物語る亀

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物語愛好者の雑文

酷評の理由は? 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が賛否両論の原因を考察する

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(完全生産限定版) [Blu-ray]

 

カエルくん(以下カエル)

「……打ち上げ花火があまりにも酷評続きだねぇ」

 

亀爺(以下亀)

「あまりの酷評続きで主は気にしすぎてしまい、ぐったりしておったからの。

『そこまで悪い作品なのだろうか? 自分の感性の問題なのだろうか?』と悩んでおったわい」

 

カエル「いや、まあ感性の問題だろうけれどさぁ、自分が作ったわけでもない映画の出来不出来でそこまで悩むものなの?」

亀「ありがたいことに、このブログを見て映画を見に行こうとする人もおるみたいじゃからな。もしもダメな作品を褒めてしまったら……とか考えておるのじゃろう」

カエル「……逆に『全ての作品評価が私と同じです!』って言われたらそれはそれで怖いけれどね。いや、もうちょっと何かあるでしょ? って気分になるというか……

 でもさぁ、これだけ叩かれると悔しいところもあるじゃない?」

 

亀「では、批判意見に対してはっきりと言わせてもらおうかの

カエル「そうだ! 言ってやれ! 反撃だ!」

亀「批判意見の多くは間違ってないとわしも思う

カエル「そうだそうだ! お前らの意見は間違ってない……え?」

亀「テンプレートな流れをありがとう。

 今回はこのブログでは称賛した『打ち上げ花火』であるが、それがなぜ賛否両論……というよりは、否定意見が多くなってしまったのか、ということについて考えるかの。

 ちなみに前の記事と被るところもあるでの。そこは承知して欲しい」

カエル「冷静になって考えた結果、ということでよろしくお願いします。

 あと直接的なネタバレはしないですが、なんとなくお話がわかってしまうような記事になると思いますので、そこは申し訳ありません」

 

 絶賛の感想記事はこちら

blog.monogatarukame.net

 

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  • 1 脚本について
    • キャラクターデザインの問題
  • 2 ドラマ版について
    • 原作の脚本について
    • ドラマ版の演出力
  • 3 アニメの売りが逆効果に……
    • アニメ的表現の諸刃の剣
  • 4 本作が再評価される日は来るのか?
    • 『君の名は。』と本作について
    • 最後に

 

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映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想&解説 絶賛! シャフトの味がこれ以上なく出ていたでしょう!

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

 

 カエルくん(以下カエル)

「さあ! いよいよこの夏、最も注目しているアニメ映画の1つである、打ち上げ花火の公開だよ!」

 

 

ブログ主(以下主)

「7月は『メアリと魔女の花』とか『カーズ クロスロード

とか『怪盗グルーのミニオン大脱走』などがあって、しかもダークホースの大傑作『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』などもあったりして、中々面白かったんだよね。

 一方の8月は『スパイダーマン ホームカミング

『ワンダーウーマン』であったり、あとは邦画だと『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』などのように、アクション映画が多くてさ」

 

カエル「アニメ映画ファンとしては若干寂しい月になっているよね」

主「それでも『フェリシーと夢のトウシューズ』などのいい作品もあるんだけれどね。でもさ、ほら、欲を言えば昨年の『君の名は。』みたいな作品が見たいじゃない?

 そしてこの夏に比肩しうる可能性がある作品があるとすれば……それはこの映画しかないんじゃないか?

カエル「一応来週に『プリヤ』の劇場版などもあるし、クオリティだけならば引けを取らないであろう作品もあるけれど……いかんせん、ファン向けのオタクアニメでもあるから目に付きにくいというところもあるしね。

 大人から子供まで対象とした、オリジナルの……というとこの映画は原作ありだからちょっと違うけれど、事前知識の必要無い、1作だけで完結するアニメ映画となると……もしかしたらこの映画が今年最後かもしれない

 

主「この後の公開ラインナップを見ても、アニメ邦画では『ゴジラ』のアニメ版ぐらいしか無いんじゃないかな?

 その他は大体テレビシリーズで人気をはくした作品の劇場版やら、人気コンテンツのアニメ化になっていて、アニメ業界もそれでいいの? って気分にもなってくる。

 アニメ映画を毎週のように観ておきながら贅沢な話だけれどね」

カエル「2016年が異常だったことはあるけれど『聲の形』と『この世界の片隅に』があったからねぇ」

主「その意味では本作にかかる期待ってすごく大きくて、自分は2017年に大きな期待を寄せていたアニメ映画は『ひるね姫』と今作なんだよ。

 この2作が2016年のアニメ映画の大ヒットの流れを、そのままブームにせず定着させる作品になって欲しい。君の名は。ほどのヒットは無理としても、20億や、欲を言えば50億円クラスのヒットになってくれれば、アニメ映画の流れもかなり変わってくると信じている。

 だけど『ひるね姫』がこけちゃったからねぇ……作品的にも絶賛はしづらかったし。

 その意味では今作にかける期待は非常に大きい

 

カエル「前置きが長くなったけれど、じゃあここから感想記事のスタートです。

 なお、今回は解説の項目も相当多くなります。

 あと、相当長いですので、覚悟してお付き合いくだされば幸いです」

主「場合によっては2記事に分けるかもねぇ」

 

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  • 1 感想
    • 君の名は。と比較はナンセンス
  • 2 岩井俊二の原作について
    • 岩井俊二とアニメ
    • 岩井俊二が残したもの
  • 3 新房総監督とシャフトについて
    • スタッフの個性を生かす
    • 武内監督について
    • 脚本の大根仁について
    • キャストについて
  • 以下ネタバレあり
  • 4 序盤について
    • 特徴的な校舎など
  • 5 なずなの描写について
    • 『少女』が『女』になる瞬間
  • 6 IFの物語
    • 世界の変化
    • 終盤に込められた意味
    • ラストシーンをいかに解釈するか
    • 最後に

 

 

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牛乳石鹸CM『与えるもの編』感想 このCMこそが映像表現ではないのだろうか?

カエルくん(以下カエル)

「えー、今回は急遽予定を変更しまして、こちらの話題について語っていきたいと思います」

 

ブログ主(以下主)

「観たい映画もたくさんあるんだけれどなぁ……

 飯田橋で上映している『しゃぼん玉』とか、あとはナチスドイツ関連だと『ハイドリヒを撃て!』とか『少女ファニーと運命の旅』などなど……何でこんなに観ても観ても次から湧いてくるのだろうか? という思いだね」

 

カエル「しかも家には借りたレンタルDVDもたまっているしねぇ」

主「旧作を見るタイミングもほとんどないし……

 ブログのネタだってないわけではないんだよ? ただ怠惰なだけで!」

カエル「本来であれば『映画は高齢者をどう描くのか』をテーマに記事を書くところでしたが、今話題のネタをテーマに書いていこうと思います」

主「CMについて語るのはさすがに初めてだよ!

 しかもこの炎上案件に首をつっこむなんて……恐ろしい……」

カエル「……本当はそう思ってないでしょ?」

主「では記事を始めます!」

 

  • 1 牛乳石鹸のCM騒動とは?
    • 『間』の美学
    • 新井浩文の所作
  • 2 このCMが示す世相
    • 男性はどうあるべきなのか?
    • 最後に

 

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映画『フェリシーと夢のトウシューズ』感想 フランスとカナダの合作アニメ映画は女の子向けに最適の1作!

カエルくん(以下カエル)

「今回は海外アニメ映画の新作について語るけれど、この作品はハリウッド制作ではないんだね。

 公式サイトをのぞくと、カナダとフランスの合作とあるけれど……」

 

ブログ主(以下主)

『最強の2人』のスタッフ陣が贈る……とあるから、フランスなんだろうな。あれもフランス映画だったし」

 

カエル「ちなみに、関係ないけれど『最強の2人』はみたの?」

主「見たよ。劇場では見なくて、DVDで自宅で見たから印象はちょっと違うかもしれないけれど……まあ、うん、良作ではあるよね。

 たださ、望んでいたものとは違ったかな。貧困や人種の壁などを超えて……というのが、どうにも教育的すぎるような気はした。だけど低い評価をつける人はいないだろうなぁって映画」

カエル「時々いう映画レビューサイトで評価の高い映画の条件に挙げる『8割以上の人が星4つ以上をつける映画』だね」

 

主「悪口になりそうだけれど、そういう映画を作るのも難しいのよ? ただ、個人的には人生の1作! というレベルではなかったかなぁ。

 今作の制作陣も『最強の2人のスタッフが!』という宣伝をしているけれど、これがどれだけ意味があるんだろうね?

 だってさ、見る層が全然違うじゃない

カエル「『最強の2人』は白人で車いすの介護生活を送る白人男性と、貧乏な地区に暮らす黒人男性の物語だからね。さらに実写とアニメだから……ファン層は全然違うよね」

 

主「調べてみたらさ、全然監督やスタッフの作品がわからなくて……日本だとあまり話題になっていないのか、それとも自分が知らないだけなのかはわからないけれど、確かに『最強の2人』以外はほとんどわからなかった。

 一応、声優にエル・ファニングを使っているというのを押していたけれど、キャスト以外宣伝材料があまりない映画なのかもね

カエル「その割には結構大規模に公開しているよね。100館は超えているし、しかも1度見に行った日には満席で入場できなかったし」

主「子供向けアニメの夏休みの強さを思い知ったよ。しかも『カーズ』とかあったけれど、意外と『女の子向けアニメ映画』って公開されていないみたいだから、それもあるのかもね」

カエル「見事に需要に応えた形になったのかもね。じゃあ、感想記事を始めるよ」

 

  • 1 感想
    • CG技術について
    • キャストについて
    •  以下ネタバレあり
  • 2 序盤について
    • 映画を象徴する『鳥』
  • 3 一方の欠点として……
    • 全体的に見て
    • 最後に

 

 

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物語と戦争〜映画はどのように戦争を語るのか?〜

カエルくん(以下カエル)

「8月15日……今年も終戦記念日が来たね」

 

亀爺(以下亀)

「様々な思いを抱く人も多いじゃろうな。特に今年は日本周辺が非常にきな臭いことになっておる。

 大国も近くにいる日本はなかなか難しい立ち位置にいることは間違いないの」

 

カエル「実は昨年も戦争について語っているけれど……」

 

blog.monogatarukame.net

 

亀「基本的な思いは変わっておらん。

 誰もが戦争は嫌いじゃ。じゃが、時にはそれが必要な時もある。人を殺すのは悪じゃが、ではISの残党が攻めてきたら……もっと身近なこととして考えると、通り魔が襲ってきたら、家族に凶刃がむいたら我々はどう対処するのか。それは永遠の課題じゃろうな」

カエル「今年は『戦争と物語』を主軸のテーマとして語っていこうとしようか。

 まあ、色々と難しい問題だから……一つの記事だけでは語ることはできないだろうけれど」

亀「では、記事の始まりじゃ」

 

  • 1 戦争は起こり得るのか?
    • 日本人の国民性
    • 『敵』を知るということ
  • 2 世界各国の『映画』と『戦争』
    • アメリカの場合
    • ドイツの場合
    • 日本の場合
    • 最後に〜戦争について考えたい映画を紹介〜

 

 

 

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映画『スパイダーマン ホームカミング(吹き替え版)』感想 初見が見てもある程度楽しめる一作

カエルくん(以下カエル)

「さーて、ここでみんな大好きマーベルヒーローの中でも代表的な存在である、スパイダーマンの新作映画のお話だよ!」

 

ブログ主(以下主)

「……うん、お手柔らかにお願いしますね」

 

カエル「えー、このような映画感想ブログを運営しておきながら、ちょっと衝撃的な話をするけれども

 ……実は主はスパイダーマンを一切見たことがありません!

主「いや、さすがにスパイダーマンは知っているよ? でも昔の格ゲーであった『カプコンVSマーベル』のキャラクターで出てきたりとか、ゲームキャラクターとしてのスパイダーマンしか印象にないんだよねぇ」

カエル「それにアイアンマンもキャプテンアメリカも初めて劇場で観るんでしょ?」

主「今回は吹き替え版で見たけれど、アイアンマンを藤原啓治が担当しているとか、キャプテンアメリカを中村悠一が担当していることも含めて初めて知ってさ。

『あ、このままタイバニの世界に入っても違和感ないだろうなぁ』なんて思ったほど呆けていたよ。そのタイバニなどのヒーローアニメの元になった作品なのにね」

 

カエル「ヒーロー映画は基本的に吹き替えで観るようにしているからねぇ……」

主「個人的な感覚としてはアニメに近いんだよ。CGなどをたくさん使って世界観や戦闘描写を演出しているし、ヒーローなどの描写はアニメのキャラクター設定に近いものがある。

 もちろん現実の役者が演技をしている点は違うけれど、CGなどのクオリティが上がれば上がるほどアニメ的になっていくのも同じ。あとは字幕版よりも吹き替え版の方が映像に集中できてのめりこめるしね」

カエル「そう考えると異例のスパイダーマンの感想ブログになるだろうね。多くの人がスパイダーマンやマーベルヒーローが大好きで、しかも字幕版で観るだろうし……」

 

主「ホームカミングということでスパイダーマンの再発進を気に、スパイダーマンデビューを果たす人もいるだろうし……そんなにファンじゃないです! って人もいるだろうからさ、そういう人の視点で今回は語っていくとするよ」

カエル「ではスパイダーマンのレビュースタートです!」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • キャラクターについて
  • 以下ネタバレあり
  • 2 序盤について
    • 序盤の欠点
    • ファン向けの映画?
  • 3 個人的な違和感
    • 対比として
    • 感心した部分
    • 最後に

 

 

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映画『父を探して』感想 ブラジル発の隠れた名作アニメ映画をぜひ鑑賞して!

亀爺(以下亀)

「では、少しマイナーな海外のアニメーション映画について今回は語るとするかの」

 

ブログ主(以下主)

「これを書いているのは2017年の8月なんだけれどさ……7月がアニメ映画が隆盛だったことに比べると、8月は洋画などのヒーロー映画がたくさん公開されるんだよね」

 

亀「夏休み目当ての子供むけアニメ映画がひと段落してくる頃合いじゃからな。ここからは少し対象年齢を上げた作品がたくさん公開されるの」

主「夏は何かと忙しいからなぁ……

 それでも8月の夏にもアニメ映画は公開されて、色々な作品があるけれど……本作のような作品はやはり日の目を浴びにくいという印象があるな

亀「どうしても公開数が少なくなってしまうし、子供むけということも難しいからの。本作も『夜明け告げるルーのうた』のようにアヌシー章で最高賞のクリスタルを獲得したが、多くの人はそんなことを知らんしの」

 

主「いつも語るけれど『アニメ』『アニメーション』の差ってすごく大きいと思うよ。

 みんなブランドのある会社が作ったアニメ映画や、キャラクターの確立した作品であれば鑑賞するけれど、本作のような作品はどうしても日陰者になってしまう。アニメ表現に無限の可能性を感じさせてくれる、偉大な作品も多いんだけれどね

亀「そんなことを言ってもしょうがないがの。

 そもそもそんな作品があるということすら知られておらんかもしれんし、意識高い人以外には興味がない作品というのは、小説における純文学であったり、芸術における前衛芸術であったりと他にもあるかもしれん。

 じゃからこそ、このようなブログで個人個人が紹介していくのがとても大事なのじゃろうな

主「というわけで、今回はブラジルが生み出したアニメーション映画の感想です」

 

  • 作品紹介
  • 感想
    • 鮮やかな色使いとキャラクターデザイン
    • 手書きの味
  • 近年のアニメーション文化の世界的発展
    • 日本のアニメファンにこそオススメしたい
    • 最後に

 

 

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