カエルくん(以下カエル)
「えー、では劇場公開されたアニメ作品2作品について語っていこうと思いますが……最初に言っておきますと、結構な辛口になってしまうということなので、ご了承ください」
亀爺(以下亀)
「熱いファンが多い作品でもあるのに、中々思い切ったことをするわけじゃな」
カエル「なので主は逃げ出しました。
今回はこの2人で記事をお送りします」
亀「……それなら書かないことも選択の1つではないかの?」
カエル「まあ、そうなんですけれど……一応アニメ映画をメインに取り扱うブログではありますので、語っておきたいことなども多々あって……
それから、先にいおっておきますと刀剣乱舞も曇天に笑うもアンチというわけではないです」
亀「刀剣乱舞についてはアニメも見ておるからの。
熱いファンが多い作品だけに、言葉は慎重にならざるをえないからの」
カエル「元々悪いことを言ってやろう! という気持ちがあるわけじゃないんだけれどねぇ……
では侍をテーマにしたアニメ映画2作の感想記事を始めましょう!」
刀剣乱舞 花丸 幕末回想録
作品紹介・あらすじ
刀剣を擬人化し、イケメンキャラクターにすることで女性を中心にヒットしている『刀剣乱舞』のテレビアニメ『刀剣乱舞 花丸』の1期総集編映画。
2016年に放送された全12話を再構成し、2時間に収めた作品。また、本作から第2期の「続『刀剣男子 花丸』」へと繋がっていく回想録になっている。
劇場版総集編 アニメ『刀剣乱舞-花丸-』~幕間回想録~ 本予告
感想
カエル「というわけで、まずは刀剣乱舞の感想から始めるけれど……Twitterの短評はこうなっています」
刀剣乱舞の映画を鑑賞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2017年12月2日
いや、タイトルにあるけれどまじで花丸の総集編なんだ……
キャラクターメインの作品なのはわかるけれどわちゃわちゃしすぎ
うーむ……ファン向けなのはわかるが、モヤモヤする……
カエル「う〜ん……言葉に困る作品ではあったかなぁ」
亀「刀剣乱舞のアニメには2種類あって、花丸はギャグやキャラクターの魅力をアピールするのが目的の作品のようであり、確かに30分の作品としてみた場合に入門としてはゆるりとしていていいのであるが……今回総集編映画として公開したことによっての工夫があまり見られなかったというのが、正直なところじゃな」
カエル「『花丸の総集編? ギャグ中心なのにどんな話になるんだ?』という感じだったけれど、本当に花丸の総集編だったしね。
ファン向けの作品であるとはいえ、さすがにこれは……という思いがあるんだよね。もちろん、作品自体が悪いというよりは……映画で総集編として構成する上で、これはあまりにも不親切すぎるだろうという困惑というかなぁ」
亀「別に総集編映画そのものが悪いわけではない。
例えば今年公開した『劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ』はテレビシリーズの前半を大幅にカットして、映画として約2時間に収めるように再編集されておって、初見の方でも楽しめるような配慮をしておった。
また『コードギアス 反逆のルルーシュI 興道』は長いストーリーを若干走りながらも、それでも違和感が少ないように新規カットを交えながら見事な構成をしておる。さらには過去には『ラーゼフォン 多元変奏曲』という作品ではテレビシリーズとは違うように構成し、わしなどはシリーズ初見で鑑賞したが、それでも十分に楽しめる作品になっておった」
カエル「まあさ、そりゃファン向けの映画だということはあるにしても……ちょっと物語としての軸が弱いし、キャラクター数が多すぎて逆にワチャワチャしてしまって、キャラクターの魅力が伝わってこなかった。
結局、何が見せたかったの? ということに繋がってくるんだよね」
亀「キャラ人気の強い作品であるというのはわかるがの……
これはアイマスや艦これなどもそうじゃが、現代のソーシャルゲーム由来作品特有の問題かもしれんな」
1期OPのうまさ
カエル「でも、決してつまらない作品とか、クオリティが低い作品というわけではないんだよ。
2016年と比較的新しい作品ということもあるし、かなり力を入れていたタイトルだからさ、確かに映像のクオリティは高い」
亀「それを象徴するのが、今作の元になった『刀剣乱舞 花丸』の OPじゃの。
この作品も鑑賞しておったが、このOPを手がけたのが名アニメーターであり、数々の素晴らしいOP,EDを作ってきた梅津泰臣であるが、その味が発揮されておった。
このOPでは安定と清光が2人で踊っておるが、それがいい味を出しておる」
カエル「言葉で説明すると難しいけれど……途中まで2人の踊りはあっているんだよ。だけれど、決めポーズの左手を上げるところで、清光が芯の通った体で小さく左手を上げているのに対して、安定は大きく左手を上げている。それによって、体の軸がぶれてしまって、その次のしゃがむ動作が遅れてしまう。
だけれど、そこを大きく体を沈み込ませたりとすることで、ダイナミックな動きの安定と、細かく安定している清光という演出がされているんだよね」
亀「これは踊りの魅力を引き出すだけでなく、それだけでそのキャラクターの性格を説明しておる。
清光が次のことも考えている冷静な性格に対して、安定は少しお調子者というか、元気のいいタイプであるという対比になっておるの」
カエル「細かいことだけれど、このような演出が多くできる作品だからこそ、ちょっともったいないなぁ、と思うところが多いのかもね」
クオリティについて
カエル「今作もクオリティ自体はそこまで悪くないんだよ。
確かに劇場で見るレベルですか? と言われると、クオリティの高いテレビアニメクラスではあるかもしれないけれど……でもつまらなくはない」
亀「だからこそ、このワチャワチャした編集が少しもったいなく思うのかもしれんの。
もちろん、本作は2週間限定上映ということもあり、ファン向けであることは誰もが理解している。最近はこの手の作品が増えておるし、特に女性向けのコンテンツは一度ファンがつくと根強い応援をしてくれることもあり、この手の作品が増えておることも理解しておる。
だからこそ、もっとうまく作れば初見でも楽しめる傑作になるのに、勿体無いという印象じゃな」
曇天に笑う 外伝 決別、犲の誓い
作品紹介、あらすじ
明治時代を舞台に襲い来る大蛇との対決を描き、テレビアニメ化の他にも来年に実写映画が公開されることも発表されている漫画『曇天に笑う』の前日譚と後日談を扱った『曇天に笑う 外伝』を劇場アニメ化した全3部作の第1弾。
制作は『進撃の巨人』などを手がけるWIT STUDIOが担当し、演出なども担当したことのある若野哲也が監督を務める。テレビアニメ版のキャストを続投し、中村悠一などの人気声優が名を連ねる。
300年に1度目覚めて大きな災いをもたらす大蛇を討伐した一行。岩倉具視の指示の元、活動していた面々であるが、その役目も終えて解散することが決まっていた。
昔はメンバーの一員であった天火の元にもその一報が舞い込む。そして思い出すのは父、大湖の元で訓練を積んでいた過去のことであった……
感想
曇天に笑う
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2017年12月2日
こっちも不満タラタラ……というか3部作だったのね
なんていうかさ、劇場でやる意義って何なのって話でOVA作品でも1時間半はかかったり、一定以上のクオリティがあるば納得できるけど……
本作は魅力が見えなかったかなぁ
カエル「というわけで、なかなか文句の多そうなTweetだけれど……元々原作もアニメも知らないで観に行った人間の感想だということは、知っておいてください」
亀「そもそも、この作品があることも知らんかったからの」
カエル「映画館の予告を観て『あ、こんなアニメがあるんだ』と知り、そして実写化を知って『人気がある作品なんだな』と思ったからねぇ。
しかも3部作だということも知らなかったし……」
亀「予告などでも3部作ということはあまり強調していなかったように思うの。
外伝とついているから後日談か、もしくは総集編ということはなんとなく予想できたが……」
カエル「実際、50分の作品ということも知らなくて……いや、調べろよ! と言われたらそうかもしれないけれど、ちょっと面食らったところはあるかなぁ。
で、実際見てみると……いや、悪いとは言わないけれどさ……」
亀「難しいものじゃの。
こちらもテレビアニメや原作を読んでいることが前提の作品じゃったからの。
もちろん、今時の劇場アニメはそのような作品が多いのもわかるが……先に挙げた作品のように、何も知らずに本作を見ても楽しめるような工夫がしてあったかというと、それは全くなかったと言わざるをえないかの」
映画館で上映する意味
カエル「これって他の作品もそうなんだけれど、何で映画館で上映するのか? と訊いたら、それは『儲かるから』以外の理由がわからないんだよねぇ」
亀「例えば同じファン映画で、初見置いてけぼりだった『劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel I. presage flower』などは、その圧倒的な映像と音楽のクオリティで家庭用のテレビでは勿体無い! と思わせるほどのエンタメ性を確保しておった。
しかし、本作は音楽や映像のクオリティも、正直テレビアニメとそこまで遜色ないの」
カエル「これって本作だけの問題じゃないんだよねぇ。それだけの超絶クオリティで見せてくれるならともかく、普通のテレビアニメのクオリティくらいで劇場で何章も公開したり、50分などの比較的短い尺の作品を上映する意味って……ファンへのお金儲け以外の理由が果たしてあるのだろうか?」
亀「別にそれ自体が悪いというつもりはないが、正直、本作は劇場で見る価値があるとは全く思わなかったの
。OVA作品を劇場で流しているだけであって……しかも、それも『デジモン』や『ヤマト』のようなメインの物語であるならば納得もする。
しかし、本作はあくまでも後日談や前日談であり、しかも単体の作品としても完成していない。
さすがに本作はあまりにも誠意がないのではないか? という不満が残ってしまった形じゃな」
カエル「う〜ん……でもこれってこの作品だけの話じゃないんだよね。
これから公開する『ガールズ&パンツァー 』だって同じようなものでさ。そういう作品が結構増えてきている。今のアニメ業界は儲からないから色々と工夫をしてきているのはわかるし、その流れ自体は反対しづらいけれど……」
亀「簡単に言えば不満は二言に集約されるの。
『劇場で公開するならばそれなりのクオリティは確保してくれ』
『1作の作品として完成するか、章で分けるのであっても本流の物語を見せてくれ』
ということじゃの」
最後に
カエル「え〜、今回は厳しい論調が並んでしまいました……特に『曇天に笑う』はファンしか見ないことを差し引いても、ちょっと擁護ができない作品でもあって……」
亀「正直、ファンDVDや原作コミックへの付属品、もしくはネット配信限定にしてもいいのではないか? というのが本音じゃな。
まあ、コミックが完結しているから……というのもあるのかもしれないがの」
カエル「でも熱烈なファンだったら大満足なのかもしれないよねぇ。実際、この手の作品は原作などを好きか嫌いかで評価が真っ二つに割れるし、その点ではこのブログで絶賛した作品が『初見には辛すぎるだろ!』という感想を抱かれていても何もおかしくないしさ」
亀「難しいところじゃのぉ……」
カエル「売り上げも確保しなければいけないしねぇ。劇場が嫌がっているわけじゃなければ、別にいいのかなぁ。
それを承知で見に行ったんじゃないの? と逆にこっちが怒られるかもしれないし……」
亀「……本来映画はその作品だけで完結しているのが普通だと思うのじゃが……今はそれが理想になってしまうのかの」