今回はアニメーション映画『バッドガイズ』の感想記事になります!
悪い奴らが主人公の、とても楽しみな作品じゃな
カエルくん(以下カエル)
今作は試写会で鑑賞しています!
亀爺(以下亀)
とはいえ、記事を書くのが公開当日になってしまったの
カエル「良作だったし、紹介記事を書こう書こうと思って今日に至るという感じだなぁ」
亀「最近忙しかった……は理由にならんの。
なるべくこういった先行で観た作品は記事にできるように頑張っていきたいの。
それでは、感想記事をスタートしていくかの!!」
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作品紹介・あらすじ
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感想
それでは、ツイッターの短評からスタートです!
#バッドガイズがハートを盗む
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年8月23日
10/7公開
動物キャラクターの悪人達が世間をアッと言わせるために大立ち回りを演じる❗️
なんと言ってもキャラクターがいい!特に主人公のウルフ🐺がセクシー❤️&クール🆒で魅力たっぷりに動き回る様にメロメロになります
盗みと詐欺は映画の花よとばかりに気持ち良さも! pic.twitter.com/8CMcjJL4ee
本作の映像的な面白さは序盤から、よくよく見るとアニメーションではあまり向かないアッと言わせることをしています。あとはエフェクトが面白くて「こう来るかぁ」と感心していました
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年8月23日
これは続編くるかも…ドリームワークスの新たな人気シリーズ誕生か⁉︎ pic.twitter.com/Z89oC5Bfu0
アメリカアニメーションの魅力が内包された、面白い作品じゃったな
カエル「やっぱりドリームワークスの作品ということなので、子どもから大人まで、誰でも安心して見ていられるような作品だよね!
しかもちょい悪な狼が主役ということもあって、それがとてもセクシーで……!
キャラクター人気も爆発しそうな予感もあるかなぁ」
亀「わしはいつも”詐欺と盗みは映画の華”だと言っておる。
もちろんアクションなども楽しいのじゃが、詐欺と盗みというのは観客の脳みそも使うような、知的な興奮に溢れている。
つまり観客をそのドキドキに巻き込みやすい娯楽ということじゃな。
そして今作は悪党が主役ではあるが、基本は手癖の悪い盗人と詐欺師の集団ということになるじゃろう。もちろん暴力行為もないではないが、それも見やすいアニメーションになっており、とても魅力たっぷりに描かれておるの」
全体としてとても良くできているアニメーション映画だったのではないでしょうか?
2022年は『SING シング ネクストステージ』など、アメリカのアニメーション映画が豊富だったのじゃが、今作もそれに連なるかもしれんな
動物ものというのが、また強みの1つだよね!
カエル「今作はオオカミ以外でも、ヘビ(アナコンダ)、ピラニア、サメ、クモなどの……言ってしまえば、愛らしさとは無縁の動物たちが味方となっています!」
亀「ここで面白いのが、サメなどが特に顕著ではあるが、B級映画にお約束のメンツばかりであるのじゃな。
他にもヘビ、ピラニアなども、サメほど印象深くはないが実はB級、C級と呼ばれるようなパニックムービーの題材として、よく使われておる。つまり映画的な文脈においても悪役になりがちな面々であることじゃな。
今作では、そのような悪役との印象が強いキャラクターたちを多く起用しているのも特徴の1つと言えるかもしれんの」
パニックホラーの題材として使われやすい動物たちを中心に物語を作る
いい子のディズニーへの反抗として
最近は『ミニオンズ』などを手掛けるイルミネーション・エンターテイメントなどもそうだけれど、悪い人(キャラクター)が主人公格のアメリカアニメーション映画も多いね
やはり、ディズニーがいい子なことに対する反動もあるのかもしれんな
カエル「ディズニー映画って、多くの人……特に世界中で愛されていることもあって、普遍的な価値観だったり、あるいは民主党のリベラルな思考を反映した先進的メッセージが、最近は多いよね。
それに対する反感もあるけれど、それでもディズニー映画のファンはとても多いし」
亀「しかし、今作に関してもそうであるが、非ディズニー映画は、近年悪者が主役になることも増えてきているように思う。
むしろ、ディズニーがいい子なので、それに反対して悪い子が多い作品が目につくようになってきたというべきなのかもしれんの」
その一環が本作のような、悪い奴らが大活躍! という話であると
そもそも、映画は悪い奴らが大活躍する話も面白いものであるからの
カエル「それこそ、日本のアニメ映画では……『ルパン三世』シリーズは義賊的ではあるけれど悪いやつだし、あとはジブリ作品でも『紅の豚』なんかは、ポルコは正義の味方ではなく……むしろアウトローという意味では、その真逆な存在だもんね」
悪人であろうとも、愛嬌があり憎めない……それが子どもも鑑賞するアニメーション映画で重要な点かもしれんの
亀「それでいうと『紅の豚』がわかりやすいかもしれん。
豚に変化=動物ものとをすることで、アウトローな雰囲気を和らげることもできておる。そもそも、結構コミカルな作品でもあるが、その意味でも本作と似たような印象を持つかもしれんの。
ディズニー・ピクサーの映画が先進的で教育的なメッセージを含んでおるが、一方ではそれが息苦しく思うことも……少なくともわしはある。
また、複数の脚本家が見ることでまとまった物語は、時には予定調和や一本調子に感じられてしまうこともある。正しいとは、そういうことなのかもしれんがの。
時には正しくないもの……悪いことも、とても楽しい。それも子どもの娯楽には重要じゃ。
その点では、今作もそうであるが、悪い子の物語であることで、とても面白い物語が楽しめるようになっておるようにも感じられるの」
吹き替えについて
今作は吹き替えで鑑賞しましたが、そちらについてはどうだったの?
全体的には上手にまとめられていた印象じゃったの
カエル「特にオオカミであるミスター・ウルフを演じた尾上松也は、声からもセクシーな印象を与えて、とても良かったのではないでしょうか!」
亀「キャラクターデザインや行動がスタイリッシュなのに加えて、声もセクシーであることでよりキャラクターの魅力を増しておる。
この辺りは声優とキャラクターがマッチした、いい例ということになるじゃろう」
その他の役者さんに関しても、概ね良かったのではないでしょうか?
特に文句を言うレベルの演技は、いなかったと感じておる
亀「少しだけ言わせて貰えば、スネーク役の安田顕が、声が少し掠れているような気がして聞き取りづらい部分もあったような気もしたが……その辺りは気になる人もそこまで多くないじゃろう。
しかし、これは今作に限った話ではないが……やはり本職の声優、今作で言えば山口勝平や甲斐田裕子などの、洋画の吹き替えにもアニメのアフレコにも慣れた声優と比較すると、浮いてしまう部分はどうしてもある。
その辺りはうまく調整はしているが……もしかしたらアニメや声優ファンであるからこそかもしれんが、少しだけ気になったかの。
しかし、今作の声優起用が悪いとか、吹き替え版のクオリティが低いとは思わん。
これはこれで、1つの味としてとても楽しめるものであったのではないかの」
以下ネタバレあり
作品考察
驚きの強かった序盤のシーン
ではでは、ここからはネタバレありで語っていきましょう!
やはり序盤のシーンはとても良かったの
カエル「最初は『どんな作品になるのかなぁ』と思ってフラットに見ていたんだけれど、これがかなり驚きの強いシーンだったんだよね!」
亀「何が驚きかというと、序盤はロングカットで制作されていたんじゃな。
一般的にロングカットは手間がかかると言うのが通説じゃろうが、特に実写と比較してアニメはカットを多く割る傾向にある。これは……特に日本の場合はカット単位で制作するアニメーターが異なり、ロングカット、つまり長く画面を映すカットになればなるほど、1人のアニメーターに対する負担が増えるということもある。
もちろん、今作はアメリカのCGアニメーションということで、日本の手書きアニメとは事情が異なるとは思うが、それでもロングカットは短いカットを積み重ねるよりも負担が大きいことは明白じゃろう。
そして、この序盤はロングカットで制作されておった」
このロングカットって、技術力以外にもどんな意味があると思う?
やはり、実写的な実存感が出てくるのではないかの
カエル「実写的というと言葉が難しいけれど、一種のリアリティみたいなものが宿るということだね」
亀「そうじゃな。
この作品はオオカミとヘビ、つまりミスターウルフとスネークが中心となっておる。ここで長回しをすることで、2人の仲の良さや性格などを描写するとともに『この2人の関係性の変化が肝だよ』ということをアピールすることに成功しておる。
同時に2人は動物だからアニメーションの面白さも込みで成立しておるが、実際には実写でも成立するとわしは感じるわけじゃ」
それこそミスターウルフがスーツのちょっと若めの紳士風の男性で、スネークがアロハシャツのおじさんという構図なのかな
わしはこのシーンを見ながら、色々な映画を連想しておった
カエル「そういう意味でも、確かに実写映画を観ているような感覚に近かったのかもしれないかなぁ」
亀「うむ。
そしてここで2人が共謀して悪事を重ねることで、派手なアクションシーンにつなげることもでき、静と動の対比で白熱した物語になっているわけじゃな。
この後の銀行強盗の逃亡シーンでは、それぞれのキャラクターの個性と性格の紹介、そして追ってくる署長のキャラクター性紹介にもなっており、大変楽しむことができた。この辺りも含めて、序盤は驚きと面白さが内包した物語となっており、非常に見応えがあるものとなっておるの」
悪い奴の物語だからこそ……
少しもったいなかった部分があるということだけれど……
それが面白さのピークが、わしは中盤に来てしまっているように感じたことかの
カエル「中盤が面白さのピークというと、具体的にはどこなの?」
亀「盗みを働くためにチームでパーティ会場に乗り込むシーンじゃな」
あんな変装で隠せるんかい! というガバガバな設定も含めて笑いどころもありつつ、楽しいシーンだったね
亀「少し難しいのが……やはり今作が『世界中の人々を観客に想定した大作アニメーション映画』ということになるのじゃろう。
このシーンがとても面白かったのは、ミスターウルフをはじめとした面々が”悪党”じゃからな。
さまざまな技を駆使しながら、厳重な警備を掻い潜り、知恵を使い相手を騙して物を盗む。これが現実世界では到底できっこない、しかし空想だからこそ面白さが詰まった、まさに映画の華と言える物語表現じゃろう」
ふむふむ……
しかし、この物語は終盤、改心する方向に向かってしまう
カエル「それは大作映画だから仕方ないのではないか、と思いつつ……そうか、それが問題なでは? という思いもあるわけだね」
亀「そうじゃな。
悪い奴らは、悪党だからこその魅力がある。
悪党が改心していい人になったら、それはただの人になるというのとわしは同じじゃと思っておる。
その意味ではディズニーの『ズートピア』はよくできていたが、あれは正義のウサギの警官目線で物語が進行するから、それも納得することもできた」
しかし、今作はあくまで”悪党の物語”であるはずじゃ
カエル「それが改心するのは、物語としては納得の、しかも教育的な解決ではあるけれど……ってことか」
亀「うむ。
悪党は悪党のままいる方が、キャラクターとしても魅力がある。
特にミスターウルフに関しては、まさに悪党のセクシーさを内包したキャラクターであった。
しかしそれが改心してしまうことで、物語的には小さくまとまったように感じられてしまったのが残念なポイントじゃ。
この辺りは映画に何を望むのか、ということもあるかもしれん。
趣味・嗜好の問題もあるじゃろう。
しかし、わしは悪い奴には悪い奴のまま……言うなればその場限りの改心くらいで、次の計画を練るラストくらいの方が好みではあったの」