カエルくん(以下カエル)
「では2017年8月の映画ランキングを書いていくよ」
亀爺(以下亀)
「今月は夏休みらしく大きな映画が多かったの」
カエル「何回も言っているけれど、7月はアニメ映画に大作が多かったけれど、8月はアクション映画に大作が多かったね。
他にも少し公開数が落ちる映画でもなかなかの映画が出てきたりしていて、やはり夏休みを狙ってきているなぁという印象はあったよ」
亀「良きにしろ悪きにしろ誰かと話したくなるような作品が多かったの。興行的には苦しんだ作品も評価は高かったりと、やはり映画はどのような作品が売れるのかよくわからん」
カエル「やっぱり興行的な成功と不成功がはっきりわかれるよねぇ。
まあ、そこは評価には関係ないんだけれどね」
亀「では、早々に8月の映画ランキングを書いていくかの」
対象作品
8月公開作品
記事にした作品
『関ヶ原』
『劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』
『ワンダーウーマン』
以上9作品
記事にしていない作品
『夜明けの祈り』
『キングスオブサマー』
『エル』
『パターソン』
以上13作品
公開3カ月以内の作品
『狂覗』
『ダンサー、セルゲイ・ボリーニン 世界一優雅な野獣』
計16作品がノミネートになります
いつも通りくらいかなぁ……
ちなみに8月公開では『幼な子われらに生まれ』『わさび』などを鑑賞予定
第5位
フェリシーと夢のトウシューズ
カエル「まずは5位でフランスとカナダの合作アニメーションが登場だね」
亀「こちらの作品も粗はあるものの、大筋では楽しめるアニメーションに仕上がっておる。特に今年は毎年公開されるキャラクターアニメ以外では、男の子向けのアニメや大人向けアニメは多かったものの、女の子を対象としたアニメーションは少なかったような印象があるの。
それを考えても、その穴に見事にハマった印象もあるの」
カエル「展開的も早いかな? と思う部分はあるにしろ、それが子供向けアニメーションとして飽きさせないようになっていたしね」
亀「バレエシーンもなかなかに凝っておったし、キャラクター造形や関係性も色々な想像ができるように工夫が凝らされておった。
演出意図や1つ1つの描写にもメタファー的な意味合いも感じることができたし、王道のスポ根ものとしても楽しめる。海外アニメーションはピクサー/ディズニーだけではないぞ、という証明にもなっておるじゃろうな」
第4位
キングスオブサマー
カエル「こちらは記事にもしていないし、しかもアップリンク渋谷のみの限定公開の作品だけれど、多分内容を聞けば多くの人が見に行きたくなるんじゃないかな?
なんと、あの『キングコング 髑髏島の巨神』の監督を務めたジョーダン・ボート=ロバーツ監督のデビュー作になります!」
亀「物語としてはキングコングとうって変わって17歳の少年たちが親からの自立を目指して、森の中へと行ってサバイバル生活を行うという、系統としては『スタンド・バイ・ミー』などの少年たちのちょっとした非日常を味わう物語になっておるの」
カエル「キングコングとはぜんぜん違う物語なんだけれど、でも演出や森の映し方、あとは日本的な描写だったりといったところに繋がりがあるよね。あ、キングコングの原型ってこれなんだなって納得しちゃったし!」
亀「もちろん、物語として、映画としてもなかなかに面白いぞ。デビュー作とあって荒さはあるのもの、見どころ満載の作品となっておる。
父と子、親と息子の子離れと親離れの物語でありながらも、その両者の思いを知ることにもつながっており……少年の成長譚にもなっておる。様々な要素が混在しながらも、楽しめる1作に仕上がっておるから是非とも鑑賞してほしい1作じゃが……さて、ソフト化するのかどうか……」
第3位
狂覗
カエル「こちらも小規模公開の映画になるけれど……」
亀「一部で話題になっていた邦画じゃの。
簡単に説明すると、学校で生徒たちの生活態度などを調査するために、抜き打ちで持ち物検査をすることになる。しかしそれは問題も多いから、生徒たちが体育の授業でいないところに教室に立ち入って色々と調べるわけじゃ。
それを行なっていくうちに、様々な疑惑が出てきたり隠していたことが明るみになっていき……というミステリー仕立てのサスペンス作品じゃの」
カエル「今作も中盤以降、ちょっと展開がわかるところもあるんだよ。だけれど、それでも面白いというのがいいよね。犯人やトリックが分かっても面白いというのはサスペンスで大事なことだと思うし」
亀「お話がコロコロと変容していき、5分先すらもどのように変わるのかわからないストーリー展開なども魅力じゃな。
少しカメラワークなどで酔ってしまったこともあるがの、その辺りも小規模制作映画の味というものがあって、面白い作品に仕上がっておる。
こちらもやはり見る機会がどうしても限られてしまうとは思うが……その機会がある人にはオススメしたい作品である」
第2位
君の声をとどけたい
カエル「今月1番のダークホース!
アニメ映画は積極的に観に行こうと思っているけれど、この映画は事前の情報があまりなかったんだよね。原作があるわけだもないし、声優陣も新人ばかり……なんで急にこんなオリジナルアニメが出てきたんだろう? と疑問に思っていたことが多かった。
でも実際見てみたら、これがまた面白いんだよ!」
亀「お話としては非常に地味なものじゃな。鎌倉、湘南を舞台として、半径100Mしか届かないようなミニFMラジオを舞台にしておる。そして女子高生たちのなんてことのない日常を扱っておるが……
確かに脚本が圧倒的に優れていることもなく、作画や演出も整っておるが平凡じゃの。そして新人ということもあり、声優の演技も少し拙いものになっておる。絶賛できるのは音楽じゃが……それ以外は普通といえば普通の作品じゃ」
カエル「でも、なんでそんな作品が2位なのかというと、涙腺を刺激してくるんだよ! ちょっと拙い部分があるからこそ、彼女たちの日常がそこまで特別なものではないという説得力につながっている。
『かけがいのない日常が1番大事』なんて誰でも言えるような、手垢のついたセリフですらも説得力を伴っている!」
亀「この映画は是非とも鑑賞して欲しいのじゃが……しかし、アニメの圧倒的な映像美だとかそういったものを望んで観にいく作品ではないということは知っておいてもらいたい。
『劇場で観るのに深夜アニメクオリティ』などと言ったりして、少し肩透かしなところもあるかもしれんが……作品が伝えてくる日常の素晴らしさに感動する作品じゃ」
第1位
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
カエル「この大作ぞろいの夏休み映画が多い8月を制したのは、今年最も注目を集めていたと言ってもいいこのアニメ映画だけれど……これは賛否が割れそうだねぇ……」
亀「あまりにも酷評が続いてしまったからの。
おそらく、みんなスピルバーグを期待して映画館に行ったのじゃろうが……出てきたのがリンチやキューブリックのような癖の強いアニメ映画じゃからな。それは酷評の嵐になることも仕方ないじゃろう。
意外と日本はアニメ映画国家でありながかなりガラパゴス化してきている、というのはこのブログの主張であるが、それと同時にアニメ好きと一般人のアニメに対する意識の差というのもかなり浮き彫りになった作品ということもできる。
まあ、宣伝の影響も多いし、粗が多いのも事実じゃがな」
カエル「結局、この映画は3回見に行ったんだよね……
1番感動したのは1回目で、見ればみるほどに発見の多い映画でもないんだけれど……でもやっぱりここまで酷評される作品には思えないという」
亀「色々と演出的にも工夫されているところもあるんじゃがな。しかし、そこが目につかず、目につかんところに工夫があるために万人受けしづらいというのもあるんじゃろうな。
しかしの、この映画の素晴らしいところはやはり賛否両論であるというところに尽きると思うのじゃ」
カエル「賛否両論が素晴らしい?」
亀「この作品よりも売れた作品もある、人気シリーズもある、注目を集めた作品もある。もちろん、他の映画との兼ね合いもあるし、夏休み期間に公開されたということもあるじゃろうが
……ここまで語られる、もしくは語りたくなる映画もほとんどない。
それこそ、2016年では『シンゴジラ』と『この世界の片隅に』くらいではないかの?」
カエル「Twitterやレビューサイトの書き込みも多くて、かなり多くの人に話題になっているんだなぁって思った作品だよ」
亀「それだけ語りたくなる力を持っておる。
これは素晴らしい作品じゃろう。単なるクソ映画ではない、とわしは思っておる。特にシャフトの尖った演出などは今のアニメ界とも違ったものである。もっとはっちゃけて欲しかったという思いもあるが、この作品にしかない味も確かにあったと声高く主張したいの」
総評
カエル「今月は多分一般的な映画好きとはランキングがぜんぜん違うと思うんだよねぇ。
やっぱりアニメ映画が好き! という気持ちが1番強く出ていて、ベスト5のうち3作品がアニメというのもあまりないと思うんだよ。
特に今月は『スパイダーマン』や『ベイビードライバー』のような評価の高いアクションの傑作が次々と公開しているし……」
亀「間違いなくアクション映画の月だったと言えるじゃろう。それから、小規模公開映画でもかなり評価の高い作品も多かった。見るべき価値のある作品も、満足度の高い作品も多かったの。
しかし、それでもこのようなランキングになるというのが、このブログの癖ということになってくるのじゃろうな」
カエル「万人に受けそうなオススメランキングだったら『ベイビードライバー』『スパイダーマン』『セルゲイ・ボリーニン』などを入れるんだけれど、個人的なランキングになってくるとやっぱりこうなるかなぁ。
そして最後に主からメッセージをもらっていますので代読します。
えーっと……『打ち上げ花火の記事の中で<今年1番とは言わないが>という発言がありましたが、少なくとも月間1番になりました。この激戦の8月の中で1位を獲得したということは、当然今年1番もあり得るかもしれません。
前言撤回をするほどのことではありませんが……ここに謝罪します』
だって」
亀「単純に考えると月間TOPは年間ベスト10圏内じゃからな。もちろん、その月の満足度などもあるから一概には言えんが……」
カエル「ちなみにいうとこのブログは『世界で1番最初に打ち上げ花火を絶賛したブログ』だと自負しております。それにどんな意味があるのかわからないし、むしろ罵倒につながるかもしれないけれど……」
亀「少なくとも瞬間最高風速や満足度では非常に高かったということは主張していこうかの」
来月について
カエル「最後に来月について少し……映画好きの中ではたくさんの大作、有名映画監督が作品を公開することもあって注目度が高い、ハイレベルの月になりそうな予感はあるけれど……」
亀「しかしこのブログの中では1位濃厚な映画がすでにある」
カエル「……『響け! ユーフォニアム』だよね。テレビアニメ版も大好きで、その総集編で素晴らしい音響で公開されるこの作品がどこまで票を伸ばすのか、というのがね。しかも公開が30日で月末ということもあって感動も新鮮だろうし……
一応総集編だという減点材料もあるけれど、そんなこと関係くらいに圧倒的に好きな作品であることも間違いないし」
亀「もちろん大作もたくさんあるが、ダークホースもあるじゃろう。小規模公開作品の中にも素晴らしい作品もあるからの。来月は今年TOPクラスの大激戦になるかもしれんな。
9月は7月が子供向け、8月は万人受けの大作が多い中で、大人向けの癖の強い映画が次々公開される傾向にあるが、それがどこまでハマるか楽しみじゃの」
カエル「来月も楽しんでいこうね!」