カエルくん(以下カエル)
「それではまずは2017年6月度のオススメ映画ランキングを始めるよ!」
亀爺(以下亀)
「ちなみに今後のスケジュールは、まずこの記事で上半期のエントリー作品を全て決めた後に、2017年上半期の各部門賞の発表、そして2017年上半期作品ランキングの発表予定じゃ」
カエル「書きたい記事も溜まっているね。最近は映画を見ても感想が書けていない作品が増えているし。毎週5作品は鑑賞しているけれど、記事の更新頻度は落ちる一方じゃない?」
亀「もうパソコンの前に1日10時間くらい張り付いているべきなのではないか? と思っておるようじゃな」
カエル「そこまでの意気込みはいいんだけれどね……休日になると必ず映画館に行っているし、毎週のように映画と映画の接続を考えているし……なんで観たい映画がこんなに増えていくんだろうね?
しかもさ、この記事も『オススメランキング』って言っているけれど、実際はただの好きな作品ランキングだよね?」
亀「まあ、それはいいじゃろう。人の好みは千差万別じゃからの」
カエル「その言葉で誤魔化しすぎな気もするんだよなぁ」
亀「それでは6月度のランキング記事を始めるぞ」
対象作品
6月公開で記事にした作品
『花戦さ』
『怪物はささやく』
『海辺のリア』
『セールスマン』
『ハクソー・リッジ』
『KING OF PRISM PRIDE the HERO(キンプリ)』
以上12作品
鑑賞をしたが記事にしていない作品
『20センチュリーウーマン』
『武曲 MUKOKU』
『ジェーン・ドウの解剖(5月公開)』
『空の味(5月公開)』
以上16作品がノミネート
ノミネート外で鑑賞した作品
『人生フルーツ』
『私はダニエル・ブレイク』
こちらは公開3カ月以内ではないために除外
ちなみに6月公開では
『ありがとう、トニ・エルドマン』
『アイム・ノット・シリアルキラー』
『おとなの恋の測り方』
などは引き続き鑑賞候補
特にトニ・エルドマンは観ないとなぁ……
第5位
怪物はささやく
少年の成長と母との絆について描いたヒューマンドラマ。怪物も登場するものの、派手なアクション満載の映画ではなく、少年の深層心理とのリンクなどの意味合いが強い。
CG、アニメーションというクオリティの高い多様な表現手段も魅力の1つ。
カエル「怪物が出てくるとなると冒険アクションのようだけど、本作は少年の心の成長を描いたヒューマンドラマだね」
亀「最近ではディズニーもこのようなCGを多用した少年を主人公とした作品を制作しておるが、そちらよりは少しビターな作品となっておるの。
もちろん怪物の造形のCGのクオリティも高く、紹介文でもあるようにアニメーションも使われており、これもレベルが高いものである。しかしの、本作で重要なのはそのようなことではなく、少年期の思い出がどのように印象に残るのか、ある意味では継承の物語ということもできるの」
カエル「地味といえば地味なんだけれど、だけどこう、胸にズンと染み渡る作品に仕上がっていてさ! むしろ子どもよりも大人の方が楽しめるかも?」
亀「子供を取り巻く環境は複雑じゃ。両親が揃っておるとは限らんし、学校でも多くの困難がある。自分がやりたいことがたくさんあるのに、それができるような環境になりかもしれん。
そんな時、彼らの心の支えになるもの……それが物語であれば嬉しいものじゃな」
第4位
ジェーン・ドウの解剖
遺体安置所にて警察の依頼により死因の調査をしているティルディン親子の元に、謎の女性の遺体が運ばれてくる。それは一家全員が謎の死を遂げた事件の際、地下室から発見された遺体だった。非常に美しいその死体が一体何者なのか? 死因などを調査している最中に衝撃の事実が明らかになる……
解剖シーンなどは非常にリアルに出来ており、内臓や脳みそなども描写されるためにその手の描写が苦手な方にはオススメ出来ない。決して煽るようなグロテスクというわけではないのだが、あまりにもリアルに出来ているために気分を害する可能性も……
カエル「マジで怖い映画だったねぇ。
スペインでは『シンゴジラ』と同じようにカルト映画祭りのツアーの1作品として上映されたようだけど、ちょっとわかる気がする。抜群に面白いけれど、なんとなくB級感があるもんね」
亀「ホラーや特撮はどうしても1つ下の扱いを受けてしまうものじゃからな。
最近ではヒーロー映画も大人気じゃが、ひと昔前まではバットマンやスパイダーマン以外はキワモノみたいな扱いだったからの。それはゴジラなども同じじゃろうが。
本作に話を戻すと、そのようなちょっとゲラゲラなB級ホラーを期待したら少し面をくらうかもしれん。それほど恐ろしい話じゃった」
カエル「特にホラーが苦手な人だから余計にってこともあるかもしれないけれど、結構陽気なシーンもあるんだよ。音楽もロックがかかったりして。それがいい感じに緩和につながって、油断したところに一気に攻められるというかさ」
亀「うまい作りじゃったな。
色々と想像しながら見ておったが、ある意味では予想を裏切られるお話じゃ。期待通りの展開をしてくれればホラー要素は減ったかもしれんが、さらに評価を上げることができたかもしれん。その意味では惜しい作品じゃの」
カエル「……それってホラーが苦手だからホラー風味のミステリーにして欲しかったという単なるわがままでしょ?」
第3位
ローガン
アメリカでも非常に高い評価を受けている、ヒュージャックマン主演では最後のウルヴァリンの物語。ヒーローの終焉と受け継がれていく思いを描く。
ヒーロー映画にあるようなCGを多用した派手なアクションシーンもあるものの、他作品に比べると抑えられている印象であり、むしろ『ヒーローウルヴァリン』ではなく『人間ローガン』を描かれてファン人気も高い1作。
カエル「自他共に認めるヒーロー映画音痴だけど、この作品は素晴らしかった……ヒーローが好きな人だったらすっごく痺れる思いをしたんだろうな。特にこれまで何年も演じてきたヒュージャックマンの、ウルヴァリンシリーズ最後の作品というのもあるけれど……」
亀「何よりも『英雄の最期』をしっかりと描いたことが素晴らしいの。
本作もまたヒーローの魂の継承の物語ということもできる。しかし、それ以上に現実と物語の関係性であったり、絶望の中にいる少女の心の中に存在する英雄の物語の力をまざまざと見せつけられて気分じゃ」
カエル「その意味では『怪物はささやく』と似たような要素もあるんだね。
もちろんヒュージャックマンをはじめとした役者も素晴らしいけれど、何よりもヒロインのダフネ・キーンの存在感が素晴らしかったよ! 恐ろしい怪物でもあるけれど美しい少女でもあって……彼女の存在が本作を1つも2つも盛り上げたんじゃないかな?」
亀「この作品の世界観をヒーロー映画やウルヴァリンでやる必要はないという意見もあって、それもよくわかる。どちらかといえばヒューマンドラマに仕上がっておるかの。
しかし、それはわしのようなヒーロー映画が苦手な人間であっても受け入れる幅をもたらして、多くの人の印象に残る映画に仕上がっておるとわしは評価する。
それまでのウルヴァリンを知らない人、ヒーロー映画が苦手な人にも是非鑑賞してほしいの」
第2位
ジーサンズ はじめての強盗
マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキンのハリウッドを代表する名優が勢ぞろいした作品。高齢者問題や貧困問題に苦しめられているおじいちゃん達がこの現状を変えるために立ち上がり、初めての銀行強盗へと挑む。
娯楽性の高いコメディー調の作品であるが、伏線なども効いており誰が見ても楽しめる作品に仕上がっていながらも、現代のアメリカをはじめとした世界中の先進国が抱える高齢者問題についてメスを入れた、メッセージ性もある作品。
カエル「誰が見ても楽しめる痛快娯楽傑作の登場だよ!
この名優3人の存在感は見事の一言! そしてキャラクター性も抜群だし、個性豊かなキャストを眺めているだけでも面白いよね!」
亀「その主演3人にどうしても注目が集まってしまいがちじゃが、本作が最も魅力的なのは計算されたバランス感覚にあると思うの。彼らは結局悪事を働くわけじゃが、それを行う理由や現代社会の闇をしっかりと描き、彼らなりの正当性を主張している。そしてこの強盗が如何に理知的なものなのか? というのも印象づけておるの」
カエル「ちょっとご都合主義みたいなところもあるにはあるけれど、それまでの悲惨な人生を考えたらこれぐらいの幸運はむしろあって当然じゃない? って思わせてくれる作品で!」
亀「コメディーとして仕上げてありながらも、高齢者の抱える問題はしっかりと描いておる。今年だけでも『私はダニエル・ブレイク』や『幸せなひとりぼっち』などのような高齢者を描いた傑作が世界中で続々と登場しておるが、問題の根幹は同じようなものじゃ。
これは世界一の長寿国と呼ばれる日本も他人事ではないじゃろう」
第1位
ハクソー・リッジ
メル・ギブソンが10年ぶりにメガホンを取ったアクション大作。第2次世界大戦の激戦の沖縄において、銃を持たずに敵、味方を問わず兵士を助ける姿を描く。
序盤はデズモンドの人生をしっかりと描きながらも、戦場に向かった後の壮絶な戦闘シーンは圧巻の一言。特にアメリカから見た日本兵がどれほど恐ろしい存在だったのかをしっかりと描き、どれほど強大な戦力差があろうとも、倒しても倒しても次々と突撃してくる日本兵の姿にトラウマになるという声も。
グロテスクな戦闘描写も多く、PG12ではあるもののこの手の描写が苦手な人はキツイ思いをするかも……
カエル「1位はやっぱりハクソー・リッジ! Twitterでも評判が非常によくて、公開初週なのにベスト10にいれている人も非常に多かったね!
アカデミー作品賞にもノミネートされていて、誰もが絶賛するというのも納得の作品だったよ!」
亀「本作は沖縄を舞台とした映画であるが、日本人は他の国の人以上に響く映画になったかもしれんの。戦う相手が日本人ということで、どちらに感情移入すべきなのかわからない、という意見もあったわい。
それだけリアリティの高い作品じゃったということでもあるのじゃろうな」
カエル「結構グロテスクな映画でもあって……辛いといえば辛い映画なんだよね。子供が見たらトラウマになるというのもわかるし……」
亀「作り込みが素晴らしいからこそ、物語は重厚なものであるからこそ、エンタメとして気軽には観ることができない作品になっておるの。
139分と若干長めではあるものの、一般市民オズモンドを描く序盤、軍隊学校時代を描く中盤、そして戦争シーンを描く後半と3段構成もしっかりしており、飽きることないように作られておるのではないかの。
ぜひとも鑑賞してほしい作品じゃな」
最後に〜総評〜
カエル「じゃあ、最後になるけれど……今回はちょっと特殊だから除外したけれど『宇宙戦艦ヤマト2202』と『キンプリ応援上映』も面白かったね!
映画としての楽しみ方とは少し違うかもしれないけれど、こちらもこちらでオススメだよ!」
亀「さすがに前作を見ないで2章から見たり、通常上映で観たりすると楽しみ方が全くわからんかもしれんがの」
カエル「それにしても、今年のアカデミー作品賞ノミネート作品は豊作だよねぇ。『ラ・ラ・ランド』や『メッセージ』も高い評価をされた作品だったし、多くの映画ファンを魅了したし……
6月 もちろん『ムーンライト』や『LION』もいい作品で、レベルが高くてどれが受賞作でもおかしくないんじゃないの?」
亀「好みが分かれるからどれが1番とは簡単には言えんが、上記の5作の中に絶対1作はお気に入りの作品が見つかるじゃろう。それは保証することができる。
ハイレベルな戦いが繰り広げられていたというのがわかるの」
カエル「で、誰もが言うけれど、日本公開時期をもっと早くしてほしいよね。あの熱狂を日本でも体感したい!」
亀「ハクソーリッジも興行的にはそこまで大ヒットではないようじゃしの。アカデミー賞の名前も一般層にはそこまで受けん時代になったものじゃな」
カエル「さて、これで2017年上半期にノミネートされた作品も決定! ではいよいよ各部門賞と作品賞の発表に移っていきます」
亀「すでに決定はしておるので、あとは書くだけじゃな……どれだけ時間がかかるかはわからんが、早く仕上げたいものであるの」