物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『スターウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』ネタバレ感想&評価! 語ることのない薄い物語だなぁ…

 

今回は『スターウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け』の感想記事になります!

 

 

 

 

……これでようやく一息つけるね

 

カエルくん(以下カエル)

「今なお全世界的な人気を誇る大ヒットシリーズの最終章がいよいよ登場です!」

 

「……まあ、また次回作も制作決定しているんですけれどね」

 

カエル「ちなみに、うちのEP7.8の評価を簡単に説明すると”どちらも微妙”というものになります!

 なんと身も蓋もない結果に!」

主「……ぶっちゃけ、スターウォーズという名前を借りないと3部作として人気を博すシリーズにはなっていないよね。半分ノルマのように見に行っている人も多いだろうし、この3作とも好き! となる人はどれだけいるんだろ?

 さすがに0ではないだろうけれど……それなりにレアなのかな?」

 

カエル「まあ、祭りは祭りですので、この波にうちも乗っていきましょう!

 記事のスタートです!」

 

 

 

 

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感想

 

それでは、Twitterの短評からスタートです!

 

 

感想に困る作品なのかなぁ……

 

カエル「この映画を評する際に、どうしても”1作の映画としての評価””3部作としての評価””SWとしての評価”が入り混じると思うけれど……今回はその点でも評価が難しいね。

 まず間違いなく言えるのは『あ、SWってのが人気なんだ! じゃあシリーズ1つもみていないけれど、映画館に行ってみよう!』という人には、全くオススメできないということかなぁ」

 

主「逆にそういう人の評価も聞いてみたけれどね。続3部作っていうんだっけ? 7.8.9だけを観た! という若者の感想も聞いてみたい気持ちはあるかな。

 端的に言えば……まぁ、そりゃそうだよね、っていうお話だった。

 映像表現は確かに素晴らしい、音楽は最高。

 でも物語は? と言われると……批評性も薄く、なんならばEP7.8すらも見なくてもいいレベル。

 それくらい、語ることがない作品と言わざるをえない。

 さっきの話でいくならば

 

 1作の映画としての評価⇨まあまあまとまっている

 3部作としての評価⇨むしろEP9だけ見に行ってもいいのでは?

 SWとしての評価⇨取り立てて新しいことのない懐古主義

 

 ってことになる」

 

カエル「……社会性や驚きを求めていく作品ではないだろうけれどねぇ。

 物語的には

 

  • EP7……退屈なシーンもありながらも、過去作を意識した作品
  • EP8……SWの物語を更新するような斬新でありながらも賛否真っ二つ

 

 という作品というのが、うちでの評価だけれど……

 今作はどのような位置付けになると思う?」

 

主「……いい言葉を使えば『ファンサービスの多いシリーズ映画』

 悪い言葉を使えば『過度に懐古趣味なSW』ってことになるのかな。

 単純なアクションとか、映像の派手さを求めるならば面白いとは思うよ。

 いくつかのシーンはアガったのと同時に『……お前、またそれやるのか』と思ったのも事実ではあるけれど、悪いとは言わない。だからアクション映画ファンなどが褒めるのは大いに納得がいく。

 でも、自分はアクション映画はわからんちんだからさ、そうなるとこの映画は……肩透かしを食らった部分がとても多いかな」

 

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JJエイブラムスの挑戦と苦難

 

今作の監督はEP7でも監督を務めたJJに戻ったことでも話題です

 

自分はJJをよく知らないんですけれどね

 

カエル「テレビドラマや脚本家としても活躍をしていますが、監督作と言えばアクション映画やSFなどが多く、正直に言えばそこまで興味がある分野ではないために、鑑賞を後回しにしている部分があります……」

主「ただ、今回でよく言われる職人的とも言われる作家性の部分は嫌というほどわかった。

 この話を降られた時……というか、EP8の次を作れ! と言われた時、相当嫌だったろうなぁ……というのは伝わってきたね」

 

カエル「はぁ……それはどんなところが?」

主「この作品をみたときの自分の印象って『これを現代でやる意義ってなんだろう?』ということなんですよ。

 もちろん映像的には派手、SWファンにはたくさん接待してくれている。

 ファン向け要素も山盛り、さらにSWシリーズの大元である黒澤明監督作品を連想させるカットなどもあったりと盛り沢山……でも、それだけなんです。

 これだったら、EP4,5,6を見れば良いじゃない? っていうのが自分個人の意見です。

 それでも、必死になってSWらしい物語に軌道修正しているなぁ……という印象が強い」

 

カエル「特にSWはどんな作品を作っても絶対非難の声は出るから、仕方ない部分はあるけれど……」

主「その難題を……ド級の無難な方法で描き切ったことは、称賛ですよ。

 特にEP8の次なんだからさ。

 だけれど、しっかりと仕事をこなしているからこその、身も蓋もないことも見えてきてしまっている気分だねぇ。

 ここからはネタバレありで語りましょうか」

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

作品考察

 

本作の意義って何?

 

では、ここからネタバレありで語りますが、その”身も蓋もない”ってどういうこと?

 

……結局さ、SWを作り直す必要ってあったの?

 

カエル「……あ、もう大元からの話だね」

主「今作ってもうEP4.5.6のオマージュから映画が成り立っているわけ。

 むしろ、それしかないって言ってもいい。EP6を思わせる密林の描写、EP5を思わせる2人展開もあり、EP4を連想させる級出撃の後にEP6に戻るという構成でさ……

 いや、確かに映像的にはすごいですよ? しかもJJはわざわざスタートのミレニアム・ファルコンの中でのチューバッカたちがチェス? のようなゲームをしているシーンは極端にレトロ感があるように撮っている。

 じゃあさ、今作を……このシリーズを作った理由って何よ?

 

カエル「近年だけに限っても『クリード2』や『ターミネーター』などの過去作のテーマやメッセージを現代風にアレンジした作品というのは続いているよね。

 例えば、ロッキーが白人の話だったから黒人に、ターミネーターがマッチョの話だったから女性の物語に……といったようにね」

 

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その中でも、本作ほど懐古主義な映画もなかなかないと思うけれどね

  

主「SWも明確にEP8で新しいことをやろうとしたわけじゃない?

 EP7では主人公を女性にして、相棒を黒人にしただけでなく、EP8ではアジア人を出したり、フォースを魔法のように扱い、過去の因縁をぶった切り、スカイウォーカー家の物語ではない話をスタートさせようとした。また、キリスト教の一説を明確に引用しながら”ジェダイ=救世主伝説”を語りなおそうとしていた。SW は仏教的な教えも多いけれど、それをキリスト教らしくしようとさらに強調するような面もあった。

 そこで賛否は割れたけれど、でもその先進性は認める。

 現代の物語にするためには、必要なものだったかもしれない。

 その結果、見事に賛否がはっきり割れたわけだ」

 

カエル「色々な意見が出たよね……」

主「で、結局本作で元に戻ったわけじゃない。

 あれ、じゃあSWを語りなおす意義ってなんなのよ? こと。

 身も蓋もない話をすればそんな意義なんて、映像的な革新とビジネスを除けばほとんどない。

 特に近年のディズニーは自分たちの考える政治理念の正しさで物語を制作するけれど、その弱点が大いに出てしまった。

 だって、誰もSWにそんなの望んでいないんだよ。

 血より絆が大事? 自分で名前を選べる?

 そりゃ誰だって選べるのであれば、スカイウォーカーを選ぶんじゃないの?

 だけれど、そんな簡単に選びようがないもの、捨てられないものが血や氏名なんじゃないですか?

 どうしてもっていうならば、名字も自分で1から作ればいいんじゃないですかね?

 あと、黒人とかアジア人とか語っている時点で世界が狭い。異星人をもっと出して、気持ち悪いルックスの生物と恋愛させろよ。それが多様性ってもんだろうか。なんで美男美女のヒューマン同士でいい感じにさせてるんだ? って疑問。

 あと”民間の〜”というのも強調していたけれど、それが政治的な意図以外にドラマにカタルシスや意義を生み出していたかは疑問ですよ?」

カエル「意見には個人差があります」

 

主「イチャモンだけれど、そこいらへんのドラマが弱くて、それで理念ばっかり語られるからピンとこないんですよ。しかも、それってSWでやる必要があるのかわからないものばかりだしね」

 

 

予想の範疇を何1つ超えない物語〜どうでもいい雑感〜

 

決定的な部分には触れずに、語っていきましょうか

 

まあ、しかし予想通りすぎて笑っちゃったよね

 

カエル「『フォースのさらなる力が発揮されます!』と言われて、あとはキリスト的なあれだろうなぁって思ったら、実際にその通りになるという……」

主「あれは笑うしかなかった。

 その前の空間を超えた物の受け渡しなどもそうだけれど、ああいう能力があるならもっとやりようあるんじゃねぇの?

 例えば序盤でレイが砂漠で追われているシーン、なんで真面目に逃げているのよ? そここそトルーパーをクラッシュさせろよって、細かい疑問も出てくるわけ」

 

カエル「”超能力スーパーパワー”となっているから、しょうがないのかなぁ」

主「制約がなさすぎるんよね。スパイ云々語るならば、心を読んだりってジェダイは出来なかったっけ? なんでもありなんだから、それくらいは見抜けるんじゃないの? とかさ。そういう物語上の制約がないと、却って物語は作れなくなってしまう。

 誰が死んでもドラゴンボールで生き返らせればいいや! というのに似ていて、だから2度目以降は生き返らないとかの制約をつけていたわけ……まあ、それも無くなったようなものですが」

 

カエル「あとは前々から語っていた”ローズはジャージャー化する”って奴もかなぁ」

主「ここでいうジャージャー化というのは、ある作品でメインキャラクターだったのに、次の作品では出番が極端に減り、徐々にフェードアウトしていくことを行っているんだけれどさ、やっぱり今回ローズは出番が少なかった。あれだけヘイトを集めたもんね。

 本来、フィンと一緒に戦う女性はローズになるはずだったと思う。

 だけれどあれだけ非難されたから、また取ってつけたようなヒロインを用意したんでしょう。その結果、フィンはギャルゲーの主人公並にモテモテ人生を歩んでいて『なんだこれ?』ってなったけれどね」

 

他には……C-3POとチューバッカの扱いかなぁ

 

あんな適当にドラマをつくらさんな、旦那

 

カエル「え、急に何?」

主「こちとら、2時間ちょっとしか映画を見ないんですから、そんな”〇〇がやられた⇨後に救済”とかやっても仕方ないでしょうに。そのドラマがいらないんですよ……チューバッカが捕まった、C-3POから情報を抽出した、それだけで物語の目的は達成して次のステージに行くんですから。

 まぁ、確かにR2-D2との友情話なども見れたから良し! とするファンもいるかもしれませんが……全体的にドタバタして薄味になる要因でっせ