今回は『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の感想記事になります!
この冬の大注目作品じゃな
カエルくん(以下カエル)
アニメファンでは注目していた人も多いタイトルではないでしょうか?
亀爺(以下亀)
その期待にしっかりと応えてくれる作品になっていたの
カエル「それでは、早速ですが感想記事のスタートです!」
この記事が面白かったり、感想があればTweet、はてなブックマークをお願いします!
Xの短評
『#忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』を観ました。非常にバランスの良い作品で、ボクはかなりの期待を寄せていましたが、それを超えてくるいい映画でした!… pic.twitter.com/XeqjBnuCmW
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年12月20日
Xに投稿した感想
『#忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』を観ました。非常にバランスの良い作品で、ボクはかなりの期待を寄せていましたが、それを超えてくるいい映画でした!
長寿作品として広く知られる『忍たま乱太郎』ですが、上級生キャラクターの存在を知らない方もいるかもしれません。今作は、その多彩なキャラクターたちを巧みに描きながら、初めて作品に触れる人にもわかりやすく、大人から子どもまで楽しめる内容に仕上がっています。
映像面でもアクション作画の迫力に加え、美しい背景美術が印象的。室町時代の厳しい環境を反映しつつも、子どもが安心して観られる配慮がなされており、高く評価できる作品です。 ファンはもちろん、初見の方にもおすすめできる、この冬にうってつけの作品です!
感想
それでは、感想からスタートです!
これは2024年でも屈指の上手さを誇る、バランスの取れた見事な作品じゃな!
カエル「年末に訪れた見事な作品でした。
うちも相当な期待をしていたのですが、そのハードルをしっかりと乗り越えてきて、技術としても確かな1作であり、子ども向けアニメ映画として、そして大人も楽しめる作品として仕上がっています」
亀「うちとしては忍たま映画というよりは、亜細亜堂の藤森雅也監督作品として期待していた。後述するが、亜細亜堂は近年確かな傑作を連発しており、世間(アニメファン)の評価が若干低いのではないか? と訝しむくらい、新作を楽しみにしているスタジオでもある。
その両者の持ち味と、忍たまを長年製作してきた強みや良さがはっきりと出た作品じゃ」
忍たま映画は以下のような難しさがあるのではないでしょうか
- 上級生も含めると非常に多いキャラクターたち
- 室町期という時代劇(特有の舞台設定)
- ギャグ・コメディとリアルのバランス
これらの要素は1つ間違えると作品を破壊してしまうが、そういうこともなかった
カエル「今作の良さをうちなりに一言で表すと、やっぱり”バランスの良さ”ということになるんだろうね」
亀「そのバランスにはアクションやコメディの比率もあるし、全体の雰囲気つくりもある。
映像表現と音楽表現、大人と子どもの両方に受け入れられ、特に子どもに飽きられない作りなどもそうじゃな。
今作のバランスの良さは他にはないものになっておるの」
原作や忍たまの持ち味を活かしながら映画化
特に原作や作品のフォーマットを守りながら面白い映画を作れるのが本当にすごい!
忍たまらしさを失わず、しかし映画としての魅力を磨き上げてきているからの
カエル「うちでは二塁打映画と言っていますが、特に今作のようなシリーズ映画ではキャラクターや作品の色というのは、かなり決まっています。それらを無視することで誕生する名作もありますが、今作はそのフォーマットを守って、それで面白い映画を作れているんだよね。
二塁打を求められて二塁打をきっちりと放てる作品は、本当に珍しくて素晴らしいです」
亀「原作の要素を無視したり、あるいは監督などの作り手の作家性で上書きすることで生まれる名作もあるし、それを否定するつもりはない。しかし、それは原作やシリーズを愛好しているファンからは、嫌われやすいものじゃ。
しかし、今作はそれを無視することなく、見事な作品となっている。そこが素晴らしいの」
ここら辺は藤森雅也監督と亜細亜堂の力といえるよね
特に藤森雅也監督は、現代の職人的監督として決して裏切らない作品を作り上げてくれる監督じゃな
カエル「うちもそうですが、どうしてもアニメに限らず映像作品を見る時は、監督の作家性に注目してしまい、その個性が強い監督を評価する傾向にあります。
だけれどそう言った作家性の強さではなくて、むしろ原作を最大限尊重し、その魅力を活かしながら映像化を果たす職人的監督というタイプがいて、藤森監督は職人系監督として現代最高峰に存在するのではないでしょうか」
亀「過去作を見ても藤森監督作品は『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』のように、児童・子ども向け作品も多く手がけているのじゃが、その枠組みを一切壊さずに、大人にも響く作品を作り上げる。その一方で最近では『REVENGER』のような大人向け時代劇も手がけている。
その両者のいいところをミックスしたような作品に仕上がっておったの」
今作の魅力
魅力① 大人向けと子ども向けのバランス
今作の魅力について、いくつかの項目に分けて語っていきましょうか
まずはバランスの良さじゃな
カエル「これはパンフレットでも藤森監督が語っていますが、今作の原作である『小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』はシリアスな内容も多く、普段のTVアニメの忍たまの雰囲気とは少し異なります。
そこをどのように脚色し、一年は組の活躍を描きながら、子どもたちにも受け入れてもらいやすい作品にするのか、というバランスが求められます」
このバランス感覚が見事といえるじゃろう
亀「今作は基本的には土井先生の不在という、大人たちの問題が大人たち中心で描かれている。しかしそこに乱太郎たち、子どもも介入していかないと忍たまの話にはならない。
そしてこの大人と子どもは見ている世界が全く異なるわけじゃな。
その差がシリアスとギャグ・コメディとして現れているが、それらが問題なく混ざり合うことで忍たまらしい作品の質感を形成しておった」
魅力② リアリティのある映像表現たち
次に魅力②としては、映像表現の端々から伝わるリアリティです
わしも専門家ではないのでどこまで正確かはわからないが、しかし映画を観ていて感銘を受ける描写が多かった
カエル「一言にリアリティといっても色々な意味がありますが、ここでは小物や背景などの美術デザインの持つ説得力とでも言いましょうか。
例えば豪華版パンフレットに載っているのですが、砦のデザインを1つ挙げても、室町期の軍事要塞である砦はこのような形だったのだろうな、と説得することができます」
亀「元々乱太郎シリーズは原作からして歴史に忠実な作品であろうという意志が強く、それが雰囲気作りにも効いているとは聞いていたが、この映画でもそれが見事に発揮されていた。
キャラクターやコメディ・ギャグは当然のように漫画・アニメ的なデフォルメがされており、現代だからこそのギャグもあるなど、決してリアルなものではない。
しかし、乱太郎たちが暮らす町並みなどには嘘がない。
今作はそのバランスも含めて見事であり、しかも何が嘘で何がリアルに基づいているのかがわかりやすい。
『この社会にキャラクターたちが生きている』という実感が味わいやすい作品じゃな」
魅力③ 過酷な室町の民の視線から描く
魅力③はシリアス方面になりますが、いかに室町の一般の民が過酷な環境にいたのかが窺い知ることができます
描き方も含めて、とても重要な描写が多かった
カエル「2024年はTVアニメにおいても、室町時代がフューチャーされました。
鎌倉末期から室町幕府設立あたりを描いた『逃げ上手の若君』は武士の世界の室町時代を、そして『天穂のサクナヒメ』は神様の話ですが、室町期を舞台としており一般の民も登場することで、その時代の農民の過酷な暮らしを窺い知ることができます」
上記の2作と合わせて今作も鑑賞すると、室町時代の暮らしがよくわかるのではないかの
亀「もちろん、一言に室町と言っても描いている時代も描き方も異なるが、共通するのは武士によって戦が多く発生し、それによって民たちが苦労を重ねることになる構図じゃ。
そして今作は『民の目から見た乱世』という視点がきっちりと描かれておる。それらは決して過酷なものになりすぎないようにと、曼珠沙華(彼岸花・ヒガンバナ)の演出を入れておるのも演出として綺麗なものじゃった。
その過酷な生活がドラマとしても生きてきているというのは、とても重要じゃな」
魅力④ 忍びだからこその戦い方
そして魅力④は本作が忍びの物語ということを重要視した描写の数々でしょうか
忍びは本来、諜報要員であり色々な仕掛けを行う人々じゃからの
カエル「今作では戦の場面も描かれているけれど、忍びは必ずしもそこだけで活躍するわけではないんだよね。むしろ聞き込みとかの情報収集から、砦に対する妨害工作などを行う集団な訳で、前線に出ることが仕事の全てではない、と」
亀「その点も本作は見事に描いておったの。
土井先生がいなくなったのでその聞き込みから、様々な工作も含めて描かれており、忍びならではの魅力をケレン味たっぷりに描いておった」
魅力⑤ 親世代と子世代で異なる視点
これは魅力①にも共通するけれど、視点や目線が異なるけれど、そのどちらでも見ても素晴らしいということだね
これだけの長寿作品となると、さまざまな世代の人が鑑賞に来ることも予想できるからの
カエル「一年は組、特にきり丸のように子どもたちの視点も完備しつつ、その子どもを巻き込みたくないという大人たちの視点もあり、そして土井先生の視点もあったね」
亀「今作を親子やファミリーで鑑賞した場合、その感想が若干異なるものになるかもしれん。
そしてまた数年すると、今度は新しい視点に気がつき……といういい循環になる。
今作は長く愛されるにたりうる、複雑な構造を持ちつつも、シンプルに理解されやすい作品ともいうバランス感覚の良さがあるの」
最後に
というわけで、今回はここまでになります
シンプルに素晴らしい作品じゃな
カエル「ここまで上手い作品だと、却って語ることも少なくなるのかもね」
亀「結局は『バランスがいい』ということが中心になってしまったが、これができる作品や監督・制作スタッフはそこまで多くない。やはり亜細亜堂が長年忍たまに関わってきて、その肝を誰よりも熟知していることの結果じゃろう。
大人のファンを含めて大変期待されている中で、その期待にきっちりと応える作品を作り上げたのは見事の一言。
本当に素晴らしい作品であったの」