物語る亀

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物語愛好者の雑文

響け!ユーフォニアム2 10話の感想 あすか先輩はすごいなぁ……

 カエルくん(以下カエル)

「ついに今期のアニメも残り1月を切ったね」 

 

ブログ主(以下主)

「今期も残すところあとわずか、かぁ……」

 

カエル「アニメの本数も多いから、見るだけでも大変だよね」

主「毎期それを言っている気がするなぁ……個人的な話をすれば、映画もあれば漫画もあるし、こういう記事も書くから見る時間が限られるよ」

カエル「……しかもこれからの時期は、年末ということで忙しないし、さらには年度末も近づいているという」

主「それでも見たい! と思わせられる作品はやっぱり力のある名作ってことなんだろうね。

 それじゃ、そんな名作の感想記事を始めるよ」

 

 

 

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ここまでのあらすじ

 

 母親の反対により、吹奏楽部を辞めさせられることになった副部長の田中あすか。部活の取りまとめ役としても存在感を放っていたあすかの退部は、部員全体への影響が及ぶ程の事態だった。

 何とかして退部を阻止したい部長や久美子ではあるが、当のあすか本人は飄々といつもと様子が変わらなかった。

 あすかの家にまで行き、その真意や家庭事情を察した久美子だったが、それだからこそ諦めきれずに……

 

 

1 あすか先輩について

 

カエル「……今週はあすか先輩関連にケリがついたね

主「いやー、ここまで丁寧に描いたこともあって、すごく感動的だよねぇ」

カエル「ここ数話を見ていて、あすか先輩についてどう思った?」

 

主「う〜ん……個人的にはあすか先輩の気持ちってすごくよく分かる気がするんだよ。すごく頭の良くて、物事を割り切って考えていて、冷静な人だけど……その内面はグチャグチャだよね。

 例えば8話において父親のことを『進藤さん』母親のことを『あの人』と実の親のことを呼ぶじゃない? それから『ここまで育ててくれた借りがある』とかさ。こういう……会話のあちこちに、台詞回しのうまさを感じるとともに、色々な感情が伝わってきたなぁ

 

カエル「なんていうか『生きたセリフ』だよね。定型的なセリフだと『お母さんの子、嫌いじゃないよ。だけど、ちょっと束縛が強くて……』とかになりそうなところを、細かい言い回しでカバーしているというか」

主「ここの物言いであすか先輩の性格もわかるよね。基本的には達観していて……親のこともそうだし、自分の力でどうしようもないことは諦めて、自分でできることをきっちりとこなしていくという人でさ。

 それが『心底どうでもいい』という発言にも出ているんだろうね」

 

カエル「友人たちのトラブルだったり、誰がソロをとるかということも、あすか先輩には直接関係ないことだしねぇ……」

主「だからそこがわかると、すごく頭がいいなぁと思う一方で、頭が良すぎるからこそ一人で抱え込んでしまうという欠点もあるね。まあ、そこが魅力でもあるんだけど。

 そう考えると前にあったけれど休憩中にも吹きにいくというのが、本当に好きだった証拠なんだなぁ……と思ってさ。

 あと9話は足の演出がエロかったなぁ……」

 

 

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10話の感情の爆発

 

カエル「10話はここまで溜め込んだ感情が一気に爆発したよね」

主「感動的な場面なんだけれどさ、これってよく考えると久美子や周囲の頑張りや説得が、何か直接的な効果があったわけではない

カエル「まあ、そうだよね。結局は全国模試30位以内という……吹奏楽で全国を目指しながら、化け物みたいな努力を重ねることによって勝ち取った勝利だしねぇ」

 

主「ここはあすか先輩の性格がはっきりと出ているよね。

 他人に対して大きく期待もしないし、説得とかそういうことは何もしない。けれども、自分のできることは最大限やるということ。そしてそれが母親の説得ではなく、自分の力で勝ち取った模試の結果により、交渉するということなわけだ。

 なんというか……すごく理知的だなぁって感心する一方で、恐ろしくもあるよ

 

カエル「……結局、あれだけみんなが心配していたことは意味がなかったのかな?」

主「いやぁ、そんなことはないでしょ。あれだけみんなが心配していたからこそ頑張れたというのもあるだろうし、夏紀先輩にアドバイスなどを送っていたことを考えても、できるかどうかは微妙なラインだったと思うよ。

 普段飄々としている分、その真意はわからないけれどさ。でも、あそこで流した涙が全てを証明しているということでもあるんじゃないかな?

 

 

 

 

2 脚本構成

 

カエル「脚本構成? 特に語ることがあるの?」

主「ユーフォって中々独特な脚本構成をしているなぁ、と思ってさ。もちろん、原作付きだから原作が一番生きるやり方を探した結果かもしれないけれど……

 全国大会決定が5話でしょ? そこから6話が伏線張りをして、ラストからあすか先輩関連がスタート。そこから7、8、9、10話とお話自体はそこまで劇的に動いていないわけじゃない?

 もちろん、京都駅前で演奏したり、お姉ちゃん関連のことはあったけれど……一つの区切りとしてみた場合に、この構成は結構……挑戦的だなぁ、って印象もあるね」

 

カエル「挑戦的?」

主「今回のユーフォの構成って、1話が1時間だからまた特殊だけれど……1話から4話までを一纏めとすると、大体5話分で1つのストーリー構成なんだよね。全国大会は中間の纏めとして考えて、6〜10話があすか編と考えると、こちらも5話構成。

 結構最近は3話で1つとか、4話で1つのストーリー構成が多いわけだ。それでテンポを良くして、物語にメリハリを生む。でも、ユーフォの5話構成は、それで考えると……相当テンポが悪くて、下手すれば間延びする結果になるわけ

カエル「それをカバーするために演奏シーンなどもあるけれど……8話以降でキャッチーな場面ってあまりないような気がするね」

 

主「だからさ、ここから伺えるのは……『京アニの自信』なんだよね。この作品において、京アニは相当な……物語の、つまり脚本やテンポだけに拘らない自信を感じる。

 じゃあ何にそんなに自信があるかというと、それはキャラクターの魅力もそうだけど、演出だとか、作画とか、音楽とか……そういった『ストーリーライン』以外でも魅了することができる。

 これはすごいと思うよ。ユーフォはすごく丁寧に作られた作品だけど……基本的には人間ドラマだからさ、派手な爆発とか、誰かが死ぬとかのキャッチーなお話はないけれど、それでもこれほどの説得力があるのは、間違いなく脚本などのストーリーの力だけでなく、演出の力などで勝負しているからだろうな」

カエル「演奏シーンも多いわけではないしね」

 

 

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姉とあすかの対比

 

カエル「これは今更語ることもないけれど……」

主「まあ、この作品を見ていれば姉とあすかの対比は誰でも気がつくけれど……久美子の立ち位置って結局のところは『第三者』の立ち位置なわけだよね。

 それはみぞれの時もそうだし、今回もそう。結局さ、姉の選択にもあすかの選択にも、実際はそこまで関与していないじゃない?」

 

カエル「お姉ちゃんも自分で決めた道を、自分で突き進んでいるだけだしね」

主「そうそう。だから基本的にはこのお話には、直接的に関与しているわけではないんだよ。基本はかき回すだけの傍観者。

 だからこそ、その『当事者にはわからないこと』が見えて来るわけだけどね

 

カエル「そして親の言いなりをやめて夢を追う姉と、親の言いなりでやりたいことを諦めそうになったあすかを見て、一番色々と考えていただろうしね」

主「この辺りの対比もうまくできている。

 こういう丁寧なことができるからこそ、この作品は魅力あふれる作品になっているよね」

 

 

 

 

最後に

 

カエル「今回は演出についての話はなしかぁ」

主「1つ気になったのは9話におけるスニーカーの紐を結ぶシーンだよね。

 あそこは『自分がかわいいと思ったものを他人が手出しをする』ということを嫌がったのかなぁ? とか思ったけれど……結局のところ、色々考えるあまりに明確な答えが浮かばなかった、というのが本音かな。

 原作を読むと色々と分かるらしいけれど、とりあえずはアニメを全部見てから決めようかな」

 

カエル「来週以降は久美子と麗奈の話になるのかな?」

主「全13話らしいから、ここからは怒涛の展開になるだろうな。最終話で全国大会もやるだろうし、麗奈関連だと久美子が当事者になるかもしれないし……」

カエル「この先も楽しみだね」

主「改めて劇場版でいいから映画館とかで上映してくれないからなぁ……でっかい画面といい音響でみたい映画だよ、本当に」

カエル「そういう動きも出たらいいねぇ」