うちはどんな映画も観る雑食型なんですが、唯一? と言っていいほど苦手でなるべく観たくないのがホラー映画で……
面白ければ面白いほど後で嫌な目に合うからなぁ
カエルくん(以下カエル)
「ホラー映画が怖いって子供じゃないんだから……とは思いつつも、結構そういう大人も多いかも」
主
「いまだに謎なんだけれど、ホラー映画が好きな人ってどんな楽しみ方しているの?
怖くないのかね?」
カエル「まあ、人の感性は様々ですし。
うちもホラーは苦手ながらも、特に近年はなんとなく見方を確立してきたので、以前ほどは怖く思わなくなったかも?」
主「その見方云々については記事内で書くとしよう。
ちなみに、自分は中島哲也監督も好きだけれど、今作は予告編の時点で意味が不明で……ライブ配信の時に少し話題にしたけれど、もうさ”霊媒師のキャバ嬢”って単語だけでもう大爆笑ですよ。
このセンスが爆発していたら……映画も相当笑えるのかな?」
カエル「いや、ホラー映画なんですから怖がりましょうよ……
というわけで、季節外れの冬の大作ホラー邦画記事のスタートです!」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#来る
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年12月7日
ホラー苦手なんですが…大・爆・笑!
もうこれはホラーじゃない!
序盤、中盤、終盤と味わいを変えていく物語にも恐怖よりもワクワク感が勝ってしまう結果に
多分、中島哲也がやりすぎてるからもうジャンル不明のごちゃ混ぜ映画になり、2018年屈指のキワモノ映画に pic.twitter.com/NLzh7dSTeB
もう、面白すぎて笑っちまうわ!
カエル「……えっと、それは褒めているんだよね?」
主「いや、どちらかというとそこまで褒めてない……というか、本作の評価はすごく困る。
序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ……と言いたいところだけれど、ここまで大きく物語そのものの魅力が大きく変化してしまい、どう評価すればいいのかわからなくなる。
ホラーでもあり、サスペンスでもあり、ミステリーでもあり……と聞けば一粒でなんども美味しい作品のようだけれど、それがうまく噛み合っていない印象」
カエル「その結果が”怪作”という評価に繋がるんだね……」
主「2018年では……そうだな、あまり大ヒットはしなかったけれど『パンク侍、斬られて候』を観た後の印象に近いかも。
””えー! こんなお話でいいの!?”という衝撃も味わえる作品に仕上がっているよ」
カエル「……やっぱり褒めていないよね? むしろ貶しているよね?」
主「映画として面白いとはどうしても思えない部分もある。上手いか下手かと尋ねられたら、少なくとも『告白』の方が抜群に上手い。まあ、あれ以上に上手い映画ってそんなに多くないかもしれないけれど……
だけれど、コロコロ変わる映画としての味わいの変化もあるから、あんまり退屈はしないんじゃないかな?
観てくれやインパクトはとても大きいよ。ただし、中身はスカスカだけれどさ」
カエル「……やっぱり酷評?」
中島哲也作品への印象
中島哲也監督ってどんな印象があるの?
自分は『告白』と『渇き』しか観ていないから、それで印象を語るけれど……
カエル「特に『告白』は湊かなえの大ベストセラーを原作にして、さらに映画化も大成功した奇跡的な一作だよね。
ちなみにうちの評価は?」
主「さいっっっこうですよ!!
元々橋本愛ちゃんの大ファンということもあるけれど『告白』と『桐島』のような役柄や演技をさせるともう世界一の美少女だよね!」
カエル「……いや、橋本愛の感想じゃなくて、作品のお話を……」
主「一言語れば”エモい”とした言いようがない。
原作からして相当上手い作品だけれど、正直単行本化のために足された後半の3章は蛇足な印象が強かった。それをうまくカバーしつつ、1作の物語として見事に昇華し、さらにラストの展開は大きな原作改変もしているにも関わらず、最後の一言によって原作の後味を呼び起こすことにも成功している。
生と死、少年少女の心理なども含めて、よくできている邦画界が誇る大傑作でしょう」
カエル「一方の『渇き』は?」
主「抱腹絶倒のコメディだよね」
カエル「……えっと、バイオレンス要素の強いR15作品ですが……」
主「いやぁ、あそこまでバイオレンス描写がいきすぎるともう大爆笑ですよ。
中盤くらいかなぁ? 車で逃げる主人公が後輩の乗る車に対してぶつかるシーンがあるけれど、そことか大声あげて笑ってしまったほど。
その後のバイオレンスの数々も面白くて、本当に見所の多い見事なコメディですよ!」
カエル「……あんまりいうと怒られるよ?」
主「自分が言いたいのは”何事も加減が大事”ってこと。
中島監督はやりすぎてしまうくらいに映像を盛るから、それがかえって緊張感などをぶち壊し、シリアスな笑いに繋がってしまう部分がある。それがいいのか悪いのかは、ちょっと難しいけれど。
今作もそれは同じで、色々なシーンでやりすぎているからこそ、もうホラーとかサスペンスを通り越して笑いに繋がるよ。
ただし、一部のシーンはちゃんと怖い!
だからこそ、評価に困る部分もあるんだけれどね」
役者について
では、多くの人が注目するであろう役者についてはどうだった?
う〜ん……これも評価に困る!
カエル「今回公式ビジュアルに顔を出している、出番の多い役者の中でも妻夫木聡、小松菜奈、松たか子は監督の過去作に出演済みです」
主「じゃあ、それらの作品と比べてどうだったのか? という話になるけれど……妻夫木聡は絶対『渇き』の方がいい演技をしていた。
というよりも、渇きでは1番印象に残っているのは妻夫木聡だから。
そして松たか子も『告白』の方がよかった。
もちろん、役が違うから単純に比較はできないけれど、どうしても同じ監督というとそういう思いも出てきてしまうかなぁ。
ただ、悪いという話ではなくて、さすがは日本を代表する役者だけあって、印象にしっかりと残る演技を披露しているけれどね」
カエル「では、小松菜奈に関しては?」
主「彼女が一番”面白かった”かなぁ。
というのも、今年もいくつか小松菜奈が出てくる作品も見たけれど、どうしても『渇き』みたいなキャラクターになりがちだったんだよね。今作の小松菜奈は新境地だったんじゃないかな?
しかも、しっかりと麗しい姿も見せてくれた!
あれだけケバい役なんだけれど、途中からしっかりと可愛く見えてくるし、今後がさらに楽しみになる面白い快演を披露していたね」
カエル「じゃあ、次に岡田くん……も同じかな。元々力のある役者さんだし、どの作品に出ても一定のインパクトを残すけれど、今作が特別良かったとは言い難いのかな?
今作で1番いい役者さんは誰?」
主「もう黒木華は絶賛!
彼女がいたからこそ、本作はホラーとしての魅力を確保することができている。彼女の演技がなければ、今作はただのよくわからない物語でおしまいだった可能性すらある。
妻であり、母であり、女であるという様々な面をしっかりとみせ、観客に恐怖心を抱かせることにも成功している。
演技の幅広さに恐れ入ったし、この作品のMVPでしょう!」
カエル「全体的には悪くないよね。もちろん、それだけ実力のある役者を集めたということもあるんだろうけれど……」
主「役者に関しては元々実力があるからこそ、観る側としてはハードルを高く設定してしまいがちな面子だったからちょっと評価が低いようだけれど、悪くはなかったと思います」
以下ネタバレあり
作品考察
大味な要素が多い
では、ここからはネタバレありで語りましょう
なんていうかさぁ……脚本としてはあんまりな部分が多すぎるよなぁ
カエル「結局、何がくるのか? ということに対してははっきりしなかったもんね」
主「最初に述べたことに戻るけれど、自分はホラー映画は苦手だからこそ、その映画を分析するような見方をしている。
というのも、ホラーとコメディは社会に対するメッセージ性がとても強いジャンルなんだ。
その社会性の面をいかにうまく含めながら、観客に寓話として提示するか? ということに注目している」
カエル「今年でいうと『クワイエット・プレイス』は障害者や同性愛者などの声の小さなマイノリティの物語だ、という考察をしたしね」
主「他にも『エクソシスト』は少女の思春期の不安定さを悪魔つきとして描き、悪魔は家庭の中にも潜んでいることを示唆している。
『ドント・ブリーズ』は神に見放された人たちの物語でもあり、多くの宗教的なモチーフを含んでいた。
日本は宗教は寛容な部分も多く、映画などの物語でモチーフとして描かれることは少ないけれど、海外では宗教や社会を問いただす一面を持っているジャンルでもあるわけだ」
カエル「じゃあ、本作は何を訴えかけていたの?」
主「……強いていうならば、子育てに対する世間の目に対する反感だったり、子供達の怨念ということもあるけれど……そのロジックがとても弱いように感じてしまった。
今作はとても面白いことをしているし、かなりいい作品になりそうだったのにも関わらず、それを自ら手放してとっ散らかってしまった印象がある。
勿体無いよねぇ……」
演出が過剰すぎることにより
ホラー苦手なのにそんなに怖くないんだ
だってここまで行くともうコメディだもん
カエル「そんなにお笑いという意味で面白かった?」
主「いやぁ、劇場でも笑い声が上がっていたよ。
中盤くらいはしっかりとホラーをやっていたんだよ。
なにが来るかわからないあの恐怖、そしてそれとの対決……特に妻夫木聡のシーンは本当に良かった。
音楽や効果音がよくて、倒れた時に腕を切ってしまうんだけれど、その時に鋭いような音が響くんだよね。それで痛々しさが伝わってくるし、それを冒頭に持ってくることによって、引き込めるようになっていた。
あとは黒木華の演技!
彼女の豹変する姿などは人間の恐怖を奥深く描いていて、見所があったし!」
カエル「そこはちゃんと褒めるんだね」
主「だけれど、そのあとがダメでさ。沖縄かおばちゃん霊媒師が4人ほどやってきたタクシーに乗るシーンがあるんだけれど、そこである出来事が起きて事故が起こるわけ。それだけならばまだいいけれど、最後に追い討ちをするかのようにトラックが突っ込んでくる。
これはもうやりすぎでしょ!
こんなの、コメディやバラエティ番組でしか見ないよ!」
カエル「たけし軍団とかならやりかねないかも……」
主「それと終盤のやつとの対決の場面で、岡田准一が松たか子に殴られるシーンがあるけれど、そこが唐突すぎてもう大爆笑!
ここは劇場内でも笑いや『え?』という戸惑いの声が上がっていた。緊張を維持させることができずに、緩和になってしまい、笑いが発生してしまっている。
いやー、もう最高に笑った。
危うく劇場で声あげて大爆笑するところだった!」
カエル「……シリアスなシーンなのでやめてください」
厨ニ病展開にテンションが上がる!
最近のホラーって”謎の霊に霊媒師軍団が戦う!”という作品が多くない?
本作もその流れにあって、最強の霊媒師が強すぎてホラー映画なのにテンションが上がるからな
カエル「これが『地獄先生ぬ〜べ〜』みたいな最強の霊媒師ならば……つまりさ、ちょっと苦戦はするけれど、最後は頑張って勝利するという霊媒師ならばともかく、完全に厨二病まっしぐらの完璧超人タイプの最強霊媒師だもんね……」
主「底知れない圧倒的な強さを前に『最強VS最強』の戦いが見れると思うとかなりテンション上がるよね!
それこそアベンジャーズやロボットアニメとかのノリですよ!
実際、まじでチート級の能力者だったし、なんなら続編作って全部この人が祓っていく映画ができたら見たいくらいだもん」
カエル「……でもさ、やっぱりホラーとしては……」
主「失敗だよねぇ。せめて霊媒師が勝つにしても、もっと緊張感のあるやり方にしないとなぁ。
だから後半は本当にただのバトル漫画のノリに近くなっていって、そこに岡田准一や小松菜奈がわちゃわちゃするばかりというね。
もう、後半にある葛藤とかもどうでもよくなってしまったというのが本音かな」
カエル「結構大事なお話をしていたのに……」
主「もう終盤は完全に異世界バトルものですから。
そんなの、ワクワクしながら見るしか無いじゃない。
だから本作はホラーとして期待して見に行けば、完全に駄作になるかも知れない。でも、別の見方ならば笑えるので、その意味では一見の価値有りかなぁ」
カエル「……結局褒めているのか貶しているのかわからない記事になりました」
真面目な考察
中島作品として
えー、ここからは真面目に考察します
……少しはっちゃけすぎました、ゴメンナサイ
カエル「……本当に反省しているのかなぁ?
では、まずは中島監督作品としての繋がりについて考えていきましょうか」
主「自分は中島監督は結構独特な監督だと思っていて、それは映像の撮り方もそうなんだけれど、描いているテーマは少なくとも『告白』『渇き』『来る』に関してほぼ一緒なんだよ。
つまり”家族であることの弊害”もしくは家族の罪とでも言おうか」
カエル「日本だと家族をテーマにした作品はどうしても予定調和的というか、最後には”家族って素晴らしいよね!”という保守的なものになりがちだけれど、中島監督はその描き方は選ばないよね」
主「簡単にまとめると、以下のようになる」
- 告白→母と子供の関係性の問題
- 渇き→父と娘を中心とした関係性の問題
- 来る→夫婦と娘を中心とした関係性の問題
主「もちろん、原作小説もあるのでここだけに特化した作品ではないし、渇きなどはミステリーや社会風刺の要素もかなり強い。現実にあった未解決事件を連想させるように作られているからね。
だけれど、中島監督はおそらくその原作でも”家族”をより重視して作品を作っている印象がある」
今年の岡田准一主演作品では『散り椿』がすごくオススメ!
黒木華も共演しています
味わい深い時代劇でした
『来る』が描いた家族の問題
じゃあさ『来る』に絞ってどのように家族問題を描いたのか、考えていこうか
もっとも印象に残るのは、妻夫木聡演じる秀樹のクソ親っぷりだろうな
カエル「……あれ、なんかブロガーとしてはちょっと耳が痛いというか……書くことに夢中になって、理想の自分を演じることが楽しくなって、肝心のことはおざなりになるって結構あるあるだよねぇ。
うちも物語ブログを書いているけれど”物語を楽しむ”という根本的なことを忘れかけている? という思いもちょっとあるかなぁ」
主「楽しいことも多いけれどね。
結局のところ、今作は”家族の物語”ということでお話は終わる。
例えば序盤、長くてそんなに面白くない結婚式やらなんやらのシーンがあるけれど、あれは黒木華演じる香奈が新しい家族の一員となることに対する不安などを描いている。だけれど、秀樹は一切気がつかない……ふりをしている」
カエル「フリ?」
主「自分は、秀樹って全くの馬鹿ではないと思うんだよ。
多分香奈の浮気も気がついていた。だけれど、彼は逃げ場としてブログを選択し……バーチャルな別の世界の自分を作り出し、現実から目を背けた。
序盤で実家に帰った際に『お袋がうるさいから手伝ってあげて』と香奈に告げているでしょ? それで香奈は手伝いを断れているけれど、実際に香奈がいなくなると秀樹に対して母親が『暗い子だねぇ』と文句を言っている。
秀樹の言った通りなんだよ。
多分、秀樹って家族自体が欲しいわけでもなくて、むしろ家族という存在に馴染みがないタイプの人だと思う。
だけれど、持ち前の目立ちたがり屋でええかっこしい性格が災いして、結婚することにしてしまった。
その意味では馬鹿ではないけれど、見栄っ張りということであり、そのせいで家族は崩壊した」
カエル「じゃあ、言われたように家族を大事にしていたら?」
主「何もなかっただろうね。
だけれど、初対面の女性に努力している自分を、そして逃げている自分を指摘されて、図星だからこそ怒ってしまった。
それがこの事件の全てといえば全て」
”あれ”の正体とは?
結局さ、あれの正体って何だったの?
カエルは妖怪って実在すると思う?
カエル「え? 妖怪? ……実在しない方が怖くないから嬉しいかなぁ」
主「作中でも語られていたけれど、妖怪伝説にはちゃんと理由がある。
例えばカッパは川の急な流れによって溺れる人が多いから”力が強くて引っ張り込まれる”という伝説が生まれた。相撲が好きというのも力が強いことを証明するよね。
きゅうりが好きというのは、後々生まれたキャラクター性の補完なのかなぁ。
だけれど、ちゃんと妖怪にはいい意味があるんだよ」
カエル「いい意味?」
主「江戸時代とかだと橋などが壊れても勝手に修理することはできなかった。必ず幕府やお上の許可が必要だけれど、そんなことをしている暇がない場合もあるじゃない?
だから勝手に直して、バレたらカッパのせいにするわけ。
お上だって手続き上はまずいのは知っているけれど、その橋を急いで直す必要があるのも知っているから『かっぱがやったならしょうがない』で済ます。誰も損をしないし、お上に歯向かう意図がある行動ではないと明白だし、そこは追求しない。
そのための言い訳に妖怪が使われているわけ」
カエル「ああ、なるほど。作中で言えば子供の間引きのために妖怪が使われていたり……あるいは逆さ屏風みたいなものだ」
主「しかし、その事情を知らない人は未知の現象にあった際にそれらの妖怪のせいにし始めて、さらに怖がり始める。
結局精神的なものなんだよね。
教会や神社、お寺などはものすごく豪華だったり、広いお堂などを作っているけれど、あれは『ここは特別な空間ですよ』ということを演出するためだ。あれだけ豪華だったらご利益がある、現世を忘れられるという、精神的な効果があるから豪華にしている。
結局、妖怪やお化けの仕業のようだけれど、精神的な問題が一番大きいんだよ」
カエル「……じゃあ、本作の場合は?」
主「スタートは育児ノイローゼと、父親の育児への無関心。
そこから徐々に狂っていき、あとは……映画的な快感のある映像と妖怪バトルに発展していっただけで、妖怪の正体としてはそんな大したものではないと思うよ」
小松菜奈の魅力爆発の作品
家族を持つことの難しさ
そう考えると、夢はないねぇ
怖いものが苦手な人だからこそ、理屈で考えて納得するんです
カエル「でもさ、岡田准一演じる野崎とかはどうなるの?」
主「基本的に本作は野崎、真琴、秀樹、香奈の4人は家族に対して恵まれていない……あるいは何らかのトラウマがある。
野崎の場合は自分の子供を堕ろさせたという負い目だよね。真琴は子供が産めないし。
だからこそ、子ども、あるいは家族に対して大きなトラウマや悩みがある。
一方で最強の霊媒師である琴子はそういうものがない。
多分、彼女は他の人が何と言おうが、自分の意見や思想を変えることがない”強い”人なんだよ。
だからこそ、最強であり続けられる。どんな脅しも効かない」
カエル「心が強いから最強……」
主「所詮はロールシャッハ・テストみたいなものなんだよ。
柳の木だって幽霊に見える、鰯の頭も信心からって話。
トラウマがあって怖い人間にはただの真っ暗闇も怖くなる。
霊媒師って”払う”という行いによって安心感が得られるだけで、心の持ちようが大事ってことだしね。
あの事件はなんですか? と問われたら、子供が怖い、家族に向き合えない、そんな思いが蓄積して、勝手に壊れていく。
そんな程度のものといえばそんな程度だけれど、でもだからこそ怖い問題かもね」
中島作品に共通するラスト
最後に、中島作品に共通するラストについて語るということだけれど……
綺麗には終えない監督だよね
カエル「一応ラストなので誤魔化しながら語りますが、結構唐突な終わり方をします」
主「『告白』ではラストの一言が衝撃で、あれは中島監督の意地悪であり、照れ隠しだとも思った。
『渇き』もそこまで綺麗ではない。結局、すっきりとした終わり方はしないし。
では『来る』は? と問われると、それも同じ。
でも、それでいいんじゃないかな?」
カエル「それでいいの?」
主「中島作品は先に述べたように、そこまですっきりとしたわかりやすい家族のお話は描かないからね。
そこで綺麗にまとめてしまうと、今度はその味を失ってしまう。最後までドロドロで、この先どうなるかわからないからこその味わいを提供してくれていると思えば、この手法で合っていると、少なくとも自分は思うよ」
まとめ
では、この記事のまとめです
- ホラー映画というよりはアクション映画として見にいった方が楽しめる!
- ただし、黒木華の快演はしっかりと背筋が凍るような恐ろしさを感じさせてくれる!
- ツッコミどころは満載ですが、悪い作品ではない……はず!
いやぁ、笑わせてもらいました
カエル「結局、褒めているのか貶しているのかわからない記事になった……」
主「その意味でも怪作という評価が一番しっくりくるかも。悪くはないけれどね」