カエルくん(以下カエル)
「今週2本目のアニメ映画記事で、実は『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』と同じくらい楽しみにしていたのがこの作品だね」
ブログ主(以下主)
「1番好きな英雄はイスカンダル、ブログ主です」
カエル「そこでゼロの英霊であるイスカンダルを出すんだ……」
主「やっぱり大塚明夫効果って絶大だよね。あの隊列に加わって『ララララーラーイ!』ってやりたいし!
王の問答もしびれたなぁ……あれは原作好きからすると少し叩かれているらしいけれど、自分はアニメしか見ていないので」
カエル「いや、今回はプリヤだから! ゼロと無関係ではないけれど、そんなに密接な関係ではないから!」
主「ちなみに言っておくと自分はFateにわか勢ですので。
プリヤは全話鑑賞しているし、漫画も読んでいるけれど、Fateシリーズは全部アニメで追っかけていて、ゲームには1作品も触れたことがないので悪しからず」
カエル「今話題のFGOも全くやっていないもんね。
まあ、あれは課金と時間がネックだからというのが1番大きな理由で、別に興味がないわけではないんだろうけれどさ」
主「面白いんだろうけれど、原作からして時間を結構取られるんだよなぁ。特にスマホゲームは時間ばっかり食ってどうしようもないから、なるべく増やさないようにしているわけ。せいぜい『ファイアーエムブレム ヒーローズ』とアイマス関係ぐらいだよ」
カエル「エムブレマーだもんね」
主「ちなみに、妄想として『Fate×FE』で楽しんでいたこともあるからね。基本設定はFateで召喚する英霊がFEという。主人公はキャスターのマリクでさ、ライダーにミシェイル、ランサーがカミュで、バーサーカーがカレル(烈火)で、セイバーがカレル(封印)というね」
カエル「急に初代から封印まで飛んだね」
主「聖杯がファルシオンで、神父も英霊を持てるようにしてそこで新紋章の謎の主人公、クリスを召喚するわけ。影の英雄だし。だけどアサシンがカタリナで、裏ではマフーやガーネフが暗躍していて……」
カエル「プリヤの感想記事を始めます!」
作品紹介
大人気ゲーム『Fate/stay naight』から始まる『Fate』シリーズのスピンオフ作品の劇場アニメ化作品。テレビシリーズではすでに3期放送されており、今作は親友である美遊の過去に何があったのか語られ、エピソード0となる。
こちらのシリーズは人気キャラクター、イリヤが魔法少女になってカードを集めていくという王道の魔法少女アニメだが、本作はエピソード0なので趣はだいぶ違うものに仕上がっている。
監督はテレビシリーズにて監督、総監督を務めた大沼心が引き続き務める。
イリヤたちの暮らす世界とは違う世界からやってきた少女、美遊。彼女はその世界の魔術師、エインワーズ家に伝わる『神稚児』と呼ばれる存在であり、誰の願いも叶える聖杯として扱われていた。
その噂を知った衛宮切嗣と息子の士郎は噂の真偽を確かめるべく、エインワーズがいると言われる町へとやってくる。そこにいたのは和服に身を包んだ美遊だった……
1 感想
カエル「では、プリヤの感想記事を始める前にTwitterの感想はこちら」
#プリヤ
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2017年8月26日
原作既読だからわかりきっていたけれど、これはプリヤじゃないじゃん!
Fateじゃん!
主人公イリヤは不在も兄貴士郎がめちゃめちゃかっこいいので万事OK
さすがは約束された勝利の剣、1800円払う価値がある!
ただEP0とはいえFateを知らない人は行ったらキツイよ!
カエル「いつもはラノベアニメやオタクアニメは原作未読でも見に行くかれど、今作は知っているからまた違う感想になるね」
主「と言ってもFateシリーズのゲームには手を出さないにわかだけれどね。
この作品をEP0だからといって気軽に見に行っていいかと問われると、それは違う。確かにプリズマイリヤシリーズからしたらエピソード0なんだけれど、それ以外のFateの要素もたくさん詰め込まれている。さっきから何度も言っているけれど、にわかの自分ですら『あ、ここはゼロだ! ここはUBWだ!』となるんだよ。
だから完全にファン向けの映画だね」
カエル「まあ、そうなるよねぇ。この映画で初めてプリズマイリヤシリーズに触れますって人はまだ楽しめると思うけれど、Fateシリーズすら初めてですという人は全く相手にしていないというか……」
主「アニメ界、オタク界だとFateってかなりの影響力を持った作品だから。見たことない、詳しくないっていうのはわかるけれど、タイトルを聞いたこともないって人はアニメファンではいないんじゃないかな?
これだけでっかいシリーズのスピンオフだから……まあ、例えるなら『ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー』だよね。スターウォーズはもう世界的な常識かもしれないけれどさ」
カエル「それだけ大きな影響力を持った作品の劇場アニメであるということは伝えておきたいね」
主「あと主人公のイリヤはほぼ出ません!
士郎が主人公です!
EDのクレジットロールも1番上は士郎です! あしからず!」
本来の主人公であるイリヤはほぼ出ません!
Fateシリーズを知っているとイリヤがキャッキャしているだけで感慨深いものが……
クオリティについて
カエル「ちょっとFateの劇場版クオリティとしては物足りないかなぁ、という思いもあったんだけれど……」
主「いやいやいや!
これでも十分だって!
最近は……特にFateシリーズはテレビシリーズのクオリティが異常なんだよ。そもそも、これを無料でテレビで流していいの? ってレベルで、これはお金を払わないといけないんじゃないか? ってほどでさ。
今度公開する劇場版のHFの予告を見ているだけでも、もう異常なのがはっきりと伝わってくる。多分……今年TOPのクオリティになるんじゃないかな?」
カエル「そう考えると2017年はオタクアニメのクオリティがすごい年だよね。
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール』や『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』もすごかったし……」
主「比較対象がああいう作品になりがちだけれど、この作品だって十分すごい。むしろ、公開館数を考えたらこのクオリティでも賞賛されていいと思うよ。特にバトル描写も良かったし、中盤の士郎の家のやり取りとかも感動したし!」
カエル「クオリティが上がれば上がるほどファンはそれに慣れていき、そしてクリエイターも頑張っていくのに収入は増えない、でもファンの目は肥えていくという悪循環が続くわけだ……」
主「売れることは確定しているシリーズではあるけれど……それでも予算が無際限にあるわけじゃないしねぇ。この映画だって十分すぎるほどに素晴らしいと思うよ」
本作の主人公、士郎のバトル描写は十分迫力あります!
以下ネタバレあり
2 ファンに向けた要素がたくさん
カエル「漫画で読んでいた時も思ったけれど、この映画ってかなりHFに近い物語だよね。特に今作のヒロインは実質桜な訳じゃない?」
主「確か元の世界線だと桜って出てこないんだよ。で、こちらの世界では凛が出てこないというのも面白いよね。キャラクターのカラーだとか、扱いにくいとかいうのもあるんだろうけれど、それをうまくカバーしている」
カエル「平行世界設定ってやはりこの手のシリーズが沢山ある作品だと有効に扱えるよね。例えば、今作で出てきた敵たちって、それこそゼロとかを始めとした、名咬ませ役……じゃなかった、名脇役たちばかりだし!」
主「誰がどの英霊のカードを使い、それを身のこなしとして扱っているのか、ということでも面白かったな。
終盤の戦いもまんまUBWだったし、ここも結構胸が熱くなった。そりゃ、あっちの作画を知っていると物足りないというのもわかるけれど……」
カエル「これはこれでいいと思うけれどねぇ。
一方で何か不満点やここはちょっと……という点はあるの?」
主「序盤はちょっと走りがちだったし、これはこれでやばいのかなぁ……と思っていたけれど、単純に尺の問題で中盤からはしっかりと落ち着いた間になっていたから、そこまで致命的なことでもないしね」
カエル「相当詰め込んだよね。だからこそ、ちょっとダイジェスト感が気になるところもあるけれど……これは仕方ないか。すべての聖杯戦争の描写をやっていたら、もう1時間は追加になることまちがいないし、ダレてきちゃうし……」
主「そこいらへんも文句はありそうだけれど、自分は気にならなかったかな」
美遊などのキャラクターの映像美も必見
士郎と対比になるもの
カエル「こやって映画で観るといろいろと気がつくことがあるけれど、士郎とわかめ……じゃなかった、慎二って対比関係にあるよね」
主「これは原作からしてうまいところでもあるんだけれどさ、士郎がなぜその道を選ぶのかってことがはっきりとわかるんだよね。しかもそれがFateというシリーズに密接に関係している。
妹を守りたい士郎と、妹なんてどうでもいい慎二の対比関係がはっきりとできている。その2人が戦うということで、どちらの意思が強いのかということもはっきりと示しているわけだ」
カエル「そう考えるとジュリアンと士郎は……」
主「これこそFateを取り巻くテーマだよね。
世界を救う英雄になるのと、誰か1人を救う人になるのか、という対比関係。それこそがゼロのテーマだといってもいいし、士郎という人間のキャラクター性をはっきりと出している。
で、この作品はそれまでの士郎とは違って世界を捨てて妹を守るという選択をしている。つまり世界よりも個人をとったわけだよね。その真逆の選択をしているジュリアンとは対になっているし、同時に切嗣からの決別となっている。ここで自分は胸を熱くしたなぁ」
カエル「そしてこの作品て『偽物VS偽物』の物語じゃない? 士郎という歪な英雄と、贋作屋であるジュリアンたちの戦いでもあって……」
主「UFWの名シーンであるラストバトルを模したバトルがあるけれど、ここで話す『究極の一振りには万物のまがい物などかなわない』みたいなセリフがあるじゃない?
それってまさしくUBWのシーンをそのまま踏襲していて、慢心王が慢心しなかったら言いそうなセリフでもあるけれど、それが『世界と美遊の対比』になっていて、うまいなぁと思ったね。
原作からして相当Fateを愛しているし、練られているなと感心したよ」
今作のヒロインの桜。HFでも楽しみにしています
現代の魔法少女アニメとして
カエル「ここからは何を語るの?」
主「今月は特に『ヒーローってなんだろう?』ということを考える映画が多かったように思うんだよ。それこそ海外の大物ヒーロー映画が次々と公開されていて、正義の形や在り処がテーマになっている映画も多かった。
でも、自分はやっぱりこの作品の……Fateシリーズの正義の語り方ってすごく好きなんだ」
カエル「正義の味方であるためにどのような選択をするのか、ということが多い作品だ」
主「今作もある意味では中二病的な発想だよ。世界と個人を同次元で比べるというのは、それこそセカイ系の典型の物語であるわけだ。でも、だからこそこの作品は様々なテーマを持っているとも言える。
自分は正義って言葉が大っ嫌いで『正義のために』という人がいたら、その人は絶対に信用しないってタイプの人間なのよ。だからヒーロー映画や正義を声高に主張する人に対して反感を覚えやすい」
カエル「それはそれとして……でも士郎ってそういう人物像だよね?」
主「だけれど、Fateは正義の味方なんて異常者だって示している描写が多いじゃない? むしろ士郎なんて常人でもなんでもない。異常者としか言えないような行動を多くとる。
正義を振りかざすというのは必ずしも正しいこと、正常なことではないんだよ。こそのことを理解した上で、それでも正義の味方であり続けようという士郎が好きだし、その歪みをしっかりと見せてくれるFateシリーズは大好きなのね」
カエル「う〜ん……まあ、それはいいとして、次に進もうか」
主「今の劇場映画……特にヒーロー映画を見ていると正義と個人、世界と個人のどちらを優先すべきなのか? などという信条を問うものが増えている。正義ってなんだ? って話だよ。
でもね……これは原作漫画の最新刊である9巻を読んだからこそ言えることだけれど、プリヤシリーズはそのもっと先を描こうとしている。ある意味では戻っているとも言えるかもしれないけれど」
カエル「先?
あ、この先は原作のネタバレになりますので気をつけてください」
主「もう出ている描写だけれど、プリズマイリヤは『世界も美遊も、もっと多くの人も救う』という選択をしている。どちらか二者択一で選べと言われた時に、どっちも取るとという子供みたいな選択をしているんだよ。
魔法少女ものって魔法唱えて万事解決、という単純なものを連想するかもしれないけれど、プリヤは元がFateだからそこまで単純じゃない。痛みはあるし、人は死ぬ。そういうこともきちんと描いている。
だけれど、子供のわがままをそれでも示し続けるんだよ。
これって偉大なことだと思わない?
『魔法』であり『少女』であるからこそできる、正義のあり方の……現代のテーマの描き方。これに感銘を覚えたね」
最後に
カエル「というわけでこれでラストになるけれど、あれだよね。ゲーム版をやっていないとことはHFはまだ?」
主「知らないよ。予習する気もない。
といっても、だいたいの流れは知っているけれどね。さすがにこれだけ長くFateシリーズを楽しんでいても、情報をシャットダウンしきれないし。ただ細かいところを知らないから、それを映画で楽しもうかな、って話でさ」
カエル「結構先だと思っていたけれど、あと2ヶ月で公開だもんね……感慨深いものがあるなぁ」
主「月日が流れるのは早いねぇ。
今年はFate関連もいろいろとあってまた盛り上がりを見せているけれど、HFに繋がるいいバトンパスになったのではないでしょうか?」
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