物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『銀魂(2017年 実写版)』感想 銀魂の実写化としては100点、映画としては……賛否両論かなぁ

カエルくん(以下カエル)

「さて、実写版の銀魂の公開だよ!」

 

ブログ主(以下主)

「めちゃくちゃ楽しみにしていた作品がいよいよ公開だ!

 この週は夏休みに入る直前ということもあって注目作が目白押しで『カーズ』『ポケモン』『パワーレンジャー』などもあるわけだ。

 そんな注目度の高い作品が多く並ぶ中で、ジャンプでも歴史に残る人気作の実写化はどこまで興行成績を残せるのか!?」

 

カエル「歴史に残るって……でも、まあ確かに売上は他作品と比べても卓越したものがあるのは当然だけど……」

主「ジャンプ作品の実写化ということもあって賛否はあるだろうけれど、自分はすっごく楽しみにしていたんだよ!

 Twitterでも公開前にこんなツイートをしていて……」

 

 

主「さすがに年間ランキングベスト10は言い過ぎかな? って思いつつも、それだけのポテンシャルを秘めているのではないか? と期待していた作品でもあるわけだ!」

カエル「……具体的になんでそこまで期待したのかは本筋で語るとして、ここまでハードルが上がったのは理由があるの?」

 

主「今週のジャンプを読んでよ!

 あの状況で〇〇が出てきてさ! 〇〇があんなことになって、だけど〇〇達がみんなでわーっとなって、そして〇〇が〇〇になって、最後は〇〇がドーンだよ! 

 このタイミングで空知は攻めてきたなって褒めるしかないじゃない! 誰よりも、何よりも援護射撃をしているのが空知だよ!」

カエル「えー、さすがに原作のネタバレ部分のため誤魔化しておりますのでニュアンスだけお楽しみください。

 それでは本記事のスタートです」

 

 

 

実写版 映画『銀魂』 オリジナル・サウンドトラック

 

1 期待した理由

 

カエル「では、なぜ本作をここまで期待したのか? ということについて言及していこうか」

主「銀魂は基本はギャグ漫画で、その合間合間に挟まれるキャラクターの魅力が溢れるシリアスがあって、その2面性が人気の作品ということもできる。

 今の邦画業界にクオリティの高いCGを要求するのはかなり難しいのか、どうしても漫画的な特殊な世界観では、違和感が生じてしまう。チープなコスプレ大会になってしまう部分って絶対にある。

 だけど、銀魂ならばそれを許せてしまうんだよね

 

カエル「空知英秋やアニメスタッフが色々と無茶をやりまくって、実写版もどちらにコケてもネタにして自虐的にできる雰囲気を作り上げているからね」

主「他の作品では言えないかもしれないけれど、銀魂だったら『だって銀魂だぜ? 何を望んでいたんだよww』って笑えるところがある。そしてチープでもそれを逆手にとってギャグとして笑える福田監督が製作するということで期待値がさらに上がったんだよ。

 多分銀魂を実写化するにあたってはこれ以上ない人選でしょう。

 しかも登場人物もほぼ日本人だし、違和感はそこまでないはず……まあ、宇宙人とか赤髪、白髪の違和感はどうしても生じてくるけれど、そこすらもうまく調理できるのが福田監督だろうし」

 

カエル「もともとジャンプの実写映画化は地雷案件であり、絶賛する人なんかあまりいないというイメージがあるよね

 『るろうに剣心』が例外的に評価されたけれど、それ以外で評価された作品ってあったっけ?」

主「まあ、でもさ。これから先公開される『〇○〇○の奇妙な冒険』とかさ『〇の錬金術』と比べればまだ実写化に向いているとは思うわけですよ」

カエル「うん、そこはノーコメントで行こう。さあ、じゃあ感想を始めるよ」

 

 

 

 

2 感想

 

カエル「じゃあ感想だけど……そんなに悪くもないけれど、いいとも言い切れない作品だよね……まず間違いなく賛否両論になってしまうというね」

主「銀魂の魅力ってかなりギリギリを責めたギャグにあるわけじゃない? 特にアニメ版はいくつもの伝説を残していて、DVDになった時にカットや改変された部分がかなり多い。パロディのつもりで行ったギャグが、相手方がマジで激怒して裁判になりかけたことだってあるくらいだ。

 ただ、寒くて笑えないという意見もわからなくはないけれど……そこは趣味だからなんとも言えない。少なくとも自分は面白かったし。

 それだけのチャレンジ精神に富んだギャグは今作も健在で、特に中盤は『これ、大丈夫か?』って声も劇場内で聞こえてきたほどだった。まあ、あれって大丈夫なところを狙っているようだけどね。結構あの会社はパロディに寛容らしいし」

カエル「あのシーンは劇場中に爆笑の渦が巻き起こっていたね」

 

主「一方で……これは批判の声も来てしまうかもしれないけれど、銀魂ってシリアスシーンがあまり評価されていないんだよね。ネットの意見では『ギャグだけをやってくれ!』というものも少なくない。

 もちろん良いシリアスなエピソードもあるよ。今回の劇場版の元になった『紅桜編』は人気エピソードの1つだけれど……どうしても実写になるとCGやアクションがチープに感じられるところも多かった。

 その意味では『コスプレ大会のクソチープなCG映画』というのもわかるんだよ。アクション映画としては評価できない。だけど、そのチープさすらもギャグとして面白くしてしまうのが銀魂の魅力であって……その2面性が良くもわるくも出ていた」

 

カエル「変な意見なようだけど『良くも悪くも銀魂らしさに溢れた作品』に仕上がっていたということなのかな?」

主「そうだね。福田監督らしくもあり、銀魂らしくもある。近年の邦画のダメなところも多々あるし、確かにチープなんだけれど、そのチープさも味になっている部分もあるという評価の難しい1作なのは間違い無いだろう」

 

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いつものギャグは健在! 銀魂ファンなら楽しめる!?

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

 

紅桜編の実写化

 

カエル「銀魂ってアニメ映画も何作も作られていて、今回は劇場公開された『新訳紅桜編』の実写化になっているね」

主「原作を元にしたアニメ版の『紅桜編』をさらに劇場用に再構成した『新訳紅桜編』をさらに実写化したという、いわば3度目の映像化された人気エピソードだけど……

 う〜ん……それがうまくいったのかどうかと言われると、ちょっと微妙かな

カエル「銀魂にどれだけ接しているかという問題もあるよね。今作で初めて銀魂を知るって人も少なくないだろうし……どれだけ人気原作であろうとも、見たことのない人も絶対いるわけだし」

 

主「なんで紅桜編が人気なのかというと、主人公の銀時の過去に触れる物語でもあり、人気キャラクターで重要人物でも破滅型の高杉と鬼兵隊が初めて銀時と接触したエピソードだから、というのもあるわけだ。

 原作では11〜12巻のエピソードだけど……でもさ、ここで本当に良かったのか? って言われると自分は疑問がある

カエル「まあ、ファンであれば原作も読んでいて、その先の『将軍暗殺編』やら色々なエピソードを知っている状態なわけだしねぇ」

 

主「なんていうかさ、単体のエピソードとしてはちょっとカタルシスが薄い気がするんだよね。

 結局岡田との対決がメインだけど、その裏には明らかにもっと大物の高杉がいて、そっちとは特に決着がつくことはない。ある意味では投げっぱなしで、根本的なことが解決したと言っていいのか微妙なところもある。

 中ボスとの対決で終始した印象があって、なんだかなぁというのが個人的な感想かな

カエル「原作1巻からやるわけにはいかないし、何も知らない人でも理解できるエピソードであるのは間違いないだろうけれど……じゃあどこなら納得したのか? と問われると……う〜ん、確かに難しいなぁ」

 

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アニメ版の紅桜編は100分弱……尺の違いも作品に影響したか? 

 

キャストについて

 

カエル「ではみんなが気にしているであろうキャストについてはどうだった?」

主「明らかにいい人と悪い人と、あとは不運な人に分かれてしまった印象かな。

 良かったのは銀時の小栗旬、新八の菅田将暉、武市の佐藤二朗かな。

 

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おなじみの3人組

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

 

 小栗旬と菅田将暉はアニメ版に寄せてきている印象があって、銀時の話し方などは杉田智和を彷彿とさせるものがあるし、菅田将暉のツッコミは阪口大助みたいだった。

 これがいいのか悪いのかは……ちょっと判断できないけれど、でもアニメ版を見た人間としては違和感がそこまでなかったかな?

 佐藤二朗は全く茶風林に寄せてないけれど、でもあの独特の演技で劇場でも笑いが湧いていたよ。

 あとは近藤勇役の中村勘九郎も良かったんじゃない? 原作とはちょっと違うけれど、独特の味はあった演技でしょう」

 

カエル「女性陣だと妙の長澤まさみも色気があったし、どことなくゆきのさつきの演技を連想するところもあったかなぁ。叫び声やツッコミの時はさすがにあの迫力がないけれど、まあ、しょうがないよね」

主「神楽の橋本環奈は可愛いけれど、アニメ版の相手が釘宮理恵という声優界でも一時代を築いた名女優が相手だから分が悪いよね。頑張ってはいると思う。だけど、頑張っているというのは褒め言葉になるかというと、それはまた違うけれど……

 あとは一部で言われているように体のラインが気になったのは自分も同じ。

 ただ、あの衣装が悪いんじゃないの? アニメのスレンダーを再現するのは中々難しいものがあるし他のキャストが体のラインを隠しやすい和服が多いからこその違和感かもなぁ」

 

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見た目はすごく寄せているけれど……う〜む……

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

 

 

カエル「一方で苦言を呈するのは?」

主「菜々緒はなぁ……

 モデルだけあって見た目はいいけれど、演技となるとやっぱりダメだったなぁ。また子には合っているといえば合っているんだけれどね。

 あとは沖田役の吉沢亮、岡田役の新井浩文、村田鉄子の早見あかりなども疑問があったかな。ただ、ギャグとシリアスの演出などがうまくいっていない部分もあるから、一概に役者だけのせいとも思えないけれど……」

 

カエル「結局役者は良かったと言えるの?」

主「う〜ん……

 アニメ的な演技や、ギャグとシリアスの切り替えができるキャストは良かったんじゃないかな?

 小栗旬も菅田将暉も漫画、アニメ原作作品に多く起用されているけれど、その理由もわかった気がする。

 見た目は合っている人が多かった。

 特に高杉役の堂本剛はドンピシャだし、作品世界から飛び出してきたかと思うほどだったけれどね」

 

 

 

 

3 シリアスとコメディ

 

主「コメディの作り方は良かったんじゃないかな? 

 特に序盤の銀魂の基本的な説明……例えば特殊な世界観であったり、キャラクター説明などはギャグも交えてわかりやすくできていた。 OPのどこかで聞いたことのあるような曲とかさ、こういうのはシリアスではできないものだから。

 その意味では銀魂らしさに溢れたものだったと思うよ。あの特殊な世界観で、時代劇のようでもありながらも実際は現代劇で、レジスターや携帯電話が普通にある世界を説明するのって意外と面倒くさいもんだし。チャチャっとやってしまったのは好感がもてる」

 

カエル「最初はギャグで押していて、じわりじわりとシリアスに入っていくわけだけど……」

主「シリアスパートが絶望的につまらないんだよなぁ……

 アクションもチープだし、敵の岡田自体に魅力があんまりなくて、ある瞬間にコスプレ学芸会になってしまう。

 本作が抱えるチープさ、CGの荒さなどを逆手にとってギャグとすると自虐ネタになるけれど、真面目にやるとただのチープなB級アクションになってしまうだけだからね。

 殺陣などもあるけれど、絶賛するほどではなくて……アクションもあるけれど明らかに役者が変わっているのが丸わかりだし、カメラの使い方や効果音などでごまかしているシーンも多い。

 これが真面目にやっている風のギャグならいいんだけど、普通にシリアスでカッコインシーンとしてやっているから、余計に学芸会感が増してしまう。ダメ邦画になってしまうんだよ」

 

カエル「戦闘中の会話の多さもギャグならばそういうものとして見られるけれど、緊迫しているはずの場面で誰も慌てていなかったり、棒立ちだったりするとおかしくない? って疑問になったりするしね」

主「シリアスとギャグの切り替えが全くうまくいっていない。

 急に切り替わるからそのシーンがギャグなのかシリアスなのか分かりづらいし……

 本作は高杉と岡田は全くギャグがないけれど、この2人が割を食ったなぁと思うのがシリアスだけを求められてしまったことかな」

 

 

 

最後に

 

カエル「結局さ、本作ってどういう評価なの?」

主「銀魂の映画としては100点だし、福田作品の面白さもある。

 ただ映画としてはかなり苦言を呈するところもあるし、アクション映画としてはダメダメ。

 オススメですか? と問われると……全くオススメはできないかな。ただ見に行くよ、と言われたら『いうほど悪くはないよ』と答えるかな」

 

カエル「ファンによるファンのための映画に仕上がったということ?」

主「う〜ん……コメディ映画としては悪くないから、そちらに期待するのもいいけれど、130分オーバーは長いしなぁ……

 続編があれば見に行くけれどさ、でも続編をぜひ熱望します! ってわけでもない。まだまだ出てきていない登場人物もたくさんいるし、それはそれで見たいんだけどね」

 

カエル「長谷川さんは発表がなかったから『もしかしたらサプライズで立木さんが登場か!?』なんて思ったけれど、単純に紅桜編では登場しないだけだったという」

主「あとはお登勢も出てきていないし、月詠も出ていないし……

 自分は銀魂のヒロインは月詠だと思っているからね!?

 紅桜編では妙がヒロインみたいになっていたけれど、自分は断固拒否する!」

カエル「いや、銀魂のヒロインは神楽だよ。

 別に主人公といい感じになるのがヒロインってわけじゃないし……ジャンプは恋愛じゃないんだよ?」

主「あとはさっちゃんも出てないし、見廻り組とか……あ、信女は栗山千明か橋本愛あたりでお願いね」

カエル「……完全に個人の趣味じゃんか!」

 

 

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