カエルくん(以下カエル)
「では今月も新作映画のランキング記事を書いていくけれど……」
亀爺(以下亀)
「今月はなかなか危なかったの」
カエル「危なかった……? 何が?」
亀「今月は新作映画をあまり見ておらんかったからの。GWもあってたくさん映画を観るつもりが、なんとなく映画館から足が遠のいて、最後に5作品を見ていなかったら寂しいランキングになっておった」
カエル「今月って更新頻度が過去最低だからね……毎日更新はどこ行った? という話で。
見たけれど記事にしていない映画もそれなりにあって、それじゃなんのために見に行ったのか? という疑問もあるにはあるんだけど……」
亀「もちろん楽しみためじゃよ」
カエル「……いや、それはそうなんだけれどさ。
更新頻度が落ちても何か作業をしていました、だったらまだいいけれど……そういえば今日あの人、何しているの?」
亀「スマホゲームをやっておるぞ」
カエル「……また?」
亀「何でも『デレスタの限定復刻でなつきちとありすが来たから、これは是非とも欲しい! でも何ヶ月かやっていないゲームに課金するのも……そうだ! たまっていたコミュニティを解放して、ジュエルゲットだぜ!』らしいの。
さらに『うわー! FEで花嫁限定ガチャきたよ!? 回したらニニアン来たよ! 限定ガチャじゃないけれど好きなキャラだから嬉しい、育てなきゃ!』らしい」
カエル「……そのまま永遠にスマホをいじってろって伝えておいて」
対象作品
5月公開で記事にした作品
以上10作品(少ないなぁ……)
鑑賞したが記事にしていない作品
『バーフバリ 伝説誕生』
『あの日、兄貴が灯した光』
『夜に生きる』
『たたら侍』
『おじいちゃんはデブコン』
以上5作品、計15作品が対象になります。
ちなみに5月公開作品では
『台北ストーリー』
『ジョーン・ドゥの解剖』
『トンネル 闇に鎖された男』
などは引き続き鑑賞候補
第5位
あの日、兄貴が灯した光
事故により視覚障害を抱えた柔道オリンピック選手の弟と、刑務所を出所して10年ぶりに帰ってきた兄の交流を描いた作品。
韓国の人気アイドルグループ「EXO」のメインボーカルD.O.とチョ・ジョンソクが共演。
亀「こちらは韓国映画となっておるが、それにしても韓国は傑作、良作が次々と量産されているの」
カエル「雰囲気としては『湯を沸かすほどの熱い愛』に近いんじゃないかなぁ? 障害や病気をテーマにした泣かせる系のお話だけど、基本的にはコメディタッチだから笑えるというね。劇場内でもたくさんの笑い声が響いていて、笑いと感動のギャップにやられる人も多いんだろうね」
亀「お話としては王道ストーリーであり、特にひねった部分はないと感じたの。後半も少しどんでん返しもあるのじゃが、それも『ふむ、そっちに行ったか』というものであって特別な驚きはない。
それでも魅せる力があるのはさすが、というべきかもしれん」
カエル「ホームラン! ってわけではないにしろさ、多くの人が納得して感激した! っていうと思うんだよね。ヒットを量産するタイプというか。
大手映画レビューサイトで高評価なのも韓国の人気アイドルが主演というのもあると思うけれど、ケチはつきにくいタイプの映画だから、というのもあるよ。万人に受ける作品じゃないかな?」
第4位
メッセージ
アカデミー賞作品賞などの8部門にノミネートされた(受賞は1部門)SF作品。
今後『ブレードランナー』の続編の監督も務めているヴィルヌーヴが監督を務める。原作の『あなたの人生の物語』も高い評価を受けており、映像化不可能とされていた作品であるが、原作の味を損ねることなくヴィルヌーヴの作家性も備えた作品に仕上がっている。
ある日、地球に訪れた宇宙人との交渉役に任命された言語学者のルイーズ。彼らが持つ全く意味のわからない文字を解読し、彼らが伝えようとしているものとは何なのか?
カエル「大好きなヴィルヌーヴ作品がこの順位かぁ」
亀「好きだからこそハードルが上がってしまうという好例かもしれんの。しかし4位というと微妙な順位のようでもあるがの、オススメ度や満足度は結構高いぞ。
SFとしても全く新しいものになっておるし、脚本だけでなく演出などでも語りかけてくる情報量の多さはさすがじゃ」
カエル「誰かと語りたくなる、というのも話題になっているね」
亀「過去のヴィルヌーヴ作品を基準にしてしまうから、好みの問題もあってこの順位になったが……今月オススメの1作であることは間違いない。
完成度、メッセージ性も高いし、この映画が人生でもトップクラスの作品だ! という人が多いのもうなづける内容じゃの」
第3位
マンチェスター・バイ・ザ・シー
こちらもアカデミー賞で話題になった作品であり、主演のケーシー・アフレックが主演男優賞、さらに脚本賞も受賞している。
派手な場面は少なく、地味な作品と言われがちな映画であるが脚本賞を受賞しているように練られた脚本は見事の一言。演出、脚本、演技、音楽などが高いレベルで一致している映画に仕上がっている。
アパートの便利屋をしていたリーは腕はあるが無気力で無愛想な人物として有名だった。ある日、故郷のマンチェスターから兄の訃報が届く。過去の忌まわしき因縁が渦巻く地へとリーは足を向け、兄の息子である16歳のパトリックと共に葬儀などを済ませながら2人は自分の人生について向きあう……
カエル「こちらもアカデミー賞作品賞にノミネートされた作品だけど……小規模公開なのがもったいないほどの作品だったね」
亀「ここまで今年のアカデミー賞作品賞ノミネートは日本公開された5作品ほどを見てきたが、単純な好みで言えば本作が1番かもしれんな。もちろん、それぞれに異なる魅力があり、どれもいい映画であるのは間違いないがの」
カエル「結構地味な作品だから人は選ぶような気もするけれど、でも見て損はないよね」
亀「この脚本のうまさはなかなか伝わらんじゃろうが、この映画のタイトルである『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が何を意味しているのか? ということなども考えながら見ると非常に楽しめる。
特に役者陣の演技は圧巻の一言であり、とんでもないレベルの映画に仕上がっておる。全米が認めた演技合戦を楽しむだけでもいいので、ぜひ鑑賞してほしいの」
第2位
光
カンヌ国際映画祭でバルムドールを逃したものの、有力な候補とされた作品。(バルムドールを発表直前には観客から『光で間違いないんじゃないか?』という声が上がったとも)
最高賞は逃したがキリスト教団体が精神性の高い作品に送るエキュメニカル賞を受賞。
『あん』などの河瀬直美監督が永瀬正敏と再びタッグを組んだことでも話題。
尾崎は視覚障害者向けの音声ガイドの制作をする仕事をしている中で、弱視のカメラマン中森に出会う。他の人よりも厳しい言葉を投げかける中森に対して不満も抱く尾崎であったが、ふとしたことから彼の撮った夕日の写真を目にしてから少しずつ変化が訪れていく……
カエル「今月の1位と2位は相当悩みました。どちらも同率で1位にしたかったし、単純に比べる対象として適切とも思えないし……」
亀「全くやりたいことも方向性も違う2作品じゃからの。気持ちとしては同率1位じゃが……一応ランキング記事ということでこのような順位をつけさせてもらった」
カエル「本作が優れた点というと、やはり『視覚障害者向けの音声ガイドの制作』という知られざる面を見せてくれたこと、そして何よりもその演出や巧みな演技力によってこちらの想像力を刺激して『映画は想像するものだ』という作品の主題に見事に合致していたこともあるね」
亀「わしは今作の演技というのはアカデミー賞に輝いた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』にも劣らないと思っておる。
それだけ深い意味とこちらへ訴えかけるものを持った作品じゃ。少しとっつきにくいようであるが、是非とも鑑賞してほしい作品じゃの」
第1位
夜明け告げるルーのうた
『ピンポン』などのテレビシリーズなども手掛けている奇才湯浅政明が送り出す初のオリジナル劇場アニメ。わずか12人で土日は休み、ほとんど定時退社で手掛けたというブラック色が強いアニメ業界の中でも異色な作品となっている。
ルー役には『君の名は。』でも好演が光った谷花音、カイ役には下田翔太を起用している。
田舎の海に面して町に暮らすカイは音楽が好きで動画投稿サイトにアップしていたが、周囲の友人たちにもそれは内緒にしていた。その動画が友人に見つかり、バンドに誘われることになる。
ある日、音楽を奏でていたところ海から不思議な人魚の子供、ルーが現れる。ルーが歌うとみんなが踊り出し、楽しい気持ちになるのだがそれが町をあげての大騒動へと発展していく……
カエル「今月の1位はこの作品!
天才湯浅政明の新作が1位だよ!」
亀「記事では『今年1番のアニメ映画』と言っていたからの。元々湯浅政明のファンというのもあるが、今作は過去作などのから望むレベルのクオリティを大きく超えてきたという評価じゃ」
カエル「賛否があるのは当然として、脚本に難があるという人はいても悪い作品だ! という人はいない印象かな。人を選ぶ作品を作りがちな湯浅作品の中でも、多くの人にお勧めできるんじゃないかな!?」
亀「興行的には厳しいらしいがの。大人からは子供向けアニメと言われ、子供(親世代)には宣伝などが届いていない例になってしまったかもしれん。アニメ映画の難しさが出てしまったかの」
カエル「ちなみに、1位と2位の差はどんなところなの?」
亀「ほとんどない。どちらも同じくらい好きで、感情を揺すぶられ、何度も鑑賞したくて、評価されるべき作品であると考えておる。
となると最後は……対象年齢の広さかの?
『光』はやはり子供が見ると退屈してしまう作品のように思うが、この作品は子供から大人まで誰でも楽しめる1作に仕上がっておる。そこが最後の最後で順位を分けたかの」
最後に〜総評〜
カエル「5月は春休み、GW映画も終わって興行的には一つ落ちるし(4月公開の美女と野獣、コナンが興行ランキング上位を独占)注目作も少し減る印象があったけれど、蓋を開けてみるとメッセージが4位という大激戦になったね!」
亀「結構迷ったからの。『夜に生きる』や『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』も難はあれども面白い作品だし、さらに『BLAME』や『バイオハザード』も派手派手で面白くて良かったの。
賛否は荒れるがハマったら大ヒットの『夜空はいつでも最高密度の青色だ』と『美しい星』などもあったからの」
カエル「今月は誰に聞いても面白いランキングになると思うんだよね。もちろん『ガーディアンズ』などもあるしさ、趣味がはっきりと出ると思う。
圧倒的に強い、誰もが認める一位がない分荒れるというか」
亀「いや、もったいないと思う作品が非常に多かったの。こんなにいい作品なのに……と思う機会が多かった。
ガーディアンズもランキング入りしておらんが、大作SF映画としては結構お気に入りじゃ。しかし興行的には伸び悩んでおるの」
カエル「いい映画を作れば売れるという簡単なお話じゃないもんね。だけど大作のたたら侍もコケたみたいだし……映画は博打というのがよくわかるよ」
亀「まあ、外野のわしらは映画を見て楽しむだけじゃがな!」
カエル「このランキングを見て気になった人はぜひ劇場へ!
ちなみに『ルーのうた』も『光』も劇場で見た方が楽しめる1作に仕上がっているので、機会を逃さないでください!」