それでは、今回は『映画「劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 後編 Paladin; Agateram」』の感想記事になります!
……長いタイトルじゃなぁ
カエルくん(以下カエル)
「前編は色々とあった作品ですが、後編はどうだったのでしょうか?」
亀爺(以下亀)
「不安といえば、少し不安ではあるがの」
カエル「うちはFGOのゲームは手を出していないしねぇ。
課金ゲーとして名高いゲームだから、なかなか手を出せないよね……」
亀「時間も取られるしの。
それでもこれだけファンを集めるのだから、大したものじゃな。
では、記事を始めるとするかの」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#FGO 後編
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2021年5月15日
前編のグダグダっぷりは何だったのか?というほどの映像美、キャラクター達の葛藤に引き込まれる
円卓の騎士達のそれぞれの騎士のあり方に胸が熱くなり映画館のスクリーンサイズに見事に合致する内容に
特に後半のバトルは圧巻で抽象的な映像表現もあり…イヤ、ホント前編は何だったんだ? pic.twitter.com/1QoPeTBtpP
これはビックリしたの……前編はなんじゃったのか
カエル「えっと……とりあえず、前編は置いといて後編の感想になるけれど、満足したよね。
うちはFGOは……やっぱり課金がえげつないゲームということもあって、プレイはしていないんだけれど……だから、物語の面では全て、100%理解したか? と問われると、そんなことはないんだよね。
だけれど、この作品に惹かれる人がたくさんいるというのは、とてもよくわかったよ!」
亀「実際問題として、この作品だけでFGOの魅力を理解するのは、まあ難しいじゃろう。
もはや1大ジャンルとかしたFateシリーズ、その1つでありスマホゲームとして一世を風靡していると言っても全く過言ではない作品……とはいえ、全くFateも知らないご新規さんが楽しめるような作品ではない。
少なくとも、Fateシリーズの基本設定は知っていなければいけないし、過去のfate作品を追っていても、この映画だけを……FGOシリーズの映像作品だけを追っても、理解できないことは多いじゃろう」
スマホゲーム原作らしく、登場キャラクターも多いし、特殊な設定もたくさんあるしね
しかも7章をテレビアニメ化、6章を劇場公開で発表順序も違うというのは、微妙な話ではあるの
カエル「これもすごいよね……1章とか2章はすっ飛ばして、6、7章を映像化しようと決めたのもビックリだよ。
それこそ昔年末特番でFGOの序章のアニメがやっていたと思うけれど、あれも基本設定が理解できないとわからないし……もう、完全にご新規さんはついていけなくても仕方ないって、腹括っているんだろうね」
亀「それができるだけのビックコンテンツでもある、ということじゃろう。
もはや固定ファンだけの方向を向いていれば、一定の興行が成り立つ、あるいはスマホゲームに還元できるということがわかっているのじゃろうな。
この極端なキャラクター数の多さだったり、基本設定の複雑さなど、一見さんには辛い見せ方はスマホゲーム原作の作品の課題でもあるじゃろうが……それでも興行が成立するくらいには、大きな市場であり、ファン層を抱える作品ということなのじゃろう。
そして、FGOも……少なくとも後編は、一定の成功を納めたということができるのではないじゃろうか」
前編の評価として
ここで、一度前編の評価をしてみようか
……正直、非常に辛口にはなってしまうの
[https://twitter.com/monogatarukame/status/1335055787991859203:embed##FGO\_ep6…正直、すんごいガッカリした物語、作画、演出、音響…どこを見ても頑張ったのはわかるけど正直劇場サイズになってないSNと比べるのは酷としてもテレビシリーズより大きく劣るのはなんなんだ?いくらファン向け作品とは… https://t.co/cvoSb6SQvT
カエル「ただ、これに関しては色々と仕方ない部分もあって……
奈須きのこのWEBページである、竹箒日記には以下のように書かれています」
『キャメロット 前編』はかぎられた尺の中で
「FGOとして最低限説明しないといけない要素」を丁寧にやってくれた反面、勢いと外連味が抑えられていたり、
そもそもコロナ渦の中で制作スケジュールがたいへんな事になってしまった……(それでも監督含めスタッフさんはギリギリまで踏ん張ってくれた)……という事もあり、ギア的にはセカンドぐらいに留まっていたと思います。
正直に言ってしまえば、やはりある程度の難がある作品だと原作者も感じていた、ということになるじゃろう
カエル「昨年に関してはね……正直、新型コロナウイルスに翻弄された1年だったと思うんだよ。
元々、自社での制作能力が高いスタジオ……ufo tableとか、いろいろあったけれど立ち直ろと奮闘する京アニとかは、本当に歴史に残るような大作を作り上げた。それこそ、2021年ではカラーのシンエヴァもそうだよね。
一方で、外注とか海外に頼るスタジオはやはり苦戦していて……後編も緊急事態宣言の中でも公開延期をしないという決断を下しているけれど、やっぱり色々とスケジュールとかもあって、ずらせないというのが実情だったんじゃないかな?」
亀「その中でも、制限された中で色々と頑張った結果ではあったじゃろう。
しかし……これも残酷なことを言うが、観客には一切関係ない。
努力して作られた駄作も、手抜きの傑作も、観客にしてみれば1900円払ってみる点はで一緒であり、評価するべきは後者ということになるのじゃろう。
もちろん、手抜きの傑作なんて世の中にあるのか? と言う問題はあるがの。
その点では、前編に関してははっきりと”映画館で流すべきクオリティではない”と感じてしまった」
映像があんまり動かないし、話もダイジェストだし、盛り上がらないしで……ファンからも評判悪かったよね
Fateがあれだけ盛り上がった中でのこの評価は、悪かったの
カエル「ワーストとまでは言わないけれど、でも満足度の低さを考えるとそれに近いものはどうしてもあって……
前編がこの出来だと、後編はダメなのが予想できちゃうな……というのが本音でした」
亀「基本的には話すシーンが多いが、その時も止まっておる。
また難しいカット(表情など)は話している人を映さない……そう言った省略部分も映画を作るコスト管理には重要じゃろう。
しかしの……やはり、満足度はその分下がる。
音響などもそこまで凝っているとは思わなかったしの」
HFとFGOの大きな方向性の違い
その話にもつながると思うんだけれど、FGOが少し損をしているのって、FateHFがあまりにも作画面などの内容が良すぎたこともあるよね
元々Fateシリーズはアニメをしっかりと作り上げてきたからの
カエル「うちも全部見ているわけではないけれど、それこそ番外編の『プリズマイリヤ』シリーズも含めて、映像・内容的にも満足度が高いじゃない?
同じくUfotableが作った日常系の『衛宮さんちの今日ご飯』だって、食事描写に非常に優れていたじゃない?
亀「その点に関しては、色々と見えてきた部分もある。
おそらく、ufotableの作画の方向性と、FGOの……今作もそうであるし、テレビアニメのCloverWorksも含めて、作画の方向性が違うのじゃろうな」
カエル「……ふむふむ」
亀「うちは作画オタクではないのじゃが……HFは撮影技術をモリモリに盛って、緻密な作画を駆使して、見応えのある作画を披露している。それこそ、わしは世界でも有数の……いや、手書きアクション作画に関してはまさしく世界一と断言したくなるような映像美であった。
それがわかるのが『鬼滅の刃』であり、あの映像美は漫画原作だからこその、漫画的なケレン味も加えて作られた作品であったわけじゃな」
一方で、FGOはそうではないと?
勘違いしてほしくないのは『FGOは作画的に優れていない』という意味ではない。ただ、方向性が違うという話じゃよ
亀「これはこの映画の感想で一部語れていることではあるが……『作画が不安定』と言われておるわけじゃな。
実は、それはわしも感じておる部分があった。
『おやおや? なぜこのような?』とな。
しかし、見ているうちにわかったんじゃよ。
これがWeb系作画の特徴か、との」
カエル「web系作画って定義が難しいんだけれど……多くのアニメーターはスタジオに入って、そこで動画→原画→作画監督、という風にステップアップしていくことが多いわけだよね。もちろん、動画は原画の2軍ではない! という話もあるわけだけれど……。
で、Web系というのは、そのステップを経ずにFlashなどのツールを使って、独自に動きなどを勉強してアニメ業界入りした人たちで、動きなどに独特なものがあると言われています」
亀「動きなどにも独特の感性があり……言われて見比べてみれば、なんとなくわかるような気もしてくるが、言語化が難しいの。
そして、今作はそのWeb系作画の動き、そして監督や一部のアニメーターの技術などが……ある種暴走というか、あえて統一感を持たせないで演出しようという試みが感じられるわけじゃな」
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- アーティスト:Fate/Grand Order
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- メディア: CD
今作の技術的な試み
今作の技術的な試みについて、荒井和人監督はTwitterで以下のように発言しています
ディズニー作品的な、キャラクター専属アニメーター制みたいなことがしたいな~とか思って
頑張ってくれたとか上から物言いしたけど、実態は「みんなで作った」もので、誰が上とかもうなくて
「お前のパートはお前が監督。お前がやりたいことをやれ。俺は全力でそれをサポートする」って各自に言って
舞台設計、色彩設計、音響・音楽設計、全部任せて、だから後半は実質監督が4人いるみたいな状態。
俺はあの3人が何の制約もなく自由に作った画面が見たくて
「あの3人に制約を課さない」という制約を自分に課して、最後までそれを貫いた。
それが監督として俺が果たした最大の務めだったと思う。めちゃくちゃ大変だった。
こういうことを明かしてくれるクリエイターは、わしのような存在からは本当にありがたいの
カエル「でも、これってすごくわかる気がするんだよねー。
この後編の魅力って、それぞれのキャラクターの戦い方、見せ方が異なっている気がしていて……全体のドラマでいうと、アクションが続いたりしてしまうのが勿体無い気がするんだけれど、でもその個々の部分がいいからこそ、見入ってしまうというか」
亀「クレジットロールでも演出・作監が多かったように感じるが、それは各パートをそれぞれのアニメーターに任せたから、ということもあるのじゃろう。
つまり、全体の統一感ではなく、個々の映像表現で勝負した。
だから、全体がバラバラだという指摘は最もなのじゃろう。
その意味では”作画が崩れていた”ということになる。
しかし、その癖・あるいは見せ方というのが、今作の最も重要な部分だったのかもしれん」
それでいうと荒井監督もまだ30歳くらいで、名前をあげたアニメーターも20代中盤から30歳くらいで、めちゃくちゃ若いんだよね
もちろんベテランも多く参加しているが、その勢いや熱さというものを、全面に押し出した映画と言えるかもしれんの
亀「もちろん、作品には黄瀬和哉などのベテランで評価の固まっているアニメーターも参加しており、その力も無視することはできん。
しかし、やはりその若さ・熱さがすごく感じることができた。
今の時代で『AKIRA』などの、当時の若手トップアニメーターを集めた企画などは、なかなかできないじゃろうが……それに似たような熱さというものが、込められているような気がしてくる」
カエル「ふむふむ……
特に僕はアグラヴェイン戦の作画にびっくりして、時折トリガーのような熱さや荒々しさも感じたかな。
それを粗い・荒いと語る人もいるだろうけれど、僕は熱さが残っていて、すごく鳥肌ものの映像だったね」
亀「アニメーターである以上、当然なのかもしれんが……すごく映像的な挑戦を、新しい才能、あるいは新しい見地から行おうという意図があるようにも感じられた。
物語的には、先に述べたのようにFateファン、あるいはFGOファンでなければ、ついていけん。また神話や伝説のような、元になったお話も知っておる必要があるじゃろう。
そういう意味ではすごく閉じた作品であるが、それゆえに大衆に向けられたものではないニッチな魅力……そういったものが内包された作品だったのではないじゃろうか」
最後に
というわけで、FGO映画の感想でした!
物語面も悪くなかったの
カエル「全く円卓の騎士についても知らなかったけれど、アグラヴェインの苦悩とかも、ちょっとグッときたよね……わかりづらいけれど、それもまた忠義だったとか。
悪役にされやすいキャラクターと知って、その正義を描こうとしたというのは、そういうのが好きだから、もっと早くに知っていればグッときたのかもしれないね」
亀「何度も言うように、1からドラマを楽しめる作品ではないが……それでもこの作品が人気というのは、なんとなくわかったの。
ずっとゲームをプレイしてきた人には、たまらんじゃろう。
スマホゲームは物語性の薄さが問題じゃが、それを超える作品だったのかもしれんな」
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