カエルくん(以下カエル)
「いやぁ〜夜の新宿というのも、中々に乙なもんだよね」
ブログ主(以下主)
「……………」
カエル「やっぱり、都会は夜も一つ違うよね。なんというかさ……街の中だけじゃなくて、道を歩く人すらも違って見えるよね」
主「…………ょ」
カエル「え?」
主「……怖いよぉ……
都会怖いよぉ……夜の歌舞伎町、怖いようぉ……」
カエル「え? あんた、今何歳なのさ? 子供じゃあるまいし……」
主「子供じゃないから怖いんだろうが! 子供だったら少しは加減してくれるかもしれないけれど、大人相手なんて全く容赦がないだろう! あれだ、怖いお兄さんに裏路地連れて行かれて薬を買わされるか、美人なお姉ちゃんに店に連れ込まれて、裏から怖いお兄ちゃんが出てくるんだろ!」
カエル「……今時テンプレすぎる怖い新宿イメージだね……自分からついていったり、危ないところに行かなければ、そこまで怖い街じゃないでしょ?」
主「しかもほぼ終電間近の夜の新宿だよ……怖いよぉ」
カエル「まあ、そんな冗談は別にして……今回取り上げるアニメ(ーター)見本市は新宿バルト9と、梅田ブルク7しかやっていない上に、新宿の場合結構深い時間に多くやっているからねぇ」
(『アニメ(ーター)見本市』が正式名称ですが、この後は『アニメーター見本市』に統一させていただきます)
主「夜型のアニメーター向けの時間帯って言われているけれど、それもわかるなぁ……あとは、こういう映画を見る熱心なアニメオタクはどの時間でも観に来るからっていうのもあるのかもね」
カエル「まあ、それは仕方ないか……
じゃあ、アニメーター見本市と、『機動警察パトレイバーREBOOT』の感想を書いていくよ」
1 アニメーター見本市とは?
カエル「じゃあ、まずは簡単にアニメーター見本市について説明しようかな」
主「すっごく簡単に言えば、作家性の詰まった短編アニメーションの発表の場だよね。
当たり前といえばそうだけど、テレビとかで放送されるようなアニメは商業用だから、誰でもわかるようにしなければいけない。じゃないと、売れないからね。だけど、短編であれば作家性、先進性のある作品を出しやすいってことだね」
カエル「日本じゃあまり馴染みがない短編アニメーションだけど、独創的な作品って実は多いよね」
主「今でもニコニコなどの動画配信サイトで素人が作った作品がアップされていたりして、中には目を見張るような作品もあったりして面白いんだよね。それこそ、今をときめく新海誠や、今回のパトの監督をする吉浦康裕は自主制作アニメ出身だし、本当はもっともっと注目されていい分野だと思うよ」
カエル「作家が短く好きなことをできる分野でもあるしね。一時期は……それこそ2000年代初めは、個人でアニメを作る時代になると言われていたし」
主「さらにアニメーターの待遇はあまり良くないし、活躍の場も限られていることが問題視されて、今でも色々と発表の場を作り始めてきた。
例えば『デス・ビリヤード』やこれからテレビアニメも放映される『リトルウィッチアカデミア』を生み出したアニメミライプロジェクトもその一環で、こちらは官が主導のプロジェクト。
一方のアニメーター見本市はドワンゴとスタジオカラー……つまり川上社長と庵野秀明が中心となった民間主導の短編アニメーションを発表の場といったところか? 制作スタジオも一部の制作会社が多い印象だね」
カエル「短編中心だから、クリエイターも好きなことをしているし、コアなファンがそれを見て楽しんでいるんだね」
主「商業用の長編アニメとはまた違うアニメの形で……それこそ今期の『ユーリ!!! on ICE』の原型となる作品もあったりして、こういうところに新しい表現があるんだなぁと思ったよ。元々短編って洋の東西を問わず、尖った作品が多いけれどね」
カエル「過去の名作や外国の名作も多いしねぇ」
2 機動警察パトレイバーREBOOTの感想
カエル「じゃあ、まず、今回公開されているパトレイバーの新作から話そうか。この作品の影響で、映画館も人がたくさんいたしね」
主「やっぱりパトの新作ってだけで人は集まるよなぁ。今回の脚本が伊藤和典だったり、監修で出渕裕もいたし、続編としても気合が入っているなぁって印象だよ」
カエル「……押井さんの実写版パトもあったけれどね」
主「あれは……まあ、うん、アニメじゃないし……」
カエル「作品の感想に入ると、面白かったよね!
パトレイバーって感じがしてさ!」
主「やっぱり、パトレイバーって設定自体がすごく優れているよ。町を守るお巡りさんだけど、やっぱり警察官だから色々なしがらみもある。その中で自分たちにできる最善の方法は何か? というのも、エキセントリックな手段も用いながら問い、そして解決していく話なわけだ」
カエル「その設定だけで面白いもんね」
主「正義のヒーローが悪を挫く! ではあるわけだけど、そこが単純な脳筋主人公や、ご都合主義ではない、というのがポイントだよね。こういうとなんだけど……この設定自体がかなり魅力的だから、時代を問わないものだと思う。普遍性がある設定だから、後はキャラクターデザインとかの面だよね」
カエル「基本はやっぱり『パトレイバーが帰ってきた!』って感じでさ、一筋縄ではいかない上司と、猪突猛進の主人公、それを諌めるパートナーという、お仕事のものの王道のキャラクターだもんね」
主「多分、昔ながらのパトレイバーファンも違和感をあまり覚えないだろうし、元々のパトは……押井実写版は実写だから除くとして、パトレイバーが最も盛り上がったのが約25年前くらいだから、今の20代以下はほとんど知らないと思うんだよね。
その意味では、この時期に復活というのもわかるし、受け入れられる土壌はあるんじゃないかな?」
カエル「かわいい女の子を出すとか、そういう面も必要じゃない?」
主「そこは難しいよなぁ……パトレイバーで萌えって、あまり馴染みがないし、古参のファンは嫌がりそうだし。
でも、個人的にはこのテイストでいいと思う。『宇宙戦艦ヤマト2199』くらいのヒットはするんじゃないかな?」
3 アニメーター見本市出品作品について
カエル「じゃあ、今回上映された作品について語っていこうか」
主「全作品をがっつりと、というわけにはいかないから、感想のボリュームには差が出るけれど、どれもそれぞれの個性があって面白かったよ」
kanon
カエル「まずは……Kanonからスタートだね。いきなり説明の難しい作品が来たなぁ」
主「順番はアニメーター見本市での発表順だから仕方ないにしろ、これを一発目に持ってきたのはすごいよね。ノリが独特だしさ、創世記を元にしたアニメだけど、表現がかなり……イっちゃてるわけじゃない。前田真宏だから当然なのかもしれないけれど、エヴァっぽさも満載でさ。
いきなり圧倒されたけれど、自分は爆笑したね。人は選ぶと思うけれど」
SEX and VIORENCE with MACHSPEED
カエル「次はSEX and VIORENCE with MACHSPEED だね。タイトルから『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』を連想するけれど、やはりTRIGGERの今石監督というね」
主「しかもド級の下ネタ&バイオレンスという、タイトルに偽りなしというね。これはもう引くレベルなんだけど、でもKanonからスタートだったから、意外とすんなり受け入れられて笑えたな。この順番がもっと……滅茶苦茶だったら、多分笑えなかったと思う。
ショートムービーとしてはお下劣だし、中身は何もないけれど、こういう作品もあってほしいね」
おばけちゃん
カエル「次はおばけちゃん。ほんわかしていてかわいい、おばけちゃんが織りなす、日常系? ギャグアニメだね」
主「これはこのおばけちゃんのキャラクターがすごくいいから、このままでもNHK狙えるんじゃないかな? ラストはびっくりの展開だけど、ここもエヴァテイストがあって、個人的には好き。
でも何よりも、あのおばけちゃんの……お化けだけど怖いの苦手とか、かなり運がいいとかいう設定が面白いから、続きが見たいね」
カエル「順番の話だと、上記の2作品がお下劣系だったから、さらにほんわかさが引き立ったという面もあったね」
主「順番は重要だよね。前作と全く違うテイストだから、飽きなかった」
オチビサン
カエル「次はオチビサン。これはクレイアニメなどに代表される、ストップモーションアニメーションだけど何が動くのか? というのがすごく大事で、びっくりしたよ」
主「元々ストップモーション・アニメーションは大好きだけど、この作品はさらにびっくりした。こういう表現の仕方もあったのかと、目からウロコな気分だよ。
特に、春。この考え方はなかったし、アニメというと精々CGくらいかな? と思っていたら、この作品が出てきたから、ため息が出たよ」
カエル「面白い発想だよね。そしてオチビサンの造形や行動が素晴らしいよ」
主「こういうアニメーションをもっと広めて欲しいけれど、手間がかかりすぎるか……全作品で1番好きかも。NHKはすぐにこの作品を広めるべきだよ」
I can friday by day!
カエル「さて次は……I can friday by day! だね」
主「西尾維新原作の『戯言シリーズ』のキャラクターを描いた『たけ』がキャラデザを担当し、作画監督にすしおを配置した作品だよね。
短編で物語を作るというのは難しくてさ、特に日常的に長編を作っていると、ドラマを作るのが難しいから、この音楽に載せた PV形式ってのはやっぱり便利だよね」
カエル「内容も可愛い女の子あり、ロボあり、しかも中身は可愛らしいけれど殺伐とした関係とか、面白かったねぇ」
主「30分くらいの短編にして見たいなぁって思ったよ」
偶像戦略
カエル「次は偶像戦略だね」
主「短編としては評価に困る作品で、2時間近くはなりそうな長編作品を、無理矢理短くしましたって内容だから、短編にはなっていない。
だけど、圧倒的に絵のクオリティがいいから、引き込まれるものがあるよ。キャラクターもカッコイイ&カワイイだし、現代の若いオタク世代には1番響くんじゃない?」
カエル「これも、もしかしたらクラウドファンディングとかで長編とする目標があるのかな?」
主「あるんだったら、是非見たいよね。少しなら出すよ、自分も」
鼻下長紳士回顧録
カエル「次は鼻下長紳士回顧録だね。すごく尖っていた作品だけど……」
主「1回目じゃよくわからなかったというのが正直なところかな? 前半の変態と、後半のヒモに入れ込む娼婦というのが、自分の中では全く繋がってこなかったんだよ。
だから評価には困るかな?」
カエル「女性向けな印象もあったかな? 独特の絵が面白かったけれどね」
神速のRouge
カエル「神速のRougeだね。これも雰囲気のあるCGアニメーションだけど……」
主「こちらも長編作品のほぼ終わりをカットしたって感じだったかな。1話のラストか、1幕目のラストか、そんなところかな。
続きがあるような終わり方で予告もあったけれど、あれはギャグなのか真面目なのか判断がつかなかったかな」
カエル「絵の迫力はあったね。これも長編にならないと評価ができないよね」
ENDRESS NIGHT
カエル「次はENDRESS NIGHT。これは先ほども言った通り『ユーリ!!! on ICE』の原型のようなスケート作品だったね」
主「監督も山本沙代で同じだし、スケートの振付師も同じらしいね。多分、ユーリの原型……というか、ユーリの話を進める上での実験的作品ではないのかな? これがあったからユーリができると踏んだんじゃないの?
あとは歌が小松未可子だったのが個人的に評価が高いな。好きなんだよね、あの歌が」
カエル「これもPVのような作品だけど、それが主の趣味にぴったりとハマったという感じかな?」
新世紀いんぱくつ
カエル「次は新世紀いんぱくつ。このタイトルからわかるけれど、完全にエヴァを元にした作品だったよね」
主「第三新東京市とか出てきたときには笑ってしまったよ。そして何よりも、アニメーター見本市の声優は山寺宏一と林原めぐみと決まっているけれど、エヴァで重要人物を演じているからさ。今作で山寺宏一の出番はなかったけれど、林原めぐみが演じているだけで笑ってしまうところはあるよね」
カエル「途中で百合百合しいと思ったら、ラストは……! という。音楽も良かったね」
主「エヴァの世界の一般生徒という、あって当たり前の世界なんだけど、誰も……多分表現してこなかった世界を2015年に表現をしたということでも、意義があるね。これも30分くらいの作品をさらに短かくにした作品かな?」
旅のロボから
カエル「次は旅のロボから。題名から分かる通り、ロボットが出てくるけれど、実はそいつは……という話だね」
主「監督が沖浦啓之に、さらに井上俊之がいるという神と神の融合のような作品で、自然でありながらもヌルリと動く作画は流石の一言!
特にロボットのキャラクター性もしっかりとあっているし、声優が2人だからキャラクターも2人にしたのだろうけれど、短編としての完成度も非常に高い一作だね」
カエル「多分、短編としてみた場合、今回の作品で1番評価される作品じゃないかな? ここから先も作ろうと思えば作れるしね」
主「さすがの完成度だなぁ、と感心したよ」
カセットガール
カエル「最後はカセットガール。これは設定自体も未来の? 日本が舞台で、女の子が可愛い作品だったけれど、それだけじゃないというね」
主「あのβを再生した瞬間から始まる、金田スタイル全開の作画に楽しませてもらったよ。昔のアニメを見ているようで、古き良きアニメの世界を堪能したよね。
脚本自体も榎戸洋司らしさに溢れていたし、個性があったし、これも短編としての完成度が高かったと思う。連続テレビアニメーションにこのままなりそうだね」
最後に
カエル「というわけでアニメーター見本市の感想を書いてきたけれど……」
主「やっぱり短編アニメーションはイイね。少し前に『ファインディング・ドリー』を見た時に、短編の『ひな鳥の冒険』を見た時も絶賛したけれど、やはり短編アニメの世界は長編とは違う独特の面白さもあって、すごく好きだわぁ」
カエル「日本では短編アニメってあまり注目を集めないからね……あっても5分アニメの連続作品だから、純粋な短編じゃないしね」
主「まあ、商業ベースには乗りづらいけれど、 CMとかもあると思うけれどね。新海誠の2分間の CMでも宣伝を交えながらも、作家性も出たいい作品だったら、この分野でも見たいなぁ」
カエル「こうして発表の場を作った川上社長と庵野秀明はやっぱり素晴らしいよね」
主「エンタメとしての長編も大切だけど、短編の先進性もすごく大事なんだよね。その両方があって、初めて表現としての成長性が生まれると思うんだよ。
だからこうして短編の発表の場ってすごく大事だし、ユーリなどのように形になった作品もあるからね。ここから始まる挑戦は、かなり多いし意義があるよ」
カエル「もっと注目を集めて欲しいねぇ」
主「娯楽としても面白いし、ライトなアニメファンが見ても楽しめると思うよ」

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