物語る亀

ネタバレありの物語批評

実写映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』感想 4部の味がしっかり出た実写化!

カエルくん(以下カエル)

「この夏、いい意味でも悪い意味でも一番注目を集めている映画といえば、やっぱりこの作品だろうね」

 

ブログ主(以下主)

「しかし銀魂といい、来年公開予定のBLEACHといい、アニメだけれど封神演技が再び映像化されたりとジャンプも少し前から人気の作品に頼りがちだねぇ」

 

カエル「一応、この先に斎木楠雄があるけれど、それ以外は……まあジャンプでもちょっと懐かしい感じのある作品かもね。銀魂も連載中とはいえ、長期連載作品だし……」

主「これ、もしかしたら来年あたりにI'sとか、いちご100パーセントとかのお色気系少年漫画の実写があるかもよ。パンチラとお色気さえどうにかできれば、美少女アイドル女優使い放題の恋愛主体の作品だし、実写化には向いているんじゃない?」

カエル「……ないとは言い切れないなぁ」

 

主「で、あれでしょ? 今度はぬ〜べ〜は一回ドラマがコケているからあれだけれど……またこち亀とか持ち出してくるんでしょ?

 それこそスラムダンクだったらファンは非難轟々かもしれないけれど、映画業界は一気に沸くよね

カエル「……スラムダンクは触れちゃいけないところだけれど。

 今の連載陣でも何か映画化がありうるんじゃない?」

主「実写としてやりやすそうなのは火ノ丸相撲だろうけれど……まあ、ないかぁ。火ノ丸大好きだけれど、あと少しで終わりそうだしなぁ……

 せっかくだから、ちょっと昔の作品を一気に映像化してよ! ダイの大冒険もアニメでラストまで見たい!

 

カエル「う〜ん……でも、ちょっと前に『ジョジョ』とか『銀魂』が実写化するよと言っても馬鹿話で終わっていただろうし、ここ最近の少し前の作品をリメイクするブームが来ているから、それを考えるとありえないとは言えないかなぁ……

 さて、では本題のジョジョの実写映画の感想に入るよ!」

主「へいへい」

 

 

 

 

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感想

 

カエル「では、まずはネタバレなしの感想から入るけれど……まずはTwitterの短評からご覧下さい。

 

 

 意外と賛でした!」

主「いやー、ジョジョの実写化と聞いてほぼ全員が『絶対無理だろ!』と思い、しかも監督が三池崇史と聞いて『マジかよ! これは地雷確定じゃないか!』と落胆したことでしょう。

 正直、自分もその一報を聞いた時はそうだった。絶対に失敗するであろうし、これが面白いはずがないと

カエル「漫画の実写化って賛否があるのが当たり前という評価だけれど、特にジョジョのような独特の世界観を放つ作品がうまくいった例って……どうだろう、皆無と言ってもいいかもしれない。

 少なくとも僕はすぐに思い浮かばないなぁ」

 

主「もちろん、ジャンプ作品の実写化でも成功した作品はあるけれど、例えば『るろうに剣心』は一応時代劇として明治末期の日本を舞台にしているから、なんとなく成功する可能性があるのはわかる気がするけれど、だってジョジョだよ?

 こんな特殊な世界観の作品、失敗するに決まっているじゃん! という思いはあったけれど……予告編を見たら『あれ?』ってなったんだよね。

『これ、意外といけるんじゃねぇ?』って」

カエル「予告編でも雰囲気はわかるけれど、やばい映画は本当に予告編でやばくて、同じ三池崇史作品だと『◯◯フォーマーズ』とかは予告編の段階で、あ……って感じだったもんね。

 まあ、予告だとやばい映画だと思った人もいたみたいだけれど……」

 

主「今だとまだ完成していないだろうけれど『◯の錬金〇〇』辺りはヤバそうな匂いがプンプンしているよねぇ。まあ、公開数ヶ月前くらいの予告編なんて参考にしかならないけれどさ。

 で、ジョジョに話を戻すけれど、それで鑑賞したら……これが面白い!

 自分はジョジョ4部はもう何年も前に鑑賞して細かい整合性やストーリーなんてほとんど覚えてない人間だけれど、それでも『これはジョジョ愛に溢れているな』と納得する作品だった」

 

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山崎賢人が演じる仗助。意外と似合っています

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 

世界観の構築について

 

カエル「今回のジョジョはスペインでロケを敢行されたことでも話題だよね。日本が舞台で、杜王町という架空の地域だけれど、モデルは宮城県の仙台市といわれているよね?

 それがなぜスペインになったのかすごく不思議だったけれど、こうやって映画を見てみると、それがすごくよく分かる!

主「漫画原作映画がなぜ失敗するのかというと、結局は世界観の構築に失敗しているからだよ。漫画の世界は絵で描ければいくらでも世界観は広く、深くできるけれど、実写だと限界がある。

 そのためにCGを用いるけれど、結局は日本のCGは安っぽいところがあるから世界観があやふやでチャチなものに見えてしまう

 

カエル「そしてさらに原作に合わせるためにコスプレ大会にするから、余計におかしなことになっちゃうよね……」

「本作だってコスプレ大会といえばコスプレ大会なんだよ。承太郎の衣装なんて、あんな一般人はいない。

 だけれど、スペインを舞台にすることによって杜王町自体が非現実的な、漫画の世界のようになっている。

 なぜ漫画原作映画のコスプレ大会に見えるかというと、その周辺の町が……一般的な日本の街並みが観客にとっての日常だからだ。つまり『日常の町、舞台』に対して『コスプレをする、作った役者』が入り込むと、役者が画面から浮いてしまう。だから日本の実写化した映画は大体失敗する」

 

カエル「漫画の実写化といっていいのかは微妙だけれど、是枝監督の『海街diary』は日常の鎌倉を舞台にした、日常のお話だから違和感がないということだよね。あとは昨年だと『アイアムアヒーロー』なども日常の世界を舞台にした、普通の男女が特異な世界に入るという話だから違和感が働きづらいのかなぁ」

主「ジョジョのような特殊な世界観の作品の多くが衣装もコスプレ大会になってしまって背景の町から浮いてしまうけれど、スペインを舞台にすることによって、背景と役者が非現実のように見えてあまり浮かないんだよね。日本感は全然ないけれど、日本らしさを出すことが目的ではないし。

 自分は銀魂もまあまあ評価したし、同じ漫画原作だと東京喰種も称賛したけれど、銀魂はチープでも笑えるという保険があるし、東京喰種は現実に近い世界観だ。この2作よりも実写化のハードルは高いけれど、本作は世界観の構築を見事にこなしていた。

 自分はこの世界観の構築だけでもかなり高く評価する

 

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神木隆之介もなかなか合っている!

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 

 

 

CGの浮き具合

 

カエル「……え?  CGが浮いているというのは本来悪口だよね?」

主「そう思われるかもしれないけれど、本作ではCGは少し現実と乖離している方がいいんだよ。スタンドというのは人に見えない特殊な能力である。だからちょっと画面から浮くぐらいでちょうどいいわけだ。

 そしてそれが素早く動くことによって、スタンドの迫力なども見事に出ていた

カエル「三池崇史は最近だと『無限の住人』でもなかなかいいアクションを撮っていたよね。作品自体の評価はそこそこ割れがちだけれど、アクション自体は迫力があるという評価が多かったね。このブログでもアクションはいいと評価したし」

 

主「体術のようなアクションはそこまで多くないけれど、CGの使い方やスタンドに攻撃された時の体の吹っ飛び方などはとてもいい。だからバトルシーンも迫力がある。

 そして今作は4部の特徴かもしれないけれど、ただの殴り合いではないじゃない? 仗助の能力が特殊なこともあるけれど、知能合戦のような戦いもある。それが単純なバトルではなくて、工夫に満ちたバトル演出に仕上がっている。

 今作はそれぞれのバトルの演出や戦い方に工夫があるからこそ、そこまで飽きるということがなかったな

カエル「ちょっとご都合かな? と思うところもあるけれど……」

主「でもさ、ジョジョでそこを気にするのもねぇ。

 原作者の荒木飛呂彦も作中で過去の設定を忘れたり、ある時には変更することもあるけれど、そっちの方が面白いならそれでもいいし」

 

カエル「細かいところはちょっと忘れているかもしれないけれど、多くが原作通りだったことも面白かった要因かもね」

主「原作の持ち味を最大限に生かすことができたんじゃないかな?」

 

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本作でも素晴らしい味を見せてくれて國村隼はやはり名優です

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 

キャストについて

 

カエル「ではここで誰もが気になるキャストについてだけれど……」

主「自分はコアなジョジョファンではないというのもあるけれどさ、全体的にはかなりの高評価だよ

カエル「じゃあ、みんな演技が上手いんだ?」

主「う〜ん……演技が上手いと言えるのは國村隼だけかもね。

『コクソン』が圧倒的な衝撃だったこともあるけれど、この映画の中でも抜群に上手いのが國村隼でさ、他の役者が漫画のキャラクターをモチーフにした、ある意味でコスプレのような演技をしているけれど、國村隼はいつものしっかりとした演技なんだよね。

 1つの言動にも奥行きがあって、本来ならばこのような作品……つまりキャラクター性の強い作品だったら浮きそうなものだけれど、見事に自分の色や味を出しながらもしっかりと脇役として主演の山崎賢人などを引き立てていた。

 さすがだよね。見事なベテランの味だったよ」

 

カエル「……じゃあ、あんまり良くないの?」

主「いや、悪くないよ。

 山崎賢人も仗助として優しくもキレやすいヤンキーになっていたし、神木隆之介は康一らしい弱々しさの奥にある芯の強さも少し感じられた。まだ第1章ということで、そこまで活躍したわけではないけれど、でも独特の味はある。

 ちょっとこの2人も学生服を着るとおじさんっぽいんだよ。いうほど若く見えない。だけれど、それもコスプレ感につながっているんだけれど、上記のような世界観もあってそこまでは気にならなかったかな?」

 

カエル「本作では花形である小松菜奈は?」

主「よかったんじゃないかな? 山岸由花子ってあの時代では珍しいヤンデレヒロインで、当時はまだヤンデレという概念がなかったけれど、愛が深すぎて怖い女性でもある。

 笑っているんだけれど徐々に笑顔が消えていく様とか、ストーカーのような恐ろしさというのもしっかりと出ていて、中々あっていたんじゃないかな?

 まあ、ヤンデレクラスタとしてはもう一声欲しかったところもあるけれど、それはこの先に期待だね」

 

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主要キャストでは紅一点……と言ってもいいでしょう

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 

カエル「……ヤンデレクラスタってなんだよ。

 他の、キャストに簡単に触れておこうか」

 

主「承太郎役の伊勢谷友介は正直演技くさいなぁ、と思う部分もあったけれど、でも雰囲気も良くてカッコ良かったよ。特にスタープラチナを出した時にジョジョ立ちをしていたのが印象的だったな。

 あとは新田真剣佑はかなり良かった! 自分は結構高く評価している若手俳優だけれど、今作もまた熱い不良になっていたし、良い演技だった。

 岡田将生も良かったし、役者に関してはそこまで文句はないかな。これは演技もそうだけれど、演出も良かったんじゃないかな?」

 

以下ネタバレあり

 

 

 

2 序盤について

 

カエル「ではここからはいつものようにネタバレありで語っていきます。

 と言っても、原作通りなので原作ファンだったらそこまでネタバレにならないかもしれませんが」

主「まずは序盤について語るけれど、スタートが結構いいんだよね。まるでシリアスな刑事もののようでもあって……」

カエル「スタートはそこまでジョジョという感じじゃなくて、映画館間違えたかな? って思ったよね。國村隼が出ていたから、やっぱり『コクソン』を思い出したというのは笑い話だけれど」

 

主「大作邦画らしい派手すぎてリアリティのないカメラワークや演出だったりもあるけれど、でもジョジョを期待してきた観客は『あれ?』と思ったんじゃないかな?

 そこからのスタートとしての掴みはすごくよかったよ。スタンドの恐ろしさも出ていたし、今作の主な敵になる虹村形兆と片桐安十郎のヤバさの説明にもなっていた。

 そして『ジョジョの奇妙な冒険』というタイトルコールが入って……引き込まれるスタートになっていたと思う」

カエル「杜王町が引きの絵で出てきた時も、明らかにスペインの街並みなんだけれど、それが見事で引き込まれたよね。あそこで引きの絵を出してこの町と、映画の世界観を出したのは面白かったなぁ」

 

主「その割には町の中の小物……例えばポスターや旗なども日本語のものを使われていたりして、日本であることは忘れていない。町を歩く人も日本人を多く起用しているから、町はスペインだけれど確かにどことなく日本を感じるという不思議な世界観に仕上がっている。

 こういう舞台設定を序盤に説得力を持って見せたのが勝因だったんじゃないかな?

 

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バトルシーンも見どころの1つ

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 

映画としての評価

 

カエル「でもさ、こういう実写化映画って原作の世界観をうまく引き出してはいても、映画としてみたときに面白いということにはなっていないことも多いじゃない?

 深みがなかったり、ご都合主義で物語が進行してしまって……」

主「本作もそのような部分は感じるけれど、でもうまく構成をしてあったよ。もちろん、原作そのまんまではなくて、カットする部分はカットしているけれど……基本は『家族』の物語なんだよね

カエル「まず、仗助の設定として『髪について馬鹿にされたらキレるけれど、基本は家族思いで優しい不良』というものがあるよね。優しい不良ってなんだ? と思うけれど、でも確かに実際優しい不良なんだよ」

 

主「一方の本作の敵に当たる虹村形兆は家族に……父親に対して複雑な思いを抱いている。物や人を治すという能力を持つ仗助に対して、破壊する、父を殺す力を持つスタンド使いを探すという意味でも良い対比になっている。

 その前に仗助の父親が代わりとして國村隼が演じる祖父がいる。彼の思い、志を引きついで仗助は成長するわけだ。そのこともあって今作では殺さず、頭を使って戦う主人公になっている。

 まず父(祖父)との継承の物語でもあり、そしてその対比としての虹村形兆がいる

カエル「最後の話し合いも邦画では多いやつで、なんでそのタイミングでベラベラ喋るんだよ! ってものだったり、観客として飽きるシーンもあるけれど、本作はそういうこともなかったかな」

 

主「あの特徴的なフォルムをした父親を出したことによって、2人の戦いがすでに終了しているということは観客にも伝わってくるし、そこから先の話し合いもおかしなものではない。

 そして真逆の人間性を持つ相手との対比を持って、本作が持つテーマを観客に語りかけている。

 まあ、もちろんジョジョでないとできないテーマだとか、観客にすっと考えさせるような深いテーマではないよ? その意味ではここが必要だったのか? と言われると言葉に困る。

 でもただの漫画原作のゲラゲラ映画にしなかったことは高く評価してもいいと思うし、こういう描写があるからこそ『映画』になったんじゃないかな?

 

 

最後に

 

カエル「じゃあ、一度このあたりで締めるとするけれど……意外と高評価の作品になったんじゃないかな!?」

主「酷評のイメージが強い三池崇史だけれど、これほどの作品を作り上げたことに、やはり力のある監督なんだなぁ、と思い知ったよ。

 無限の住人とこの作品でまた評価が上がったんじゃないかな?」

カエル「やはり見てみないとダメだねぇ……何も見ないで酷評する可能性もあったかもしれないと思うとね……」

 

主「さすがにそれは……と思いつつも、やはり見ないで倦厭している人もいるだろうな。それはもったいないから是非とも鑑賞してほしい。ただ、第2章は國村隼が出てこないだろうから、そこがどうなるかだなぁ。

 自分は國村隼の演技がこの映画を落ち着かせるのに相当重要だった思っているからさ、もしかしたら2章の出来そのものに関わってくる違いになるんじゃないかとすら思うよ」

カエル「う〜ん……でも次も見てみたいと思う内容だったよね!」

主「三池崇史の1つの代表作になるかもしれないと思うほどだよ。今年のTOP10にはいります! とまでは言わないけれど、このレベルの邦画をコンスタントに作って欲しいものだけれどね」

カエル「ぜひ劇場で鑑賞してください!」

 

 

 

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