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物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『ゼーガペインADP』感想 総集編映画の概念をぶち壊す、新たな総集編映画の登場! 

アニメ 映画 アニメ映画

カエルくん(以下カエル)

「最近、アニメのリメイクというか……総集編がブームな気がするね」

 

ブログ主(以下主)

劇場版「ラストエグザイル-銀翼のファム-Over The Wishes」とか、まさかの映画化だったもんな。それほど大ヒットしたわけじゃないし、コアなファンは多いだろうけれどさ」

 

カエル「少し前だと『スクライド オルタレイション』が2作公開されたり『劇場版 TRIGUN Badlands Rumble』があったりと、10年、15年前の作品の総集編だったり、新規の映画化がちょこちょこ出てくるね」

主「それだけ人気のある作品だし、根強いファンがいるってことなんだろうな。あとは、当時のファンが社会人になってお金を落とす年齢になったことも影響しているのかね?」

カエル「今回語る『ゼーガペイン』もその流れにあるもんね。確かに今でも語られるような作品けど、一世を風靡したかと問われると、結構難しいしね」

主「 でも、この流れだと……2000年代の名作アニメが再び映画化、アニメ化の流れがきているかもな。『フルメタル・パニック!』も新シリーズの製作が決定しているし『デジモンアドベンチャー tri.』も始まったし、『蒼穹のファフナー』もコンスタントにアニメを制作しているし」

カエル「ファンにとっては嬉しい話だよね。あの作品の続きがみたい! って作品も多いし。『機動戦艦ナデシコ』とか、続きが今始まってもそれなりに受けると思うけれどね……

 それじゃ、感想を始めようか」

 

 

 

 

 1 ネタバレなしの感想

 

カエル「じゃあ、まずはネタバレなしの感想だけど……」

主「まずは、懐かしい思いとともに、あの頃とは違う魅力もたくさん詰め込まれていたよ。

 テレビシリーズが結構……言葉が難しいけれど『原石』みたいな魅力もあったわけじゃない? それがしっかりと磨かれてできたというか……」

カエル「はっきりと言えばCGと声優だよね

 

主「……そこを誤魔化していたのに

 当時としては革新的……とまで言うかはわからないけれど、挑戦としてロボットが3DCGで描かれていたわけだ。今となっては当たり前のことだけど、当時としてはそこまで一般的ではなかったように記憶しているけれど……

 まあ、このクオリティがね

カエル「もちろん、現代の『FF』とか『ガンツ』のような映画と比べるのはおかしな話だけど、それこそ『ファフナー』とか『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』みたいな CGを連想するとねぇ……『僅か10年弱でここまで進化したんだ!』ってなるよね」

 

主「端的に言えば、ほとんど動かない上に迫力もあまりなくて、結構爆発の演出を多用しているイメージもあったからなぁ。

 ただ、それが作品世界に……電子世界という世界観に、マッチはしているけれど、じゃあ絵として面白いのか? と問われると、あの当時でも微妙だったと思う」

カエル「でも今作はそれがグリグリと動かしてきたからね!」

主「10年経ったし、当たり前なのかもしれないけれどさ、あれだけグリグリと動く CGの戦いを見せつけられると、やっぱり当時からのファンとしては感慨深いものがあるね。

 現代に復活した意味があったんじゃない?」

 

blog.monogatarukame.net

 

 

声優陣について

 

カエル「そして何よりもこの作品を語る際に外せないのが、声優陣について。特に、今をときめく人気ナンバー1と言っても過言ではない女性声優、花澤香菜の初ヒロイン作としても有名だよね

主「当時まだ女子高生だった花澤香菜が出ていて、声優としては2作目、しかも1作目の『LAST EXILE』は名前こそあるけれど、ほぼ出番がないようなキャラクターだったから、実質的にはこれがデビュー作と言ってもいいかもしれない。

 そんな作品だけど……なんというか、演技が慣れていないんだよ

カエル「結構今でも語り草になっているけれど、多分あまり声優に興味がない人でもわかるくらいの演技力だったもんね」

 

主「ただ、その分声質の良さっていうのはすごく引き立っていて、それは主役の浅沼晋太郎も同じでさ……主役級の2人がそこまで慣れていなかったことも、荒々しい魅力を生んだ要因だと思う

カエル「それが当たり前だけど今作ではすっごく上手いからさ……時の流れを感じるよねぇ」

主「ここも感慨深い。だからあの第一声を聞いた段階で、その当時から見ていたファンは特別な思いにかられるよね。

 ただなぁ……個人的にはあの時代の花澤香菜の演技も好きだったけれど……」

 

カエル「まだこなれていない感じが?」

主「そうそう。自分の中ではベスト・オブ・花澤香菜の演技って『スケッチブック full color's』なんよ。初主演作だけど、ここでもまだこなれていない演技だったけれど、その初々しさがまたなんとも言えない魅力を引き出していてねぇ、キャラクターとすごくマッチしていたからさ」

カエル「……声優の話だよね?」

主「もちろん、声優の話だよ」

 

以下ネタバレあり

 

 

2 『総集編』ではない『総集編』

 

カエル「じゃあ作品の内容について語っていくけれど……どうだった?」

主「……まずは言い訳から入るけれど、自分はもちろんテレビシリーズも全話見たし、何なら DVDを借りて全話見直したくらい好きなんだよ。

 だけど、それがすでに……どれくらいだろう、多分5年は前の話でさ。大筋は覚えているけれど、細かいところはほとんど覚えていないのね。だから、この作品を単なる総集編だと思って見に行ったら、すごく戸惑った

カエル「そうだよねぇ。単なる総集編じゃないもんね」

 

主「まず、『あれ? こんなキャラいたっけ?』となり、話が進むにつれて明らかに出ていないはずのキャラクターが出てくるわけだ。

 この時点では『総集編オリジナルキャラクターかな?』って思っていたの。スクライドでもそのネタはあったしさ、まあ、そんなものかって。でも、ある瞬間にふと気がつくんだよね。

『あのキャラクターがいない?』って。その時点で大混乱だよ

カエル「キャラクターの設定もだいぶ違うように見えたからね。特に、キョウがさ、あんな性格だっけ? ってなるわけじゃない」

 

主「でも、既視感のあるシーンは確かに出てくるの。そしてテレビシリーズのキャラクターも普通に出てくる。そう考えると、こっちの記憶が鮮明でないからなのか? という気もしてくるわけだ。

 そしてそのまま話が進むけれど……途中でまた違和感があるんだよね」

カエル「今度は何?」

主「展開が早すぎるんだよ。普通は総集編って1話から順繰りとやるはずなのに、いきなり数話分飛んでいるような気がしてさ。もっと、大事な場面があったりとかもするはずなのに、いきなりゼーガペイン特有の、ループが始まるわけでしょ? そしてそれをキョウがあっさりと受け入れているという。ここでようやく気がついた。

『これ、総集編ではない?』って」

 

総集編の概念の破壊

 

カエル「これはゼーガだからできることだよね。ループもので、永遠に終わらない1学期を生き続ける、という設定だからこそできたお話で、しかもテレビシリーズでも語られていることだし」

主「画期的だよ。総集編には間違いないんだよ。だけど、その総集編はテレビシリーズの過去のことなんだよね。

 アフレコもやり直しているから、そこに合わせて構成とか台本をいじって、新規カットで繋いで……という手法で、総集編だけど全く新しい物語を作るということに成功している。そこは面白い試みだったよ」

 

カエル「だからこそ、そこを理解するまでにどれだけ時間がかかるかによって、作品に対する印象も変わるかもしれないね」

主「当たり前だけど、意図的に改変されているからさ。キャラクターとかがテレビシリーズと……一部に関してはまったく違うわけだから、そこへの違和感にどれだけ早く気がつくか、というのも感想に関わってくるかもね。

 だから、総集編と思って見に行った人ほど、驚くというね」

 

 

3 一本の映画としてみた場合

 

カエル「そして総集編ものの宿命でもあるけれど、一本の映画としてみたら……違和感はあるよね

主「これはもう仕方ないことなのかもしれないけれど、基本的に展開が早い。特に序盤はゆっくりと日常を描いていたけれど、後半になると走っているんだよ。

 特に文句があるのが、感動的なシーンになるはずの場面がいくつかあるんだけど、そこが素早く処理されているから、あまり感動的にならない。本来はそこに繋がるまでのドラマがもうすこしあってもいいはずだけど、それがないから、そのシーンが浮いちゃっているように見えた」

 

カエル「特に新キャラの扱いはねぇ

主「総集編で時間がシビアなのはわかるけれど、だったら削る方向にしないと新キャラを出した意味とかがわかりづらくなるんだよなぁ。あとは、シズノとの関係を示す、すごく大事な場面がサラリと流されていることとか。これだったら、もうすこし話を絞っても良かったんじゃないかな?

 あとは、これはゼーガの特徴でもあるけれど……話がわかりづらいんだよね」

 

カエル「元々特殊な世界観に加えて、専門用語も多いしね」

主「当時テレビシリーズを見ていてもわからない部分が多かったけれど、その時のことを思い出したかな。

 専門用語が飛び交う上に、展開もスピーディ、さらに上記のように総集編と思わせといて……という仕掛けもあるから、そこについていくのは結構難しいよね。テレビシリーズを見ていると単語の意味はわかるけれど、総集編として今がどこのシーンをやっているのかとか、この戦いの目的は? などを考えながら見ているわけだから、結構ゴチャゴチャになりやすいと思う」

 

カエル「その意味でも2回目に観に行くと、ある程度整理されてお話が理解できるかもね」

主「DVDを売る戦略としては、上手いよなぁ……」

 

 

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鑑賞後に……

 

カエル「あとは音楽についても触れておこうか」

主「やっぱりゼーガといえば独特の音楽のセンスだと思うけれど、テレビシリーズも新居昭乃がOPで、ROCKY CHACKが EDだったわけじゃない? その雰囲気も良かったけれど、本作もそれは変わらずだな。

 ただ、一つだけ……文句というか、これはファンの要望があるんだよね

 

カエル「なになに?」

主「やっぱり、この作品の EDは『リトルグッバイ』にして欲しかったかなぁって思いもある。もちろん、新居昭乃の音楽もいいよ。新曲を使う意味もよくわかるし、作品制作としてはそれが正解だとも思う。

 だけど、この作品の主題というか、キョウとシズノのことを考えたら、やっぱりリトルグッバイの方が聞きたかったなぁって思いはある

カエル「映画を見終わった後にヘビロテしちゃったもんね」

主「この曲の歌詞と作品がマッチしているんだよね。だからこそ余計に、この曲で終えてくれたらファン補正も含めて大絶賛したよ」

 

 

最後に

 

カエル「文句が多いようだけど、基本的には満足だよね」

主「何せゼーガの新作なんて夢にもあるとは思わなかったからなぁ。結構いろいろと解釈ができる作品でもあって、粗はあるけれど面白い作品だし、その粗すら愛おしいというか。完全にファン補正がかかっているけれど」

カエル「2000年代の雰囲気がよく出ているよね。萌えブームが訪れるちょっと前の作品かな?」

主「こう言うアニメが夕方くらいにやっていたんだけど、今じゃ間違いなく深夜になるだろうし、多分埋もれていくんだろうな」

 

カエル「でも、続編も作られるんでしょ? 監督は意欲があると言っていたけれど……」

主「ここからの続編ってどうするんだろうな? 一応、ある程度綺麗に終わっているし、ここからやることなんてそうそうないようにも思うけれど」

カエル「それも含めて楽しみじゃない?」

主「しかし……ループものといい、CG技術といい、やっぱり早すぎた作品なのかもね」

カエル「今発表したら、どう変化するんだろうね? その想像も面白いね」

 

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