今回は国民的人気漫画の映画化作品『ワンピース スタンピード』の感想記事になります!
こちらも近年楽しみなシリーズだから、今回はどのようになるんだろうね?
カエルくん(以下カエル)
「ちなみにワンピースはそこそこファンで、アニメ版も水曜7時……だったような気がするけれど、初回放送から放送時間変更までは楽しんでいたり、あとは原作も全部読んでいますので、そのファン目線の感想となります」
主
「特に『ストロングワールド』以降のワンピース映画は数々のシリーズもの映画の中でも突出した魅力がある映画作品ばかりとなっているね」
カエル「ちなみに一番好きなワンピース映画はどれ?」
主「自分は『フィルムZ』が1番好きだな。
あれはもうシリーズ映画という枠組みを超えて、1作の映画としても突出している作品だと思ったし、当時ブログを運営していたら熱い記事になったんじゃないかな。
今作も監督が発表されていない段階ではフィルムZや『ドラゴンボール超 ブロリー』を担当した長峯達也監督がまた起用されるんじゃないかな? と思っていたけれど、その予想は外れたね」
カエル「ちなみに長峯監督はテレビシリーズのワンピースにワノ国編から監督に該当する”シリーズディレクター”に就任されているので、当たらずとも遠からずって読みだったのかな」
主「あとはワンピースらしいバトル描写なども注目したいね。
では、感想記事のスタートです!」
感想
では、Twitterの短評からのスタートです!
#ワンピーススタンピード
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年8月9日
間違いなくワンピース映画史上最高傑作!
長く愛されるワンピースのお祭り映画らしくキャラクターの使い方や魅力を熟知しバトルシーンの迫力やワンピースらしさに溢れながら少年少女に向けた想いも溢れた、日本のシリーズもの映画作品最高峰の作品!
世界よ、これがアニメだ! pic.twitter.com/kqWLbIAOgR
ワンピース映画として、少年漫画原作として過去作全てを超える熱さと魅力に満ちた大傑作!
カエル「お! これはもう手放しに大絶賛だね!」
主「純粋に映像表現やバトル描写で楽しんだ作品でいえば、今年TOPクラスだし……No1だ! と叫びたい気持ちもあるくらい!
もちろん映画の魅力はそれだけではないから今の段階で断言はできないけれど、でも間違いなく2019年を代表する大傑作の1つだし、これはワンピースを好きな人やかつて好きだった人は絶対に観に行った方がいい作品です!」
カエル「それだけ感想が熱くなる作品なんだね……」
主「日本アニメの魅力ってたくさんあると思うけれど、やっぱり”友情””努力””勝利”が基本となっていると言われているジャンプ漫画を原作としているから、王道の面白さがある作品となっていると言える。
またバトルシーンの迫力が凄い!
いくら映画でもこれだけバトルを詰め込むのか……? と驚愕すると共に、製作時期としてはブロリーとも多少は被っていると思うから、現場は阿鼻叫喚だったんじゃないの? って思うほど。それくらい素晴らしい。
だから絶対に劇場で観てください!
今作の魅力は劇場で観ないと半減以下になってしまうだろうね」
カエル「ちなみに、ファンじゃない人が観ても大丈夫?」
主「う〜ん……キャラクターや設定などは当然ファン向け要素が強いから、本当に全くワンピースを知らない人が観ても自分の熱さを納得するか? と聞かれたら答えはNoかもしれない。
でもわからないなりに熱くなるんじゃないかなぁ……お話自体はそんなに難しくないです」
お祭りオールスター映画ーとしての完成度の高さ
今作はオールスター映画ということで人気キャラや懐かしのキャラクターが総集合します!
このバランスが見事なんだよ!
カエル「今作の監督を務めた大塚隆史監督は現在30代の若い監督ですが、過去には東映アニメーションに所属しており『プリキュアオールスターズ』シリーズをいくつか監督をしているように、この手のオーススター作品を手がけた実績がある方です。
またワンピースでは『エピソードオブ東の海〜ルフィと4人の仲間の大冒険』というテレビスペシャルの監督を務めています」
主「この手のオールスタームービーというのは非常に難しくて、限られた映画の尺の中で全員にスポットライトを浴びせることはほぼ不可能だし、それをやると不満が残る内容になりやすい。
だけれど、今作はそのような不満はほとんど感じなかった!
麦わらの一味はもちろんのこと、敵役のバレットも強力な敵として見事に描いていたし、またシリーズおなじみのキャラクターも肝を外さずにしっかりと、わずかなシーンでも魅力を描いておりこのバランス感覚のすごさに恐れ入った。
変な話だけれど2時間で収まっているとは思えないくらい!
まるで長いテレビシリーズを観ているかのような満足感すらある作品だよ」
カエル「もうべた褒めだね」
主「重ねていうけれど”キャラクターのキモを外さない”って大事なんだよ。例えばバギーを強キャラに描くとキャラ崩壊と受け止められかねないけれど、そういうことは一切しない。単なる強いだけでなく、そのキャラクターそれぞれの魅力や支持されるポイントを抑えながら物語を作っていて……本当に圧巻。
ファンであればあるほど楽しめる仕掛けもいっぱいなんだよ!」
長期連載作品の欠点を見事にカバー
今のワンピースの原作にある不満も見事にカバーしたってお話だけれど……
長期連載だから仕方ない面もあるんだけれどね
カエル「それってどのような部分なの?」
主「物語の粗さとかいうよりも、キャラクターの魅せ方の問題かなぁ……先にいっておきますと、ワンピースの原作自体も非常に完成度の高い作品だと思います。特にほぼ毎週書き上げなければいけない週刊連載をこれだけ長期に行なっていながらの完成度としては舌を巻くほど。
これが第何部とか設定などを一新できる作品や、あるいは設定を覆しても問題のないギャグ漫画であれば話は変わるけれど、シリアスな要素も多々含むストーリー漫画としては最高レベルだと思う。
だけれど、やっぱり不満はあるんだよ」
カエル「どうしてもネタのようになってしまう部分はあって、一部のキャラクターの扱いが酷いとファンの中では批判があったり、あるいは笑い話になっているよね。それもそれで作品の楽しみ方の1つではあるんだろうけれど……」
主「例えば
- バギーとかは七武海になってからほとんど出番がない
- 魅力があるキャラクターも豊富なのになぁ
- キャラクターの役割をもっと明確にしたらいいのになぁ……
と暇な部外者が思いつくこともある。もちろん、これは後出しジャンケンみたいなものだしなんとでも言えてしまうんだけれどね。
だけれど、今作はそれらの欠点を見事にカバーした。
自分はシリーズものの映画作品ってこうあるべきだと思うんだよ」
カエル「こう、とは?」
主「例えば、今の原作の流れではバギーはなかなか出せないから映画では出演させたり、あるいは株を下げてしまった部分は映画で補完するとかね。
もちろん原作には一切影響を与えないけれど、でもこういうお話もできるんだよ? と示すこと。
自分が『フィルムZ』を高く評価しているのも、原作ではやりずらい海軍のお話を映画で番外編として描いたからというのも大きくて……
その意味では今作は番外編である映画ならではの魅力と共に、ワンピースそのものにも作られて意義があったのではないだろうか?」
声優について
いつも通りに声優さんについて語りますが……
今回は声優の”演技”ではなく”演出”に注目してください!
カエル「えっと……実績十分の現代日本アニメ界を代表する声優さんたちのオールスターのような作品であり、この声の演技だけでも楽しめるから今さらグダグダと語るのは野暮というものではあるけれど……」
主「自分は開始5秒でこの作品は傑作だと確信した。
だいたい映画に見慣れていれば10分も見れば映画の評価って決まるし、それはだいたい覆らないけれど、本当に優れた映画は5秒でわかる。そして、この作品はその”本当に優れた作品”の1つだった。
それはある大物声優さんの演技からスタートしたからなんだよ」
カエル「最初の5秒なので言ってもいいかな、と思いつつ、一応隠しておきますがみんな大好きなあの大物男性声優さんの迫力のある演技からスタートしています」
主「そこで声優さんを魅力的に使うんだけれど……他にもあるワンピースでも重要な役割を果たした声優さんが、出演していたり、そのシーンだけでもジーンと来るひとは多いのではないだろうか?
今作は”声を楽しむ”という意味でも見所……というか聴きどころの多い作品となっているね」
カエル「ちなみに今作の芸能人声優は?」
主「違和感が0とは言わないけれど、ほぼ違和感なし。
特に出番が多いわけでもないし、これはこれでありなんじゃないかなぁ……その意味でも工夫が凝らされていたね」
ちなみに……数少ない細かい批判ポイント
あれ、これだけ大絶賛なのに批判ポイントがあるの?
批判というか……どうでもいいと言えばどうでもいい話だよ
カエル「それはなに? ネタバレなしで言えること?」
主「普通に言えるんだけれど……これってさ、原作ではいつの頃のお話なの?」
カエル「えっと……ルフィの傘下が増えているからドフラミンゴ戦後は確定だよね。それでビックマム編後だと思われる描写もあったけれど……あ、そう言えばあの後って一味が集合したのはすでにワノ国に入って以降かも……」
主「まあ、どうでもいいんですがその時系列に関してがすごく気になってしまった。
あれ、このキャラクターってこの時はすでに同盟は……とかね。
お祭りだからいいんだよ! で乗り越えられるし、それを言ったら過去作もその手の疑問はあったけれど、今作はより強かったかなぁ。
あとは敵の造形も仮想カイドウだとは思うけれど、ワンピースらしいのか? と言われるとなぁ」
カエル「未来のお話という可能性もあるけれど、それはそれで色々と齟齬が生まれてしまいそうだね……
映画なので細かいことは気にするな! の精神でお願いします!」
以下ネタバレあり
作品考察
冒頭の掴みについて
ここから先はネタバレありで語っていきますが……まずは冒頭の素晴らしいと思った演出って何?
やっぱり黒ひげの声だよねぇ
カエル「大塚明夫さんの声が劇場内で響き渡った瞬間に、劇場内がピリッとした雰囲気に変わったよね」
主「映画の冒頭、特にファーストカットを如何に見せるのか? というのは大事だけれど、そこでラスボスという噂も多い黒ひげを使ったのはうまかったし、時系列からしても正しいことだろう。
ヤミヤミの実をもつ黒ひげの声だけが真っ黒な画面に響き渡ることで、とてつもないことが動き出す予感があった。
もちろん自分が明夫さんファンというのもあるけれど、魅せ方をしっかりと熟知しているなぁ……と感心した」
カエル「ふむふむ……」
主「それと同時に感心したのが古川登志夫をちゃんと起用していることでさ、エースはこ存じのようにあのようになってしまったから出せないけれど、古川さんの存在を忘れていないというのはそれだけで感動した。
多分このシーンだなぁ、と思うことはあるけれど、確信はないので濁すけれどこういう1つ1つの細かい、憎い演出が物語を盛り上げているんだよ」
音楽の見事な使い方
ワンピースは名曲が多いことでも有名なアニメ作品です
今作もその見所を外していません!
カエル「今作のOPもいいんだけれど、ちょっと興ざめした部分はあるんだよね。
映像では懐かしのキャラクターもたくさんいて、パンダマンを出したりして初期からのファンを喜ばせている一方で、あれほどの楽曲を使わないのかなぁ……って」
主「しかも『ここでOPにしろよ!』って思ったんだけれど、その直後に『ウィーアー!』が流れてきたときには涙が出そうだった。
一気にワンピースワールドに引き込まれたよ。
この手の長年愛されたテレビアニメも作られている作品の映画化の場合、OPは絶対に必要だと思っているけれど、その重要性を理解してくれているなって、安心感が増したよ」
カエル「そして中盤から終盤にかけての名場面です!
あそこであのEDが流れた瞬間に涙を浮かべた方も多いのではないでしょうか?」
主「こっちは完全に予想外でさ、流れた瞬間に思わず『反則だ!』って言いたくなってしまったよ!
ワンピースを代表する名曲でもあり、またファンとしても思い入れも強い曲だからこそあの頃の思い出も一気に戻ってきて……
音楽って時代性を象徴するものだと思うけれど、20年という月日を象徴するものとして、これ以上ない名演出でした!」
カエル「他にもゾロとある強キャラが対決するシーンでは和風テイストの楽曲が流れるなどの工夫もあり、劇伴としても聞いていて満足感の高い作品でした!」
映像面について
今作のバトルは時折ドラゴンボールを連想したよね
まあ、東映が製作しているしジャンプバトル漫画だしなぁ
カエル「今回でも『ドラゴンボール超 ブロリー』で活躍された橋本敬史さんがエフェクト作画監督で参加されているので、その影響はあったかもしれません」
主「いつも橋本さんがエフェクト作監されていると語る気がするけれど、近年のバトルアニメ映画には欠かせない方の1人であり、エフェクトがどれだけ重要かということをいつも認識するんだよ。
今作の場合は素手のバトルの際は線が太くなったりして『あれ、ワンピースってこんなに線が太かったっけ?』と気にはなったけれど、でもそれが迫力を生んでいたし、決着のシーンの映像演出に関しては橋本さんらしさが出ているとも言えるのかもね」
カエル「でも、これだったらドラゴンボールと同じじゃない? って思った部分もあったかなぁ」
主「自分も中盤はそれがあったんだけれど、ゾロのバトルシーンで全てが覆った。
武器を持って戦うのはドラゴンボールにはないし、そこも迫力満点で実力の高さを窺えた。
でも一瞬で全てを持っていくあの剣豪さんはずるいですよ……あの人の場合はバトル描写をじっくりと描くよりも、あのような圧倒的な実力を一瞬で描き完封する姿を描いた方が強さがわかりやすいのかもね」
カエル「このバトル表現は実写を含めても今年屈指のものであり、手書きアニメの魅力が味わえますのでぜひ劇場で!」
ワンピースのお祭り映画としてのスタンピード
キャラクターへの理解と愛情に溢れた物語
これだけキャラクターへの愛に溢れた作品ってあまりないよねぇ
尾田栄一郎監修の元とはいえ、スタッフが本当に好きで思い入れが強いことがわかるよね
カエル「それこそオールスターで、最悪の世代のルーキー達も勢揃い、また王下七武海から海軍から革命軍なども出演するという原作でもないくらいのびっくり企画です!」
主「麦わらの一味もほとんどが活躍していてさ、特に戦闘要員のゾロやサンジは活躍の場が多い作品もたくさんあるけれど、あまり活躍しづらいロビンやブルックの活躍のさせ方が考えられているなぁ。
この2人って他の仲間よりも大人だし戦闘よりも諜報要員だからバトルがメインだと動かしづらいけれど、だからこそできる仕事をしっかりとこなしていた。
また映画のワンピースはファッションの良さがあるけれど、今回のロビンも良かったなぁ……『ストロングワールド』がセクシーでベストだけれど、それに迫る名デザインだった」
カエル「うん、偏ったロビン好きが出てきてしまっているので話を戻しましょう」
主「もちろんそれでいうとクロコダイルの切れ者の知恵もので仲間的であっても信用できない面だったり、あるいはいつもボロボロで助けを求めるわりには孤高な存在のローとかさ、大口叩くけれど行動がいちいち小物感のあるキッドもそれっぽかったんだよ。
でも今作で1番褒め称えたいのは……やっぱりケムリンの使い方だね」
悪魔の実に対して覇気が有効だと示すための犠牲になったキャラクターだよね
でもいまだにルフィのライバルはケムリンだと思うんだよ
カエル「ワンピースの場合は明確なライバル関係ってないけれど、一番それに近いのはスモーカーなのかなぁ。バギーとかは腐れ縁感があるし、黒ひげはライバルではないし……」
主「ネットを中心にネタキャラになったとき、それをゲラゲラ笑いつつも悲しく思う自分がいてさ……
あの初登場のアイスのシーンの衝撃を知らない奴らが!
覇気を使う少女がいるからじゃねぇぞ!
初めてまともで強くて優しい”正義の海兵”が出てきたから衝撃なんだぞ!」
カエル「うん、まあ、それはそれとしても原作でも今更なかなか出せないし、あのインフレについていけるかというと微妙な部分もあるよね……」
主「もちろんケムリンの格好良さも最高なんだけれどさ、それ以上に燃えた(萌えた)のがヒナとの関係性だよね。なに、あの同期に対する大人の信頼関係……あんなの惚れないほうがおかしいでしょ……この映画の影の主役とヒロインとしてもう1作できるレベルじゃん……」
カエル「新たなカップリングの魅力を発見してしまったオタクの戯言です」
主「他にもガープとセンゴクもさ、単に強い人や頭の固い人ではないんだよね……あの激動の時代を生き抜いた者として、己の掲げる正義と守るべき民を思いつつ、でも対立した悪党への思いも抱えているという老兵の魅力を醸し出していて……
もう本当に最高!」
カエル「……でもさ、これほど完璧にキャラクターを理解していてもフランキーはあまり活躍しないというのは……」
主「サニー号が頑張ったから!
それでいいじゃない!」
ルフィとウソップ
今回1番語りたいポイントはここではないでしょうか?
これだけウソップをフューチャーした映画って過去になかったよなぁ
カエル「そもそも立場が難しいキャラクターで、実力はあるけれど他に比べると弱畔、嘘ばっかりついているけれど、決して勇気がない訳ではない……というか、2年後以降はそんなに嘘をつくシーンもヘタれるシーンもない印象があるかなぁ」
主「麦わらの一味でも特殊な存在がウソップで、単純に戦闘で弱いというだけならばナミなどもいる訳じゃない?
でもウソップの場合はなんというか……弱いし、嘘つきだけれど芯が強い男な訳だ。卑怯者で卑屈だけれどクズではない。だからこそ絶対に勝てないであろうルフィと対立し、戦うことだってできた。
それはゾロやサンジには絶対できない。
ロビン以降仲間になった面々は大人だから、そもそもルフィとそこまで対立しない。やっぱりウソップだからこその映画に仕上がっている訳だ。
で、実はこの映画って冒頭から”ウソップを活躍させるよ”ってメッセージがあったんだ」
カエル「冒頭から? そんなシーンあったっけ……」
主「麦わらの一味で最初にセリフをいうのがウソップなんだよね。
ファーストシーンもそうだけれど、第一声も大事でさ。この場合は味方勢の第一声が誰になるのか? ということだけれど、それがウソップだったのは意図的なものではないか?
ルフィが活躍して終わりじゃないよ。って決意表明をしているように感じられたね」
カエル「戦い方も工夫されていたよね。
欲を言えば他のキャラクターも工夫した戦い方をして、ルフィを援護したり普段の1対1ではないからこその強さや魅力を出してくれたら満点だったんじゃないかなぁ?」
映画としてのスタンピード
映画としての魅力
ワンピースムービーを離れて1作の映画としてはどうだったの?
評価が難しい部分はあるけれど”映画”にしようという意思は強く感じたかな
カエル「この場合の”映画とは?”に関しては多くの意見があるでしょうが、1作の物語として特徴やテーマ性があり映像で捉えようとする作品、という風に解釈してください」
主「もちろん、本作は人気原作のお祭り映画であり、あくまでもキャラクター映画の域を出ないと言えるかもしれない。いわゆる”漫画アニメ”と呼ばれていたものと同一に感じられるという意見もあるだろう。
でも自分は今作は映画になったんだよねぇ……
それは先ほども語った終盤に差し掛かる場面の落ち着いた場面だ」
カエル「ウソップの思いをルフィに話すシーンであったり、あるいはセンゴクとガープの会話などのシーン?」
主「そこでガープが語った『親に裏切れられ、友に裏切られた男』という評価がかなりグサッと刺さったんだよね。単なるキャラクター映画の悪役だったらあんな風に描く必要はない訳で、単なる鬼の頭目にすればいい。
でもそうではないというのは……そもそもワンピースという物語が抱えていた”悪に対する思い”ってものが現れていたのではないだろうか?」
過去編を長く描いて感動を煽るのは、うちでも”ワンピース症候群”って呼んでいるし様々な評価があるだろうけれど、しっかりと敵についても描写したりしているもんね
例えばアーロンなんて最低な人間性をもつの悪役(褒め言葉)だけれど、魚人が受けた屈辱を知ると断罪しづらい部分もある。
主「またルフィ達はあくまでも犯罪者であり、正義は海軍側にあるから赤犬の主張も決して間違いではないし……と色々と難しい部分がある」
カエル「バレットの苦しみや悲しみと、それを支えてくれたロジャーへの思いも伝わってきたかなぁ」
主「でもそれを描いても湿っぽくしないであくまでも”少年漫画”に徹したのは見事だったと褒め称えたい」
少年漫画の映画化作品として
今作で忘れてはいけないのが”少年漫画”の映画化ということです!
この点において最高! と言いたい自分がいるね
カエル「少年漫画だからこそ自分たちみたいな大人よりも、本当はこの映画を見にいくであろう子供達へのメッセージ性を強くして欲しいよね」
主「その点に関して今作は文句なしに素晴らしい!
『1人でこの海で生きられる奴はいない』というのはワンピースが示してきた精神そのものだ。それこそ『お前を倒せる!』の名言にもつながる思いだろう。また先にも述べてきた、ある種のキャラクターの救済もあることによって”無駄な人間(キャラクター)や過去なんてない”ということも描くことができる。
それぞれのやり方で輝くことだってできる訳だ」
カエル「単純な”悪い奴をぶっ倒して、はいおしまい!”のようでありながらも、そうはなっていないもんね」
主「表向きはそうだし、少年漫画としての熱さは健在だけれど、メッセージ性もあるし変にこねくり回すこともしなかった。そしてあのラストを描くことでルフィというキャラクター性を表現すると共に、近道を選ばずに過程を楽しむ格好良さということも伝えている。
今作のような海賊や暴力的な作品を見せたくないという親御さんも、もしかしたらいるかもしれないけれど……この映画が表現したテーマは真っ当なもので今の子供達に是非とも見て欲しいものだったと強く、熱く語りたいね」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- ワンピース映画史上最強の最高傑作登場!
- 特にファンならば感涙すること間違いない演出が豊富!
- キャラクターへの愛に溢れた魅せ方に心が熱くなる!
- 少年漫画原作映画として真っ当なメッセージ性を抱えた名作!
重ねて言いますが2019年屈指の大傑作アニメ映画です!
カエル「すでにワンピースを離れたという方にも見に行って欲しいよねぇ」
主「いやぁ、近年アニメ映画の幅の広さが広がり続けているけれど、今作もそれを証明する作品に仕上がっていた。
シリーズ初見さんがどう思うかはわからないけれど、ぜひ付き合いでもいいから見て欲しい1作です!」