今回は2019年のテレビアニメでもトップクラスの人気を誇る『鬼滅の刃』のテレビアニメの感想記事になります!
……劇場で全部やって欲しかったくらいだよ!
カエルくん(以下カエル)
「1話の放送前に劇場で先行上映をしていて、そちらを記事にしたけれどクオリティが非常に高くて驚いたもんね」
主
「もちろん、そこだけでは完結していないから他の映画と比べることは難しいけれど、映像クオリティだけならば2019年のアニメ映画の中でも屈指なのは間違いない。
とてつもない意欲作が多い中で、しかもテレビアニメという劇場以上の手間を……というと語弊があるかもしれないけれど、時間が長くなる分、密度がどうしても薄くなってしまう中で、これほどの作品を作り上げられる技術力の高さに驚愕だよ」
カエル「しかも、この作品だけ作っているわけではないからね……
この瞬間にも『Fate』の劇場版が着々と製作されているわけでし、他にも……劇場版だと『刀剣乱舞』も製作中のはずだけれど、とてつもない体力だよね……」
主「まあ、確かにufotableは色々とあった製作会社ではあるけれど日本有数のアニメ会社であるのは間違いないわけで、ぜひとも頑張って欲しいものだね。
というわけで、感想記事のスタートです!
あと、今回は原作未読の意見となります!」
作品紹介・あらすじ
週刊少年ジャンプにて2016年より連載されており、1000万部を超える大ヒットを記録している吾峠呼世晴の同名漫画を、アクション描写などが高い評価を受けるufotableの製作でテレビアニメ化した作品。
監督はテレビアニメ版『テイルズオブゼスティリア』シリーズなどを手がけた外崎春雄、キャラクターデザイン、総作画監督としては同じく外崎と共にテイルズシリーズも手がけた松島晃、音楽には『Fate』シリーズでもおなじみの梶浦由記と椎名豪が共同で手がける。
キャストは主人公の炭治郎に花江夏樹、その妹の禰豆子(ねずこ)に鬼頭明里、その他に下野紘、松岡禎氶、岡本信彦、上田麗奈、櫻井孝宏、早見沙織、森川智之、大塚芳忠などの各年代の人気声優たちが声を当てている。
大正時代、炭焼きをして家族を支えていた少年、炭治郎は麓の集落へと炭を売りに行く間に、家族が鬼に襲われてしまう悲劇が起きる。家族が見るも無残な姿に変わる中、妹の禰豆子は鬼となり暴れていた。そんな鬼を切ることを使命としている鬼殺隊の一員でもある富岡義勇は、一度は禰豆子を切ろうとするものの炭治郎の熱意と、まだかろうじて人を襲わずにいる禰豆子の様子に気がつき剣を収める。
禰豆子を元に戻す方法を探すために、鬼を切る鬼殺隊の一員となる必要があったため炭治郎は鱗滝という天狗のお面を被った男の元で修行をはじめるのだが……
感想
それでは、まずは感想からのスタートです!
好き嫌いはしょうがないと思うけれど、誰が見ても唸らざるを得ないクオリティでしょうね
カエル「2019年の日本のテレビアニメでも、作画などの映像クオリティは間違いなくトップクラス……というか、全作品見たわけではないけれどもうこれ以上の作品ってあるのだろうか? と思うレベルだったね。
さすがはufotableと驚愕するしかないというか……」
主「劇場版のときにも鑑賞したけれど、まずは何よりも映画のクオリティを保ったことが驚異的。
1話がピークで徐々に息切れして悪化していく作品なんていくらでもあるけれど、本作に限ってはむしろどんどん良化して行って、終盤には神回連発となる。さらに初の分割ではない2クールものだしね。
しかも、アクション描写が非常に多い!
これだけグリグリを動かし続けたことを考えても、作品としてケチがつくことはなかなかないのではないだろうか?」
カエル「特に19話の盛り上がりはすごかったよね。
うちも少し溜まっていたのを一気に鑑賞したけれど、引き込まれてしまったね」
主「また劇場版も発表されているけれど、こちらも合わせて注目すべきなのは間違いない。
『Fate H/F 第2章』の時にも『2019年1番のアクションシーンになるかも』と言ったけれど、もしかしたら鬼滅の刃がそれを更新したかもしれない。それほどの作品なのは間違いない」
一方でわずかな不満点も……
それでも、手放しに絶賛とはいかないんだね
ちょっとばかし不満点もあるのは事実だ
カエル「映像や作品のクオリティには一切の文句がないのにもかかわらず?」
主「う〜ん……自分は原作を読んでいないからもしかしたら的外れなことを言っているかもしれないけれど、少なくともこのテレビシリーズを見ている最中にシリーズ構成があまりうまくいっていない気がした。
これは『Fate UBW』の時も感じたんだけれど、原作をそのまま再現することに熱心になりすぎて物語としての構成が雑になっているのでは? と思う部分もあった」
カエル「今作はシリーズ構成・脚本はufotableと記載されているため、明確な1人の脚本家が担当するというよりは、全体で何人もの人が考えて漫画を元に作り上げていると想像できます」
主「多くのセクションを自前で担当することができるほどの人員を抱えているからかそのクオリティの高さであることは知られているけれども、脚本自体も内製しているということかもしれない。それが悪いとは言わないものの、テレビシリーズとして、また物語作品としてどうなのだろう? と思う部分があった」
カエル「それってどういうところ?」
主「1話1話の切れ目だったり、AパートからBパートへの移行のタイミングが変に感じたかなぁ。
あとは……ギャグ描写がね。悪いとは言わないんだけれど、流れを切るようなギャグはどうだろう? と思う。例えば、22話から23話にかけての柱会議のシーンで強烈なキャラクター性を説明しながらもシリアスな物語を用意しているのに、恋柱がいちいち突っ込んでそれを止めてしまう。
そういうキャラクターなのはわかる。でもしつこい。天丼も3回までと言われているけれど、そのツッコミは物語の流れを止めてしまいかねないものだと思う訳」
漫画の要素をそのまま持ってきているとも言えるけれど……
それだけじゃダメだよねぇ。漫画とアニメは違うからさ
主「この作品におけるギャグ描写っていうのは日常描写の補完、あるいはシリアスな中で流れを変えるためのアクセントとしてのものだと思う。
例えるならば……理解されるかは微妙だけれど、スイカに塩をかけるとさらに甘い、みたいなさ。
シリアスの中のほっこり、あるいは味わいを変えるため、さらにはシリアスをより引き立たせるためのアクセント。
だけれど、ここまでくるとすでにアクセントというよりは流れを止めてしまう。
”溜め”ではなくて”止め”になっているんだ。
スイカに塩は1度で少量でいいのに、大量にドバドバ掛けるとせっかくのスイカが変な味になっちゃうよ」
カエル「……相変わらず伝わるか微妙な例えを」
主「ギャグがつまらないとは言わないし、正直、柱の強烈なキャラクター性にびっくりした部分もあるけれど、それが漫画の味だと思う。漫画からアニメという表現媒体の変化だけでなく、週刊連載の作品で何回にも分けた作品を、アニメとして一気に見せるなどの変化もあるわけだから……この辺りも工夫が出来たのではないだろうか?
ちょっとテレビアニメの物語の作りとしては……若干、本当に若干だけれど荒い印象も抱いた」
鬼滅の刃が描いた最先端の技術
ufotebleが引き起こす大きなムーブメント
でもさ、それまでジャンプ漫画とは無縁そうな会社だったけれど、なんで鬼滅の刃なんだろうね?
この映像を見ると自分は納得したね
カエル「以前にもリアルサウンド映画部の記事でも書かせていただきましたが、改めて説明しようと思います」
主「これは実は不満点でもあるんだけれど、ufotebleって『空の境界』で一気に注目を集めたけれど、オリジナル作品がないんだよね。
自分は……鑑賞当時は全く意識してなかったけれど、結果的に『住めば都のコスモス荘』や『ニニンがシノブ伝』なども楽しんできたし、共同制作の『フタコイ オルタナティブ』は今でも語りたくなるほどに好きな作品だ。
だけれど、その後はTYPE-MOONの映像化を中心に活動している印象が大きい」
カエル「もはやFateなんてその作品そのものが1つのジャンルって言っても過言じゃないくらいに大ヒットしているし、多くの制作会社が外伝なども含めて制作しているけれど、やっぱりufotebleじゃないと! という人もいるくらいだよね。
もちろん『空の境界』などの公開前から人気が高かったけれど、それはあくまでもコアなアニメファン層の人気であり、今のライトなアニメファン層にまでFateやTYPE-MOONという名前が周知されたのは、ufotebleの功績も大きいんじゃないの?」
主「もちろん、それはそうだ。
さらに言えばテレビシリーズや劇場版の制作にあたりビックタイトルや知名度の高い作品と組むのも、失敗を減らすためには必要な措置だと思う。
だからこそ『GOD EATER』やテイルズシリーズなどの……もちろん元々縁があったということもあるだろうけれど、高い知名度を誇る作品を担当していた。
高いクオリティを出す→作品やシリーズ自体が盛り上がる→さらに儲かる
というサイクルは理想的。
でもなぁ……やっぱりオリジナルが見たい! という思いはあるわけですよ」
カエル「はいはい。それはそれとして、この項目では何が言いたいの?」
主「そのufotebleの手腕が今回も発揮されていて、ジャンプの中でも中堅漫画として一定の人気はあったけれど、その人気の一気に押し上げることに成功している。
今では……もちろん不動のトップは『ワンピース』なんだろうけれど、掲載順位を見ても上位どころか、No2、回によってはNo1だったりするんじゃないかな?
それほどの人気に押し上げるというのは、ジャンプ側としても旨みが多いわけで……Fate以外の新たな看板シリーズを獲得した、と言えるのではないだろうか?」
Fateなどとつながるテーマ性
Fateに繋がるテーマ性や愛というと、どんなところになるの?
単純に言えば、鬼や敵に対する見方ということになるのかなぁ
カエル「今作でもアクション描写が目に入るけれど、敵である鬼への愛や事情を明かすことによって単なる勧善懲悪の物語ではない、ということを示しています」
主「これは今上映している『Fate H/F』がさらに顕著だけれど、まるで悪魔のような存在に対して思い入れが強い主人公がいかにして愛を示していくのか? という物語になっている。
この辺りも意識したのかはわからないけれど、もっと大人向けの耽美でありながらもグロテスクも強くすれば『Fate H/F』になるだろうし、それを少年漫画として表現したら『鬼滅の刃』になる、ということではないだろうか」
カエル「ふむふむ……」
主「それに……これは指摘されて気がついたけれど、アクション描写は『Fate』などであり、刀の表現は『刀剣乱舞』で、日常描写『衛宮さんちの今日ごはん』のノウハウを生かしていると言われている。冬の雪山の表現などは特に顕著だったかな?
そういった技術を統合して、さらに2クールという長期間でどこまでできるのか? という挑戦に満ちた作品でもあるわけだ」
刀の表現や空間表現の面白さ
今作でさらに絶賛したのは、刀の太刀筋の表現だよね
これは新しくて面白いものが見られた! と興奮してしまったね
カエル「刀の太刀筋は葛飾北斎の波の表現を参考にしているようで、とても力強くも和風の雰囲気を感じられます」
主「Fateなどもアクション描写がとてつもなかったけれど、そのCGを生かしたというか……リアルというか、言葉が難しいけれど迫力のある爆発や剣術などの表現を駆使していた。
だけれど、今作はアニメというのはあくまでも絵である、ということを強く意識している作品になっている。
日本固有の絵画表現といえば、やっぱり浮世絵なわけだ」
カエル「浮世絵を動かすというと近年でも『百日紅』などがあったけれど、それをアクションで表現するという発想が面白いよね」
主「しかも水だけではなく、雷など多彩であり、美しく迫力があるし手書きを中心としたアニメ表現だからこその味わいもある。
海外のアニメを見ていると技術的には日本は追いつかれているどころか、置いていかれるのではないか? という思いを抱くことも多い。特に最近は中国がとてつもない作品を多く作り出しているしね。
だけれど、ufotebleは新たな挑戦を重ねることによって…あえてこの言い方をするけれど、ジャパニメーションにしかないであろう魅力や、その可能性をしっかりと見せつけてくれている」
あとは空間の表現も素晴らしくて『インセプション』などに匹敵するんじゃないかな?
今のデジタル時代だからこその見せ場だな
カエル「見ているだけで酔ってしまいそうなほど、天と地が逆さまになったりして高所恐怖症の人は縮みあがりそうな描写だよね」
主「ハリウッドがCGでやっていたりするからできるのは当然なのかもしれないけれど、それを可能にしてしまう技術と、2クールでそれを描いてしまうことに脱帽です。
『鬼滅の刃』って和服のデザインもそうだし、町並みなども当時のものを再現する必要があるから……もちろん時代劇ほど厳密である必要もないけれど、それでも大変な労力がある。現実の場所をそのまま描いたような美術とは、また異なる大変さがあるよね。
それをここまで達成してしまったこと……それだけでも見る価値が大いにあるテレビアニメではないでしょうか。
正直、この作品を観ないで他の劇場アニメだけを見ていたらと思うと……これほどレベルの高い作品を知らないということは、かなり怖いことだと思うね」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 映像クオリティは2019年屈指の作品に!
- ただしシリーズ構成などで一部疑問も……
- 日本らしさを生かした浮世絵表現などが素晴らしい!
- Fateなどにつながる、敵への愛のある作品に
劇場版も制作決定! 楽しみに待っています!