亀爺(以下亀)
「今回は話題の事柄を扱うのじゃな。久々の雑記というところかの」
ブログ主(以下主)
「初期の頃はこういう記事もよく書いたけれどね。最近は語りたい作品もたくさんあるし、映画批評も増えてきたから、書く必要性があまりなかったけれど、今回はすごく関心のあることだから書いてみた」
亀「1日遅いがの」
主「いろいろと考えをまとめるのに時間がかかったんだよねぇ。ちなみに言っておくと、個人的にはトランプでもヒラリーでもどっちでもいいと考えているから」
亀「政治にはそこまで関心がないからの。民主主義で選ばれたならばそれを遵守するというスタンスかの」
主「今回のトランプ旋風が巻き起こった原因……そしてトランプが嫌われる原因というのは、ある種の『言論の自由』が関係してくるんだよね。
そこに関心があるから、今回は文章にしてみた」
亀「それでは記事を始めようかの」
1 トランプ旋風で日本はどうなる?
亀「まずはトランプ旋風で日本がどうなるか、ということについて素人考察を始めようと思うが……」
主「そこまで詳しくはないけれど、でも日本にとっては……考え方ひとつで右も左もハッピーな結果になるんじゃない?」
亀「沖縄などから米軍基地が消えるからの」
主「改憲に向けて一気に議論が加速するし、俗に言う『属国としての日本』というものもなくなるわけだ。果たして本当に日本はアメリカの属国なのかは別にして、アメリカの影響を少なくすことはできる。
地勢からしても中々難しい判断を迫られるけれどね。ロシア、中国が近いから、日本や韓国がその前線基地になるということはアメリカが世界をコントロールする上でも大切だけど、そこを場合によっては手放すわけでしょ? 日本の対応は難しくなる。だけど、それが右派のいう独立という意味だと思うし」
亀「そして左派からすれば沖縄などから米軍基地がなくなるわけだから、ハッピーということかの」
主「米軍基地なき後の沖縄がどのような……それこそ経済も含めて直面する課題は多いと思うけれど、すべてうまく行く道なんてないから。それは仕方ないよね。防衛費だったり、経済的には厳しいことになるけれど、それの解決策って、もっと日本人が貯金をやめて内需で金を使うしかないと思っているからさ。だから、オリンピックももっと金を使ってもいいと思うけれど……」
亀「金は天下の回りものじゃの。使った分だけ返ってくるとしたら、使わんとの」
主「金が国家の血液ならば貯めても仕方ないからね。血は循環することに意味があるわけだし」
世界は戦争状態になるのか?
亀「しかし、世界は戦争状態になるとも言われておるが……」
主「う〜ん……民族主義みたいなどうしようもない感情が絡むからなんとも言えないけれど、米軍基地が撤退したからといってすぐには日本が戦争になることはないでしょう」
亀「しかし、そこを危惧する声もあるわけじゃが……」
主「日本とどこが戦争するのよ? 北朝鮮の相手は韓国でしょ? 韓国は日本と戦争することはまずありえない。北朝鮮をどうにかしないと。
中国とロシアって可能性も0じゃないけれど、今の時代にG8とかそのクラスの先進国が戦争したら、それはすぐに第三次世界大戦になる。そうなったら日本がどうのこうのではなくて、世界が終わりじゃない?」
亀「それを防ぐためと、アメリカの防衛のために日本に基地はあるわけじゃがな」
主「個人的には超大国同士の戦争ができるギリギリのラインは第二次世界大戦までだと思うのよ。それ以上は戦争のメリットよりもデメリットが大きい。金はかかる、資源はなくなる、国民は反発する、何よりも核の脅威もある。
もちろん民族主義みたいな感情的な部分から始まる泥沼な戦争はあるわけだけど……先進国同士の戦争は計算していると思うから、多分大丈夫じゃない?」
亀「共和党が上院下院ともにとったようじゃし、トランプは単なる操り人形になるという見方もあるの」
主「そうしたら日本は万々歳だよね。トランプがどこまで共和党を壊すかわからないけれどさ」
2 トランプ騒動とイーストウッド
亀「しかし……今回のトランプ騒動は世界中にアメリカという国の醜態をさらしてしまった形じゃの。著名人をはじめ、世界中から非難の声が上がっておる」
主「……ここが難しいんだよなぁ。今回語りたかった部分でさ……」
亀「難しいというと?」
主「最初は『トランプってとんでもない奴だなぁ』と思っていたのよ。だけど、イーストウッドが『投票はトランプ』と明言したじゃない。元々共和党支持者だけど、その記事を読んだ時、いろいろと考えてしまってさ……」
主「最初のこの発言を聞いた時は『何を言っているんだ?』と思ったよ。
『好き放題いうことが正しいとは限らないじゃないか!』って。イーストウッドは共和党支持者だと知っていたからさ、共和党から出たトランプを擁護するために、無理やりな論理を組み立てたのかと思った。
でもさ、多分違う。イーストウッドの言っていることは、自分の考えと近いものだと思う」
カエル「英語がわからんから原文では読めんが……上の記事だと詳細に書かれておるの」
主「ここ最近、このブログで言及してきたのは『聲の形』という漫画、映画について語ってきたわけだ。今年公開された全ての洋画、邦画の中でもトップクラスの作品だけど……その中で自分はこの作品の先進性をこう評している。
『障害者としてではなく、ただの1人の人間として嫌い』(という描き方をしたキャラクターがいる)
障害は配慮はするかもしれないけれど、それはあくまでも個性の一部である。嫌いだったら嫌いと言っていいし、間違っていたら間違っていると言っていい。そういう風に描いた作品なんだよね、本作は。
これってさ……イーストウッドが言ったことと、実は同じなんじゃないか?」
トランプの暴言は許されるべきか?
亀「上記の記事でもあるが、イーストウッドは名作『グラン・トリノ』の制作時に、ポリティカルコレクトネス(人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること)に欠けると言われたことを明かしているの」
主「そう。これはすごく難しい問題だけど……障害者や被差別民族を描くときは、非常に繊細な配慮が必要とされる。それは『当たり前』として扱われる。
上記の聲の形なんて、障害者差別の意図は全くない作品の関わらず『感動ポルノ』と言われたり、また『ヒロインの聴覚障害者が美少女であることが気持ち悪い』ということも言われるわけだ。
アホか!!
『私、平凡な女の子』という設定の少女漫画原作ドラマや映画において、広瀬すずや新垣結衣みたいな絶世の美女、美少女が演じても何も言わないでしょ? なのに、障害者などの弱者を描くときは言われてしまう。
多分、どんな描き方をしてもそれは一緒だよ」
亀「描き方が限定されてしまうという話じゃの。弱者というのは聖人のように扱う場合も多い。それが物語の幅を狭めてしまっているし、だからこそ日本の物語はそう言った弱者を描かないように扱ってきたの」
主「それは高度な倫理観の上に成り立つ、仕方のない表現ではある。あるけれども……もはや、ポリティカルコレクトネスというのはプロパガンダになっているんじゃないか? という疑問がある。
イーストウッドはバランス感覚に優れた作家だと個人的に評価している。それは監督作品を見ればわかる。第二次世界大戦を扱ったら、アメリカ側と日本側の戦争を描いたように。共和党支持者だけどイラク戦争は間違いだったと明言しているし、今となってはそれはある程度答えが出ているじゃない?
そんな人が異を唱えるほどに、ポリコレは影響力を持っている」
3 表現規制という『善意』
亀「以前にも語っておったが、表現規制というのは善意から始まるものじゃからな」
主「そう。東京都の『非実在青少年』の時もそうだけど、あれってさ、別に業界に圧力をかけようとしているわけではないんだよね。自民党って本来自由民主党というぐらい、表現の自由を守ろうとする政党だし。
だけど、それでも規制をしなければいけない所まで来ているんじゃないか? という思いから始まった規制案だよ。もちろん、個人的には反対だよ? 反対だけど……そう言いたくなる気持ちもわかるんだよね」
亀「難しい問題じゃが、少年Aがブログを始めた時も様々な議論を呼んだの」
主「表現の自由とは何かというと『お前の言うことは絶対否定するが、それを言う権利は死んでも守る』ってことなんだよね。例え自分が認めたくない価値観があっても、それを言う権利は絶対に認めようということだ。
そしてトランプの話に戻ると……彼の暴言は確かに問題が多い。それは誰もが認めるし、公言できないトランプファンもたくさんいた。
だけど、それが……規制されるべきものかというと、必ずしもそうではないんだよね」
亀「これだけ支持を集めたということは、それだけの民衆の本音が隠れておったということでもあるからの」
主「そう。だけど、みんなそれに蓋をしたわけ。『そんなこと、人前で言えない』って誰もが思っていた。ハリウッドの役者も非難をしているけれど、誰に投票したかは証明のしようがないわけだから……実は隠れトランプファンであってもおかしくない。
だけどややこしいのは、トランプを非難した人たちは間違いなく『善意』から非難しているんだよね」
トランプ騒動が残したもの
亀「今回の共和党の勝利はオバマが2期8年続いたこと、それから民主党の政権が続いたということによるバランス感覚からくる揺り戻しという説もあるみたいじゃな」
主「それはそれで間違っていないと思うけれどね。
だけど個人的には『本音が建前に勝利した選挙』と見ている。日本人ならわかるじゃん、移民に来てほしくないとか、そういう気持ち。治安も悪化する、仕事も減る、変な人も増える、文化も違う……空気を読めという文化の日本人が、最も苦手とする人たちだよ。
日本だって移民問題はほぼノータッチだし、審査も厳しい。海外にばらまくなら日本国内に使え! というのだって、アメリカから見た基地問題とほぼ同じようなことじゃない。
だけど、そんなことは人前では言わないというのがマナーなわけだ。そのマナーを無視して本気で語る人が現れた。その人は……そりゃ、人気もあるよね。元々プロレスとかで知名度もあり、エンターテイメントを熟知した人だし」
亀「しかし、そう言った建前で動いてきたのが世界じゃからの」
主「そうなんだよね……善意から始まった規制が必ずしも悪かというと、そういうことはないんだよ。ハリウッド黄金時代というのは1950年代だけど、そこはヘイズ・コードと言われる表現規制が力を持った時代だ。さらに赤狩りとかもあるから、迂闊な発言をすると公式に干される時代。
そんな時代に名画は誕生したんだよね」
亀「しかし、規制を強くすると大衆や政府の望むプロパガンダ以外認められなくなるからの」
主「しかもこの問題の根深いところは、ポリコレは『良識』という明文化されていないものだということ。だから余計に話がややこしくなってくる。
そう考えるとさ……トランプが好き放題言ったことを、イーズトウッドが評価したというのも納得なんだよね。その良識って、場合によっては表現規制よりより厄介だから。プロパガンダを生むし」
最後に
亀「では、最後になるが、主はトランプの発言は許されるべきだと思うかの?」
主「……許されるとか、そういう問題でもないと思うんだよね。オバマが支持されたのって、演説のうまさ、言葉のうまさだったけれど、それとは違う意味でトランプもうまいんだよ。人を焚きつける魅力のある言葉を使う。
少し前に長谷川豊が大炎上したけれど、あれもさ、ああいう言葉を使うのはわからないでもないんだよね。ホリエモンとかもそうだけど、過激な言葉に人は反応するから」
亀「内容よりも、言葉に反応するところはあるの」
主「だから初めからトランプが『不法移民は許さない!』とか『在日米軍はボランティアではない!』とかいう……普通の発言をしていたら、多分非難はされなかったと思う。だけど、注目も集めなかった。
そういう意味で、言葉の使い方って難しいよなぁって思わされた一件だった。ブロガーとしては炎上商法最強っていうのが、大統領選挙でも証明された形だと思うけれど、個人的には炎上して欲しくないし」
亀「長谷川豊などもそれがわかっておるから、ああいう言葉を使ったわけじゃろうし」
主「過激な言葉って人を焚きつけるよ。それは橋下徹とか、石原慎太郎とかを見てもわかるじゃない。ああいう言葉をうまく使うから、敵も多いけれど味方も多いわけで」
亀「……世界がどうなるのか、これからも注目じゃな」
- 作者: ワシントン・ポスト取材班,マイケル・クラニッシュ,マーク・フィッシャー,野中香方子,森嶋マリ,鈴木恵,土方奈美,池村千秋
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/10/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る