カエルくん(以下カエル)
「今回はいよいよ最新刊が発売した血界戦線の話だよ!」
ブログ主(以下主)
「……おう」
カエル「主は血界戦線が大好きというよりも、内藤泰弘作品が大好きだもんね! 『トライガン』もそうだし、キャラクターデザインを務めた『ガングレイヴ』も大好きだし!」
主「……まあな」
カエル「……何でそんなにテンションが低いのさ? 楽しみにしていた内藤作品の最新刊でしょ? もっと喜ばなくちゃ」
主「いや、とうとうこの時が訪れたんだなぁって思ってさ」
カエル「この時?」
主「血界戦線のアニメがいかに原作ファンの神経を逆なでしたか、語る時が……」
カエル「……2期を楽しみにしている人も多いわけだしさ、あくまでも個人の感想ということで、よろしくね?
ちなみにこの記事は2巻の感想の記事に3巻の感想を付け加えて手直しした記事となっているので、2巻の感想もセットになっております」
1 原作ファンから見たアニメの評価
カエル「……じゃあ、まずは原作ファンから見たアニメの評価を、簡単に書いていってね。あ、お手柔らかにね。
1期放送中は怒りを表明していてたけれど……」
主「今は言うほど憤りもないよ。
当時はもう『なんだこれは! 主を呼べ!』って海原雄山状態だったけれど、今はもう孫ができて丸くなった雄山状態だから。これはこれでいいかなって印象」
カエル「なんでそんなに反感を持ったのさ? アニメも結構ヒットしたじゃん」
主「作品の内容がねぇ。
分かりやすいとは思わないけれど例えるならさ、原作は『汚い店の気のいい親父が作る、ボリュームの多いカツ丼』だったんだよ。時々ふらりと入って、カツ丼をがっつり食べて、よっしゃ、美味かったぜ、親父さんご馳走さん! なんて言ったらニカって笑うような熱い店。
で、その親父さんが別の店を出したっていうから行くじゃない? そしたらさ、おしゃれな雰囲気でいい感じにBGMがかかって、いらっしゃいませなんて給仕が頭を下げながら『豚のミルフィーユフライ〜ブルゴーニュソースを添えて〜』なんて料理がちょっこっと出てくる店だったのよ。
いや、味は美味しいかもしれないけれどさ、こっちはカツ丼の腹づもりでいるのに、なんで豚のミルフィーユフライが出てくるのよ?しかも見知った小汚いサラリーマンや土方のにいちゃんはあまりいなくてさ、カップルとかが『美味しい!』なんて写真パシャパシャしているんだぜ?」
カエル「……なんだか例えることで逆にわかりにくくなってない?」
主「そうかね? ファンとして個人的に血界戦線に望んでいたのはその熱さであってさ、決しておしゃれな雰囲気ではなかったんだよね。だけど、そっちの路線で成功しちゃったもんだからさ、もう『こんなのは血界戦線ではない!』ってメロス並みに激怒した。
まあ、今ではあれはあれで良かったのかなって印象もあるよ。個人的にBUMPの『Hello,world! 』もユニゾンの『シュガーソングとビターステップ』も大好きだし、確かにOP,EDは最高だったし、OSTも買っちゃったし。アニメと漫画はまた違うし」
カエル「……結局は好きなんじゃないの?」
主「素材は大好きだから。料理の仕方が気に食わないだけで。
血界戦線が成功したのは音楽の力だよ。それはOP,EDもそうだし、岩崎太整にサントラも抜群に良かった。2期だって岡村靖幸ということで、さらにオシャレ感を増してくるんでしょう。
オシャレアニメは嫌いじゃないけれど、それは血界戦線に望んでいない、というのが個人的な思い」
2期の血界戦線BEYONDについて
カエル「じゃあ、2期についてはどんな印象を抱いているの?」
主「……これがまた難しいところでさ。
監督交代による原作寄りになったし、バランスがおかしいだろうと思われていたことは改善している。前は話が走りすぎていたり、カットするセリフや緩急がおかしかったり、キャラクターもザップばっかり贔屓されて、チェインとか全く出てこなかったことが気に入らなかった。群像劇なのに! って。
結局は音楽と声優でごましているだけじゃん! って気分でもあった。
でも、こうやってみると不思議なことに……デタラメながらも勢いは1期の方があったんだよね」
カエル「今回の人気がどれほどのものかはわからないし、1期と比べて2期の方が盛り上がる作品も考えてみれば稀有な気もするけれどね」
主「そこいら辺が難しいなぁ、というのを知ったよ。バランスがおかしいからこそ生まれる勢いとか、エネルギーってものはある。
ただし、全体的にまとまっているのは間違いなく2期だし、原作ファンとして望んでいたのも2期の方だろう。1期でやるべき各キャラの魅力や掘り下げなどもきっちりとやっているし……」
カエル「1期で重要な物語を描き切ったからこそ、2期はそこしか残っていないというか、キャラの深堀に舵を切れたとも言えるけれどね」
ホワイトについて
カエル「……ちなみにホワイトに関しては?」
主「……これはもしかしたら他の原作ファンと違うところかもしれないけれど、自分は2期でホワイトが出てきてもいいかなぁ、という気持ちもある」
カエル「あれ? 蛇蝎のごとく嫌っていたんじゃないの?」
主「1期はね? 本来のヒロインであるミシェイラの出番を完全に奪っていて、原作レイプもすぎるわ! と思っていたけれど……今はそこまで思っていない」
カエル「気持ちが変わったんだ……」
主「というよりもさ……変な話だけれどレオが『ホワイトなんていらないでしょう』って言わない気がする。
このなんでもありで滅茶苦茶な世界であることが日常の世界である作品において、異物だから、原作と違うからといって排除していいものか? という思いもある。
『お前、ミシェイラと被るんだよ!』ってちょっと文句を言いながらも、受け入れるのが血界戦線の物語のあり方として正しいような気がするんだよね」
カエル「多様性を描いた作品でもあるからね」
主「レオの最大の武器って神々の義眼のように思われるけれど、実はそうじゃないと思う。レオは最後まで人を信用するし、諦めないところが最大の魅力であり武器のキャラクターだ。
だから1話において音速猿に危害を加えない方向で結果的に世界を守った。
クラウスは人を信用しすぎるし、ザップなどのHLの人物は疑いすぎる。
だけれど、レオは人の本質を見抜く力があるんだよね。
犯罪者でもクズ野郎でも町のいじめられっ子でも、誰でも簡単に友達になるのがレオの魅力であり、いいところなんだからさ。
それでホワイトだけ仲間はずれですってのも……何だかなぁという思いがあって……まあ、1話2話くらいちょっと顔だして会話するくらいなら、確かに可愛いし、いいキャラクターでもあるしというので、別に出してもいいのかなぁ? という印象だね」
2 血界戦線B2Bの感想
カエル「この一時休載というか、仕切り直してからの連載再開もまた内藤作品らしいよね」
主「やっぱりトライガンを思い出すよな。内藤ファンとしては」
カエル「その割には特に大きくストーリーは進行しないというね」
主「誰もが言うけれど、これは『異世界の日常系』漫画だからね。
確かにレオの目とか、ブラッドブリードとか、奥にウジャウジャといる連中の話とかはまっっっっったく進行していないけれど、それらの話もやろうと思えば一話完結を少しだけ……三話くらいで出来ちゃうと思うんだよね」
カエル「そんなに早くできる?」
主「風呂敷の広げ方次第。今の所さ、堕落王フェムト以外にライバルらしい敵はいないわけじゃない? そのフェムトですら遊びでしかないし。そう考えると、絶対に倒さなければいけない大きな敵という存在が現在はいないんだよね。
だから大きなドラマを作らなくていいし、作れないんだよ。最終目標はあるけれど、そこに至るまでの道筋がないから」
カエル「そうね。トライガンで言うところのナイブズもGUNG-HO-GUNSも登場していないからね」
主「味方はたくさんいるけれどね。トライガンの『たくさんの敵に数少ない仲間』とは違う作劇が求められるし」
2巻の主役はスティーブンとチェイン
カエル「血界戦線は巻ごとに主役となる人物が違うのも面白いよね」
主「そうね。一応主役はレオとクラウスだし、一定の活躍はするけれど、毎回スポットを浴びる人物は違うしね」
カエル「この巻では特に上記の2人が活躍したね」
主「特にチェインはアニメと漫画で扱われ方が全く違かったし。結構漫画だとヒロインではないにしろ、女性キャラの中では一番出番も多い割に、アニメだとほとんど活躍もしなかった印象がある。というか、ホワイトに食われたか。
でもチェインは相当可愛らしいキャラクターだと思うけれどね。ザップとのコンビもいい感じだし、ザップがあれほど出ているならば、生かし方もあったと思うけれどなぁ」
カエル「この巻でいうと『亀男!』って言っているミシェーラも可愛かったよね。責めているようで、その顔はただ楽しんでいるだけていうさ」
主「ひとつ間違えると悲壮感を醸し出してしまうようなキャラクラーなんだけど、それを見せないようにするのがすごくいいよね。可愛らしくてさ」
カエル「そして何よりもスティーブンの冷酷さとその心情もまたいいね」
主「この作品ではナンダカンダ言って……甘ちゃんというか、クラウスをはじめとして『いい人』が多いからさ、その意味ではこのキャラクター設定がすごく生きるね。かっこいいわ」
カエル「……さてと、あとは何を語る?」
主「結局は日常系だからそこまで語ることもないしなぁ。クラウスの交渉旅に付き従うのがまさかのKKで、割と普通に奥さん感が出ているのが面白いとしか……あの人、人妻なのにね。
脇役たちのキャラクター性もすごく良くて、大きな枠の物語性はないけれど、1話1話で引き込むことができる……日常系というとホワホワした何てことのない日常を見せる作品も多いけれど、この『バトルあり、異世界あり、バイオレンスあり』の日常系として、良い作品だよね」
3巻の感想
カエル「そして3巻だけれど……」
主「この漫画、終わらせるつもりがあるのかなぁ? って思いもあるよ。ここに来てさらに設定を広げてくるとは……」
カエル「今回は長編だったね。相手も相当な手練であり、しかもとんでも兵器であって……」
主「あいかわずゴチャゴチャして何が何だかわからんけれど、それでも読みきらせてしまう勢いがあるよね。しかも出てくる敵が『次元怪盗ヴェネーノ』なんて魅力的なキャラクターで!
彼は好きだなぁ……また再登場して欲しいけれど、もう難しいかなぁ」
カエル「一応ネタバレはあまりしない方向なので濁しながら記事を進めております。
そして何よりも、いよいよあの人が再び登場したという!」
主「あのシーンはしびれたね。確かにあいつならばこのとんでも兵器に立ち向かうこともできるだろうけれど……
しかもその対決方法がまたね! どんだけ異次元なんだよって……これ、どうやって収拾つけるのかね?」
カエル「敵もたくさんいるしねぇ……その上であの道具の存在が出てきた以上、風呂敷は広がる一方だし……案外ドタバタの日常で終わるんじゃない? 敵を全部滅ぼしておしまいですよって話でもないんじゃないかな?」
主「う〜む……どうなるのか全く想像ができん……
いろいろと言ったけれど、このノリと勢いが大好きだよ」
そういえば、4巻は全く登場してない2人が表紙なのか……
4巻の感想
カエル「続いて4巻の感想だけれど……」
主「まず、Angry Young Mermanが最高だった!
内藤泰弘って確かにアメコミみたいなバカでたノリと勢いで書いているけれど、その根底にあるものって『弱者への思い』みたいなものがあるんだよね 」
カエル「前作のトライガンなんて特にそうで、誰も傷つけず暴力に頼ることなく、敵であっても救いたいという作品だからね。それがバッシュの最大の魅力にもつながっていって」
主「このお話なんてかつて日本であったことじゃない。もしかしたら、まだ残っているかもしれない。ハンセン病とかで偏見を抱えて差別されてきた世界。
それこそ、映画監督の河瀬直美が名作『あん』で描いた世界だよ。
社会の中でもがき苦しむ弱者への救済であったり、偏見などに苦しむ中での横暴な人間に対する怒りなどを描いてきた漫画家でもある」
カエル「トライガンの中でもホッパード・ザ・ガントレットなどの敵の描写などに似たような思いが感じられるよね……」
主「それこそ血界戦線って異形という名のこれ以上ない多様な社会でもあるわけで……娯楽作の中にも社会性やテーマ性を含ませるには最適な作品でもあるわけだ。
単なるゲラゲラ系のアクションかと思いきや、そうではない……そこに内藤泰弘の味があるのだろう」
カエル「もう1つ書いておきたいのが次元血統だけれど……」
主「いや、再登場してくれたね! しかもさらに魅力を上げて!
これは雑誌で読んだ時から『ザ・コンサルタント』に影響されてるな!』と思ったけれどさ!」
カエル「絶対内藤泰弘はこの作品好きだよね。
さすがにベン・アフレックってわけでもないけれど……どことなく設定が似ているし」
主「しかも萌えキャラ化してきて!
これはこの先も楽しみなキャラクターが出てきたなぁ……まあ、結構出てきてはそのままフェードアウトにもなりがちな作品でもあるけれどね。
それとあのホテル内のギミックとかが、なんとなく『ガングレイブ』のゲーム版などを思い出して懐かしくなったかな」
最後に
カエル「追記追記でついに4巻の感想まで来ました。最初とは厚さが全然違うね」
主「前回の記事の更新が1年ぶりだけど、今回は刊行速度が速かったな……まあ、アニメ化のタイミングに合わせてとかもあったんだろうけれど」
カエル「アニメ化で1番盛り上がっているタイミングで逐次投入してきたね。さすがにこの後はしばらく止まるだろうけれど……」
主「ようやく血界戦線の記事もそれないの厚さがある記事になってきた……漫画記事は更新が大事だわ」
カエル「以前は『深い意味なんてない』って書いていたけれど、今回は180度違うことを言っていて……巻によって味わいは違うけれど、この変わり身の早さがなんとも……」
主「朝令暮改が自分のウリですから。
次の巻では『ゲラゲラ漫画だから』とまた戻っているかもしれないし」
カエル「……まあ、それも間違いではないんだろうけれどさ」
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