カエルくん(以下カエル)
「今回は新企画が始動だね!!」
亀爺(以下亀)
「毎月15作品前後ほど見ておるからの。
(11月度は現時点で14作品、旧作1作品)
その中でも特別に面白かった作品を、こうしてランキング形式で紹介しようという企画じゃな」
カエル「だから『映画を見たいけれど何が面白いのかわからない』という人は、この記事を参考にしてもいいかもね!
もちろん、個人差はあるので保証はできないけれど、ある程度の基準にはなると思うよ!」
亀「いつもの感想記事じゃと、どうしてもネタバレも含むからの。この記事を読んで大体のあらすじなどを理解した上で、映画を決める手助けになればいいの」
カエル「今回は初回ということで11月度に公開した新作映画から選ぶけれど……新作映画だけにするのか、旧作も含むのかはこれから考えていかないとね」
亀「その月に紹介した映画から選ぶのもありじゃからの。さて、どうなるか……それもまた楽しみじゃの」
カエル「それじゃ、感想記事スタート!」
第5位
シークレット・オブ・モンスター
あらすじ
1918年。第一次世界大戦が集結した間もないフランスへ、ヴェルサイユ条約締結のためにアメリカの政府高官の一家が古いお屋敷へと引っ越しきた。
女の子と見間違われるほど美しい息子(トム・スウィート)と、教育熱心で信心深い妻(ベレニス・ベジョ)も共にアメリカからフランスへと渡ってきた。フランス語の勉強をしなければいけないと、家庭教師もついて勉強をしているが、息子は癇癪を起こし、人に石を投げたり部屋に閉じこもったりと奇行を繰り返す。
そしてある夜、大きな事件が起こるのであった……
一人でじっくりと見たい映画
カエル「この映画はなかなか独特だよね。エンタメとしての面白さよりも、映画的な面白さを追求した映画でさ」
亀「監督がインタビューで語っておったが『映画を説明できるなら、なぜ映画を作るのか?』という言葉が示すように、映画という総合芸術や表現手段であるということを、最大限に生かした作品じゃの。
わかりやすい映画ではない。むしろ、わからんことの方が多いじゃろう。
しかし、それが観客の頭の中で色々と組み立てられた時、見えてくる真実や快感というのは、まさしく映画の面白みではないじゃろうか?」
カエル「印象としては『マジカル・ガール』に近いものがあるよね。あそこまでドロドロとはしていないけれど……雰囲気自体は似たようなものかな?」
亀「あれも説明できない、映画らしさを目指した作品じゃからな。単なるエンタメ映画に飽きているようであれば、非常にオススメじゃ。じゃが、単純に楽しみたいというのであれば、他の映画を見た方がいいかもしれんの」
第4位
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
あらすじ
1926年のアメリカが舞台。魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、魔法動物の調査と保護のためニューヨークへと降り立った。
そんな中、ふとした拍子に魔法動物のうちの1匹が逃げ出してしまう。その騒動はなんとか収まるものの、その際に知り合った一般の人間(ノーマジ、マグルともいう)と鞄が間違われてしまし、魔法動物たちが逃げ出してしまう。
ニュートはその魔法動物たちを回収するために、現地の魔法使いティナ(キャサリン・ウォーターストン)と共に街中を探し回るのだが、その裏では恐ろしい陰謀が蠢いていた……
家族と、恋人と、一人でも楽しめる万能型エンターテイメント映画
カエル「もはや説明不要の大ヒット作、ハリーポッターシリーズの最新作だよね。君の名は。旋風も物ともせず、大ヒットで興行収入1位を獲得したという、作品だね」
亀「この映画はやはりハリウッド超大作らしく、誰にでもお勧め出来る内容になっておるの。映像はもちろん、音楽もよく、アクションもあって飽きさせることないような工夫に満ちておる。
それだけではなく、脚本構成のうまさや伏線の張り方、大作映画の1作目として、きっちりと練られた作品であり、エンタメとうまさの両立が出来ておるの」
カエル「3Dでもいいし、音響がいい映画館で見るともっと迫力があって面白いかもね。大人から子供まで、誰でも楽しめる作品だよ」
亀「強いて難点を言うならば、優等生すぎるくらいかの。そんな……ある種の無茶振りしか非難するポイントが見つからないくらいに、優れた作品じゃな」
第3位
世界の果てまでヒャッハー!(R15)
あらすじ
恋人ソニア(アリス・ダヴィ)にプロポーズをしようと、フランク(フィリップ・ラショー)は、友人やその彼女たちも引き連れてソニアの家族が経営しているブラジルの自然派ホテルを訪れる。
プロポーズのために父親に許可をもらおうとするが、良い印象を与えることができず、不満を口にするのを聞いてしまうフランク。
傷心を癒すために友人たちが洞窟探検に繰り出すが、そこに彼女の祖母がついてきてしまう。フランクたちは祖母を連れて洞窟探検へと出発するが、そこで足取りは途絶えて遭難してしまう。心配するソニアたちの元に、彼が持って行ったハンディカメラが届く……
友人たちとバカ笑いしたい時に見たい映画
カエル「下ネタ満載の笑えるコメディ映画だよね。フランス映画なんだけど、ロケ地はブラジルでさ。例えると……下ネタの多いミスタービーンとか、たけし軍団の笑いに近いのかな? 体を張った笑というか……」
亀「手持ちカメラで撮られた映像が主じゃから、揺れるカメラワークは酔いやすくて減点じゃが……このやり方でないと撮れない良さに溢れた作品じゃったの。
今年見た映画の中では一番笑ったわ」
カエル「セクシーショットも多いけれど、単なる馬鹿馬鹿しいだけじゃなくてさ、フランスが抱える問題の風刺もしっかりと入っていて、笑えるだけじゃない『映画』と呼べる内容だったよね」
亀「R15ということで少し気後れするかもしれんが、その内容もエロチックなものが多いからじゃからの。ゾウさんが見えていたり、性的なシーンも多いが、それも下ネタがあまり好きではないわしでも、あまり気にならないレベルじゃった。
笑いのツボというのは人を選ぶじゃろうが、そうじゃの……一昔前の深夜のセクシーなバカバカしいお笑いや番組が好きな人であれば、間違いなく笑えるのではないかの?」
TOP2の発表! でもその前に!?
カエル「今月のTOP5には入ってこなったけれど、気になる作品を紹介!」
亀「今月は基本的には当たりが多かったの。
その中でも、惜しくもTOP5入りを逃したのが『コウノトリ大作戦』じゃな。子供向けアニメ映画じゃから大きくヒットすることもなく、ひっそりと終わってしまったがいい作品じゃったよ」
カエル「あの宇多丸師匠も賞賛したよね。あの人はアメリカアニメ映画のファンというのもあるだろうけれど」
亀「子供向け映画ではあるが、大人もある程度楽しめる作品となっておるし、小さなお子さんがいるようならば一緒に見てもいいかもしれんな。吹き替えも悪くないぞ」
カエル「さて、TOP2の発表だけど……」
亀「まず、先に言っておくのがこの月間TOP2に関しては飛び抜けた評価の作品じゃ。
正直、3位以下の作品の順位に関しては、例えば来月に同じ記事を作る際に入れ替わっておる可能性もある。特に『シークレット・オブ・モンスター』などは後からじわじわとくる映画じゃからな。
じゃが、この上位2作品は揺るがぬじゃろうな。
特に1位はオールタイムベストにも名を連ねるかもしれんの」
カエル「そうだね。あくまでも目安として相対的に点数で表記すると……
5位 60点
4位 65点
3位 68点
とするならば
2位 78点
1位 100点
くらいの差があると思ってもらっていい。もちろん目安であって、絶対評価ではないし、このブログでは点数は付けない方針だから、これが直接映画の点数ではないよ」
亀「重要なのは、5位から3位までは団子であり、3位と2位の間にも10点ほどの開きがあるが、1位はもっと大きな開きがあるという点じゃな。それだけ1位は圧倒的な出来じゃから、今月1本だけ見るならば、1位の作品を見た方がいいの」
第2位
ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気
あらすじ
ベテランの熱血女性刑事でああるローレル(ジュリアン・ムーア)は毎日仕事に追われる生活を送っていた。そんな彼女は命を預ける相棒や署内の仲間にも自身が同性愛者であることを隠していた。
バレーボールにてステイシー(エレン・ペイジ)という若い女性と出会い、年齢、性別、世間からの偏見などを乗り越えて惹かれ合い、やがて家一軒家で一緒に生活することにする。
そんなふたりの幸せな日々は長く続かず、病の影が静かに忍び寄っていた。死を覚悟したローレルは、愛するステイシーのために遺族年金の受け取り人に指名するが……
2002年に実際にあった出来事を基にした映画。
夫婦やカップルで見てもいい映画!
カエル「つい先日見たばかりという鮮烈な体験だからというのもあるけれど、すごく感動して絶賛記事になったよね。本来、こう言った病気ものはあまり好きじゃないけれど、絶賛していたし」
亀「予告編すら見ておらんかったから、どんな映画か全く知らなかったというのもあるじゃろうが、いい作品じゃったの。
主演のジュリアン・ムーアはさすがオスカー女優だけあって迫真の演技を見せてくれるし、相方のエレン・ペイジは自信が同性愛者と公言しておるからか、役に対する熱意がこちらにも伝わって来る熱演じゃったの」
カエル「この映画のテーマは『同性愛』と『病気』というキャッチなー部分に注目がいくけれど、実は『平等な愛』がテーマなんだよね。人を愛することに同性、異性なんて関係あるのか? というね」
亀「この映画の内容が直接アメリカを動かしたわけではないじゃろうが、この件もあって最高裁判所は同性婚を認めたからの。アメリカが抱える問題を鮮やかに、しかもバランスよくとれた良作ではないじゃろうか?」
第1位
この世界の片隅に
あらすじ
1944年の広島を舞台に起こる、戦時中の日常を描いたアニメ映画。
18歳のすずは、結婚が決まり呉へと引っ越してくることになった。少し天然でおっとりしていた彼女の生活は、少しの失敗と創意工夫に満ちたもので、戦時中の物不足の時代を過ごしていた。
しかし、時とともに戦争は激しさを増していき、呉の上空にも飛行機が飛び毎日の空襲が襲いかかる。燃え上がる街並みと、壊されていく生活。そんな中でもすずは必死に、その時代を生きていた……
戦時中の日常描写や広島の街並みを鮮やかに映し、日本アニメ史、そして日本映画史に残る大傑作がここに登場!
一人でも、家族でも、友人とも見て欲しい一作!
カエル「11月は完全にこの映画一色だったよね。Twitter上でも大騒ぎだったし、いまだに観客動員数を先週比で増員し続けているというとんでもない映画だよ」
亀「このブログでも大絶賛したが、あまりにも賞賛の声が大きすぎて誰も非難の声を上げないことに、主自身が違和感を覚え始めるという、おかしな現象すらも起こっておるからの。
基本的に映画に限らず、賛があれば否もあって、その議論こそが作品価値を深めると思っておる主としては、否の意見を聞かないというのはそれはそれで怖いのじゃろうな」
カエル「本来は一人くらいは否定しそうな……町山智浩とか宇多丸、岡田斗司夫とかのような一癖も二癖もある人達が大絶賛だからね。
多分、多くの人が原作を読まないで見に行ったりとかして、完全ノーマークだったのもあるだろうけれど……この映画の衝撃度はそれほどまでに大きい」
亀「ただ、それだけの大絶賛の嵐になるのもうなづける映画じゃからな。おそらく日本映画史でも屈指の作品じゃし、今後100年語り続かれてもおかしくない作品じゃ。
クラウドファンディングという、ファンがお金を出し合って作った映画ということもこの映画の価値を高めているのかもしれんの」
総評
カエル「今月はやっぱり『この世界の片隅に』が強かったよね……」
亀「もう、はっきりと言ってしまうが年間ベストクラスじゃし、年末にやる2016年ベスト映画でも上位が確定じゃ。
何位になるかはまだ言えんが……相当高いレベルの作品じゃの」
カエル「今年はトンデモナイ映画がたくさんあるけれど、その化け物を相手にしても対等以上に戦える作品だからね。否定意見を聞かないというのも、すごく大きいかも」
亀「この世界の片隅にを評価する理由というのも考えてはいるのじゃが、いつ記事にできるかの……」
カエル「それ以外の作品の総評となると、テレビの人気シリーズのアニメ映画はファンなら納得の出来も多かったんじゃないかな? 一方で大型邦画が少し伸び悩んだ印象かなぁ……」
亀「決して悪い作品というわけではないがの。
しかし大きな魅力を持った映画というのは少なかったかの。手堅いというか、予想通りの映画が多かったかの。
じゃからこそ、1位の『この世界の片隅に』の飛躍が余計に鮮烈に感じるかもしれん」
カエル「来月は……年末だし、12月と2016年の総括もしたいね」
亀「映画の各部門賞(脚本賞、映画賞、主演男優賞など)の発表記事と、2016年映画ランキングを企画しておるからの。おそらく……年末になるじゃろうが、そちらも楽しみのしておってくれ!」
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