物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『クリード2 炎の宿敵』ネタバレ感想&評価 主役の交代が意味するアメリカの歴史の大きな変換と冷戦の終焉について考える

 

いよいよ世界的な名作であるロッキーの続編である、クリードも2が登場です!

 

 

 

ここから長いシリーズが再始動するんでしょうね

 

カエルくん(以下カエル)

「ロッキーについては前回も語っているけれど、実は全てのシリーズを通して鑑賞したのはつい最近のことだよね」

 

「公開前の1週間で慌てて見直したからなぁ」

 

カエル「ちなみに、クリード1もロッキーの続編と知らずに観るという、ある意味では暴挙を犯しています

主「公開当時はブログもTwitterもやっていなかったから、映画情報には疎かった部分もある。あと、もともとアニメの方が好きな人間だしね。

 宇多丸のラジオ番組でも年間チャンピオンにも選ばれていたりして、異様に評判がいいボクシング映画がある! というだけでDVDを借りて、再生して初めてロッキーの続編と知るというね。

 その時はロッキ−1は見ていたけれど、遠い昔すぎて『アポロって誰?』状態だったから、そこまで楽しめる訳でもなく……」

 

カエル「クリード単体でもOKだけれど、ロッキーを知っていた方がもっともっと楽しめる内容だしね」

主「今回、改めてクリード1をロッキーシリーズを全て見てから再見したけれど、やっぱ印象が全く違うわ

 ただ、それがいいのか悪いのかも含めて語っていきましょう」

カエル「たぶんクリードやロッキーの語り口としては異色のものになるのかな?

 それでは、記事を始めましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

ロッキーに関する考察はこちら 

blog.monogatarukame.net

 

 

 感想

 

それでは、Twitterの感想からスタートです!

 

 

どう考えても、傑作でしょう……たぶんね

 

 

カエル「いや、断言するのか迷っているのかぐらいは、はっきりさせようよ……」

主「熱い男たちのドラマがあり、目頭が熱くなるのは間違いない。

 特にロッキーシリーズをリアルタイムで追っかけていた人は大絶賛だろうし、それも納得する。ここまでしっかりと描いてくれたことに感謝すらある。

 男たちの因縁と野望が交差する中で、どのような選択をするのか……ロッキーシリーズが描いてきた”運命に対する反逆”という面から見ても、本作はあまりにも完璧な1作と仕上がっている」

 

カエル「え、大絶賛じゃん。なんで最初に含みを持たせたの?」

主「う〜ん……クリード1の時の衝撃があるからかな。

 自分は先に述べたように、ロッキーシリーズをほぼ知らないような状態で観てそこまで乗れなかったこともある。

 特に本作は『ロッキー4』の内容に強く依存しているから、そこを知らない人にとってはどうだろう? 微妙な映画になる可能性は否めない」

カエル「シリーズ物の宿命かな」

主「あとは、いくつか思うところもあるんだけれど……せっかくなので、最初に欠点をお話ししてから、作品の考察へといきましょう」

 

7

本作の欠点① 長い

 

Twitterの短評だと……まずは”長い!”というのが欠点で上がっているね

 

ロッキーシリーズの魅力は2時間を切るエンタメ性にあるんじゃないかな?

 

カエル「手元にあるレンタルDVDのパッケージを見ると、ロッキーシリーズはどれも120分以内には収まっているね。短いロッキー4に至ってはわずか91分というお手軽さ!」

主「ロッキーシリーズの良さはその手軽さにもあると思っているけれど、クリードは前作もそうだけれど、2時間を超えてくるのは結構長い印象があった。

 ボクシングシーンもいくつかあって、そこではテンションが上がるけれど……それ以外のシーンがうまい部分も多いにあるけれど、どうしても退屈になりがちかな。ダレてしまったしまった印象がある」

 

 

 

 

本作の欠点② ”仕切り直しの2作目問題” 

 

 

そして大きな問題がこの次だけれど……言うならば”仕切り直しの2作目問題”というか……

 

 

最近は名作シリーズの仕切り直しも多いから、どうしても気になってしまうんだよ。

 

 

主「昨年では『ジュラシックワールド』やハリポタの続編となる『ファンタビ』なども公開されたし。

 それはそれで往年のファンには嬉しいけれど……でも、大きな問題としてあるのが”ファンサービスが多すぎて、ご新規さんが入りづらい問題”があるんだよね」

 

カエル「一応名作シリーズの続編だから、当然といえば当然だけれど……前作を知らない人はどう思うか? ということだね」

主「最近だとファンタビが『ハリポタすぎない?』と言われていた。まあ、あれは物語自体が5部作の2作目ということもあり、完結していないところもあるけれどね。

 それでいうと本作は『ロッキー』のシリーズをおさらいする必要がかなり強く感じてしまった

 

カエル「みんながみんなロッキーファンということではないものね。

 ちなみに、予告でも語られているので言ってしまいすが、うちはロッキー4でアポロが死ぬことは本作の予告で知りました」

 

主「30年前の作品だから公式が過去作のネタバレをするのはいいけれど、クリードはロッキーを全く知らない人を相手にしているとは思えない。

 そもそもロッキー1がすでに40年前の作品だよ。

 今の10代の子達が『ロッキー1を観よう!』となるかどうか……なったとしても、それは相当映画が好きな子達だけじゃないかな?

 しかも”20世紀FOXホームエンターテイメント”の公式Twitterが『クリードを見るためにはロッキーシリーズを見よう!』と呼びかけている。もちろん、宣伝だし、それでお客さんを煽って少しでも盛り上げよう、売り上げにつなげようという動きは理解する。

 でもさ、自分がほとんど映画を見ない人になったら、それはかなりハードルが高い。

 これが『ロッキー8』なら納得するし、本作もその要素はあるとはいえ、一応クリードに仕切り直しての2作目で、ここまで過去作を強く意識する内容というのは、果たしてどうなのだろうか? という思いがある。

 それが手放しに絶賛できない理由かなぁ」

 

 

 

ロッキー4について

 

あとは、大事なことなのでうちではロッキー4をどのように捉えているのか? という問題について語りましょうか

 

単なるアメリカと共和党のプロパガンダ映画です

 

カエル「スタローン自身がレーガン政権下の強いアメリカの共和党と共にスターになった印象もある俳優だし、かなりロッキーシリーズは政治的、アメリカ文化的にも重要な作品である、ということは過去作でも語ったね」

主「ロッキーシリーズ最大のヒット作であるロッキー4だけれど、自分はただの政治映画であって何1つ響かなかったのが本音かなぁ。

 そもそも、アポロの死があるけれど3ではある重要人物が亡くなる。

 これはスタローンの脚本として、誰かが死なないとドラマが作れなかったとんじゃないかな?

 

カエル「もう3、4はロッキーは大成功者であるから、ハングリーな男の復活劇にはならないもんね……」

主「そして神のご加護もあってロッキーは最強の敵に勝利して『君も変わることができる!』とソ連の国民に語るけれど、これは冷戦構造におけるただのプロパガンダに過ぎない。

 断言するけれどアメリカもスタローンも共産主義者に変わるつもりなんて一切ないでしょ。

 あれは共産主義、社会主義から資本主義、民主主義に変わろう! というメッセージ以外の何者でもない。

 でも、資本主義側が共産主義に変わるつもりはないわけ。

 これはふざけたメッセージだと思わない?

 本人は変わるつもりはないんだよ?」

 

カエル「矮小化したら『君も転職しようよ!(俺はやるつもりがないけれど)』みたいな話なのかな」

主「結局国の雰囲気があるから、ということ。このあたりは自分は激しく今のディズニーを批判するのと一緒で『言っていることを本気でやろうと思ってる?』って問題と同じ。

 人生はやり直せる! と言いながら、過去にやらかした人を追い出している時点でやっていることと言っていることの乖離が激しいんじゃないの?」

 

カエル「ディズニーの話は置いておくとして、そういう穿った見方をする人の感想であるということは先に説明しておきます」

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

作品考察

 

ロッキーからクリードで変化したもの

 

では、ここからネタバレありで語っていきます!

 

問題です。ロッキーからクリードになって大きく変化したものは何でしょうか?

 

カエル「え、あ、急だね……え〜っと……何だろう。

 主人公が交代したこと?

主「半分正解。

 答えは”主人公が白人から黒人になった”ということだ」

カエル「……アポロの息子のお話だから、当然といえば当然だよね?」

 

主「以前にも語ったけれど、ロッキーは”イタリア系アメリカ人”の映画でもある。同じ白人の中でも下に見られがちで、肉体労働に従事していた白人たちも黒人の公民権運動によって居場所をなくし始めていた。

 社会全体が変化していく中で置いてけぼりにされる中で、それでもボクシングで諦めずに成り上がる姿を描いたのがロッキーシリーズだと言える。

 そして、そのイタリア系アメリカ人の物語は、今は黒人の物語へと変化していくわけだ」

 

カエル「『ブラックパンサー』などもそうだけれど、年々”黒人(有色人種)をもっと起用しよう!” という動きは加速していくよね」

主「アメリカのその流れが押し付けに見えてしまい、思うところもあるけれど、もちろん、それ自体はいいことだよ。見た目などの生まれ持ったもので差別される社会がいいとは思わない。

 その意味ではこのクリードというシリーズは明確に黒人の映画になっており、ヒロインもそうだし、文化も黒人を中心としたものになっている

 

 

 

注目したワンシーン

 

その流れで語りたい、注目したシーンがこちらです

 

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(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 

ヘビー級タイトルを獲得したアドニスは賑やかなファーストフード店? に行く

 

主「今作は対比効果が本当にうまく使われている。

 このシーンでは栄光を手に入れて、ものすごく活気があり盛り上がるアドニスと、自分の店でお客さんが少なくなって(閉店間際?)いるロッキーの姿が交互に描かれていた。

 例えば、ドラゴと再会するこのシーンではもっとお客さんがいるところも撮れただろう。

 でもさ、他のお客さんがいない状況で撮ることを選択した……この意味は何か?

 

カエル「えっと、寂しい気持ちや過去の思い出を振り返るシーンだからその演出の一貫だよね?」

主「それもあるんだけれど、自分は”盛り上がる黒人””寂れた白人”の対比がすごく気になったんだよね。

 本作って明確に黒人の映画なんだけれど、一方で白人が盛り上がっているシーンはない。少なくとも、自分は何一つとして思い出せない。ロッキーシリーズはアポロをはじめとして、敵が黒人であることも多いけれど、その黒人社会自体もかなり盛り上がっているように見える。

 ここまで白人の労働者階級は寂れてしまったのか……という社会性も内包していると感じたね

 

カエル「ロッキーもエイドリアンのお墓で寂しそうにお話ししているシーンも多いよね……」

主「人種を超えた師弟関係や継承を描くというのは、ロッキー3でもあったものだよね。

 自分は白人の隆盛と衰退を描いていたのがクリント・イーストウッドだと考えているけれど、このシリーズを見るとシルベスタ・スタローンも全く同じ印象。

 70年代から80年代のマッチョなスターとして活躍していた存在が徐々に廃れていき、終いには寂しい老後を送るというね……」

 

 

 

 

アメリカVSソ連の勝者は誰?

 

それでいうと、一方のドラゴの側もすごく哀れだよね……

 

あれって、ロッキー4が好きな人は怒らないのかな?

 

カエル「なんで怒るの?」

主「いや、だってさ『君も変われるんだ!』というメッセージ性を放って変わったはずのドラゴが、実はそのことを後悔しているじゃない?

 あの時に『俺は俺だ! 自分のために戦うんだ!』という言葉はドラゴの本心だったはず。その意味も、結果がどうなるかも理解していたと思うんだよ。

 でもドラゴはそこに後悔している……なんか、自分はロッキー4のだした結論の否定のようにも見えたかな

 

カエル「元々ロッキー4をそこまで評価していないって言ったくせに……」

主「でも、実はこの描写も意味があるような気がしている。というのも、このシリーズにおいて2人はアメリカとソ連を背負って戦っていたわけだ。そして映画と同じように現実においてもソ連は変わることになり、ロシアとなった。

 じゃあ、この東西冷戦の勝者はアメリカってことになるんだろうけれど……その結果が今の世界と見ると、勝者であるアメリカは本当に幸せなのか? って思いもどこかにあるんじゃないかな?

 

カエル「アメリカもロシアも大国して以前存在感は発揮しているけれど、その内情を知ると……どうなんだろう、決して幸せそうには思えないなぁ」

主「変わった結果が今のロシアか……という思いを抱いているロシア人もたくさんいるだろう。

 当時は英雄だったんだよ、あの2人。

 もちろん、映画の中の話ではあるけれど、実際にロッキー4はアメリカとソ連の代理戦争感もあったし、それを間違いなく意識している。

 でも、その結果が寂れた店で体格のいいおじいちゃん達の、あの会話シーンだからね……

 

 

 

 

継承された思い

 

この流れでラストの試合を語るんだ……

 

今作はスカッとしないんだよねぇ

 

カエル「ドラゴ陣営を応援してしまった、という人も多いのではないでしょうか?」

主「アドニスにしろ、ヴィクターにしろ『俺は全てを吹っ切った! さあ、勝負に行くぜ! 全部を出してやろうぜ!』って映画ではない。

 むしろその逆で、ずっと何かを迷っている。

 ようやく答えを見つけたと思ったら、また別の悩みを抱えていて……それが晴れる瞬間がない。

 これはもう近年の格闘映画の流れなのかなぁ……アメリカという国が男性のヒーローを描くときの理想像が、もうこの世に存在しないということかもね」

 

カエル「途中から『これ、ヴィクターの物語じゃん……』ってなったもんね。

 母も去り、母国で戦っているのにもかかわらず負けてしまって、その後の人生もいろいろあるだろうし……」

主「あの血まみれのタオルが切なくてさ。

 そこまで『絶対に勝つ、ボクシング界、アメリカ、母国や俺を見限ったやつにリベンジしてやる!』と強く思っていたイワンが、息子のためにタオルを投げ入れる。ここも明確なKOシーンや判定での勝利ではなく、ちょっとモヤモヤするように描いている。

 そのタオル1つに込められた思いと、そのすべてに勝った父が息子を思う気持ちも含めて『ああ、最高だな』と涙腺を刺激されてしまった。

 

  • 名誉とほどほどの財産を持つも、息子とは疎遠のロッキー
  • 莫大な財産と名誉は残し、息子が幼い時に亡くなったアポロ
  • 財産も名誉もないけれど、偉大な息子がいるイワン

 

 じゃあ、この3人の男たちで誰が勝者なのかって話で、そんなの決められるわけがない。

 そのモヤモヤした思いも継承されていてさ……ロッキーシリーズが残した、あのみんなが熱中した英雄譚ってなんだったんだろう? 東西冷戦ってなんだったんだろう? という思いがよぎる。

 最初に”ロッキー4はプロパガンダ映画だ”と語ったのもここに繋がっていて、あれだけのプロパガンダで生まれた英雄と勝利の先に生まれたのがクリード2だと考えると……なんか、切なくなるのは自分だけですかね」

 

 

運命に抗う物語

 

最後に、ちょっと語りたいことがあるということですが

 

最初に語ったように基本的にロッキーは”運命に抗う物語”なんです

 

主「ロッキーはサウスポーであり、その生まれや学のなさもあって不遇な時代を過ごしたけれど、その運命を跳ね返した。

 2は目の病気のハンデがあった……正直、3以降はまるでなかったかのようになっていて、あの設定はなんだったんだ? という思いもあるけれど、それはいいとしよう。

 迎える加齢による引退と復活を描くファイナル。

 そして偉大な父がいることによって自分を見失いがちになってしまうクリードとなる」

 

カエル「本作ではヒロインのビアンカの病気もそうだし、娘のアマーラの耳もそうだけれど、みんな何かを失っているか、失い始めているんだよね……」

主「娘が耳を聞こえない可能性があり、自分が持つ遺伝の影響かもしれない……それってどれだけ過酷な現実なのだろうか。

 いつもならば黒人の映画であり、障害者の映画は賞レース向きで……というけれど、本作はそう語ることもできないくらい重いものを背負う。

 そこから立ちあがる物語にはなっている。

 でも爽快感はない。

 これが現代のアメリカのエンタメ映画の流れなのかなぁ……」

 

 

 

 

まとめ

 

とりとめのない記事になりましたが、まとめます!

 

  • 作品は面白いものの、長さと過去シリーズに引っ張られすぎているのが気になるか
  • 黒人の映画としての隆盛と、白人の衰退を象徴するような作品へ
  • 東西冷戦などの果てに描かれる映画として価値があるシリーズ!

 

やっぱり、スタローンの映画だよね……

 

カエル「今作もスタローンが途中まで監督を務めていたしね」

主「スタローンの思想性や思いがものすごく出た映画だよ。演出なども若い監督が抜擢されたことで、尖ったシーンもあった。長回しの使い方も良かったよね。

 スタローンは本作でロッキー引退をほのめかしているけれど……今後のロッキーがどうなるのかも含めて注目していきましょう」

カエル「クリードの記事でした!」

 

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