デジモンの新作の第2章を見てきたのでその感想をあげていきます。
第1章の記事はこちら。
ではまずは恒例の一言感想。
こんなデジモンを待っていた!
以下ネタバレあり
1 今回の主役はミミと丈
今回は全6章のうちの2章ということで、1章に比べると殺伐感は少し大人しくなり、日常シーンも大幅に増えた。1章が問題の発生とその問題に対処することに集中していたのに対して、2章はそれぞれの日常が描かれている。起承転結でいると、起の部分がさらに深掘りされて、うまく承へとバトンタッチしたという印象だろうか。
今回特にフューチャーされたのはミミと丈だった。この2人と新キャラである望月芽心が主にスポットを浴びている。そのため、太一やヤマト、空といった面々は少し影が薄いかもしれない。(ヒカリは相変わらずヒロインだったが)
なので映画の8割はこの2人の話になっている。
おそらく、1章で2人ずつ究極体などを出していき、3、4章で空、光子郎、タケル、ヒカリの究極体を出しながら02メンバーとの絡みを見せて、5章あたり太一とヤマトが和解などをして、最終決戦に向かうというのが大筋の流れだろう。
なので2人ずつピックアップしていくというのは尺を考えても納得できるものだった。
ではまずミミの方であるが、なんというか、『ワガママの自己中』が『我がままに生きる』になったなという印象。
元々自己中心的でイライラさせられる面が多かったミミであるが、今回はアメリカに行ったこともあって、自己中心的な行動力の高さはさらに拍車がかかった。特に文化祭の中心人物を決める会議の場では、それは顕著に現れてしまった。
別に悪いことではないんだけどね。行動力があって、リーダーシップがあって、やりたいことがハッキリとわかっているのだから、むしろ今回のtriで1番成長したなぁと思わせられたのがミミだったし。
だけど日本の『和をもって尊し』の文化ではそういう自己中心的なことはあまり受け入れられなくて、その辺りはアメリカに行った方が向いているんだろうなぁ。
丈は相変わらず悩んでばっかりで、行動に移すことができない。
でも丈の立場になってみれば当たり前の話で、大学受験を迎える大事な18歳の、しかも文化祭があるということは秋口なのだろうが、1番追い込まなければならない時期に協力してくれと言われてもね。確かに大変な問題なのはわかるが、受験だってベクトルは違うけれども大事な問題で、仮に受験が失敗しても誰かが責任を取ってくれるわけでもない。
しかもなぜ自分なのか、なぜ戦わねばならないのか、そもそも何と戦うのかという理由がない状態で、まさにエヴァのシンジと同じ状態であり、闇雲に戦えという周囲に反発するのもよくわかる。
この2人の悩みは高校生だとさらに現実味を増していて、胸に刺さる内容だ。
太一が半ばふて腐れている状況であり、さらにヤマトと衝突している中でこの2人に望むのは全体のアクセルとブレーキの役割だ。とにかく誰かがやろうと言わないと物語は動き出さないし、その動力部分がミミであり、時に暴走しがちなメンバーを止めたり諌めるのが丈の役割だろう。その意味で、この2人はこの段階である程度吹っ切って問題を解決したのは良かった。
2 アクション少なめ、ドラマ多め
第2章に入って今回はバトルはわずかに2回と少ない印象。しかも1回目がオーガモンVSトゲモンで、しかも負けイベントなので映像的にも迫力満点とは言い難いものだった。
そのあとのインペリアドラモンとの1戦は迫力もあり、進化の場面もしっかりと魅せてくれて満足度が高い。やはりブレイブハートが流れると無条件に熱くなってしまう習性が刷り込まれていることを再確認。
そんなたくさんのアクションを期待していくと、少し拍子抜けするかもしれない。その代わり、ギャグを含めたドラマパートは満載だった。
温泉に行ってデジモンと選ばれし子供たちの交流というのはほっこりするいい場面だ。(完全に邪推になるが、BDの販売遅れは女性陣のお風呂シーンが映倫に引っかかったのかなぁ。頑なに肌を露出させなかったし。ただ子供向けアニメにおいて映倫に何か指定されるのであれば、その判断は大正解だけど)
さっきまで足湯などでデジモンと一緒に堂々としていたのに急にバレたら大変! とか、今まであんまりお客さんがいなかったのに、一気にお客さんが増えてきたなぁとか細かい突っ込みどころは多いものの、そこを突っ込んだら無粋というものでしょ! という勢いがあって好き。
レオモンの変装とか、キモカワキャラコンテストなども無理は多いが、これもやはり子供向けの朝アニメ作品だったわけだから、突っ込んだほうが負けだろう。(キモカワコンテストは絶対優勝はパルモンでしょう。他はただカワイイだけだし)
だから男湯に女の子たちが突入するとか、芽心もダンスをいやがっている割にはノリノリで踊っているじゃんとか、そういったところに突っ込んじゃダメ!
(戦い直後の場面で光子郎がミミに「あなたは自己中心的だ」などと言っていたのに、その次に2人が会う文化祭のシーンでは何のフォローもなく、何事もなかったように堂々と会いに行くところなど、いい意味での空気の読めなさが発揮されていて結構好きな場面)
それからヒカリとゴマモンのヒロイン力の高さは何なのだろうか。スタートの太一とヒカリの場面といい、同じ部屋で会話しているシーンなど、ヒロインオーラ全開だった。
空? ……裁縫のシーンぐらいしか出番がなかった気がする……
それからゴマモンと丈の関係って、完全に恋人のそれだよなぁ、なんて思ったり。わざわざ夜食作って持ってきてくれるゴマモンの甲斐甲斐しさと、家出の場面などは恋愛ドラマにありそうだ。
ちなみにインタビュー記事があったので貼っておく。
竹内順子&池田純矢、ゴマモンと丈の関係性を“意識”「恋人にならないように」/2016年3月11日 - ゲーム&アニメ - ニュース - クランクイン!
細かいところで個人的にツボに入ったのはテントモンの「おけらでっせ」のセリフ。そういやお前、そんな言葉使いをするやつだったな……
3 一転、ラストはシリアスに
そんなゲラゲラ、ほっこり要素もてんこ盛りだったが、今作はきちんとシリアスも忘れていない。
まず敵と思われる謎の人物でカイザー姿の一条寺賢が登場。02メンバー忘れらておらず、ちゃんと登場するのかと思ったが、どうやら今回は敵となるようだ。また、オーガモンなどの懐かしの面々も出てくるが、相変わらずというか敵として暴れる結果になってしまう。
そして何よりも衝撃的だった? のはレオモンだ。
いや、もうレオモンの扱いは様式美みたいな部分があるけれども、それでもあれは、ねぇ。今回は操られることもなく大丈夫なのかな? と思った直後に、まさかあれほどギャグを繰り返していた相手であるメイクーモンにやられるとは……少し予想外の方向に話が進んだので引きとしては非常にうまいものを感じた。
(メイクーモンと姫川に関してはあまりにも露骨すぎるのでミスリード狙いだとすら思っていたが……もしかしてこれもミスリード?)
ここからはギャグや日常描写も少なくなり、またデジタルワールドを冒険することになるのだろうか?
今後の展開も気になってしまった。
そしてこれは強く思うのだが、是非とも多くの子供に見て欲しい作品だ。
初日に見に行った人間が言うことではないが、やっぱりデジモンっていうのは20代以上の大人が大挙して見る作品ではなくて、コナンやポケモンのように子供に見て欲しい。変な話だが、映画館で静かに鑑賞するような作品ではなくて、所々子供が笑ったり、話し声が聞こえたり、少し歌ったりするのがデジモン映画の正しい姿だと思うのだ。
(少なくとも私が子供の頃の東映アニメはそのような雰囲気があった)
その意味において、今回の第2章は先ほど挙げた突っ込みどころはあるものの、それを含めて子供向けアニメとして100点の出来ではないだろうか。
このまま最終章まで行けば相当のいい作品が出来上がるだろう。むしろ、6章でおさまらなくて7章もやっていいよ?
3章は2016年夏ごろと予告があった。次はパタモンがどうなるのか……(さよならパタモンも割と様式美なところがある気がする)
次回も初回で観に行こうと思う。
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