今回は注目度も高い難病もの映画『余命10年』を紹介していきます!
試写会で見ることができたので、ネタバレなしで見どころなどを簡単に話していきたいの
カエルくん(以下カエル)
「このストレートな題名からもわかるけれど、今作では難病になりながらも懸命に生きる人と、それを支える人々のお話です」
亀爺(以下亀)
「”泣ける”などという言葉は陳腐には感じられるが、実際それだけ泣けるいい作品となっているの」
カエル「それでは、記事のスタートです!」
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作品紹介
実際に余命宣告を受けた原作者、坂流加の同名恋愛小説を小松菜奈と坂口健太郎の2人を主演に迎えて映画化した作品。監督には『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀監督賞などを受賞した、若手映画監督の注目株である藤井道人が担当する。
音楽には人気ロックバンドRADWIMPSが書き下ろしており、主題歌も含めて2人の恋愛を柔らかく盛り上げていく。
あらすじ
数万人に1人という病を患い、余命宣告を受けた20歳の高林茉莉(小松菜奈)は、ある日訪れた中学校の同窓会で、同級生だった和人(坂口健太郎)と出会う。最初は惹かれることがなかったが、様々な事情により交流を重ねていくうちに2人は想い合う仲に。しかし病は確実に進行しており、2人の関係性にも影響を与えていく……
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#余命10年
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年2月24日
重厚ながらもソフトで挑戦的な映像に捉えられたのは高林茉莉という1人の女性の人生と残りの時間への覚悟
人と出会い変化していく関係、そして人はなぜ“遺す“のかに向き合った物語に観客である自分をどこかで重ねていました
思わず目頭を抑える藤井監督の魅力が詰まった確かな傑作でした! pic.twitter.com/FbAs0VnUcH
これはなかなか良い意味で話題を集めそうな作品じゃな
カエル「今作は原作者である小坂流加さんが、難病を発病されてもなお小説を書き続けた作品が元になっているということで、普通のフィクションとは少し異なる作品となっています。
つまり、フィクションではあるんだろうけれど、その知識があると小松菜奈が演じる、高林茉莉の生き様が、ちょっとフィクションには見えなくなってくるというか……色々な思いを感じ取れる作品です」
亀「うちはあまり難病ものに対しては得意ではなく、辛口なことも多いのじゃが、今作に関しては褒める箇所が非常に多い作品となっておる。
もちろん、予告にあるように男女の恋愛描写も胸に来るものがあり、とても美しくて涙を誘うものであった。
しかしそれと同時に……高林茉莉という人物がどのように生きたのか、その生き様に心を打たれた作品じゃな」
● 主人公・高林茉莉の生き様
● 他の人々との関係性のドラマ
● 生きた証明を遺すということ
多くに人に刺さりやすい”難病もの”と、その欠点
色々な意味で感動するポイントが多くて、単なる恋愛だけのドラマではないよね
人が生きること、死ぬことに対してしっかりと向き合っている作品じゃな
カエル「こういった作品では違和感を覚えることも多いんだよね。
近年は恋愛に対する障害が少なくなってきています。
例えば昔ならば身分違いの恋(ロミオとジュリエット)などがあり、社会的にもそれは仕方ない壁だと思われていた。だけれど、今の時代は自由恋愛の時代であり、近親愛などの一部を除いては、ほぼ自由化されているから、恋愛作品が作りづらいんだよね。
その中でも”難病もの”というのは、人間に残された恋愛の数少ない障害の1つでもあります」
亀「死や病気だけは人間が避けることができないものじゃからの。
しかも20代の若さで難病に罹るというのは、それだけでとても多くの人に刺さりやすい題材じゃ。
一時期の純愛ブームがあったが、『恋空』『世界の中心で、愛を叫ぶ』などの作品が大きくウケたのも、難病ものというわかりやすい題材の作品だからということができる」
だけれど、それだけ”わかりやすく”て、”共感しやすい”からこそ、物語としては難しいところがあるんだよね
単純にいって終えば『死をエンタメとして描き、深みがなくなる』ということかの
カエル「よく、こういった難病モノの批判で言われるのが『難病ものは幼稚』とかの意見で……なんというか、泣かせようとしすぎるからこそ、それがちょっと深みがないように感じられるんだよね。
だから『若い人はこれで泣けるのだろうけれど、大人はねぇ……』なんて声も聞こえてきて、売れるけれどそれ以上の深みがないジャンルとして認識されてしまいます。
でも!
本作はそんな欠点をものともしない、しっかりとした作品になっているのです!」
● 恋愛が全てになりやすい(恋人以外の人を軽く扱いがち)
● 死生観や病気に対する向き合い方が軽い
本作の魅力について
魅力① 『難病もの』の問題点を覆す真剣な描き方
じゃが、この作品はそういった批判ポイントをしっかりとカバーしているように感じられる
亀「本作が描いたのは『死んでしまう恋人たちがかわいそう……』などというモノではない。
高林茉莉という主人公がどのように生と病に向き合い、そして自分を支えてくれる坂口健太郎演じる真部和人という男性と向き合い、そして様々な人と向き合うのかを描いてきた作品じゃな。
だからこそ、難病ものの問題点であった……一種の軽さというものが、この映画では少なくなっている。
だからと言ってシリアスで重いわけではない。
きちんとエンタメ作品として、多くの人に受け入れられるようなソフトな味わいも残しており、そのバランス感覚が見事と言えるじゃろう」
カエル「また、2022年2月20日に放送された『情熱大陸』で藤井監督は、この病気のことを専門家に電話してしっかりと調べて描くようにしていました。
もしかしたらその影響かもしれませんが、病気の描き方もしっかりとしていて、謎の難病でなかったのも、物語がしっかりと足がついたものになった要因の1つだよね」
魅力② 美しい映像表現
そして、今作の見どころはなんといっても映像表現です!
とても挑戦的でありながらも、物語に寄り添った映像表現になっているの
カエル「結局は、難病ものに限らないけれど登場人物にどれだけ感情移入するかっていうのはすごく大事じゃない?
今作はそこがとても良くできています!
この辺りは、うちでは大プッシュしている映画監督の藤井道人監督の卓越した演出力と、その盟友である今村圭佑カメラマンの撮影技術が合わさった映像美が楽しめます!」
亀「予告でも使われているとこで言えば、なんといっても桜の美しさじゃな。
今作では背景も美しく撮られているのじゃが、今村カメラマンの特徴でもある陰影と光の捉え方がとても良く、見ていてうっとりとするほどじゃ。
それらがしっかりとされているからこそ、物語がさらに強く生きてくる。
また、藤井監督を追い続けている身からすると”人が生きることを誠実に描く”という監督の作家性は今作でも発揮されている。時には勧善懲悪のようになりがちな物語だとしても、藤井監督はそう簡単な物語にせずに、さまざまな視点から複雑な人間模様を描いていく。
だからこそ、今作も先ほどから何度も語っているように、ただ単に『病気でかわいそう』ではない物語となっているのじゃろうな」
魅力③ 音楽表現
そして音楽表現もまたいいよね
ピアノが美しく鳴り響くことで、こちらも色々な思いを掻き立てられるの
カエル「劇中では2人の関係性や生き様を美しく彩るために、綺麗なピアノの音色が使われています。それが心地よくて、そしてピアノの澄んだ音だからこそ、その命に対する想いが描かれているよね」
亀「このあたりはさすがRADWIMPSというところじゃな。
新海作品もそうであるが、恋愛もの作品に対して相性がとてもいい歌手であることが窺える。今作を魅力的に盛り上げているのは、RADWIMPSの楽曲があるからといっても過言ではない。
また、主題歌となっている『うるうびと』も、この映画のために野田洋次郎が書き下ろした楽曲となっており、作品に深くマッチしておる。
物語の余韻をさらに増す音色と歌詞になっており、とても聞き応えがあるため、こちらもぜひぜひチェックして欲しいものじゃな」
魅力④役者について
ではでは、役者について語りましょうか!
なるほど、これは話題になるのもわかるの
カエル「主人公の高林茉莉を演じた小松菜奈は、本当にキュートだったよね!
病気のこともあって、ちょっと浮きがちな部分もある子なんだけれど、その影のある魅力がとてもよく出ていたというか!」
目力がある女優さんだと思うけれど、体に病気を抱えていても、意志が強くてだからこそこちらもハッとさせられる描写も多くあったというかね」
亀「報知新聞主催の試写会で鑑賞したが、上映前に『すでに報知新聞の映画賞の主演女優賞ノミネートが有力視されている』という言葉があった。もちろん、これは宣伝文句であり、全てをそのまま鵜呑みにするわけではないが、しかし、そういう謳い文句もピッタリくるほどの名演技と言えるのではないだろうか」
それから、坂口健太郎くんもよかったね!
ナイーブさと誠実さを合わせた、現代らしいイケメンじゃったな
カエル「あんまり詳しく語るとネタバレになるからあれだけれど、色々な側面を見せてくれる男性で、単にカッコいい男性役に収まらない部分があったよね」
亀「それから、わしが特に注目したいのは松重豊、田中哲司、リリーフランキーなどのベテラン俳優陣じゃな。そこまで出番がべらぼうに多いわけではないが、単に若者2人の恋愛話でないことを示しておる。
それぞれの立場でそれぞれの人たちが関わり、色々な思いを持って2人を見守る。決して派手さはないが、その想いが感じられる、見事な演技であったの。
今作は役者の誰もがよかった印象じゃな」
とてもオススメしたい作品となっています!
ぜひ劇場に足を運んで欲しいの
※ネタバレありの詳細な感想は公開日以降にアップします!
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