カエルくん(以下カエル)
「では、2017年度11月度の映画ランキングの発表です!」
亀爺(以下亀)
「いよいよ今年もあと1ヶ月……そろそろ年間ランキングの発表の時期も近づいてきたの」
カエル「ちなみに昨年は110本くらいから選んでいましたが、今年はその倍くらいは鑑賞しているので、ベスト10どころか50くらいになるかもしれません」
亀「基本的にはその時の気分で選ぶから、プラマイ10位くらいは変動することになるじゃろうがの」
カエル「いやぁ……それにしてもたくさん見たね。
少し前までここまで映画を観るとは思ってもいなかったよ」
亀「数を見ればいいというわけではないがの。
今年これだけ公開されたものの、10年後にも多くの人に鑑賞されたり、話題になる作品は……どうじゃろうか、2割もあれば大したものかもしれんの」
カエル「それだけ入れ替わりや新陳代謝が激しい業界ということだもんね……
特に今月は閑散期の11月なので、色々といい作品があっても話題にならないことも多くて……」
亀「残念じゃがエンタメの宿命とも言えるのかもしれんの。
では、11月度の映画ランキングを発表していくぞ。
今月は話題作以外にも面白い作品が多かったから、選ぶのに苦労をしたということは最初に言っておきたいの」
カエル「ではランキング記事のスタートです!!」
先月のランキング記事はこちら
対象作品
記事にした作品
『氷菓 』
『エキストランド』
『火花』
『星空』
以上15作品
(2作合同記事などもあるけれど、書いたなぁ……)
記事にしていない作品で公開3ヶ月以内の作品
『ローガンラッキー』
『覆面系ノイズ』
『光』
『永遠のジャンゴ』
『映画かいけつゾロリ ZZの秘密』
以上、計20作品がノミネート
今月は結構見たなぁ……大作、小規模、アニメのバランスなども取れているので個人的には満足しています(何が? ってつっこみはナシで)
押さえるポイントは押さえたかなぁ……
他にも見逃した中で注目しているのが
『全員死刑』
『エンドレス・ポエトリー』
『最低』
も気になってはいます。あとは『ゲットアウト』も評判がいいので考え中。
年末年始の連休次第かなぁ……全員死刑は多分自分が1番嫌いなタイプな気がするけれど!
第5位
映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ
作品紹介・あらすじ
児童文学の金字塔にして大人気シリーズ『かいけつゾロリ』シリーズが30年を記念して制作された劇場版アニメ5作品目。
監督は忍たま乱太郎やドラえもんなどの子供向け作品などを中心に監督や絵コンテを担当していた藤森雅也。脚本には数々の人気作を手掛ける吉田玲子、音楽はアニメ音楽界を語る上で欠かせない田中公平が手掛ける。
主人公のゾロリはテレビアニメ版に引き続き山寺宏一が担当し、今作のオリジナルヒロインにはももクロの百田夏菜子が担当する。
いたずらの王様を目指すゾロリとその子分であるイノシシのイシシとノシシはドーナツ屋の先着100名に配布される無料のドーナツを目当てにしていたが、朝早くから起きられる自信がなかった。そのため、ゾロリは早く起きるための機械を作り出す。
次の日に備えて早く寝ると、機械が暴走してしまい過去の世界へとタイムスリップしてしまう。
今、原作でも語られていないゾロリの胸にあるZZのひみつが明かされる……
カエル「というわけで、ここでまさかの児童文学の金字塔であり、子供向けが登場です!
なぜこの映画を見に行ったのか? と言うと、脚本が吉田玲子、音楽が田中公平ということでスタッフ目当てで、子供達が学校などに通っている時間に行ったから誰もいない劇場でポツンと観るというシュールな状況になったけれど……」
亀「子供向けアニメと侮るなかれ……というよりも、子供向けアニメの方が実はレベルが高かったりするんじゃがな」
カエル「大人はダレ場やつまらない作品でも我慢してくれるけれど、子供は我慢してくれないからねぇ。しかも上映時間も70分とコンパクトにまとめているのも好印象で。短い作品はそれはそれで難しいわけだし……」
亀「もちろんスタッフだけで褒めているわけではないぞ。
本作にはアニメにおいて大事なものをきちんと抑えられておる。例えば田中公平の音楽に合わせて踊るゾロリなどのように、絵と音の融合を子供にわかりやすい優しさに包まれながら描いておる。
そして何よりも、脚本がとてもいい」
カエル「ある超有名SF映画を基にしながらも、それとは違う物語を提示してきているんだよね。
他にも色々な作品のオマージュなども見受けられたりして……」
亀「かなりポップな作品かと思いきや、実はビターな作品であったりと2面性を持っている。
いやいや、子供向けアニメとバカにしてはいけない作品じゃな」
第4位
ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶
作品紹介・あらすじ
『料理の鉄人』を手がけた演出家・田中経一のデビュー小説を、秋元康が企画として参加し、アカデミー賞監督である滝田洋二郎が監督を務めて実写化した作品。脚本は『チアダン』『永遠の0』などの大作邦画に多く脚本を書いている林民生。
主演には二宮和也、また二宮が追う昔の料理人の役を西島秀俊が演じ、綾野剛、宮崎あおい、竹野内豊などが脇を固める。
一度食べた食材の味を絶対に忘れない、絶対味覚を持つ天才料理人である佐々木充(二宮和也)は、その完璧主義な性格が災いして店を潰してしまい、借金を作ってしまう。その返済のために記憶に残る料理を再現する料理人として各地を回っているところに、中国から依頼が届く。
その依頼は1930年代の満州国で伝説のフルコース『大日本帝國食菜全席』のレシピを見つけ出し、それを復活させて欲しいというものだった。5000万円の成功報酬のために調査を開始する佐々木は、天皇の料理番であった山形直太郎(西島秀俊)について調べていく……
カエル「次は今月の大作邦画の1つであるラストレシピが登場だよ!」
亀「この作品は邦画らしさ……まあ、良くも悪くもわかりやすい脚本、すべてを説明してくれるセリフたちなどもあったものの、その全てが意味を持つなどのうまさを誇っておる。
そして何よりも主役である料理がとても素晴らしかった!
これだけで説得力が段違いにあるのじゃから、大したものじゃよ」
カエル「匂いや味が伝わらない映画において、料理の美しさや音だけで勝負するということは難しいけれど、それを見事に果たしたもんね」
亀「他にもテーマとしてある『料理のレシピの残る思い』なども感動を呼ぶし、欠点があまりない作品じゃった。減点法だとかなりの高得点にある作品じゃと思うの」
カエル「人気の芸能人たちのキャストも話題だったし、映画の出来だけで言ったら大成功だよね!」
第3位
星空
作品紹介・あらすじ
台湾で人気絵本作家の作品を実写映画化し、 2011年に公開された作品が日本で小規模公開された中台合作先品。
監督は今年日本公開された『百日告別』などのトム・リンが務める。 主役は『ミラクル7号』で女の子ながらも男の子の役を演じたシュー・チャオ。
美術品に囲まれた家に暮らす13歳の女の子、シンメイは両親が毎日喧嘩するような不和に加えて、唯一の信頼できる大人だった祖父も亡くなってしまう。孤独感を増しているシンメイは、学校に転校してきたスケッチブックを抱えて絵を描く男子生徒、ユージエに徐々に惹かれていく。
2人で学校の展覧会の飾り付けを任されることになるのだが、あるトラブルが発生してしまい……
カエル「そして2011年に制作された台湾映画がいよいよ日本上陸! ということで小規模劇場ながらも、今月3位にランクインしています!
理由は圧倒的なシュー・チャオの可愛らしさ!」
亀「いや、可愛らしいだけではないが、主役の女の子が世界一の美少女になっていることは非常に大切なことじゃ。だからこそ観客たちは少年少女たちを応援したくなるものじゃしの。
そして演出面でも尖った部分が多くあったの」
カエル「CGなどを用いながら絵本の世界をうまく再現していたよね。星空に飛ぶ銀河鉄道とか、見ていてうっとりとしたよ!」
亀「孤独を抱える少年と少女が出会い、やがて交流を深めていく。物語としてはそれだけなのじゃが、ジグソーパズルをはじめとした小物の使い方なども特徴的じゃった。
小規模公開などがもったいない、10代の少年少女を扱った作品としては今年の中でも個人的には上位にくる作品なので、できれば鑑賞してほしい作品じゃの」
第2位
KUBO クボ 二本の弦の秘密
作品紹介・あらすじ
新進気鋭のアメリカのアニメーションスタジオであるライカが、日本を舞台に少年の冒険を描き、2017年の第89回アカデミー賞にノミネートされ、獲得も有力視されたストップモーションアニメーション。(受賞は『ズートピア』)
ライカの設立も尽力し、過去作では制作に名を連ねていたトラビス・ナイトが初監督を務める。
声優には海外版にはシャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラーらが起用されて、日本語吹き替え版に川栄李奈、ピエール瀧などの芸能人や矢島晶子、田中敦子などのベテラン声優も起用されている。
三味線を村で弾きながら生活する片目の少年クボは、体調が悪い母と2人で暮らしていた。『夜に外を出てはいけない』という母の言葉に対して、ふとしたきっかけで破ってしまったことにより、母の妹の父(クボの祖父)に狙われてしまう結果になる。
理解できない力でもって村を焼き尽くし、太刀打ちできずに万事休すかと思いきや、母の力によって助けられたクボは雪山へと送られていた……
自分を守るために伝説の武器である『折れずの刀』『負けずの鎧』『破れずの兜』を探し始める……
カエル「Twitterなどを中心として口コミでの評判も高いアニメーション作品がここで登場!
日本へのラブレターだ! という声も多くて、鑑賞した人はかなりの高評価だねよね!」
亀「昨年の『この世界の片隅に』を思いだす展開になっておるの。
残念ながらあそこまでの盛り上がりはないが、見た人が次々と大絶賛をあげておる。そしてそれもまた納得できる作品じゃったの」
カエル「この作品を機にライカの過去作も全てみたけれど、それまで制作していた作品を踏襲した部分もあったりして、なるほどなぁって感心したね。
ストップ・モーションアニメーションという手法だからこそできる味に満ちていて、メッセージ性も兼ね備えていた傑作だった!」
亀「日本ではあまりお目にかかれない種類の作品でもあるが、アニメーションという分野の持つ底力、幅広さを痛感させられた作品じゃったの。
現代ではCG技術の進歩やデジタル化などもあり表現できる範囲も増えておる。だからこそ昔ながらのストップ・モーションアニメーションでもその世界観を幅広いものに進化させることもできるわけじゃ。
技術が進化することで過去の表現手段と思われていたものも、現代で通用するものになる……温故知新という意味でも重要な作品じゃの」
第1位
gifted ギフテッド
作品紹介・あらすじ
『(500日)のサマー』などでコンスタントに大作映画を撮影したことでも知られるマーク・ウェブ監督作品。MVを多く手掛ける監督の音楽を担当するのは『明日は最高のはじまり』など近年精力的に活動するロブ・シモンセンであり、作品を支える名アシストを見せる。
主演は『キャプテン・アメリカ』などのヒーロー映画に多く出演するクリス・エバンス。また本作の子供役のメアリーには若干11歳にして10作品以上の映画に出演するマッケンナ・グレイス。
フランク(クリス・エバンス)は娘のように育てている7歳のメアリー(マッケンナ・グレイス)を公立の学校へと通わせる。しかし、メアリーは小学校1年生レベルの問題は全く面白くないほどに数学の才能に溢れている天才だった。
学校の先生も有名進学校への転校を勧めるが、フランクはそれを拒絶する。しかし、ある時フランクの母であるエブリンが現れて、彼女の才能をもっと高めるために1流進学校へと通わせるべきだと提言し、さらに2人の仲を裂こうと画策し始める……
カエル「というわけで11月度の1位を獲得したのは親子の絆を描いた『ギフテッド』でした!」
亀「今月は『KUBO』が最も注目していたし、やはりアメリカの噂に違わぬ傑作であったが、最後の最後でこの作品が見事にまくっていったの」
カエル「まずは役者陣の魅力だよね。
クリス・エバンスはもちろんのこと、マッケンナ・グレイスがとても輝いていて!
間違いなく今年の映画作品の中でもトップクラスに輝いた主演女優だったと思うよ」
亀「今作ではギフテッドと呼ばれる天才的な能力を持つ女の子を演じておるが、大人びておりながらも子供の愛らしさを兼ね備えた演技は絶賛の嵐じゃ。そして物語が進むにつれて微妙な感情の変化があるのじゃが、観客の受け取り方が多重的になるような演技というのは、大人顔負けじゃ。
劇場内で多くの人が涙を流すのも当然のことであるの」
カエル「しかも海外の映画だけれど、日本にも当てはまるテーマなんだよね。
子供の教育と幸せってなんだろう? っていうさ……
確かに教育は大事だし、あれだけの才能を与えられたら色々と伸ばしてあげてあげたいという気持ちもわかる。誰だって将来イチローになるとわかっていれば、野球漬けの毎日を送らせるよ。本人も数学や勉強自体は好きなわけだし。
だけれど、本当にそれだけでいいのかな? って言われるとそれもそうで……」
亀「物質的に満たしてあげることが幸せとは限らないということはよく言われるが、そんな綺麗事ではないという物語でもある、
本作品は笑える描写も多くあり、泣ける描写もあり、エンタメとして優れていることはもちろんのこと、多くの人がその気持ちを共有出来る作品であると思っておる。
こういった作品は珍しいので、ぜひとも鑑賞して欲しいものじゃの」
総評として
カエル「では総評といきましょう!」
亀「今月は平均的に面白い作品が多かったように思うの。
まず、トップ3はすぐに決まった形じゃが、その後の5位までを決めるのに少し悩んだ形じゃ。
かいけつゾロリ、ラストレシピに加えて、itと火花がほぼ同列の評価である。
その中でも減点法で考えた場合、頭一つ抜けているように思えたラストレシピを4位に選んだ形じゃな」
カエル「……ゾロリは?」
亀「ほとんどの人が見とらんじゃろうから、通ぶれると思っての」
カエル「……そんな理由なんだ」
亀「というのは冗談として、まだ記事は書けていないがこの作品の描いたものはとても感動的なものがある。
もしかしたら『子供向けアニメでしょ?』という理由でそこまで評価しない人もいるかもしれんが、教育的にも大事なことを表現しておる上に、子供にもお大人にも届くメッセージを内包しておる。
こういった作品を70分でまとめるのは難しいが、本作は見事に果たしてみせた。
子供向け作品でもあるし、ぜひ鑑賞してくれ! とはまでは言いづらいところもあるが、興味があれば行ってもいいのではないかの?」
カエル「他にもローガンラッキーなどは娯楽としても楽しめる作品だったのでぜひ鑑賞してください!」
最後に〜12月の映画について〜
カエル「では最後になるけれど、12月はいよいよあの超大作が公開だね! みんな楽しみにしているんじゃないかな?」
亀「来月1位を取れるかどうかはまた別じゃがの。
正直、ディズニーになってからのスターウォーズは個人的には高評価を下しづらいものじゃった。なんというか……70、80点を安定して獲得する優等生ではあるのじゃが、『そうきたか!』という面白みはあまりない印象じゃな」
カエル「……じゃあこのブログ的に1番楽しみにしているのは何? やっぱり『ガルパン』になるの?」
亀「『探偵はBarにいる3』と『勝手にふるえてろ』かの。アニメは注目の作品はガルパンという印象ではあるが、そのガルパンも章に分かれたOVA形式にじゃからの」
カエル「あとは『カードキャプターさくら』が久々にやるらしいけれど、新作ではないしね。あとは……あ、妖怪ウォッチがあったのか」
亀「大作では『バーフバリ』に注目かの」
カエル「……あれ? 1作目は評価微妙で記事にもしていなかったよね?」
亀「時間が経つと楽しみになってきて、あの粗さがかえって魅力なように思えてくる。それこそ大人数の応援上映で鑑賞して、みんなで『バーフバリ! バーフバリ!』とやりたい映画じゃな。
今年も残すとこもあと1ヶ月のみ。年間ランキングに向けて色々考えることもあるが、締めくくりにどのような作品が並ぶのか楽しみじゃな」