物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『地獄の花園』ネタバレ感想&評価! 役者・アクション・コメディ…どれか1つでも特化させたものが見たかった

 

それでは、邦画の『地獄の花園』の感想記事になります!

 

 

 

 

こんな映画があったんじゃな

 

カエルくん(以下カエル)

「実は、この映画の存在を全く知らなくて、知人に『カエルくん、永野芽郁が主演のヤンキー映画っていつ公開なの?』と尋ねられて、そんなに注目されているなら行こうかなぁ……と思った作品です!」

 

 

亀爺(以下亀)

「そこまで熱があるわけではないが、緊急事態宣言が終わるまではこのような調子にならざるを得ないからの」

 

カエル「それでは、感想記事のスタートです!」

 

 

 

映画「地獄の花園」オリジナル・サウンドトラック (特典なし)

 


www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

感想

 

それでは、Twitterの短評からスタートです!

 

 

正直、評価は悪くなってしまうの

 

カエル「今作は製作にフジテレビの石原隆、スターダストプロモーションの細野義郎とクレジットされていることから、中心となったのはフジテレビ&スターダストプロモーションだとわかります。

 大方、スターダストの注目株である永野芽郁を主演にした作品を、という流れでフジテレビが主導して製作するという流れになったのでしょう。

 そこで話題性のためにバカリズムを脚本に招いた……というところでしょうか」

 

亀「まあ、それはそれで悪いことではないがの。

 フジテレビはドラマ・アニメに力を入れており、映画にも積極的に進出しているというだけの話じゃ。それが良いか悪いかという話は、今回は置いておくとしよう。

 今回注目したのは以下の3点じゃ」

 

  • コメディ映画として
  • ギャグの面白さ
  • 役者映画として

 

この3点に注目したが、全てにおいて問題があったというほかない

 

カエル「もちろん、コメディ・ギャグ描写に関しては相性もあると思いますが、面白かったという意見もあると思います。

 それはそれで良いんですが……うちの見方では、かなり辛口になってしまうかなぁ

 

亀「まあ、ボロクソに悪い映画でもないんじゃがな。

 個人的には『ハハ、クソだな』程度であり、無料で観ることができるテレビドラマであれば2時間ちょうどいい暇つぶしになるのではないじゃろうか。

 役者、もしくはバカリズムのファンでもなければ、難しいかもしれんの」

 

 

 

 

コメディ映画としての評価

 

まずは、コメディ映画としての評価に入りましょう

 

……ここが、全くだめじゃな

 

カエル「コメディ映画に何を望むのか? ということだけれど……うちはコメディってただただ笑えればそれでいい! というものではないと思っています。

 そこに深いテーマ性があり、社会を語りながらも笑いとばす……その毒がどれだけ含まれているかが、映画的な深みをもたらすのではないでしょうか

 

亀「近年話題になったコメディ邦画2作品を例に挙げよう。

 『帝一の國』は学校を舞台にしたゲラゲラコメディであるが、しっかりと現実の政治に対する揶揄が含まれておった。あの映画を見て、政治・政治家のあるべき姿を考えさせられた人もいるのではないじゃろうか。

 また『翔んで埼玉』は、埼玉を小馬鹿にしたご当地ドラマのようであるが、その実態は被差別民族や部族がどのように成り上がるのか、差別はどのように生まれるのか? ということに迫った物語であり、あれが埼玉ではなく……例えばユダヤ人であれば、大激論必死な作品になっていたじゃろう」

 

 

帝一の國

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翔んで埼玉

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つまり、ただただゲラゲラ笑うだけではなくて、どれだけ深く社会・あるいは人間に踏み込めるかが問われるわけだね

 

その点で言えば、今作は赤点じゃな

 

カエル「基本としてはOLがヤンキー文化のようなことをしていたら? という映画であって、それ以上のものはなかったのかなぁ。

 王道のヤンキー作品の流れを汲んでいるようには見えたけれど、それ以上のものが見えてこなかったというか」

 

亀「これは相性もあるじゃろうが、わしにはただの悪ふざけにしか見えなかった。

 もちろん、全編でつまらなかったわけではないが……面白かったのは啖呵を切って出て行った広瀬アリス演じる蘭と、その後に残された朱里たちが溢れたジュースを吹いたりするという……バカリズムが出てくるシーンじゃな。

 そこはシュールな笑いが出ておったが……それ以外は取り立てて笑えんかった。

 また、そこも言ってしまえばコントで急に素に戻るような、外しの笑いに近いものがあるじゃろう。

 それが映画的な深みを与えたのか? というと……それは疑問じゃな

 

ここで深くOL文化について語ったりしたら、また違ったのかもしれないけれど……

 

またOL像も古いようにも見えてしまったからの

 

カエル「OLの特訓で電話対応とかあって、まあ確かにそれも今でもある大事な仕事ではあるんだけれど……なんか、置きにいっているような……

 これが男性社員だったら、電話対応の練習のシーンって出てこない気がするんだよね。

 これだけ男女の仕事の格差について叫ばれている中で、旧来のOLイメージが出てくるのは、どうなんだろうな……

 

亀「そここそ、ヤンキー仕込みの……『サラリーマン金太郎』などではないが、決して折れない不屈の精神とか、現場の統率力などでまとめあげるなどのヤンキー要素があっても良かったかもしれん。

 本作は『OLがヤンキーみたいなことをしたら面白くない?』以上のものが感じられず、悪い意味でテレビ的・コント的な、ぼーっと見て軽く流れてしまう作品になってしまった。

 映画館で集中して2時間を見るのであれば、もう少し深く人間を掘り下げても良かった気がするの」

 

 

 

 

役者映画として

 

じゃあ、肝心のアイドル・役者映画としてはどうだったの?

 

う〜む……ダメダメではないかの

 

カエル「えっと……最初に褒めがあるならば、やっぱり広瀬アリスなんじゃないかな!

 今作では伝説になるほどかっこいい女ヤンキーである蘭を、ドンピシャに演じていたよね!」

 

亀「うむ。

 わしは正直、広瀬すずはとても高く評価しているが、広瀬アリスは全く役者としては評価していなかった。それまでの美少女のような演技などを見ていると、疑問が多々あったのじゃが……今作ではそれがなくなったの。

 元々イケメン系の顔立ちであり、スタイルも良く身長も高いために、女ヤンキーとして非常にハマっておった」

 

カエル「元々モデルさんだし、スタイルとかは良いもんね」

 

亀「しかし、同じモデルの菜々緒と比べると……菜々緒は動きなどもモデル歩きなどをしており、それが役にハマっておるのじゃが、広瀬アリスは動きもバタついて見える。

 いってしまえば、品が感じないのじゃな。

 しかし、今作は品がないタイプの役柄であるからの、それでも問題がない

 

カエル「……えっと、褒めがなくなってきましたが、今回の役にはピッタリでした!」

 

 

 

 

それで苦言はどのようなものになるの?

 

……やはり、この手のアイドル・モデルではアクション映画はできないのかもしれん

 

亀「今作ではアクション描写が非常に多いのじゃが、スタントマンややられ役は頑張っておった。しかし……撮り方の問題じゃな。

 明らかに役者が入れ替わり顔が映らないように苦心しながらアクションを撮っておったり、あるいは顔が崩れて見えないように苦心しておるのが伝わってきてしまった。

 綺麗な顔立ちが崩れないんじゃな」

 

カエル「それは、まあ、女優さん達の映画ですし……」

 

亀「ヤンキー映画の暴力シーン、あるいはボクシングなどもそうじゃが、体がボロボロになり時には苦痛の表情を見せることが、かえって格好良さに繋がっていく。

 しかし、本作はそのようなポイントが一切なかった。

 顔が崩れないから、殴られているような実感もなく、痛みも伝わらない。だから熱さが伝わらず、中途半端になってしまった。

 また……この中ではせっかく動ける川栄李奈もそこまで出番もなく……彼女だけが動きが別格になってしまうからかの?

 そういう意味では、アクションパートは全くダメじゃったな

 

えっと……主役の永野芽郁なんかは、どうだったの!?

 

やはり、わしには彼女の魅力はわからん

 

亀「なんじゃろうな、”役者としての彼女でないとできない味”が全く伝わってこない。

 今作もぼーっとした普通の女の子を演じておったが、あまりにも普通すぎて印象がない。後半は活躍もするが、それがハマっているとも思えない。

 何が残念というと、この作品で印象に残った役者が遠藤憲一と小池栄子でな。

 遠藤憲一なんて、変な女装姿なのにも関わらず、『こんなおばちゃんいそうだなぁ』と感じさせられた。またコメディとしてのきちんと演技をしており、役者としての格の違いすら感じられてしまった。

 小池栄子に関しては存在感がラスボスであり、彼女に比べればその他の若手女優たちは……残念としか、いいようがないの」

 

カエル「……う〜ん」

 

亀「今作は”役者・女優を魅せる映画”じゃろう?

 それができていたとは全く思えない。

 そこが決定的にダメな部分じゃな。

 ファンであれば別なのかもしれんが……かなり見ていて、若さ・青さを感じてしまう演技になってしまったの」

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

今作の決定的に”冷めた”表現

 

一応、ラストに関することなので、ここからは注意してしてください

 

……なんでこんな作品にしてしまったのかのぉ

 

カエル「その冷めた表現というのが、ラストのやりとりです。

 男が駆け寄ってきて『こんなの馬鹿げているよ。みんな引いているよ。意味がないじゃない!』と語るシーンだね」

 

亀「……いや、その通りじゃよ?

 だが……なんでそうやって梯子を外すのか?

 この2時間かけて描いてきたことはなんだったのか?

 『殴り合いなんて、君たちがやってきたことは無意味なんだよ!』とは、その無意味なことに2時間観客を、1900円払って付き合わせてしまったことに対する、謝罪も何もないのかの?」

 

カエル「しかも、その後の大オチもあんな感じだしね……」

 

亀「普通、この手のヤンキー漫画って『こんなのって意味がない!』とトメに入る女性やヒロインに対して、『意味はあるんだよ!』って、男の論理やプライドだったり、馬鹿なところでぶつかり合うわけじゃろう?

 『あしたのジョー』において、パンチドランカーになってもリングに登ることを『意味がない』といってしまっては、それでは作品の全否定じゃ。

 コメディだからといって、それを簡単にやってしまった。

 それが一番納得できない部分かもしれんな。

 その意味において、単なる悪ふざけなんじゃよ。

 テレビで無料で横になってみる、コントと同じ。映画ではない。

 厳しい言い方じゃが……その設定の嘘を、最後まで貫き通す覚悟もないのに、簡単に映画に手を出すな、という言葉すら言いたくなるような作品じゃったな」