物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『ONE PIECE FILM GOLD(フィルムゴールド)』感想 王道のザ・少年漫画アニメ!!

カエルくん(以下カエル)

「今年も来たよ! 夏休みアニメ祭りだ!!」

 

亀爺(以下亀)

「先週の『ファインディング・ドリー』とポケモン公開、さらに今週はワンピースにアクセル・ワールド、来週以降もシン・ゴジラ、ルドルフとイッパイアッテナ、傷物語、そして君の名はなどのアニメが続くの。これから毎週アニメを見に行くことになるの」

 

カエル「まあ、別に全部見る必要はないんだけどさ、意外な掘り出し物もあったりして楽しみなんだよね」

亀「夏が終わっても黒子のバスケや聲の形もあるから、しばらくアニメ中心の映画レビューになりそうじゃの」

 

カエル「ちなみに、今回のワンピースにも亀が出てくるじゃん、マッスルなやつが」

亀「あれの。昔はわしもあの中のひとりとして働いておったわ。嫌気がさして逃げたがの」

カエル「……あのギガントタートルは?」

亀「あれはうちの親戚じゃ。叔父にあたる。わしの一族はあそこまで大きくなれなかったがの」

カエル「……ファインディング・ドリーといい、色々と大忙しなんだね」

 

 

 1 過去の映画作品と比べて

 

カエル「ワンピース映画って昔から大人気だもんね。主が言っていたけれど、初めて劇場公開されてた時は映画館の席の倍くらい子供達が入っていて、みんな立ち見どころか通路に座ってたんだって。そしてOPの『ウィーアー』が流れると大合唱だったらしいよ」

亀「時代じゃの。今ではそんな映画館なんてないじゃろうな」

 

カエル「リメイク作品も多いし、あまり古い作品とは単純に比べられないけれど前作の『ONE PIECE FILM Z』、前々作の『ワンピースフィルム ストロングワールド』と比べてもさ、遜色ない出来だよね」

亀「構成のうまさなどでいうと『FILM Z』は超えておるの。あれはもう主人公が麦わらの一味ではなくて、海軍やゼファーになっておったからの。その分、ゼファーに共感できればすごく好きになる作品とも言える

カエル「今作を入れても一番好きなのはやっぱりZになるかな。もちろん三作とも面白いけれどさ」

 

亀「Zは趣が違うからの。しかし、金色のシキといい、ゼファーなどのように敵キャラクターが映画で終わらせるには惜しいほどにいいキャラをしておる。それは今作も同じで、グラン・テゾールもいかにも悪党という敵ながら、狡猾な戦い方といいその過去も含めて、中々魅力的な敵役であったの」

カエル「今回は特に、このまま終わらせるには惜しいキャラクターも多かったね。カリーナもいいキャラクターだったし」

亀「これほどの魅力あるキャラや敵を量産できることが、尾田栄一郎という漫画家の最大の強みかもしれんの。特に海軍の茶トン(寅さん)と桃うさぎのコンビは原作でも見たいの」

 

声優の演技について

 

カエル「豪華ゲスト声優陣って言うけれど、ワンピースはいつも大ボスには実力のある人を使ってくるよね」

亀「そうじゃな。シキの竹中直人は確かに俳優のイメージも強いが、声優の実績も豊富で非常にうまい役者だし、ゼファーは大ベテランの大塚芳忠、そして今回のテゾールの山路和弘は、深夜アニメにも出ている声優じゃからもうなんだかんだ言う方が失礼じゃろう。

 芸能人声優も実績豊富なケンドーコバヤシ、濱田岳はさすがの貫禄じゃの。これほどうまい声優陣を相手にして、全く見劣りしていなかったわい」

 

カエル「問題は若手美人女優の菜々緒と満島ひかりだよね……」

亀「菜々緒は意外とよかったの。もっと崩れるかと思っていたが、ところどころ怪しいところがあるとはいえ、演技になっておった。そこまで気にならん。

 問題はカリーナ役の満島ひかりじゃな

カエル「正直、結構気になる演技だったよね」

 

亀「わしや主がいつも言っておるが、芸能人声優を使うのは別に悪いと思っておらん。じゃが、これだけ大ベテラン声優陣に経験の浅い芸能人声優を使ったら、浮くのは当たり前じゃ。その意味では損しかしない中ではよくやったと褒めるべきかもしれんの。

 特にカリーナは出番も多く、しかもナミやテゾールとの掛け合いも多い。そりゃあ、比較されるから浮くのは当然といったところかの

カエル「これもキャスティングの問題だから、仕方ないね。特にカリーナはキャラクターとしての魅力もあったし」

 

以下ネタバレあり

 

 

2 序盤について

 

亀「まずはスタートからじゃが、これが中々良かった」

カエル「わかりやすくリズムを踏みながら階段を上っていくシーンで、『音楽が始まる!』って気にさせられるんだよね!! そこで豪華な映像とジャズ調の音楽と、そして歌が流れるところでテンションは一気に急上昇!! 気分はまるでラスベガス!」

 

亀「そこで観客のハートを掴んだ上に、麦わらの一味の派手な戦いが始まることで一気にワンピースの世界に引き込まれるの。あれはうまい作りじゃった」

カエル「ただ、ちょっとごちゃごちゃしちゃった感はあるよね。今船を壊して戦っているけれど、それってサニー号なのか敵の船かわかりずらかったり」

 

亀「そしてテゾールの船に乗船する。そこで思ったのは、やはりワンピースの最大の強みはあの世界観じゃな

カエル「というと?」

亀「つまり、あの世界は機械文明はない世界なわけじゃ。それでも車は出したい。なら、どうするかというか亀を使った馬力ならぬ亀力で車を動かすときたもんじゃ。あのキャラクターデザインもそうじゃが、このアイディアが本当にうまい。これだけで少しわくわくするからの」

カエル「後半の目が赤いフクロウとかも赤外線センサーをうまく出しているよね、ワンピースはそこいら辺も人気の理由かな?」

  

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今回の勝利条件

 

亀「今回は勝利条件がクドイほどに何度も連呼されておったな」

カエル「騙しきったやつが勝ちっていう、いかにもギャンブルらしい戦い方だよね

亀「名作映画じゃと『スティング』が騙しきった方が勝ちという雰囲気が出ておるが、こちらもスティングほどではないにしろ、それなりの作戦などがあって見ごたえがあったのではないかの? ただ、惜しむらくは慣れ親しんだワンピースの世界だからこそ、この先どうなるのか、ある程度分かってしまっていることかの

 

カエル「あのまま麦わらの一味が負けるわけもないし、なんとなくカリーナもいいやつなんだろうな、ってのはわかるからね。そこは仕方ない部分でもあるけれどさ」

亀「逆にワンピースでカリーナが本当にゲスで、本気でナミを貶めにきたとしたら……ゲスト声優まで使ってそこまでしたら、完全に観客も騙されたであろうが、ワンピースに望むものではないからの。それはカイジとかでやるべきじゃろう」

 

カエル「でも、このテーマというか勝利条件が最後まで生きたのは良かったよね。ゼファーじゃないんだから、カリーナが生き残るのは分かってはいたけれどさ、あのラストは好きだったな」

亀「久々に泥棒猫時代のナミも見れたし、評価したいポイントじゃな。あと、個人的にはやはりショートカットの小生意気な時代の方が好きだったかの」

 

複合的な要素

 

カエル「今回はいつもバトルに加えて、ギャンブルとスパイって要素があったね。ここいら辺は賛否があると思うけれど、亀爺はどう?」

亀「ここもさっきと似た回答になるがの、やはりワンピースじゃからな。能力を使ったスパイアクションであったり、運だけでなくてロビンやナミの策もあるギャンブルシーンを望むのもわかるが、あまり本格的にしてしまうとワンピースの世界観を損なうことになりかねん。

 結局はさっきの『騙した方が勝ち』というのはあくまでもカリーナの勝利条件であって、麦わらの一味の勝利条件ではない、ということじゃろうな。ルフィにしてみれば殴って倒せば終わりなわけじゃ」

 

カエル「コスチュームも色々と替えがあって良かったね。まあ、ゾロとかいつ着替えたっていうのもあるんだけど(笑)」

亀「……正直に言えば、ナミとロビンもそうじゃが露出が激しければOKというのは少しの……もちろん、カジノがメインじゃからそうするのはわかるのじゃが……ストロングワールドの時のボーダー、ポニーテール、メガネのロビンの魅力に比べるとの……」

カエル「個人の趣味は色々あるよ!! 今回はゾロがすごくカッコよかったね!! 作中ではずっと捕まってばっかりだったけれど、最後で汚名返上といったところかな?」

  

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3 今回の敵、テゾーロについて

 

カエル「今回の敵、テゾーロもすごくいい敵だったよね。いつものワンピースらしいと言えばらしんだけど、ドフラミンゴと同じで悲しい過去を背負っているところとか、少し涙腺にきたよ」

亀「ああいう描写はわかりやすいからの。クロコダイルのような純粋な悪、というのも魅力的じゃが、たった2時間ではその路線では小物になりがちじゃ。それならば、今回のようにバックボーンを見せたほうがわかりやすくていいじゃろう」

 

カエル「特に良かったのは、配られた設定資料の中にあった過去でさ、結構これが悲しいんだよね。むしろ、これだけでも映画とまでは言わなくても、スペシャルドラマは作れるくらいでさ

亀「尾田栄一郎の説明書きや、そこまでの流れが泣けるの。全てを滅茶苦茶にされた金の力に縋って、ここまで大きくのしあがってきた男が、金以外の力によって崩壊していく様。ここがディズニーとかなら愛や友情でその帝国が崩壊するのじゃろうが、ワンピースは少年漫画らしく拳で粉砕したの」

 

カエル「ステラも泣かせるし、本当の答えは既に出ていたのに、それに気がつかなかった哀れな男っていうのが泣かせるよね……

亀「それから、これほど大きな作品だけあって、過去にあった出来事を絡めるのが非常にうまいの。テゾーロとフィッシャータイガーが繋がるとは、全く思わなかったわ」

 

カエル「ただ、それだけにラストバトルはなぁ……結局巨大化かっていう部分もある

亀「あれは失敗じゃったように思う。テゾーロの勝利条件は再び金を相手の体につけるだけで勝てたのに、わざわざルフィと正面切って戦う必要はあったのかの? 少年漫画だからといったらそれまでじゃが……」

 

カエル「あと、ちょっと気になったのはルフィやチョッパーはともかくとして、ブルックって海水浴びたらただの骨にならないのかな? 生き返った時点で悪魔の実の能力はなくなっているってこと?」

亀「……そこいら辺は詳しい人に聞くとするかの」

 

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他のキャラクターとラストバトル

 

カエル「映画らしくオールスターって感じだったよね。ロブ・ルッチも出てきたし、サボやコアラも出てきてさ。戦闘シーンはほとんどないようなものだったけれど、このルッチとサボの対決とかすごく面白いだろうなって思わせてくれたし」

亀「こういった設定もまたどこかで生きてくるのじゃろうな」

 

カエル「でもさ、ラストバトルはちょっとあっさり決まりすぎな気もするよね

亀「ワンピースという話の難しさは、やはり仲間が多すぎることじゃろうな。ルフィは当然大ボスとやりあうとして、麦わらの一味でも特に強いとされるゾロ、サンジ、フランキーが戦う描写は必要じゃろう。他も含めて全員に見せ場を作ろうとすれば、戦闘だけで9個入れなければならん。それは短い映画じゃ不可能じゃろう。

 だから少ない人数を相手に戦うしかないのじゃろうが、やはりアッサリしてしまう分、爽快感は薄いかの……

 

 

最後に

 

カエル「でもさ、全体的には面白かったよね。ザ・少年漫画アニメって感じがしてさ

亀「そうじゃの。ワンピースのファンに向けた映画じゃろうし、ワンピースが好きであれば結構満足感のある作品に仕上がったのではないかの? 大きな冒険もないけれど、その分安心感のある作品とでも言おうか」

カエル「微妙という人の気持ちもわかるけれどね。結局、ワンピースであるということを前提としての面白さだから。ワンピースらしいって如何にもファンが言いそうな言葉だし」

 

カエル「たださ、やっぱりカエルは出すべきだと思うんだよね。ナルトでは結構大きな扱いを受けているのにね」

亀「……ワンピースにもカエルはおるが、今回の映画では出てこなかったの」

カエル「尾田先生!! 次はカエルも出してね!!」

亀「……この意見が尾田っちに届くことがあるとは思えんがの……」

 

 

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