毎年恒例のクレヨンしんちゃんの映画新作レビュー記事になります!
今年はご存知の方も多いでしょうが、変化があったね
カエルくん(以下カエル)
「今回から主演を務める声優さんが矢島晶子から小林由美子に変更になっています!
テレビシリーズではだいぶ前のお話だからすっかり忘れていたけれど、映画では今年から変更になるんだね」
主
「結構突然の変更で驚いたなぁ……自分はテレビシリーズは見ていないから、小林由美子しんちゃんはこれが初鑑賞になるね。とは言っても、昔から少年ボイスなどで活躍されているし、パッと聴いた感じは似ている声を出していたので、そこまで気にはならなさそうだけれど」
カエル「そして、実はもう1つの小さいながらの変化が公開時期の移動です。
ずっとコナンとぶつかるように戦ってきたけれど、残念ながらコナンの爆発的な興行収入の伸びにはついていけてないから、しょうがないのかなぁ」
主「しんちゃんの興行収入自体は伸びているんだけれど、こればかりは難しいよなぁ。
ドラえもん、コナンと共に全体的には増収傾向にあるから、本当はドラえもんとコナンの間の3月末に公開とかにすればちょうどいいんじゃないかな?
まあ、そんな簡単にはできないか」
カエル「今作のコナンと分かれる形ので興行収入がどのように変化するのかも含めて注目です!
それでは、クレヨンしんちゃんの記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
人気長寿アニメである『クレヨンしんちゃん』の劇場版第27弾となる作品。
監督は『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』や『宇宙人シリリ』などを手がけてきた橋本昌和が担当し、脚本は橋本とは『サボテン』でタッグと組み、昨年公開の『カンフーボーイズ』から2年続けて起用となった”うえのきみこ”と水野宗徳が共同で担当する。
声優には2018年7月放送分より矢島晶子からしんのすけ役を引き継いだ小林由美子がしんちゃんシリーズ初主演を果たす。ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみなどのおなじみの面々の他、ゲストキャラクターのインディ・ジュンコには木南晴夏が担当する。おなじみの芸人声優には小島よしおの他、ぺことりゅうちぇるが熱々のカップル役を演じ、また本作の主題歌を担当するあいみょんも本人役で登場している。
新婚旅行に行ったことがないと気がついた野原一家は、激安ツアーを利用してオーストラリアへと旅発った。旅行の目玉イベントの日は金環日食が起こり、ゴールデンリングを指にはめて愛を誓おうというイベントでもあった。しかし、ひろしとみさえはちょっとしたすれ違いのために、喧嘩をしてしまう。
そんな中、その地に住まう仮面族は特別な儀式を行おうとしており、その花婿役としてひろしがさらわれてしまう。そこに仮面族のお宝を狙うトレジャーハンターも加わることとなり、大騒動が巻き起こるのだが……
『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』予告
感想
では、いつものようにTwitterの短評からスタートです!
#映画クレヨンしんちゃん
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年4月19日
橋本監督のしんちゃんではNo1!
新婚旅行ということてベタベタな展開とお話だけどそれが良い!
不覚にもみさえにときめくシーンも
ギャグはもちろん笑えるし今回は音楽の使い方が特徴的でさすがはTARI TARI監督と納得
多少大人向けすぎる印象もあるが全体的に満足度高し! pic.twitter.com/YKbfIuirq4
橋本監督のしんちゃんでは過去最高にオススメしたい作品です!
カエル「近年のしんちゃんは『ロボとーちゃん』や『ユメミーワールド』などの高橋監督と、今作の橋本監督が交互に製作しています」
主「それがとてもいい方向に働いていることもあって、お互いの監督がお互いを意識して、いい意味で競争しあっているのが伝わってくるんだよね。
例えば昨年の『カンフーボーイズ』などは橋本監督へのメッセージ性も含まれているような気がしていた。
橋本監督はトークショーにも行ったことがあるけれど、とても真摯にしんちゃんに向き合っている監督であり、その愛が強い方というのは伝わってくるけれど、今作はそれがとても良い方向に行った形なんじゃないかな」
カエル「今回はギャグ、感動、アクションなどのバランスがとても良かったんじゃないかな?
子供も大人も楽しめる先品に仕上がっていたよね」
主「ちょっと大人向けすぎる……一緒に劇場に来ている両親を意識しているところはあって、それがほんのすこしだけ気になったけれど、子供向けの……しんちゃんらしいというのかな、子供が喜ぶ下ネタギャグもしっかりと入っていて、ファミリー向けのコメディ娯楽作としてのレベルの高さを感じたかな。
物語としては……いってしまえば、若干”クサイ”物語なんだけれどさ、それを照れずに100パーセント全力直球勝負で描いたことに好感があります」
作画、動きの良さ
今回、子供達が飽きないような作画の良さがあったよね
アクションパートはずっと面白くて見応えがあったし、それ以外にも楽しめるポイントがたくさん!
カエル「しんちゃんって独特のキャラクターデザインだけれど、その中でも動きまわってゲラゲラ笑えるようなシーンが目立った印象かなぁ」
主「今作では予告編を見ればわかるように『インディージョーンズ』や『マッドマックス4』のような映画のオマージュもふんだんに使われている。その中でも、比較的序盤の方で、有名なダンス映画のパロディがあるんだけれど、そこの動きがとても面白い!
見た時間が平日朝一だったので子供がいなかったけれど、小さな子供だったらゲラゲラと笑うのだろうなぁ……と思わせる出来でした!」
カエル「あとは……動きのシーンとは少しだけ違うかもしれないけれど、今作ではまさかまさかの”みさえが可愛い”という謎の現象があります!」
主「あのみさえですよ……?
それがとても可愛くて、ひろしとみさえの夫婦に対して『このバカップルが爆発しろ!』と思う日が来るとは思わなかった……
ただ、今作は先に述べたようにひろしとみさえの夫婦の恋愛話でもあるので、その2人がとても魅力的な恋人関係に見えるのはとても重要な要素。
その意味でも、本作はクレしんらしからぬ魅力を兼ね備えた作品と言えるかもしれないね」
物語について
次に物語についてだけれど……
ベタ中のベタな出来だけれど、それが最高にいい!
カエル「今回はひろしとみさえを中心とした家族の物語なんだよね。
ここってちょっと間違えると……例えば、いつもの流れではあるけれどひろしが綺麗なお姉さんに見とれたり、あるいはナンパのように見える行動をとると、今のコンプライアンスが厳しい世の中ではギャグにならなくなってしまうというか……」
主「特に本作は新婚旅行だから、その点についてはより気をつけなければいけないだろう。
その点において本作はとてもバランスに優れているし、大人が見ても笑えるレベルのすれ違いコメディになっている。
また、繰り返すけれど物語自体はちょっとクサイくらいなんだけれど、それを照れずに真正面から描いているし、しんちゃんや今作のゲストキャラクターのジュン子がいることでツッコミ役となってくれて、物語全体を引き締めてくれる効果があるんだ」
カエル「今作はひろしとみさえの良さを再確認したよねぇ……
近年は親としての2人をピックアップした作品も多いし、特にひろしに関しては多くの作品で良いお父さんとして描かれているけれど、みさえはあまりそんなシーンは思い浮かばないかなぁ……『ユメミーワールド』の時はすごく感動したけれど」
主「観客も大人であればもう何十年のこの家族を見てきたわけであり、はっきりと言ってしまえば離婚するということはほぼありえないとわかっている。それだけ強い家族愛に満ちているわけだ。
だから……中盤から終盤にかけてのひろしの名シーンだって、何も言われずともその真意は観客に伝わるし、それを何1つ疑いもしないみさえの姿に胸が熱くなる。
物語としては大きなピンチに陥るところで、あのようなシーンを入れることで物語にメリハリが生まれて感動する。
今作は幸せな家族像と波乱万丈の描き方、バランスがとてもよくて、多くの人が親しみやすい物語になっているよ」
今作最大の見所! 音楽について
そしてそして……意外かもしれませんが、この作品は音楽映画としても面白いです!
BGMもまた素晴らしいんですよ
カエル「どうだろう、過去のしんちゃんの映画でここまでBGMなどの音楽が主張してくる映画ってあまりなかったんじゃないかな?」
主「パッと思いつくのは『オトナ帝国の逆襲』かな。あれは昭和の懐メロなどを入れることによって、懐かしいという感覚を植えつけることに成功しているし、ラストに流れる『今日までそして明日から』などは歌詞もマッチしている、あの作品を語るのに欠かせない見事な楽曲センスだった。
今作はBGMも含めて音楽を合わせるセンスが感じられた。
橋本監督は以前にも深夜アニメで合唱部を舞台にした『TARI TARI』を監督していたけれど、その音楽を合わせる技術をここで使ってきた印象だね」
カエル「あいみょんの楽曲と合わせて注目してほしいポイントです!」
主「ただ、自分はちょっと苦言というほどではないけれど思うところもあって……というのは『オトナ帝国の逆襲』もそうなんだけれど、選曲のセンスがオトナ世代を完全に狙い撃ちにしている印象があった。
もちろんそれはそれで悪くないんだけれど、割と露骨だなぁ……と苦笑した面はあったかな。ただ、その楽曲自体がその時の登場人物の心情にマッチしていることもあって、決して悪くはなかった。
あとは終わり方が両方ともぶつ切りだったので、そこはもうチョイ余韻を残して欲しいというかね。
まあ、ギャグアニメなのでこれで正解といえば正解なんですが……」
声優について
初の小林由美子しんちゃんはどうだった?
思った以上に違和感がなかったよ!
主「最初は『ちょっと違和感があるなぁ……』と思っていたけれど、まさか開始15分くらいで全く気にならないくらいに慣れるとは思わなかった。
完璧にしんちゃん」
カエル「よくよく考えてみるとひろしも交代してしばらく経つけれど、もうすっかり馴染んでいるもんね。藤原啓治も復帰しているけれど、もうこのままひろしは交代したままでもいいんじゃないかな? と思う気持ちもどこかにあるし、再び復帰されたら嬉しい気持ちと一緒に、どこかで森川ひろしに対する寂しさも抱いてしまいそうで……」
主「レギュラー声優陣に関しては文句は一切なし!
しかも今回は敵役にベテラン声優陣が起用されているけれど、特に大塚芳忠の演技は本当に最高!
しんちゃんではおなじみ感もある声だけれど、仮面の部族の独特の言語を……明らかに日本語だけれど話すコミカルな会話が作品に大きな笑いを添えていた。
それとまさかのお姫様が悠木碧で……最近何でも出てくるなぁ、と感心する一方でこの使い方の豪華さに思わず笑みが浮かぶというオタク特有のツボポイントもありました」
カエル「ゲスト声優の木南晴夏はどうだった?」
主「思った以上に悪くなかった!
最初は『あれ?』と思ったけれど、次第に役に慣れていったのか、合ってきていてさ。しんちゃんシリーズってこの手のゲストヒロインの役は声優が演じるイメージがあったから、今作の起用にはちょっと違和感もあったけれど、でも実際聞いてみると良かったよ。
彼女のガサツな一面がよく発揮されていて、こちらも笑いにつながる演技だったね」
カエル「今作では芸能人の扱いが上手かったよねぇ。物語に致命的な傷にもならず、でも子供達がしっかりと喜びそうな人を選び、それをギャグとして描いていたしさ」
主「小島よしおは、しんちゃん映画の準レギュラーでもいいんじゃないですかね?
本人のキャラクターとしんちゃんのイメージにも合っているし、普段テレビを見ない大人でも知っているだろうし、これ以上合う芸人は自分は思い浮かばないかなぁ。
ポケモン映画における中川翔子のような扱いとなってもいいと思うよ」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 橋本監督のクレしん映画の中では1番推したい作品に!
- みさえやひろしの描き方がバランスも良く笑って笑って感動します!
- 音楽が特にいい! オトナ世代であればぐっと引き込まれること間違い無し!
とてもいい作品でした
カエル「ちなみに、今作は多くの映画のオマージュがあったけれど1番大事なのはどの作品だった?」
主「……やっぱり『オトナ帝国』じゃない?
今作ってオトナ帝国を下敷きにした部分が多く見受けれて、ひろしのそれまでの人生の歩みとか、列車を追うカーチェイス、あとは音楽の使い方などはオトナ帝国の名シーンを下敷きにしている感もある。もちろん、あくまでも”そう受け取れる”レベルのオマージュだけれどね。
あとは穿ってみれば”ハリケーン”って過去のしんちゃん映画の”嵐を呼ぶ”のリスペクトなのかなって思ったり。
平成最後の時代に、平成を扱った重要作品であるオトナ帝国を下敷きにして、令和でも、そこから先でも変わらない家族の絆を描いた作品に仕上がっているな」
カエル「そして来年は懐かしのあいつがいよいよスクリーンに帰ってくる!
これは期待が高まります!
また来年も楽しんでいきましょう!」