それでは、今年のドラえもんの新作長編映画のお話をしていきましょう!
3月でもトップクラスに楽しみな作品の1つだよ
カエルくん(以下カエル)
「ドラえもん作品はそのイメージ通り、子供向けアニメの優等生であって、親御さんも安心して見せられる作品が多いもんね」
主
「自分も子供が生まれたらまずはドラえもん映画から映画館入門させたいかなぁ……
実際にはアンパンマンの方が先になるかも?」
カエル「そんな妄想は置いておくとしても、興行面では高い評価をされるけれど、もっと賞レースや批評的にも注目を集めてもいい作品が多いような……」
主「このあたりは児童・子供向け作品に対する……偏見とまでいったら少し過激かもしれないけれど、悔しい部分もあるかなぁ。
本当にレベルの高い作品が多いので、この手の作品にも注目が集まるようになってほしいね」
カエル「今回のドラえもんにはうちとしても注目すべきポイントがたくさんあるので、そちらに関しても少しだけ説明していきましょう!
では、記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
日本中で知らない人はいないであろう、国民的人気アニメである『ドラえもん』の長編劇場シリーズ39作目
監督は『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊』などの名作長編のリメイク作品を手がけた八鍬新之介が初のオリジナル長編を担当。脚本は自身も2児の母であり、ドラえもんファンとして有名な直木賞作家、辻村深月が担当することも話題に。
水田わさびをはじめとするテレビシリーズおなじみのキャスト陣に加えて、ゲスト声優には広瀬アリス、柳楽優弥、吉田鋼太郎などが起用されている。
月面探査機が捉えた白い影がニュースとなり話題となった中、のび太はそれを「月のうさぎだ」とクラスメイトたちに話して、バカにされてしまう。悔しい思いをしたのび太はドラえもんに泣きつき、ひみつ道具である『異説クラブメンバーバッジ』を使い、月の裏側にうさぎ王国を作ることにした。
うさぎ王国の発展を楽しみにしていたのび太たちであったが、そんなある日、ルカという少年が学校に転校してくる……
「映画ドラえもん のび太の月面探査記」予告2【2019年3月1日(金)公開】
感想
では、いつものようにTwitterの短評からのスタートです!
#ドラえもん #のび太の月面探査記
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月1日
安心安定のアニメ映画界の優等生らしい良作!
誰が観ても楽しめながらも過激になりすぎないように抑制された物語や演出が楽しい
特に静かなシーンでは叙情性すら感じさせる
若干詰め込みすぎな感もあるが今年もクオリティの高い一作に仕上がってます! pic.twitter.com/AORHQReLYz
ドラえもん映画らしい、誰もが楽しめる落ち着いた良作です!
カエル「やっぱりドラえもん映画ってアニメ映画の中でも特別安心して見ていられるところがあって、それは今作も健在だったね!
笑ってワクワクして怒って泣いて、そして勉強にもなるし教育的にも大事なメッセージ性を含んでいる、見事な物語になっています!」
主「例えばアクションシーンなども爆発や過激な描写をたくさん入れることだってできる。キャラクター表現だって、もっともっと扇情的に煽るようなものもできるけれど、そういうことを一切しないでドラマを魅力的に作り上げるのがドラえもん映画の魅力だ。
その抑制しながらも、しっかりと観客を魅了する物語になっている。
特に、本作は静かなシーンに注目!
叙情的な美しい映像も多く、見ているだけで懐かしさを覚えて涙が出てきそうなほどです!」
カエル「一方で、欠点としては詰め込みすぎでは? ということがあるけれど……」
主「まあ、でも小さなことではないかな?
この110分ほどの時間の中ではどうしても詰め込みすぎてしまうのもわかるし……
本作は辻村深月が脚本を務めているけれど、彼女が本当にドラえもんが好きなことは伝わってきた。だからこそ、色々なことをやりたがったのかな? という印象もある。
いつもは見せ場なく終わるキャラクターもいるけれど、本作は全員にスポットライトが浴びせられているし、ゲストキャラクターも魅力的だった。
それらの工夫を思えば、自分の不満点なんて本当に小さなことですよ」
八鍬新之介監督について
まずは、今作の監督を務めた八鍬監督について語ってきましょう!
近年のドラえもん映画には欠かせないスタッフの一人だね
カエル「2005年にシンエイ動画に入社後、ドラえもんをずっと手がけてきた方でもあります。
2014年には『新のび太の大魔境』で劇場版ドラえもんを監督して高い評価を獲得し、2016年には監督業以外に脚本なども務めた『新のび太の日本誕生』を手がけている、30代の比較的若手の部類に入る監督です!
テレビシリーズのドラえもんも2017年から監督しており、まさしく現代のドラえもんを支える存在と言っても過言ではありません!」
主「特にここ数年のドラえもん映画のレベルはとても高い。
それも、特に”優等生”と言いたくなるほどのレベルであって……ほら、『クレヨンしんちゃん』などは少ししんちゃんが悪ガキな所もあって、そこも魅力ではあるけれど、ドラえもんはそのような部分がほとんどない。
年齢、性別、国籍、宗教、そのほか色々なものを問わずに誰もが楽しめる作品に仕上がっているんだ」
カエル「子供向けアニメだから当然のように思われるかもしれないけれど、お下劣な
下ネタや残虐なアクションもなく、グイグイと子供たちを惹きつける物語はとてもレベルが高いよね。
それこそ、ディズニーやピクサーと同じようにもっと評価されるべきなんじゃないかな?」
主「しかも教育にもいい描写が多い。
自分は八鍬監督作品では『新日本誕生』が大好きで、この映画の持つ脚本の完璧さに恐れおののいたほど。複雑に錬られた伏線、子供たちへの教育的な配慮、ドラマ部分の濃さ、そして歴史に対するメッセージ性……何をとっても完璧で、2016年はアニメ映画の大傑作作品が集まった1年だったけれど、そこに名を連ねる作品です!
今回はそれまでリメイク作品を扱っていた八鍬監督が、オリジナル長編映画でどのようなドラえもんを作り出すのか……そこに注目してください!」
脚本・辻村深月について
そして本作は直木賞作家である辻村深月が脚本を担当することでも、大きな話題をよんでいます!
この人選は最高だよ!
カエル「ちなみに、2018年公開した『のび太の宝島』でも映画プロデューサーであり、自身も小説を発表する作家の川村元気が脚本を担当したことも話題になりました」
主「作家や脚本家以外の人が長編シリーズの脚本を務めることには色々な意見があるだろうけれど、少なくとも辻村深月の起用にはもう大絶賛しかない。
というのも、もちろん直木賞や本屋大賞など、大衆向けのエンタメ作品を主体でいくつもの受賞を果たしている実力も兼ね備えていることもあるけれど、何よりも小説家の中で1番とも言えるほどにドラえもんへの愛を持つ人だからだ!」
カエル「デビューから3作目の作品である『凍りのくじら』で、ドラえもんを強く意識した描写や小タイトルもあったし、自身の経歴を語るインタビューなどでは、ほぼ間違いなくドラえもんへの愛について語っていたもんね。
数年前のインタビューでも『今でも金曜七時はドラえもんの時間です』と語っていたことを、よく覚えているよ」
主「今回は小説版も刊行されていて、自分はジュニア文庫版の方を読んでいたけれど、やっぱり面白いね。辻村深月の新作というだけでも注目するべき価値はあるよ。
とはいっても、今作は脚本が先にあるのであくまでも脚本を小説に書き直したという印象も強いけれどね」
カエル「インタビューにおいても6年前に依頼があったけれど、好きすぎて一生ファンでいたいからと断っています。
だけれど多くのクリエイターがドラえもんを支え続けてきた姿を見て『次の1年へつなぐためのバトンをもらってほしい』と言われたのではないか? と解釈し、ドラえもんへの恩返しのつもりで引き受けています。
これほど深い思いがあるとは……もう、本物だよね」
主「今作もその深いドラえもんへの愛が如実に感じられる作品になっている。
というのも、ミステリー作家だからと変に奇を衒うようなこともせず、あくまでもドラえもんの過去作が守り抜いてきた作風を継承しながらも、自身の物語を紡いでいる。
元々辻村深月は物語作家として一流であり、作品や作中のキャラクターへの愛を如実に感じるタイプの作家だったけれど、本作もその味が見事に発揮されています。
本当に、これ以上ない人選だったのではないでしょうか?」
ゲストキャラクターについて
今回のゲストキャラクターが最高に素晴らしいよね!
もう、今から大きなお友達が大騒ぎする姿が目に浮かぶよ……
カエル「いつもドラえもんのゲストキャラクターは魅力的!
もちろんレギュラーキャラクターも可愛らしく、近年はしずかちゃんの可愛らしさにドキッとすることもあるほどだけれど、それはゲストキャラクターも同じだよね。
特に本作のメインのゲストキャラクターであるルカくんは、絶対お姉さんたちと一部のお兄さんたちの心を鷲掴みにすること間違いなし!」
主「なんだろうね……あれは反則ですよ。
というのもさ、可愛らしさとかっこよさ、儚さなどを同居させた存在であり、ここまで途轍もないキャラクターが生み出されたことが驚愕です。
しかも声優は皆川純子が務めているから、少年ボイスがさらにキャラクターの魅力を増しているし……
いや、子供向けアニメだけれど大人の心を奪いにきているでしょ?
”初恋の男の子はルカ君”という女子児童がたくさん出てくること間違いなしというくらい、恐ろしいほどの魅力を兼ね備えたキャラクターです」
カエル「もちろん広瀬アリス演じるルナも可愛らしくて!
ちょっとだけ芸能人っぽい演技があったけれど、でもきになるレベルではなかったしね」
主「芸能人声優で言えば、近年のドラえもん映画は一定以上のレベルの方を起用していることもあって違和感はあまりありません。特に吉田鋼太郎は貫禄の演技を披露していて、こちらは本職の声優と正面切って戦えるほど!」
カエル「ゲストキャラクターに話を戻すと、今作ではマスコットキャラクター的な扱いのムービットの中でも、のび太に似たノビット達も可愛らしく大事な役割をしているので、是非とも注目してください!」
まとめ
では、とりあえずネタバレ抜きで語ったこの記事のまとめです!
- アニメ映画界の優等生らしい年齢、性別を問わない良作!
- 八鍬監督と辻村深月の愛が伝わってくる!
- ゲストキャラクターの可愛らしさで大きなお友達もメロメロになること間違いなし!
今年も楽しませてもらいました!
カエル「とりあえずネタバレなしで語りたいことはこんなところかな?」
主「見所は、とにかく静かな演出だね!
中盤のあるシーンではそれまでの描いてきた雰囲気と一気に代わり、こちらの胸も凍るような体験もある。
それ以外でも、うっとりとしてしまうほど1枚の絵画として美しいシーンもいくつもある。
昨年の『のび太の宝島』は動きの魅力が大きかったアニメ映画だけれど、今作はその真逆となっていて、これは監督の味が出た形ではないかな?」
カエル「今年も多くの人を魅了すること間違いなしのドラえもんワールドを堪能しに、ぜひぜひ映画館へ向かってください!」