それではキムタク主演の東野圭吾作品の登場です!
今年は東野圭吾関連作品は何作公開されるのかな?
カエルくん(以下カエル)
「もはや東野圭吾なしの映画界やドラマ界というのはありえないし、東野圭吾というジャンルと言ってもいいのかもね」
主
「ただし、当たり外れも激しい印象だけれどね」
カエル「まあ、それは作者がどうこうというよりも映像化するスタッフの力量もあるだろうし……」
主「あんまりうるさくいうことも無い作家なのかね?
本当に恐ろしいのはその量産力ですよ……何でそんなにいっぱい書けるんだろう?
実は東野圭吾は10人いた! という話が出てきても、自分は納得するかもね。
作品ごとのクオリティが大きく変化するのも、それが原因だったりして……」
カエル「ゴーストライターなんていません!
単なる馬鹿話として聞き流してください!
これ以上きな臭い話になる前に、記事を始めましょう!」
作品紹介・あらすじ
日本を代表する人気作家、東野圭吾の『マスカレード』シリーズの1作目に当たる『マスカレードホテル』を映画化した作品。
監督はHEROなどのフジテレビが製作する映画作品の監督を多く務める鈴木雅之が担当し、ライアーゲームシリーズなどの岡田道尚が脚本を担当する。
主人公の”人を見抜く天才”刑事役には木村拓哉、その木村を始動するホテルマンの女性には長澤まさみのほか、小日向文世、前田敦子、永瀬正敏などが脇を固める。
映画『マスカレード・ホテル』予告映像【2019年1月18日(金)公開】
感想
それでは、いつものようにTwitterの短評からスタートです!
#マスカレードホテル
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年1月18日
うーん、悪かぁない
でも理解はするか納得はしない作品かなぁ
"豪華俳優陣"を活かしきれたとも思えず、フジテレビ映画らしい出来に
全体的に間延びした脚本や演出も気になってしまった
大体133分かけてやる話とは全く思えなかったのが残念 pic.twitter.com/uanemLlMJF
良くも悪くもないよ、普通のテレビスペシャルみたいな感じ?
カエル「それは映画でお金を払って鑑賞していることを考えるとダメなんじゃ?」
主「いや、地雷とかいうほど悪くはないんですよ、本当に普通のテレビ局主導の映画って感じで。
程よく退屈して、程よく首をひねるけれど、程よくぼーっと見れる作品に仕上がっているし、一応最後まで観ることはできる。
Twitterでも書いたけれど”理解はするけれど納得はしない”映画に感じたかなぁ」
カエル「それって毒にも薬にもならないという意味じゃ……」
主「まさしくその通り。
時々さ、過去記事を振り返ってみても『こんな映画をみたっけ?』って印象になる作品もある。特別悪い記憶もなく、特別いい記憶も残らないタイプの、どこをとっても50点くらいの作品でさ。
多分、自分も半年後にはこの映画の細かい話なんて忘れるし、1年後には鑑賞した記憶すらなくすかもしれない。
その意味ではすごくテレビ的なんじゃないかな?
ほら、テレビって残らないことを重視するメディアだと言われているし」
カエル「あまりにインパクトが強すぎると、次の作品に繋がらないからほどほどの衝撃を残す程度いするように作る、という話も聞いたことがあるかなぁ」
主「まさしくそれで、テレビで観た次の日には学校や職場で話題になるかもしれないけれど、1週間もすれば誰もそんな作品があったことを話さなくなる……そんな作品です」
カエル「……やっぱりけなしている?」
特に何かが悪いという訳でもなく……
じゃあさ、何がそんなに悪かったの?
いや、だから悪くないんだよ
カエル「え? でも良くないんでしょ?」
主「そう。良くも悪くもない。
脚本も間延びしているし、133分と2時間以上上映するんだったらもっと色々な工夫を……物語としての見せ場をたくさん作って欲しいという思いもあるけれど、それがない訳でもない。
でも、盛り上がる訳でもなく……普通に山場を迎えて、谷場を迎えて、そして最後の山場がきて終わるという印象」
カエル「えっと、演出で頑張っていたとか?」
主「頑張っていたよ、いたけれど、それが作品全体の売りになるほどでもない。
工夫は感じたし、色々と面白いポイントがあるにはあるけれど、でももう印象に残ってはないかなぁ」
カエル「……ほら、登場人物たちの心理表現がひどいとか見事とか!」
主「いや、別に普通。極端に破綻もしていないし、盛り上がることもない。さらったしている」
カエル「じゃ、じゃあ音楽!」
主「クラシックを下地にしているような音楽で悪くないけれど、映像と合わさると過剰というか、いかにも場面説明的なドラマ用の音楽って印象かな」
カエル「え、本当に語ることないの?」
主「ない。
一切ない。
今回、よかったポイントも悪かったポイントも等しくあるけれど、それが作品全体の印象を左右するほどのものでもない。だから、自分もこの記事を書く際には苦労しているところでもあって……なんなんだろうね、これ?」
キャストについて
豪華キャストについては色々と語れるんじゃない?
個人的には好きな役者が多いし、豪華なキャストって話になるんじゃない?
カエル「まずはキムタクだけれど、今回もキムタク節が良く出ているよね!
予告を観た限りでは、いつものキムタクらしさと共に、刑事の顔とホテルマンの顔を交互に見せる描写などが印象的だったね」
主「世間では色々言われがちなキムタクだけれど、自分はそこまで嫌いじゃない。確かになんでも演じられるタイプの俳優ではないけれど、スターらしく主人公として味のある演技をしてくれると思う、まさしく三船敏郎タイプの役者。
まあ、例の騒動のご褒美としてこの映画の主演を果たしたんだろうなぁ、という思いもあるけれど。
面白いのが……明らかに予告の方がいい演技をしているんだよね」
カエル「……え、使っている映像は同じなんじゃ?」
主「同じだけれど、印象に残るのは予告の方。
『お客様です、はいはいはい』と語る時の作った柔和な顔なんかは、キムタクの味が良く出ていると思ったよ。でも、本編だと面白いくらいに印象に残らない……のっぺりとしていて、サラっと流れてしまうんだよ。この辺りはタイミングや編集の問題もあるだろうけれど、面白い発見だったね」
カエル「じゃあ、相手役の長澤まさみは? 相変わらずの美しさで画面を彩っていたけれど……」
主「美人だし、美脚を披露しているところもあって良かったよ。でもキムタクと同じで”良かった”以上のものが出てこない。それこそ『海街diary』などのように、代表作になるような演技ではないかな」
カエル「……じゃあ、誰が印象に残るの?」
主「う〜ん……去年のこの時期に公開した『祈りの幕が下りる時』って東野圭吾原作で、TBS制作のミステリー映画があったけれど、そこでも印象的な演技をしていた二人だね。
小日向文世は若干テレビドラマ向きではあったけれど、あの得体のしれない感じだったり、柔和な笑顔の裏に滲み出る怪しさなども良く出ていて、印象に残った。そしてこの事件で大事な役所である有名俳優は(名前を伏せます)相変わらずいい味を発揮していたなぁ。
でも、この2人は明らかに『祈りの幕が下りる時』の方が良かったので……なんとも言えない部分も」
カエル「う〜ん……本当に良くも悪くもないんだねぇ」
主「久々にコメントに困る作品だな」
以下ネタバレあり
作中に対する疑問
理解はするけれど納得しない作品
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう
最初にも語ったけれど、理解はするけれど納得しない作品なんだよ
カエル「ちょっとさ、最後の致命的なネタバレはしないように、作中の描写に注目をしながら語っていこうか。
どういうところが気になったの?」
主「まずさ、ホテルマンたちの言動がちょっと疑問があって……それは言葉使いとかの基本的な部分だけれど、一流ホテルと言いつつも、あのホテルっていうほどいいホテルじゃないよね? って印象がどうしても拭えない。
いかにもドラマ用のホテルであって、高級ホテルという印象が全くなかった」
カエル「ホテルに詳しいわけではないから何とも言えない部分でもあるけれど、フロントでの行動とかだよね。まあ、そこは映画用に色々と脚色している部分もあるんだろうけれどさ」
主「それこそ、ホテル側の協力があればもっと色々な潜入捜査のやり方もあると思うんだよねぇ。
そのあたりの、設定と映像の乖離がどうしても感じられてしまったのが残念だった。
それと、大元のお話ではあるけれど……何で犯人は暗号であのホテルを指名したの?」
カエル「え、それは作中でも説明されていた通りで、詳しくはネタバレになるけれど、それ自体がトリックに関わってくるというか……」
主「う〜ん……いやさ、あんな暗号を残せば警察がたくさん来るから、殺害計画が難しくなるのはわかりきっているじゃない?
暗号を残す必要性についてはわかるけれど、その内容であのホテルを殺害現場として指定する必要があったのだろうか?
内容なんて、嘘でもいいじゃない。
自分で難易度をあげているだけだし、警察に余計な証拠というか、情報を与える必要性はあったのだろうか? という根本的な疑問がある」
カエル「えっと、それって”ミステリーってこんなに複雑なトリックの必要なくない?”ってこと?
それを言い出すと作品自体が成立しないと思うけれど……」
主「それもそうだけれど、必然性を全く感じなかった。なんていうか、ミステリーのためのトリックになっていて……いや、ミステリーだから当たり前だし、ある程度はお話として繋がっているから理解はするんだけれど、やっぱり納得はいかないんだよねぇ」
物語の作り方への疑問
次の疑問はどこになるの?
中盤の生瀬勝久の話、あれいる?
カエル「え、でもあれがないと犯人に至る重要な情報やトリックを暴くことができないじゃない。それに、新田が刑事からホテルマンになっていく過程を描く上でも重要なエピソードだし……」
主「あそこでさ、明らかにダレたんだよねぇ。
まあ、重要な話なのはわかるけれど、ミステリードラマを見に来ていたのに、なんかしょうもない人間ドラマを見せられても……」
カエル「……え、やっぱり貶したいの?」
主「なんていうかさ、あの生瀬勝久のお話って、自分は寒気すらしてきたんだよね。
そりゃ物語は新田目線で語っているから、あの生瀬勝久の最後の場面でもちょっと感動する話のように、新田の成長を描いているようでもある。
でも、あそこで描かれているのは単なる才能や環境の違いによって、人生を駄目にしてしまった男の話である。
まあ、必ずしも新田が悪いわけではないし、単なる逆恨みみたいなところもあるんだけれどさ」
カエル「あのお話をどう捉えればいいのかわからなかったってことかなぁ」
主「最後に生瀬が『君には敵わないよ』と言ってホテルを出ていくけれど、あれって彼はただ諦めただけだよね?
何の解決にもなっていないし、新田は何十年も過ぎて止めを刺しただけ。まあ、ほとんど逆恨みだから勝手にしろっていったらその通りだけれど。
それをまるで感動するいい話風に演出しているように見えたのが気持ち悪かったかな」
演出への疑問
他にも疑問があるとすればどこ?
やっぱり演出への疑問はある
主「本作って真犯人のパートもそうだけれど、何度もしつこいくらいに注目するポイントがあるんだよ。ここに注目してください、ここは覚えていてくださいね1 ってのがアップなどでわざわざ強調されている。
それがあまりにも多過ぎて、逆にミスリードかと思うほど。
でも、実はミスリードではなかったから、あまりにもそのまま過ぎてびっくりした」
カエル「それでいうと、役者の顔のアップも多かったよね。もちろん、この作品が”豪華俳優陣”による共演が大きな売りであり、かっこいいキムタクや可愛い長澤まさみを見に来ていることを考えれば、当然といえば当然なのかもしれないけれど……」
主「あとさ、予告では”人を見抜く天才”という話があったけれど、それが出てきたのって本当に冒頭のわずかなポイントだけで、本当に大事なところでは全く見抜いていないどころか、犯人に翻弄されているし……
あれだって、情報提供がなければどうなっていたか……」
カエル「予告と作中の描写の乖離がある場合ってあるけれど、本作もそうなってしまったのかな」
主「もちろん、ドラマを盛り上げるためなのはわかるけれど、結果的には特に盛り上がることもなく疑問を残して終わってしまった印象かなぁ。
あくまでもミステリーとは言っても肝は人間ドラマだから、人間同士の関係性の変化ややり取りで見せることも大事だと思うけれど、今作は結局ラストはああいうドラマ邦画おきまりの展開であり、その工夫のなさに愕然とした。
まあ、半分以上諦めてはいるけれど、本当にいい作品は生まれにくい環境にあるのは間違い無いのかなぁ」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 良くもなく、悪くも無い、語ることもあまり無いぼんやりした作品
- 役者陣も頑張ってはいるものの、もっと実力を発揮できるはず!
- 細かい疑問がたくさん積み重なってしまう……
地雷とは言わないけれど、テレビスペシャルで十分でしょうね
カエル「最後の最後で辛辣なお話になってしまった……」
主「今作は日本の大多数の映画館に向かう人々は監督とか脚本とか演出なんて興味がなくて、役者さえ見られればいいんだって意識が見えた作品でもある。まあ、いつも通りなんだけれどね。
そうなのかもしれないけれど、この手の邦画が世界で評価されることなんてほぼ無いんじゃないの? って思いもある。
1月からいきなり苦言を呈しているけれど、それもしょうがないのかなぁ」