物語る亀

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物語愛好者の雑文

初見でネタバレなしの『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-(映画SAO)』感想

カエルくん(以下カエル)

「今回はSAOの新作映画の感想記事かぁ……こう言うのもなんだけど、主は原作も読んでいなければ、アニメも見ていないって公言しているからなぁ……

 アニメ映画はなるべく見に行く方針だから映画館に向かったらしいけれど『これはファン映画だよねぇ』とか言って炎上しないか心配だなぁ……」

 

ブログ主(以下主)

「ただいまぁ」

 

カエル「あ、帰ってきた。

 今回、主が苦手なラノベアニメだけど……なんでそんなに苦手なの?

主「え? 急な話だなぁ……

 結局は趣味と時代という話になるんじゃないかな? なんというか、馬が合わないっていうか……」

カエル「じゃあ、最初はそこについて話しておこうか」

 

主「元々自分が好きなアニメ……というか作品のジャンルって『ハードボイルド』とでもいうのかな? 何をおいても守り抜きたい大切なものを、すべてを捨ててでも守る抜くために戦うという作品が好きなのね。

 アニメでいうと『スクライド』とか『ガングレイブ』とか『グレンラガン』とか。今あげた作品ってどれも『男の意地を通す』作品じゃない?」

カエル「熱血系といえるかもしれないけれど、かわいい女の子がたくさん出てきてモテモテで……という作品ではないかもね」

主「さらに自分にとってのライトノベルって『キノの旅』とか『バッカーノ!』とかで……なんだか最近の、ハーレム作品はちょっと馬が合わないんだよねぇ」

 

カエル「……まあ、実写映画でも『レスラー』を絶賛しているような人だからねぇ」

主「偏見だって言われたらその通り。100パーセント偏見だよ。だけど、やっぱり毎期50本以上新作アニメが始まっている中で、どれを視聴するか選ぶときに事前情報を見た上での選択ってどうしても必要なわけで……」

カエル「それを一言で表すと『馬が合わないから優先順位が低くなる』ということになるのね」

主「だから、今回はファン映画かもしれないけれど、1作の映画としての感想記事になります。でも、逆にこの映画の評としては貴重でしょ?

 あとは、今回『ネタバレなしの感想記事』『ネタバレありの批評記事』は別にします。この意味は……まとめると相当長くなるよ」

カエル「お! 『この世界の片隅に』以来の分割記事だ!」

主「というわけで、とりあえずネタバレなしの感想記事、スタート!!」

 

 

 

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「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」PV 第2弾

 

 

1 ザックリとした初見の感想

 

カエル「じゃあ、まずは初見の感想だけど……」

主「正直、この映画を観ない可能性があったのが恐ろしくもあったね。ここ最近は『黒執事 Book of the Atlantic』とか、あとは1年前の公開だけど『同級生』とか、原作やアニメシリーズを見ていないし、正直趣味でなければ、観客としてふさわしいとも思わない映画も鑑賞してきたわけよ。

 実はそれがすごくいい作品だったり、面白かったりするということもあるわけで……やっぱり食わず嫌いはよくないなぁって印象

 

カエル「流行りものに飛びつくのはオタクとしては抵抗感があるのもわかるけれど、それだけ流行るということには大きな意味があるわけだもんね」

主「さすがに長い原作小説を読んだり、テレビアニメを全話観るのは難しいけれど、映画なら2時間くらいで終わるじゃない? その意味では入門編としても最適。

 あと、面白いアニメ映画は初見でも面白さが理解出来るから。

ガールズ&パンツァー 劇場版』も初見だったけれど、すごく楽しめた。やっぱり映画として卓越した構成をしているからだと思うよ」

 

カエル「じゃあ今作の評価は……」

主「大傑作だよ!

 この映画を観ないというのは勿体無い! 

 アニメが好きなオタクだったら絶対に観に行くべきだし、この映画のクオリティの高さは非常に恐ろしいことになっている!」

カエル「おお! 初見でもそこまで感動したんだ!」

主「この映画の作りは非常にわかりやすく、親切になっているし、映画としての意義もたくさんあるね。

 どうしても大人気テレビシリーズの劇場版というと総集編映画や、ファン映画的なものになってしまうけれど……本作はそうじゃない。きっちりと1作の映画として素晴らしい作品に仕上がっている。

 それはこの後のネタバレありの批評記事で書いていくよ」

 

 

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初見でも大丈夫?

 

カエル「でもさ、多くの人が気になるところだろうけれど、初見でもこの映画って楽しめるの?」

主「基本的には楽しめると思うよ。設定自体も特に突飛なものではないし。

 例えば、本作における『ゲーム世界の死=現実世界の死』という設定は、10年くらい前かな? にヒットした『.hack』シリーズと同じものだよね。

 だから自分は本作を見ながら『ああ、これは.hackの正統進化なんだな』って意識で見ていた」

 

カエル「……それはやっぱり主が結構アニメや漫画、ゲームに親しんでいる人間だからだと思うけれど……」

主「それもあることは否定しないよ。結構親切設定とはいえ、全てを説明してくれるわけではないし。

 例えばVR空間の描写が出てくるけれど、そこではキャラクターが現実世界と空想世界を行き来しているから、キャラクターデザインが大きく変わるんだよね。ここは何の説明もないから、もしかしたら戸惑うかもしれない。

 もちろん、ファンであれば何の問題もない描写だけど」

 

カエル「アニメに見慣れていたり、基本的な設定が理解できていないと辛い描写か」

主「そうね。自分は声優で見分けたりしていたけれど……あ、これは戸松遥だからあの役とイコールだな、これは彩陽だからあのキャラクターと……という風に。

 だけど、それって結構アニメを見慣れている人のスキルだから、あまり見慣れていない人には辛いかも。まあ、見ているとお話が理解できるけれどね」

 

 

 

 

2 圧倒的な映像描写

 

カエル「今作の最大の特徴かもしれないね

主「ここが本当に素晴らしい!

 例えば星や木々などの自然描写も含めて、非常に美しい画作りになっているんだよね。今回製作を務めた『A-1 Pictures』他にも『四月は君の嘘』などの製作も行っているけれど、超絶クオリティのアニメとして評判だよね

 

カエル「四月は君の嘘とか、クオリティがとんでもない作品だったね」

主「クオリティが高すぎて他のアニメ会社との差が大きすぎるくらいでさ、多分このクラスの映像を生み出せる会社は他に……5社もないんじゃないかな?

 それが映画となったわけだから、当然素晴らしいよね

カエル「アクションシーンはどうだったの?」

主「めちゃくちゃ動く! しかも、映画であることを意識した絵作りもしているから、単純に動いてお終いっていうレベルじゃない。

 目まぐるしく動きすぎて目が疲れちゃうって意見もあるかもしれないね。それはそれで技術の素晴らしさをアピールする、笑い話かもしれないけれど」

 

 

現実の場所の描きかた

 

カエル「本作は東京の各所がたくさん出てくるけれど……」

主「例えば代々木公園とか、あとは秋葉原UDXビル、恵比寿のガーデンプレイス、川崎のラゾーナ(立川のララポートという情報もあり。自分はラゾーナっぽいと思ったけれど……)とか、新宿などいろいろな場所が出てくるよね。

 そのクオリティが素晴らしく高い。

 それがこの作品のテーマに1つ大きな意義を与えている。この意味はまたネタバレありの記事で書くけれどね」

 

カエル「ふ〜ん……じゃあある意味では『君の名は。』のような要素もあるんだ」

主「多分、聖地巡礼する人ががたくさん出ると思うよ。しかも東京近郊ということもあっていきやすい場所も多いし」

 

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 ちょっとわかりづらいですがこちらが川崎ラゾーナ

 

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 こちらが劇中の川崎ラゾーナ(のはず)。ライブスペースもあるのでたまに行きます。

(ちなみに公開日の2月18日はさユりがフリーライブしています)

 

 ©2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

 

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 秋葉原のUDXビル前。結構リアルです。

©2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

 

 

3 音響映画として

 

カエル「今回は音響監督を務めた岩浪美和が映画館を訪れて、音響の調整をしているということも話題になっているよね

主「Twitterとかでも語っているけれど、幾つかの映画館に向かって直接調整したらしいね。極上音響で有名な立川シネマシティや、Liveサウンドで有名な川崎チネチッタ、他にもシネシティザート静岡、アースシネマズ姫路などでも直接出向いて調整したんだって」

 

カエル「やっぱりこの映画ってそれだけ音響に拘っているんだね」

主「できれば上記の映画館のような、特別な音響を施した場所で鑑賞することをオススメする。

 じゃないと……こういうとその映画館に行けない人や、他の映画館に悪いけれど、やっぱり損だと思う。

 もちろん映画館で鑑賞するべき!

 この映画は音響映画でもあるから! あの圧倒的な音響は自宅では再現不可能でしょう。テレビやDVD,BDで見ると、楽しみは半減だと思うよ」

 

カエル「特に音楽は幻想的な楽曲作りで有名な梶浦由記だしね。現在のアニメ界ではトップ音楽クリエイターの1人の音楽を劇場で楽しめる機会ってそんなにないだろうし」

主「『まどかマギカ』の劇場版もそうだったけれど、この音目的だけで見に行ってもいいと思う。

 自分がアニメが好きだから過剰に肩を持つ部分もあるけれど、今の邦画……実写の邦画の意識が足りていないと思うのはやっぱり音響に対するこだわりだよね。ハリウッドとは言わないまでも、邦画はもっと音響に対する意識を改めないとダメだよ。

 せっかくのいい音響を持つ映画館がハリウッド映画とアニメばかりを上映している状況についてもっと考えなくちゃ」

カエル「そこまで言わせるほどに素晴らしい音響なんだね」

 

 

 

 

今回のゲスト声優について

 

カエル「今回は芸能人声優として神田沙也加がクレジットされていたけれど……」

主「神田沙也加を『ゲスト声優』とか『タレント声優』なんて言っちゃダメ。年齢も加味して考えた場合本職の声優と比べて考えても神田沙也加より上だって言える声優が何人いるのか?

 今回は楽曲も歌っているけれど、自分は梶浦サウンドだからってこともあるけれど『あれ? kalafinaは今回1人なの?』って勘違いしたほどだよ。歌唱力も段違いにうまい! もちろん『アナと雪の女王』でその歌唱力を遺憾なく発揮しているし、本人も歌を発表しているから、当然といえば当然だけど」

 

カエル「もう大絶賛だね」

主「今回特に調べずに行ったけれど、神田沙也加って全く気がつかなかった。この声優は誰だろう? なんて思いながら見ていた。

 今作って実力のある若手声優がたくさん出ていて、しかもアニメ演技なわけだ。『この世界の片隅に』みたいな、自然な演技じゃなくて、作った演技。そこに作った演技ができない芸能人声優が入ると、やっぱり浮いちゃう部分があって、それがバラバラになって作品世界をぶち壊してしまう。

 だけどそんなことになっていないから! 素晴らしい才能です」

 

カエル「それは鹿賀丈史や井上芳雄もそうかもね」

主「基本的に舞台俳優、特にミュージカル俳優は下手な若手声優よりも上手いよ。発声がしっかりしているし、訓練している。多くのベテラン声優が『舞台をやりなさい』という意味がよくわかる。

 というわけで今回は声優に対して文句はありません」

 

 

 

4 脚本、テーマについて

 

カエル「ここはどうしてもネタバレ記事で語ることになると思うけれど……とりあえずどんな話をするのか、少しだけね」

主「まず、脚本も相当練りこまれている。特に最初の方は『ホホォ……うまいなぁ』と思って見ていたし。

 特に本作のテーマは多くの映画で表現されてきたものだと思うんだよね。例えば『君の名は。』の要素もあるし。もちろん川原作品に欠かせないデジタル要素もある。

 個人的には『ゲーム小説(物語)とは何か?』ということにも踏み込んだ1作だと思う。ちょっとだけ減点材料もあるんだけど、それは個人の趣味によるものだし。

 脚本、演出、音楽、演技、そういった様々なものが合わさって見えてくるテーマもあったりして、実は結構重要なテーマを扱った作品になっている。近年のライトノベル作品に対するアンチテーゼのような部分も多々感じるしね。

 あとは『攻殻機動隊』とかに繋がるようなテーマなんかも感じたし、これから先のSFだったり、社会を語る上ではすごく重要なことを扱っているという印象かな」

 

カエル「じゃあ、それは詳しくネタバレありの記事で書いていこうか」

 

 

 

5 特典情報

 

来場者特典は8種類!

 

カエル「来場者特典は毎週更新らしいね!

主「まず、第一弾は総作画監督である足立慎吾が書き下ろしたポストカード。

 こういうのは第一弾としては王道だな」

カエル「王道というと?」 

主「初週はこういったファン映画の場合、黙っていてもお客さんが来るわけだ。とりあえずポストカードのような、ファンなら欲しいけれど1種類のもので釣ってさ。

 ここからフィルムとか、そういう数が沢山あるコレクターアイテムが沢山出てくるんだろうね」

カエル「どうしても全部集めたくなるもんね」

 主「アニメ映画の最大の強みってリピーター数が多いことだから、この特典商法は有効だよね。公開初週に興行収入1位だけど、こりゃガルパン並みのロングヒットもあり得るんじゃないかな?」

 

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©2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

 

 

気になる2週目の特典は?

 

カエル「2週目の特典も発表されたね! それが足立慎吾書き下ろしポストカード②!」

主「ファンなら欲しいね。これは3週目以降にフィルムとかが来るのかな!」

 

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©2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

 

第3週特典は原作者書き下ろし小説!

 

カエル「第3週の特典は原作者の川原氏書き下ろし、100Pに及ぶ劇場版では描かれていないオリジナルストーリー『ソードアート・オンライン ホープフル・チャント』が配布されると発表されたね!」

主「ここにきて原作者書き下ろしの新作小説かぁ……そんなの絶対にファンはいくに決まっているし、またエゲツない手できたなぁ……」

カエル「これは原作ファンなら大喜びだよね!」

主「興行収入10億円を突破したけれど、これはまだまだ伸びるだろうな。リピーターの数がとんでもないことになりそうだ」

 

カエル「表紙を見る限りでは……ユナたちの物語になりそうだね」

主「1ページも読んだことはないけれど、これは少し読んでみたいと思わせるものがある。こうやって劇場に足を運んでしまうのか……」 

カエル「映画スタッフだけでなく、色々な人たちがSAOを盛り上げようとしているのがよくわかるよね!」

 

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舞台挨拶情報!

 

カエル「公開初週は2月18日に東京、千葉、19日に大阪とあって、どちらも盛況だったようだね!」

主「今回は世界規模で舞台挨拶があることでも世界規模の興行を狙っていることも重要なことだな。

 世界で1000館を超える大規模な公開がすでに決定しているし、全世界で原作が売れている作品という強みを最大限に生かしている。

 特に海外だと舞台挨拶がドイツ、フランス2カ所(パリ、リース)タイ、韓国、アメリカと全部で6カ所で行われることが決定しているし、日本のアニメ作品としては異例の規模じゃない?

 公開して間もない作品がこのわずかな期間でこれだけ世界中を飛び回るというのは、そこまで多い話じゃないだろうし。これから先のハリウッドでの実写化も含めて『プロジェクトSAO』にどれだけ力を入れているのかもわかるよ」

 

カエル「日本国内でもまだ舞台挨拶があるみたいだね」

主「2月26日の日曜日に札幌(登壇者 松岡禎丞、伊藤かな恵、竹達彩奈、伊藤智彦あ監督)

 3月4日土曜日に川崎、横浜(登壇者 松岡禎丞。限定配布特典の『アイアムソロプライヤー』ステッカー付き)

 3月5日日曜日に名古屋(登壇者 松岡 禎丞、伊藤かな恵、日高里菜)で行われる

 

カエル「松岡くんは韓国にも登壇したり、大忙しだね!」

 

 

 

 

最後に

 

カエル「とりあえず感想記事としてはこのぐらいかな?」

主「とにかく絶対に見て欲しい映画だね! 

 すごく面白い映画だし、ここまでテンションが上がるとは思わなかった!

 デートムービーでもあるし、ファンも初見さんもいらっしゃいな映画だから。結構熱くなれるんじゃない?」

カエル「初見の主がここまで褒めるんだしねぇ」

 

主「もちろんある程度アニメが好きな人じゃないと理解できない部分もあると思うけれど、これだけ音響に拘った邦画って、アニメ以外じゃほとんどないよね。アニメは『音楽』や声の重要性を理解しているけれど……

 もっと邦画も頑張って! って言いたくなるよ。役者以外にも注目を集めないと!」

カエル「えーこれ以上の邦画ヘイトは反感を買いそうなのでここまで! では批評記事でまたお会いしましょう!

 

 

 

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