向上が目覚ましい。それこそ、映画ではあるが『君の名は。』などの新海誠の作品であったり、それからなんといっても『鬼滅の刃』などのufotableの作品が美しい映像表現で多くの人を魅了しておる。
あのキラキラとした撮影技術の進化こそが、現代のアニメ表現の大きな強みであり、おそらく今後の”日本アニメ”の1つの潮流となっていくのじゃろう。
それを如実に感じさせる映像であったのは間違いない」
カエル「単純に作画……つまり、キャラクターの動きが早いとか、緻密とか、そういうところだけじゃない魅力に溢れた作品だったということだね」
それでも、評価そのものが微妙なのはどういう点なの?
……ふむ、よくわからなかったというのが、1番かの
カエル「……よくわからない?」
亀「もちろん、物語そのものはシンプルじゃ。
世界の崩壊を防ぐために、タイムスリップをして世界を救う……それだけ聞けば、それこそ『ターミネーター2』などにも代表されるような、王道のSFということもできるじゃろう。
しかし、SF表現に対して色々と疑問があったことに加えて、この作品が何を伝えたかったのか……それがイマイチ伝わってこない。
だから、映像面は賛美しよう。
オリジナル作品でこれだけ力を入れて、魅せてくれたことに対して感謝もある。
しかし、その映像面以外の部分……特に物語、そしてキャラクターの部分、ここが大きな疑問があるわけじゃな」
SF表現の曖昧さ
その疑問がよく出てしまったのが、SF表現の曖昧さってところだね……
SFにしてしまったからこそ、思うところかも知れんな
カエル「うちもそこまでSFものではないけれど、それでも……もしかしたら、だからこそ気になってしまった部分があったのかもね」
亀「まず単純に、100年という月日の描き方が全くできているようには思えなかった。
単純に考えて、今から100年前と言ったら1920年くらいということで……もう、時代も何もかも違うの。まだ大正時代であり、日本も今と何もかもが違う時代じゃ。ITなんて影も形もない、ロボットどころかパソコンすらないような、一般家庭にテレビや冷蔵庫もないような時代じゃな。
その時代の違い、変化、それが描けていたとは全く思えない。
街の変化、ガジェットの進化……それらが全くなかったのが気になる。あれでは、せいぜい10年程度のものじゃろう。
Vivyは100年前に作られたということであるが、途中でメンテナンスなどはしているのじゃろうが……全く時代が変化していないようにしか見えなかったのが、残念であるの」
カエル「100年後の未来なんて想像もできないからね……それを絵にするのは難しかったと思うけれど……」
亀「難しいからこそ、それを描くのがSFなのだとわしは思っていたがの。
そうなると、100年という月日を超えるという設定もあまり意味をなさない。
確かに人間は衰える、一方で衰えないAIやアンドロイド……そういう設定をやりたかったのはわかるのだが、それならばファンタジーにして、絶対に死なない人間を主人公にするのもありなのではないかの?
うちが好きなゲームでいえば『ヴィーナス&ブレイブス』のような、の」
それでいうと、Vivyなどのアンドロイドが感情が豊かになってくると、人間との差異がつきにくいっていうのもあるのかもね
キャラクターとして、アンドロイドである意義が『死なない、劣化しにくい』という点以外になかった印象もあるの
亀「それとタイムスリップもよくわからなかったというのがあるかの」
カエル「ちょっと便利に使いすぎた感はあるのかなぁ……
あのシステムを起動させることで時代を超える……というのはわかるけれど、歴史を改変することで、結果の変革に成功しているのかどうかが分かりづらいのと、ちょっと都合良すぎるかなぁ……という思いはあったね」
亀「歴史を変えることで元の歴史がどうなるのか、また改変することで歴史の流れが変わるとその後に辿る出来事も変わると思うのじゃが、大きな事故は変わらず発生してしまった。
こういった点なども含めて、SFというよりはファンタジーな印象を抱いてしまったかの」
過激な要素を詰め込んだ物語
でもでも、世間評価は悪くないんじゃないの?
そうじゃろうが、わしには過激な要素を詰め込んだだけにしか見えなかったの
亀「これは最近……例えば『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』などを見ていても感じるのじゃが、少し残虐な物語が多すぎないじゃろうか?
その残虐性が物語に生きる、あるいは誰かの死が劇的な意味を持ち、カタルシスを与えるのであればいいが……それが観客・視聴者にショックを与えるための素材でしかないように感じられる」
カエル「そこは個人の考えもあるけれど、一部では『ワンピースなどの死を極力避ける作品の反動』とも言われているよね。
80年代くらいは劇画ブームもあって『北斗の拳』などのバイオレンスな作品が続き、90年代くらいは『ドラゴンボール』『ワンピース』のような、バトルでもバイオレンスな描写は少なめで、人が亡くなるシーンも……0ではないけれど、でも復活したりとするような、殺さず系主人公などの作品が人気を集めた。
で、その反動でまたバイオレンスな作品が人気を集め始めている、という話もあるよね」
亀「わしが最近バイオレンス描写に飽きているのもあるのじゃが……本作も1話からバイオレンスな描写が続いた。
それから感情的に煽るような描写も多く、泣け、泣けと言われているようにも感じてしまう部分もあった。
それらは結局のところ、視聴者を感情的に満足させるためでしかなく……いや、物語というのはそういうものかもしれんが、結局は100年後の災厄も含めて、バイオレンス描写も、歌唱も、アンドロイド設定も物語を動かすための舞台装置にしか感じなかったのじゃな」
えっと……もう少しわかりやすくいうとどういうことなの?
思想性や哲学性がなく、単に”こうすれば視聴者が面白がろうだろう”という、製作者側の煽りでしかなかったのではないか? ということじゃ
亀「例えば音楽で戦争を止めるというのは『超時空要塞マクロス』などが思い浮かぶじゃろう。
文化の力で戦争を止める……立派な思想じゃ。
しかし、本作にその思想があったのだろうか?
バイオレンス描写は煽りでしかなく、思想性を感じなかった。その先にある歌もまた……近年はアイドルアニメが全盛であるが、”歌とアニメの相性はいいよね”ってことで、CDなども含めて作品を売るためのガジェットにすぎないように感じてしまった」
カエル「それはそれで企業戦略としてあってもいいし、正しいけれど、でも物語として機能したか? という問題なのかな」
亀「そうじゃな。
結局、本作が何を伝えたかったのかが、イマイチわからんかったというのは、これが原因じゃろう。
つまりは思想性・哲学性・社会性……一言で言えばテーマの欠如・薄さじゃな。
いや、映像面・アニメーションに関してはそれは感じられたし、時に作画が荒れていても……後半はかなり怪しかったが、それも見どころは多かった。音楽もいい。
問題は物語において何を伝えたかったのか。
”戦争を回避する”以上のものを提示できたのか……それが問題となるわけじゃな」
結構、手厳しい意見だね
だから、最初に述べたように”アニメは難しい”という言葉になったわけじゃな
亀「なんでも絵で表現できるからこそ、表現しなければいけないことも増える。
仮に絵で表現できたとしても、アニメーションとして動かさなければいけない。
そのバランスをどこまで目指すのか……それが難しい。
シリーズ構成などを務めた長月達平に対する文句のようでもあるが、元々ファンタジーで名前を挙げた人であるし、まだ若くシリーズ構成経験も豊富とは言えない中で、このような大作を担当するのは大変だったと思う。
しかも絵として面白くしなければいけないし……大変な仕事じゃな」
カエル「結局、この作品を楽しめるか否かは
- 映像・音楽面に満足することができる
- Vivyに感情移入できる
ということなのかもしれなくて、そのどちらもピンとこなかった、ということなのかもしれないね」